石鎚山☆夜明けの東綾より

- GPS
- 04:50
- 距離
- 10.6km
- 登り
- 1,226m
- 下り
- 1,195m
コースタイム
- 山行
- 0:40
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:40
- 山行
- 3:25
- 休憩
- 0:43
- 合計
- 4:08
| 天候 | 曇り |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2019年12月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
石鎚山東稜は踏み跡はあるがテープ類などの目印はほとんどなし 南尖峰の山頂直下の岩場が核心部と思われる 随所に凍結あり、今回はアイゼンは使用しなかったが今後はかなりの危険が予想される |
写真
感想
瓶ヶ森を周回した後、ロープウェイで成就に上がる。あと数分早ければもう一本早いロープウェイに乗ることが出来たかと悔やまれるところではあるが、元来、最終の17時の便の一本前に乗ることが出来れば御の字だと思っていたので、それ以上を望むのは高望みというものだろう。
ロープウェイの駅のすぐ上では東側の展望が大きく開け、瓶ヶ森を正面に大きく望むことが出来るが、肝心の夕焼け空を眺望する箇所がない。展望が得られぬうちに成就の神社にたどり着いてしまう。投宿した白石旅館は煌々とあかりはついているが、御免くださいと大声を出しても誰も出てこない。
神社の左手の樹林の彼方では西の空が真っ赤に燃え上がっているようだ。薄暗くなりつつある樹林の遊歩道を辿って展望台を訪れることにする。展望台にたどり着いた時には夕焼けは既に消えつつあったが、まだ西の空には夕映えの茜色が残っていた。
瀬戸内海に面した街に明かりが徐々にともり始める。すぐ近くの大きな街は伊予西条だろう。もう少し時間が経過したら夜景が綺麗そうではあるが、旅館の方が心配するかもしれないので旅館に向かうことにする。
旅館の中に入ると今度はご主人と思しき中年の男性が出てこられた。広く客室の多い旅館に泊まるのは今夜は私一人らしい。ご主人と他には人の気配は一切ない。風呂に入るうちに大広間とでもいうべき食堂に夕食の支度がされていた。食事はご主人が一人で用意したのだろうかと訝しく思うほどに皿数が多く、豪勢なものであった。
食事を終えると早々に就寝する。夜中にふと目が醒めるとかなり風の音が強い。明け方、旅館を発ったのは4時40分。確かに頭上を通過する風の音は強いが寒さは感じられない。林の中はそれほど風も強くないようだ。
空では煌々と満月が輝きを放っている。月明かりが十分に明るいので、ヘッデンのライトを消して歩くことが出来る。時折、雲が月にかかるとさすがにライトの明かりが必要となる。
暗くても樹林の中には山毛欅の大樹が堂々とした枝を広げていることがわかる。土小屋や青滝山のあたりでも山毛欅の大樹が目についたが、この石鎚の表参道もそれなりの山毛欅の樹林が広がっているようだ。
試しの鎖に差し掛かる。上を見上げると不気味な暗闇の中に鎖が続いている。当初は鎖場はパスして迂回路を進むつもりではあったが、斜面には足場が多く、またここまでのコースタイムは順調に思われたので、冷たい鎖に手をかける。
鎖場の上からは夜空に石鎚山のシルエットが明瞭に浮かび上がっている。有難いことに山頂部には雲はかかってはいないようだ。試しの鎖は反対側に下らなければならない。鎖になれない人にとっては下りの方がむしろ問題であろうが、こちらも足場はそれなりにある。
尾根はかなり上部に来たと思われるが、霧氷は全く見られrない。風は相変わらず生暖かい。この暖かい南風では霧氷を期待するのは無理か。
すぐにも一の鎖に差し掛かる。この一の鎖は短く、試しの鎖とは違い、鎖場の上が見えている。傾斜も緩い部類と思われる。一の鎖を通過すると笹原の緩やかな尾根が連続する。
月が出ていれば笹原の尾根は気持ちの良いところだが、月はいつしか雲の影に隠れてしまったようだ。
土小屋方面への分岐に到着したのは6時。この分岐の時点で6時を大きく超過していたら石鎚の往復のみにしようと考えていたが、この時間であればと躊躇なく土小屋方面へと向かう北斜面のトラバース道へと入る。石鎚山の天狗岳に東綾からアプローチするためだ。
