嵯峨山〜鋸山縦走 南房総で一足早い春を


- GPS
- 03:18
- 距離
- 10.6km
- 登り
- 1,050m
- 下り
- 863m
コースタイム
- 山行
- 2:28
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 3:18
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
嵯峨山から鋸山への縦走路はテープが随所につけられているが、採石場の手前で尾根を直進しないように注意したい。また白狐峠から小鋸山への取り付きがわかりにくい。上記に関しては、小生の軌跡を参考にされたい。 |
写真
感想
ヤマレコ ユーザーの中でこのレコを訪れて下さった方は相当にオタクな嗜好の持ち主か私の他のレコのついでに立ち寄って下さった方だろうか、いずれにせよ、このどマイナーなトレイルのレコに暫しお付き合い頂けるのは幸甚の限りである。
鋸山といえば千葉県では清澄山と共に最も知られた山である。子供達と実家の両親と共に登ろうということになった。鋸山に行く前に鋸山の東方に位置する嵯峨山という知名度の低そうな山があることを知る。しかしこの山は山裾の登山道のあたりには水仙の群落があるらしく、開花の時期には谷間が水仙の芳香に包まれるという。さらに、ヤマレコ のマップでこの山の地図を見ていると、西に連綿と小さなピークが続き、うねうねと蛇行しつつ鋸山まで続いていく長い尾根があることに気付いた。嵯峨山に皆で登ったあた、私はこの長いトレイルを縦走し、鋸山で再び落ちあうというのが今回の計画となった。
小保田のバス停を曲がり下貫沢に沿って細い農道を入ると小さな駐車場があり、そこから細い登山道が伸びていた。確かにあたり一面は水仙なのだが、既におおくの花が刈り取られた後だろうか。水仙の花が疎らである。昨夜のうちに降った雨のせいだろうか。道はかなりぬかるんでいる。さらに脅しをかけるかのように「この山の登山道は危険です」という看板があるので、孫達のことを気遣う祖父母達は早々に撤退を決めこむ。かくして図らずも私の単独行が始まった。落葉の積もった道を行くと程なく峠に至り、杉林の中を嵯峨山への急登がはじまる。登るにつれ、いつしか道は照葉広葉樹の鬱蒼とした樹林となっていた。スイセンピークと呼ばれる嵯峨山の前衛には水仙の株を多くみかけるが、哀しいかな、総て切り取られた後である。ここを超えるとかなりのヤセ尾根となる。
嵯峨山の山頂は樹々に囲まれ、眺望はないが北西にわずかに歩いたところから北西に展望が開ける。早々にに山頂を辞し、峠まで戻ると二人組の登山客が二組、お話されているところだった。男性の方が嵯峨山から反対側に降りてこの峠に周回するルートがいいと仰っておられた。確かにガイドブックにもその周回ルートが紹介されていた。
縦走路に入ると、小さなピークの度に急登、急降を繰り返す。低山であるからといって尾根がなだらかとは限らないことを思い知らされる。突然、薄暗い樹林から鉄塔のために切り開く枯れたところに飛び出す。簡易な展望台が作られており、北に南に展望を楽しむことが出来る。周りの山は高くてもせいぜい300m台なのだが、標高にそぐわず、かなり山深い印象を与える。
ここからは延々と小さなピークの登り降りが続く。ピークから右手に曲がって降りて行かねばならないところを勢いあまって直進してしまう。ピークのあたりから真下に人の賑やかな笑い声が聴こえていたので、そのほうに向かってしまったのだが、いつしか道が不明瞭となり勾配も急となったところでヤマレコ の足跡マップを確認してコースを外していることに気づく。すでにかなり下ってきてしまっていたので、リカバリーは急登のために時間がかかる。
無事コースに復帰すると今度は以外と大きなピークであり、眺望のよい尾根道を行く。白狐峠手前のピークであるが、山名がないのが勿体無いように思う。これまで通過して来た縦走路を振り返ると嵯峨山は彼方後方である。しかし、目指す鋸山は採石場の遥か彼方である。この瞬間、この計画がかなり無謀であったことに気がつくが、時既に遅しである。ピークを下り、広々としたカヤトの原に飛び出すと、採石場の上部であった。こここら道はなくなり、イバラが非常に多いので再びヤマレコ のGPSを確認すると正規ルートはその少し手間で右折している。ここに出る直前にシルヴァーのプレートがあったことを思い出し、注意深くみると矢印が斜め下を指している。
採石され切り開かれた景色の中を行く。人為的に造られた光景、自然に対する破壊的な営みの結果ともいえるのだが、そのスケールの大きさには圧倒される。どことなくトルコのカッパドキアて目にした大渓谷を思い出す。多くの観光客で賑う鋸山の深奥にこのような秘められた光景があろうとは誰が想像出来よう。この長いトレイルを歩くものでなければお目にかかれない非現実的な光景であるには違いない。
採石場の上部の峠には白狐峠という古典的な名称が冠されているが、道標何もないので、白狐峠であることは事前にリサーチした者以外には知る由もない。問題はここから縦走路が途端に不明瞭となり、次のピークである小鋸山への取り付きがとても分かり難いことだ。今し方来た路をそのまま進む広い作業道てはなく、威容を誇る絶壁の下を目指してその上の小さな尾根に取り付かなければならないことに気付くまでには既に相当、道をロスしていた。白狐峠までに戻り!ヤマレコ mapを頼りに尾根に取り付くが、このトレイルで最も不親切な箇所と思った。
この小鋸山は例の断崖を裏から周りこむのだが、山頂は360度の絶景である。これまで歩んできた縦走路、件の採石場、そしてこれから進む鋸山への稜線が一望出来、この縦走路のハイライトと思われる。ここからは低山にそぐわぬ急峻なな登下降が繰り返される。いつしか、道はなだらかとなり、杉木立の大きなピークを超えると目の前を幾頭もの鹿の大きな群れが駆け抜けていった。路は不明瞭となるが、遠くに林道が見えるので、脚に任せて杉林の中を下る。
林道を越えるといよいよ裏鋸とも呼ばれる鋸山へのアプローチである。途端に登山道は立派となり、これまでの縦走路では誰も出会わなかったが、鋸山から下山される登山客と頻繁にすれ違う。程なく好展望の岩場に出ると若い男女の学生さん達が眺望を楽しんでおられた。これまでの縦走路と眼下には採石の跡に造られたと思われるダムが眼に飛び込む。一等三角点のある鋸山山頂に着いた頃、家内から東京湾の見える展望台に到着したとの知らせが届いた。山頂から駆け下りると、ようやく家族と合流。東京湾の大展望が待っていたが、富士山は春霞の中にその容姿を隠しているようだ。富士山の姿を拝むのは、明日の丹沢に期待することにしよう。
下山は昔の採石場跡を経て、日本寺へ。南総の暖かい春風がそよぐ中、境内は梅と水仙の芳醇な香りに充ち溢れていた。
コメント
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里帰りに山歩きも出来たんですね。水仙が咲く里山な感じがいいですね。石切場はすごい迫力ですね。
家族三代皆んなで山歩きなんて素晴らしいと思います😊
コメント有難うございます。山奥で人目を憚りつつも展開される壮絶は景色は衝撃的であり、日本にこんなところがあるんだと思いました。訪れる機会はそうそうないところでしょうが、異様な光景を楽しんで頂ければ幸いです。doi様の次のレコを楽しみにしています。
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