田代山-帝釈山 〜南会津の山旅�供〆Ｆ�も翻弄されている〜
福島県
栃木県
kimichin2
体力度について
- GPS
- 04:31
- 距離
- 5.7km
- 登り
- 762m
- 下り
- 375m
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| 天候 | ひたすら雨 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2019年07月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 タクシー
馬坂登山口発12:30（シャトルタクシー、2,500円）会津高原尾瀬口駅着14:20、発15:18（野岩鉄道〜東武鉄道「リバティ会津140号、4,240円」北千住駅着18:02 ※南会津町のお蔭で驚異的な廉価（通常なら猿倉まで13,000円、馬坂まで25,000円）。早朝の出発など相談に応じてくれる。 みなみやま観光 0120-62-0134 http://www.minamiaizu.co.jp/factory/info_27893.html |
| コース状況／ 危険箇所等 |
とことん泥濘。 各登山口、避難小屋にきれいなトイレ。 |
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感想
午前5時、かなり眠い。昨夜、夕食を挟み10時間眠ったのに、である。窓の外を窺うと雨は降っていない。今日は予報が外れてくれるかもしれない。そして昨日の会津駒からは望めなかった尾瀬の山々を見渡せるかもしれない。微かな期待が大いに高まる。
女将さんに見送られ、駅に向けゆっくり歩き始めた。清々しい風が川面を撫でる。心身ともにようやく目覚めた。午前6時過ぎ、何も無い駅前には誰もいない。
往復で3時間半乗車することとなるシャトルタクシーは、予約した6時半ちょうどに現れた。一人でも片道2,500円で登山口まで運んでくれるお蔭で、公共交通利用による田代山登山が楽しめる。1時間半、どうしようか案じていたが、運転手との会話と今にも腹を摺りそうな悪路によって、退屈することなく過ごすことができた。
道中、予想外の出来事が無かったせいか、30分ほど早く到着した。3台の自家用車が先着していた。よくあの悪路を走って来られるものだ。感心しながら準備を始める。幸い、まだ空はもっている。これはもしかしたら本当に見られるかもしれない。澄み切った空とそれを映す池塘群。湿原を渡る風はどこまでも潔く。
少し甘く考えていた。歩行距離は6キロメートルにも満たない、歩行時間は4時間と少し、訳も無い。けれど歩き始めて30分、昨日同様足が上がらない。疲れはとうに癒えているはず、再び体力に不安を覚え始めた。
泥濘の道を進むとき、木道が現れるとそれだけで嬉しく、つい油断をしてしまうのだろう。1時間が経過し、小さな湿原を目の当たりにし、足を滑らした。気を引き締め、ペースを整え、本来の（最近、本来が何なのか自信が無くなっているが）歩みで進めるようになった。
小さなテーブルマウンテン、別名プリン山の田代山には、爽やかな風が流れていた。かけがえのない静けさを感じながら贅沢な時間を満喫した。何も映さない弘法池を右に見ながら木賊温泉からの道を合わせる。そろそろコーヒーを必要とする時間だった。
湿原の端部には弘法大師堂と称する避難小屋があり、その前には、休憩に適したベンチが整然と並んでいた。その一つに腰かけて、バーナーの火を点した。ゆっくりと淹れたコーヒーは上出来、至福のときを過ごすことができた。未だお迎えの時間まで十分に余裕がある。もう少しこのまま、そう思ったとき雨粒が額に当たった。予報よりも早い訪れかもしれない。帝釈山へ向かうべく荷をまとめた。
歩き始めて急に雨脚が強くなった。本降りになる。急ぎ雨具を取り出しながら、登山口で見た光景が幻影であったことを知った。鞍部は長く、泥濘の道は延々と続いていた。それまでの心地よさはどこへ行ったのか。
不意に大岩が現れる。帝釈山が岩山であることを思い出した。短いはしごまで登場した。もう少し雨が控え目であれば、岩場歩きを楽しめるのだろうが、今は一刻も早く山頂に立ちたい。無心で手足を動かしていた。
トンボの乱舞する山頂からは当然のごとく何も見えなかった。せめて田代山湿原だけでも望みたかったが、それも叶わず早々に出発した。約束の時間は12時半だから、残り30分を1時間で下れば良い。泥濘に悩まされても、どう転んでも（1度も転びたくはないが）間に合う。この愛おしき尾瀬の山歩きを十分に楽しもう。
木階段の途中で年配の女性とすれ違った。歩き慣れた姿が印象的だったが、彼女もシャトルタクシー利用者であることを、こののち知った。そう、この素敵な山には、もっと多くの人が訪れるべきなのだ。交通の不便さが無ければ、決して会津駒に負けない魅力があるのだから。
登山口到着の頃にも雨は止まず、休憩スペース併設のトイレは何物にも代えがたい有難い存在だった。服を着替え、出来る限り泥を落とす。彼は、時間どおり現れた。
「湿原は清々しかったでしょう。静かな場所ですよね」ハンドルを握りながら楽しそうに話す姿を見て、雨中、神経を研ぎ澄ましながら歩いた疲れが消えていった。往路より一層饒舌であり、運転は慎重だった。
やがて桧枝岐村中心部に到着する手前、「温泉に浸かって行きますか。特急に間に合うように走りますよ」意外な言葉に頷きそうになったが、昨日見送ったまいたけラーメンも魅力的だった。駒ヶ岳登山口を通過し、更に観光タクシーぶりを発揮する彼のお蔭で、南会津町の良さを十分に知った。2時間は短く、会津高原尾瀬口駅にはすぐにでも着きそうだった。
いつの間にか雨は上がっている。今日も気まぐれな天気に翻弄されたが、晴天に得られないものにも多く出会った。そう、その時々に応じて山歩きは楽しむことができる、改めてそう思わずにいられなかった。
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