滝又の滝~伏見坂~桟敷ヶ岳☆新緑の城丹国境尾根を辿る


- GPS
- 07:21
- 距離
- 18.3km
- 登り
- 1,081m
- 下り
- 1,037m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
城丹国境尾根は送電線巡視路東俣山への尾根の合流地点までは踏み跡は不明瞭、倒木多し 大谷峠から桟敷ヶ岳も倒木集中地帯あり(詳しくは感想参照) |
写真
感想
家内と友人たちが大森キャンプ場でキャンプを予定しているのだが、家内が友人とそのお嬢さんを車に乗せていきたいと云うが、そうなると車のシートが足りなくなる。それならば話は早い。私が歩いてキャンプ場に向かうことにする。勿論、翌日は京都まで歩いて帰ることになる。
まずは城丹国境尾根を辿って桟敷ヶ岳から大森に下るルートを考えるが、以前から歩いてみたかった天童山で大きく方向を南へと転じ、笠峠にむかって伸びてゆく城丹国境尾根である。京都一周トレイルの京北トレイルでこの城丹国境尾根に乗る山行計画とする。
この日の山行はまずは滝又の滝から始まる。京都駅から周山にむかうJRバスに乗り、細野口で下車する。山田谷の沢沿いの林道を歩き始める。すぐに滝又の滝に関する案内板があり、右手の轟谷の登山路へと入ってゆく。渡渉を繰り返すが、小さな木の板が渡してある箇所が多く、道も綺麗に整備されている。
やがて、山中に忽然と石の門が現われる。「凱旋門のようだね」と次男が云う。「滝又の石仏」という案内がある。整備された石畳の上を歩いてゆくと、左手の斜面には岩をくり抜いて作られた横穴に何体もの真新しい石仏が現われる。新たな観光名所でも作ろうとしているのかと思うが、それにしては林道の入口にも何も案内もない。後で調べると、数年前より信心深い地主の方が慈善事業として行っているものらしい。
沢は二股に別れるが、左の沢沿いの道を行くと石仏群がまだまだ続くらしい。次男は石仏にも興味を示してはいたが、滝又の滝を目指して右手の沢沿いの登山道に入ってゆく。右手の斜面の岩肌に大きな穴が空いている。十界因果居士が移り住んだとされている岩窟らしい。次男に行ってみるかと尋ねると首を縦にふるので、登山道から分岐する細い踏み跡を辿り、岩窟に立ち寄る。
岩からポタポタと滴り落ちる水がミステリアスな印象を与える。大きな岩窟の入口では蛇のように岩壁を蛇行して上へと延びる杉の樹が印象的だった。
岩窟を後に先へと進むと再び水が滴り落ちる大きな岩がある。滝又の滝への案内板があり、右手から滝の音が聞こえる。岩を回り込んだ途端に目の前に大きな滝が現れた。折しも滝の周りの新緑に朝陽があたり、緑に美しい濃淡をつける。
私が滝の写真を撮っていると、ふと気がつくといつのまにか次男が滝の左手の岩場に登っている。苔の生えた岩場に足場を選んでよく器用に登ったものだと感心する。家内がいたら制止したことだろう。私が登ると次男も登りたがるだろうからやめておこうかと逡巡していたのだが、次男に続いて登ってみた。
先程の岩に戻り、左手の斜面をジグザグと登る道を辿って滝を高巻く。滝の上に上がると、早くも林道の終点に出る。植林地の中に整備された林道のようだ。林道の脇には杉や檜の幼木の林が広がる。檜の植林の中を進むと林床の新緑に木漏れ陽が美しいコントラストを与えていた。余野の集落に下ると、ところどころでまだ桜が咲いている。田圃にはすでに水が張られ、田植えを待つばかりのようだ。
余野の集落を過ぎると今度は伏見坂を登る。次男が私に尋ねる。「パパ、ここは京都の南?伏見って南にあるところでしょう?」「ここは京都の北西だよ」・・・伏見坂の名前の由来は私も知る由もない。
