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Yamareco

記録ID: 1658522
全員に公開
雪山ハイキング
御在所・鎌ヶ岳

雨乞岳〜イブネ〜タイジョウ☆初冠雪と霧氷の鈴鹿へ

2018年11月23日(金) [日帰り]
 - 拍手
子連れ登山 山猫 yamaizu その他1人
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
08:55
距離
18.1km
登り
1,279m
下り
1,269m
歩くペース
速い
0.80.9
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
7:52
休憩
1:10
合計
9:02
距離 18.1km 登り 1,283m 下り 1,281m
9:27
9:29
18
9:47
70
10:57
10:58
2
11:00
11:01
38
11:39
11:46
26
12:15
15
12:30
7
12:43
11
12:54
13:27
7
13:34
7
13:41
14
13:55
13:57
42
14:39
14:50
109
16:39
16:40
20
17:17
ゴール地点
過去天気図(気象庁) 2018年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
甲津畑の登山口へ
名残の紅葉
2018年11月23日 08:30撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 8:30
名残の紅葉
林道脇には随所に古い石垣
2018年11月23日 08:33撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/23 8:33
林道脇には随所に古い石垣
善住防のかくれ岩
かつてここに隠れて千種越えをする信長を撃ったという
2018年11月23日 08:47撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/23 8:47
善住防のかくれ岩
かつてここに隠れて千種越えをする信長を撃ったという
かくれ岩の前の渋川の流れ
2018年11月23日 08:47撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 8:47
かくれ岩の前の渋川の流れ
桜地蔵
2018年11月23日 09:08撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 9:08
桜地蔵
避難小屋
2018年11月23日 09:13撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 9:13
避難小屋
旧塩津々集落の古屋敷跡
苔むした大きな石が往時を偲ばせる
2018年11月23日 09:28撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 9:28
旧塩津々集落の古屋敷跡
苔むした大きな石が往時を偲ばせる
紅葉とイハイガ岳への稜線のシルエット
2018年11月23日 09:34撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 9:34
紅葉とイハイガ岳への稜線のシルエット
蓮如上人の泊まったという竃の跡
2018年11月23日 09:47撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 9:47
蓮如上人の泊まったという竃の跡
中を覗くと
2018年11月23日 09:47撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 9:47
中を覗くと
素敵な絵が
2018年11月23日 09:47撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/23 9:47
素敵な絵が
再び千種街道を
2018年11月23日 09:58撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/23 9:58
再び千種街道を
フジキリ谷へ
2018年11月23日 10:00撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 10:00
フジキリ谷へ
ナラの大木
2018年11月23日 10:07撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 10:07
ナラの大木
苔むす石垣の遺構
2018年11月23日 10:11撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/23 10:11
苔むす石垣の遺構
ナラの大木が立ち並ぶ旧街道
2018年11月23日 10:12撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 10:12
ナラの大木が立ち並ぶ旧街道
杉の巨木も
2018年11月23日 10:15撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 10:15
杉の巨木も
2018年11月23日 10:16撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 10:16
いつしか雪が
2018年11月23日 10:37撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 10:37
いつしか雪が
一反ぼうそう
2018年11月23日 10:41撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 10:41
一反ぼうそう
広げると一反あるという
2018年11月23日 10:43撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 10:43
広げると一反あるという
杉の巨木
2018年11月23日 10:45撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
5
11/23 10:45
杉の巨木
積雪が増える
2018年11月23日 10:52撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 10:52
積雪が増える
ようやく杉峠に辿り着く
イブネへの縦走路方面
2018年11月23日 11:00撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 11:00
ようやく杉峠に辿り着く
イブネへの縦走路方面
杉峠
2018年11月23日 11:00撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 11:00
杉峠
蕨にも雪が
2018年11月23日 11:01撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/23 11:01
蕨にも雪が
霧氷
2018年11月23日 11:14撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 11:14
霧氷
霧氷を纏った草
2018年11月23日 11:16撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 11:16
霧氷を纏った草
霧氷
2018年11月23日 11:16撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 11:16
霧氷
登山路には
2018年11月23日 11:18撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 11:18
登山路には
霧氷で凍りついたススキ
2018年11月23日 11:19撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 11:19
霧氷で凍りついたススキ
2018年11月23日 11:19撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 11:19
2018年11月23日 11:23撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 11:23
2018年11月23日 11:25撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
11/23 11:25
山頂直下の池(大峠の澤)
2018年11月23日 11:46撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
7
11/23 11:46
山頂直下の池(大峠の澤)
イブネへ
2018年11月23日 12:53撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 12:53
イブネへ
山頂標のある樹
2018年11月23日 12:55撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 12:55
山頂標のある樹
ここだけ苔が現れている
2018年11月23日 12:56撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 12:56
ここだけ苔が現れている
ランチは豚の角煮丼とマッシュルーム・スープ
2018年11月23日 13:17撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 13:17
ランチは豚の角煮丼とマッシュルーム・スープ
餃子・・・残り半分
2018年11月23日 13:22撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/23 13:22
餃子・・・残り半分
タイジョウへの分岐へと戻り
2018年11月23日 13:43撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 13:43
タイジョウへの分岐へと戻り
倒木も
2018年11月23日 13:51撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 13:51
倒木も
シャクナゲの茂みの中に
2018年11月23日 13:55撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 13:55
シャクナゲの茂みの中に
p1084m・・・判読困難
2018年11月23日 13:55撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 13:55
p1084m・・・判読困難
ガレ地の上のナイフリッジ
2018年11月23日 14:03撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 14:03
ガレ地の上のナイフリッジ
ガレ地を振り返る
2018年11月23日 14:04撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/23 14:04
ガレ地を振り返る
急斜面を下る
2018年11月23日 14:15撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 14:15
急斜面を下る
ルーファイをしつつ進む
2018年11月23日 14:31撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/23 14:31
ルーファイをしつつ進む
ようやくタイジョウ
2018年11月23日 14:39撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/23 14:39
ようやくタイジョウ
鞍部にある二重山稜の間の小さな池
2018年11月23日 15:01撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
11/23 15:01
鞍部にある二重山稜の間の小さな池