峠の手前で林道から北に分岐する旧道を辿って峠へと辿り着く。峠から北側に道はないが、歩きやすい広々とした植林なので尾根を辿る。小さなピークに達すると北斜面にシャクナゲの花が数多く咲いている。
ピークを越えて尾根上の踏み跡を辿るとすぐにも尾根の左手から上がってくる別の林道が現れ、尾根上に明瞭な道が現れた。送電線巡視路のようだ。この尾根には送電線が三本越えているので、間違いなく送電線巡視路があるだろうと予想していたが、巡視路は予想以上に良好に整備されており、快適に尾根を進んでゆく。
あたりは小葉の三葉躑躅がふんだんに咲く雑木林となる。快適な巡視路を辿るうちに送電線鉄塔に出る。これから辿る予定の天童山から桟敷ヶ岳への尾根への好展望が広がる。鹿よけのネットが巡視路を横切っているが、ネットを持ち上げてその下を潜る。
最後の送電線鉄塔を過ぎてピークを・・送電線巡視路は左手の斜面を下ってゆく。途端に尾根上の踏み跡はあるかなきかの極めて不明瞭なものとなる。勿論、倒木も少なくない。次男はどうかと心配したが、文句も云わずについてくる。北の方角からは頻繁にライフルの音が聞こえてくる。
東俣山へと続く尾根と合流すると明瞭な登山道が出現する。尾根を西に辿った小さなピークではシャクナゲが多く咲いている。七分咲きといったところだろう。なだらかな尾根を辿ると間もなく東俣山の山頂に到達する。展望はないが、次男が「お腹が空いた」というので、ここで持参してきた弁当を広げる。樹間から南の方に見える建物はかつての射撃場のようだ。北の方角からは相変わらずライフルの音が間断なく聞こえてくる。後で確認すると京北に射撃場があるようだ。
再び城丹国境尾根に戻ると檜の植林地の中を茶呑峠へと下る。峠には祠の中にお地蔵様の立派な石仏が佇んでおられる。
峠からは檜の植林の中の急登となる。右手の谷からは終始、涼しい風が吹き上がって、登りで火照った身体を冷ましてくれる。北向きの尾根から北東に方向を転じると雑木林とななり、新緑が美しい。尾根の上部に達すると小さな岩場があり、270度の大展望が開ける。しばしここで休憩し、展望を愉しむ。天童山は西尾根にあるパラグライダーの基地以外は展望はないと思っていたので、この登山道にこのような展望地があるとは意外であった。
尾根を少し登ってパラグライダー基地からの登山道と合流すると、再び植林の林の中を登って天童山の山頂に辿り着く。天童山の山頂には眺望はないので、足早に通り過ぎる。山頂の東側からは自然林となる。
飯森山にかけては反射板のあるピークを2つ越えて、アップダウンを繰り返すことになる。1つ目のピークからは南側に、二つ目のピークは北側に展望を開けており、ピークへの到達感を味わうことが出来る。飯森山への登りは急登となり、ロープが出現する。肝心の飯盛山の山頂には展望はない。
桟敷ヶ岳から飯森山にかけての城丹国境尾根は3ヶ月ほど前に訪れたところであるが、大谷峠を過ぎると尾根上には数多くの倒木がある。前回の山行の記憶を頼りに尾根の南側をトラバースして進む。尾根上には数多くのハルリンドウを見かける。
伐採地に入ると、北側に大きく眺望が開ける。伐採地を過ぎると尾根は桟敷ヶ岳へのおよそ中間地点で左側に大きく曲がる。尾根が広くなり二重山稜の間を進むようになる。このあたりは道が不明瞭なところではあるが、この城丹国境尾根でも林相が美しいところであり、このあたりでは新緑が美しい。
次男はしきりと桟敷ヶ岳まであとどのくらいかなと私に尋ねる。早くキャンプ場について長女や家内の友人達の子供達と遊びたいのだろう。そのせいか意外と快調なペースでついてくる。