感想

前日の強い寒波のせいで山によっては霧氷が期待されるところだ。今年は霧氷を楽しむのにどこを窺うか・・・どこの天気予報のサイトでも比良は天気が良くない。台高の高見山か鈴鹿の雨乞岳と考えると、よく見るサイトでは一方が晴れであるのに対し、もう一方は曇り、二つの山域の予報が逆転している。いずれかが晴れなら、もう一方も晴れではなかろうか、と天気予報を都合よく解釈すう。それならば、最後は京都からアプローチの近さで鈴鹿を選ぶことにする。昨年11月のこの時期、日出ヶ岳の山頂で雲が一瞬にして晴れ渡り、次男と共に目にしたのは一面の霧氷の情景であった。しかし、元来、乗り物には強くない次男には大台ヶ原からの長時間のバスはかなり堪えたようだった。

鈴鹿に霧氷が期待される時期になればイブネと前々から決めていた。その心は霧氷よりもむしろ霜で薄化粧を施されたイブネの緑の苔を期待してのことだった。まずは鈴鹿スカイラインが冬季閉鎖になる前に武平峠から周回するコースを考える。極めて人気の高いスタンダード・コースあり、次男と歩くのには程よいコースだろう。しかし、前日にとあるサイトでタイジョウのレコを目にして以来、草川啓三をして鈴鹿の隠れた名峰と云わしめたこの山が突如、気になり始める。当日の早朝、出発間際になって甲津畑からイブネからタイジョウを経て周回するコースに変更する。

次男を連れて行くときは無難な一般登山道に・・・とは思うのだが、父親の登山ルートに対する嗜好性がいつの間にかその制約に優先し、気がついてみると山と高原地図では破線すらないルートを歩く山行が続いてしまっている。京都北山の光砥山南稜尾根、四国剣山系は牛の背、野坂山地の三国岳〜野坂岳。今回は破線がついている分、マシではないだろうか。

京都を早朝に出発すると市内は晴れているが、比良、北山方面は重苦しく雲がかかっている。冬の季節にはよく見る雲のパターンだ。九条坂を越えて山科に入ると朝焼けが東の空を美しい茜色に染めている。「朝焼けが綺麗だから天気は良くならないのかしら」と家内が云う。「常にそうなるとは限らないだろう」・・・あくまでも私は楽観的であるが、家内の予感が正しいのであった。