二重山稜を抜けると再び杉の植林地となり、倒木の集中地帯である。ここを抜けるとナベクロ峠の手前の送電線鉄塔広場に辿り着く。久しぶりに愛宕山の眺望を目にする。広場の西側ではまだ満開の馬酔木の花が濃厚な香りを放っている。東側への眺望を期待し祖父谷峠への下りに入ると、彼方に武奈ヶ岳と蓬莱山まで展望する。
ナベクロ峠の下のあたりでは美しい若緑色を見せていた新緑も桟敷ヶ岳のピークが近づくと再び芽吹いたばかりの樹々の緑が薄くなる。桟敷ヶ岳から小さな鞍部を登り返すともう一つの送電線鉄塔広場である。ここも東西に展望が開け、西側には正面に午前中に辿った城丹国境尾根を望む。伏見坂から東俣山を経て天童山、飯森山へと至る尾根に意外と高低差があったことを知る。
鉄塔広場からは岩茸山の北にある反射板までなだらかな尾根が続く。反射板からは薬師坂まで尾根を辿るか大森から上がってくる林道を辿るか迷ったが後者を選ぶ。岩茸山から西に伸びる尾根に入り、林道をショートカットすると急斜面を次男と下っているところで直下の林道を下る二人連れの登山者が目に入った。
急下降の最後でガレ場で足を滑らせ、次男が茨で手を切ったようだ。林道を下まで下ると沢沿いに鹿の頭蓋骨と下顎に次男は驚いたようだった。
キャンプ場の手前では先に下山されたお二人が車の傍らで帰る準備をされておられるところだった。連休中ではあるがこの日、出遭ったのはこのご夫婦のみであった。
大森キャンプ場に辿り着くと静かな山は一転、大盛況であり、子供たちの賑やかな声だ聞こえる。キャンプ場に入ると早速にも娘と家内の友人たちの子供達と出合う。次男は早速にも他の子供達との遊びに夢中になるのだった。私はまずビールと焼き上がったピザに舌鼓をうつ。
夕方、家内の友人達と共にキャンプ場の近くの霧又の滝を訪れる。滝の落口の構造によるのだろう。命名の通り、あたかも霧が降るかのような滝は写真の写りが良いとは云えないのであるが、明るさを落としつつある夕方の新緑の中で写真に収めることのできない幻想的な美しさが印象的だった。
コメント
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yamaneko0922さん、こんばんは。
キャンプ前のウォーミングアップ?にしては結構歩かれましたね!
コース的には余野までが沢沿い中心で、そこからは尾根歩き中心な感じでしょうか。
滝又の滝は立派で、よい雰囲気の滝ですね。お子さんあまりホールドの多くさそうな断崖に登られますが、そこから見る滝はまた違うのでしょうか。
桟敷ヶ岳はいつか登ってみたい山ですが、そこに至るまでの尾根の森の雰囲気(沢だと渓相という言葉がありますが森の場合は漢字2文字でそれを表現できるのでしょうか。。)も私の好きな感じでした。
今回も凝ったコース取りされてますが、地図を見てコース取りをあれこれ考えるのは楽しいですよね。
yukkyさん コメント有難うございます。
余野までは滝又の滝から先はほぼ林道なので、沢の雰囲気はありませんでした。
滝又の滝の2枚目に写真が一枚目で次男が立っていた左手の岩壁からのものです。
桟敷ヶ岳は確かに魅力的なところで、これまでにも何回か足を運んでおりますが、南の薬師坂から岩茸山を経る尾根、西の天童山までの城丹国境尾根とそれぞれ魅力的です。しかし、奥深いところなのでアプローチが難しいですよね。yukkyさんなら大丈夫かと思いますが、縦走するなら京都の雲ヶ畑までバスで行って、帰りは天童山から周山に下るという方法が現実的かもしれません。
ちなみに翌日は長谷を遡行して桟敷ヶ岳に登り、魚谷山、貴船山を越えて京都までの長い道を歩いております。レコの用意に時間を要しておりますが、宜しければご来訪お願い致します。
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