名神高速を東に走らせていると琵琶湖を挟んで湖西に望む比良山系は厚い雲の上に珍しく山の上の方が顔を覗かせている。比良もすっかり白く冠雪している。今頃、山の上にいることが出来れば絶景を堪能することが出来るだろう。この天気が続けばの話ではあるが。

果たして鈴鹿方面はというと・・・南鈴鹿の山々のあたりは空も晴れているようだ。しかし、丁度、雨乞岳のあたりからだろうか稜線の上の方に雲がかかっている。御池岳のあたりは雲で何も見えない。雲がとれてくれることを願うばかりだ。
甲津畑をぬけて岩ヶ谷林道入り口の登山口に着いたのは8時過ぎ、既に3台の車が駐車している。岩ヶ谷林道を歩き始める。

林道のあたりではまだ紅葉の名残が見られる。かつての千種街道に沿ってつけられたこの林道は随所で苔むした古い石垣が目を楽しませる。コンクリートが吹き付けられた斜面が続くような殺風景の林道とは大違いである。紅葉の名残を眺めながらの林道歩きは苦にならない。

一反ぼうそうのあたりからあたりはすっかりと雪に覆われる。一反ぼうそうは枝を広げた広さが一反ほどあることからそのように呼ばれたとあるが、今はすっかり枯れ果てている。樹の前の説明標には四季折々の姿を見せると書いてあるが、この説明標が立てられた頃はまだ枯れていなかったということか。

杉峠に辿り着くと急に積雪の量が増える。あたりの樹々や草花は期待通り霧氷を纏っている。ススキは萎縮したかのように穂を閉じている。やがて樹林帯が終わり笹原になると、強風に煽られる笹の葉の上には積雪はみられないので、笹の色が目につく。草木が雪に覆われる前のこの時期、雪の中に残る草木のわずかな色が却って雪の白さを意識させる。

次第に笹原の高さが高くなる。振り返ると息子の頭はすっかり笹の下である。それでも嫌気がさすようでもなく健気についてくるようだ。
やがて霧の彼方から人の声が聞こえてくるので、山頂が近づいたことを知る。山頂では4人の方がいらっしゃるので4人組のパーティーかと思ったが、どうも様子が異なる。男性と女性のソロの方、それから親子の3組、我々を含めて計4組が同時に居合わせたことになる。いずれの方々も武平峠から登って来られたらしい。

程なく他の方々が山頂を辞し、それぞれの方向に去っていくと西の方角から聞こえてくる唸り声のような風の音だけが残る。雨乞岳は風衝草原特有とも云える強風を心配していたのだが、幸い風はそれほどでもないようだ。しかし、本日の山行計画はイブネに到着した時間にもよると考えていたので、まずはイブネを目指すことにする。
杉峠までは急坂ではあるが、ここを過ぎるとイブネへは緩やかな尾根道だ。雪の上には当然ながら足跡がついている。タイジョウへの分岐に来ると、タイジョウ方面へは予想通りというか期待通り、ノートレースだ。

イブネに到着すると積雪が覆い尽くしており、やはり苔のカーペットは見る影もない。イブネの山頂標の周りだけわずかに雪がなくなっていたが、複数人のパーティーがリュックを下ろして後ではないかと推測する。

先に行ってお湯を沸かすからといって、山頂には先に到着したのだが、ガスストーブをセットした頃には家族も到着する。幸いなことに風も穏やかだ。この日の昼食は豚の角煮丼とマッシュルーム・スープ、それから餃子である。山頂を辞し出発すると、再び樹林に入ったところで、次男が「帽子のマークが取れちゃった」と情けない顔をする。よくよく見ると風に吹かれて落ちてきた霧氷であった。

ところで上述の私が目にしたタイジョウのレコは「この山名をきいてまず思い浮かべるのは帯状疱疹だろう」とのインパクトのある書き出しから始まっていた。御意ではあるが、「誰がそんなもの思い浮かべますかいな」とのコメントと共についつい、そのくだりを思い出し、つい一人笑いをしてしまう。この山をマイナーな山たらしめているのは、果たして登山ルートの悪さなのか、あるいはアプローチの悪さなのだろうか。確かに山と高原地図における地図をみると、タイジョウから長い尾根を辿り、カクレグラまで行かないと甲津畑への下山ルートがついていない。

タイジョウへ分岐に戻り、踏み跡のついていない雪の上を行く。風の方向によるのだろうか、この尾根に入った途端、雨乞岳からイブネの間ではずっと続いていた見事な霧氷は途端に見られなくなる。

そういえば雪山の山行においては踏み跡のついている雪道を歩く機会はそう多くない。北西方向にほぼ一直線の尾根道であるのと、頻繁にテープも現れるので道迷いの心配はないのだが、父親と異なり様々なことに几帳面かつ慎重な性格の次男は心配で仕方がないのだろう。しきりと「道あってるの?」「テープあるの?」と聞いてくる。幾度「大丈夫だよ」と答えたか、数えきれない。

尾根上には次第にシャクナゲが目立つようになる。ルート・ファインディングを一つ間違えると立ちどころにシャクナゲの藪の中に突っ込むことになりそうだ。地図では読めないが、意外と急峻なアップダウンが連続する。アップダウンの鞍部ではナイフリッジのようなやせ尾根となることも多いが、次男は弱音を上げることなく歩いている。思い切って先頭を歩かせてみると、意外にも雪に覆われた踏み跡を探し出して、上手く辿っているようだ。

やがてタイジョウのピークが近づくとシャクナゲや馬酔木の低木もす少なく、歩きやすい尾根となる。樹々は再びわずかばかりの霧氷を纏う。風が弱いせいだろうか、溶けはじめて半透明になっている霧氷も散見する。さてここからのルートが問題である。林道の終点のあたりまで続く尾根を下ることにする。全く期待はしていなかったのだが、尾根上には頻繁に樹に巻かれた赤テープが現れる。お陰で次男の心配を和らげるには大いに役立ってくれる。

尾根を下り始めると間もなく霙っぽい雪が降り出した。タイジョウからの尾根をひとしきり下って鞍部に至ると二重山稜となり、平行に走る尾根の間には小さな池が出現する。こういう池を見るとついつい近づいては足を泥濘にはめてしまうことが多い。あたりが雪で薄化粧をされた池は周囲の地面の黒さと相俟って、静謐なモノトーンの世界に沈み込んでいくようだ。

なだらかに尾根を立とるとca1000mのあたりで尾根は右手に大きく曲がる。息子が「雲の下に出たね」と気がつく。いつしか雪はやみ、あたりの霧もすっかりとれている。眺望はないのであるが、南の方角からは雲の中で翼竜が叫び声をあげて飛び回っているかのような猛烈な風の音が聞こえてくる。大峠から清水の頭のあたりだろうか。有り難いことにこちらの尾根では風はほとんどないのであった。

やがて尾根は急峻な下りとなる。雪が薄く降り積もった落葉は非常に滑りやすく、全く気を抜けない。小さな鞍部を越えてca850mのピークに達すると、急にあたりの雪は消失する。ここからは尾根が3分岐しているが、林道に着地することを一番左手の尾根を選択すると、尾根上にはテープが続いていた。

下るにつれてあたりは次第に紅葉を残す樹々が増えてくるが、尾根はますます急峻さを増す。樹の幹を掴みながらジグザグに下り、最後は沢のほとりに出る。沢を渡渉すると対岸に明瞭な踏み跡が林道の終点まで続いていた。暗くなる前に林道にたどり着いて一安心である。すぐに避難小屋に出ると、その右手にはテントが二つ、張られている。テン泊にはもってこいの場所だ。

下りの林道は最後のあたりでヘッデンをつけることになったが、30分ほどで登山口に帰り着く。車に乗り込んで甲津畑のあたりに出ると、夜の帳が下りているのだった。名神高速をおりて振り返ると、東の空には銀色に煌々と輝く月が出ている。明日は好天が期待されるから、さぞかし雨乞岳の霧氷は美しいことであろう。

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