この土小屋へのトラバース道は一ヶ月前、石鎚山系を縦走した際に歩いたばかりではあるが、こんなに下ったっけ?と思うほど道は下降している。前回は土小屋を目指していたので、下降が好都合に思われたので気にならなかったのだろう。今回は下降したらその分、登り返さねばならないので気になるのは当然である。
東綾分岐からはいよいよ笹原の中も踏み跡を辿って急峻な尾根に取り付く。ここまではそれないのハイペースで歩いてきたが、ここからは微かな踏み跡を見極めながら一足一足、慎重に運ぶ。時間は6時半頃であるが、足元は薄暗く、ヘッデンのライトを落とすことが出来ない。晴れていれば空はかなり明るい時間の筈であるが、空にはどんよりと曇天が広がり、東の空の一角で雲の切れ目がわずかに明るくかがやいているばかりである。
遠目に見るとかなりゴツゴツした稜線に見えるので、岩場が多いことを想定していたが、踏み跡は上手く岩を避けてつけられているようである。むしろ笹原の藪漕ぎ続く。当然ながらかなりの急登である。笹原の足元は雪が積もっており、ローカットのトレッキング・シューズはしばしば足首まで雪に埋もれる。
雪、凍結、そして鎖のつけられていない岩場という様々な難条件があるので困難を感じたら引き返すつもりでいた。確かに凍結も何ヶ所か現れたが、慎重に露岩を選んで進むうちに気がついたら南尖峰がすぐ目の前にそびえ立つ。しかし、果たしてどこからどうやってこの鋭鋒に登れるのだろうかと思うほどに、剣呑?
岩綾の尾根を直登するらしい。しかし、踏み跡は上手くつけられていると感心せざるを得ない。山頂直下の岩場が核心部だと思われる。岩の上につけられた靴による傷跡を足場に選んで岩場をクリアーするとまもなく南尖峰の山頂に辿りつく。
この山頂部からご来光を期待していたのだが、ご来光を拝むにはほぼ完璧な時間に辿りつくことが出来た筈である。しかしご来光どころか、山頂にたどり着いた途端に南側の斜面からは襲いかかるかのように稜線にガスがかかり始める。
すぐ先には天狗岳の山頂に石の祠が見えるが、それもガスの切れ目に幻影のように浮かび上がるばかりだ。南尖峰から天狗岳は難所はほとんどなくすぐ到達する。ここまでは前回たどり着いているので道の記憶も新しい。ようやく安心して歩くことが出来る。それまでの東綾とはうって変わってガスの中はかなりの強風となる。わずかの間ではあったが、たちどころに耳が凍える。
弥山にたどり着くと、幾度振り返ってみても天狗岳はガスの中でああった。弥山から北斜面の階段を降り始めると途端に風の影に入ったのだろう。強風から逃れることが出来る。再び土小屋への分岐に辿り着き稜線を見上げると山頂部のガスが下ってくるところであった。
下山は先ほどまでは夜の帳の中であった光景を楽しみながら快速に下る。試しの鎖の手前あたりで西ノ川から登って来られた男性と出会う。「山の上はガスですか?」と聞かれたので「ガスに加えてかなりの強風で、耳がすっかり凍えました」と答える。「確かに耳が真っ赤ですね」と教えて下さる。
成就まではそれなりの距離があるように思われたが、樹林の林相を楽しむうちに山頂から旅館まで1時間足らずで到着する。宿のご主人は朝食と暖かい味噌汁を用意して待っていてくれた。旅館でゆっくり朝食をいただくと9時のロープウェイに間に合うように成就駅へと向かう。8時40分の始発のロープウェイで上がって来られた多くの登山客とすれ違う。
ロープウェイの駅の上の展望地から瓶ヶ森を望むと、その山頂部にも雲がかかり始めているのだった。ロープウェイで下谷駅に降りて、バス停に向かうとまもなく伊予西条行きのバスが到着する。バスが下るにつれて空には青空が広がるようになる。しかし、黒瀬ダムの湖岸から石鎚を振り返るとすっかり雲の中に隠れている。
伊予西条からはその名も特急いしづち号で、いよいよ出張先の松山へと向かう。松山市内はとても暖かく、出張先では皆一様に、「12月の半ばというのにこんなに暖かくていいのでしょうか」という会話が随所で聞かれるのだった。
山猫








翌日の15日なら霧氷が見えたかも知れないのに残念でしたね。
この日、日中は良い天気でしたが、早朝は石鎚山方面も曇って寒かったです。
紅葉時期の東陵は素敵ですよ。
墓場尾根の紅葉も素敵です、機会があればぜひ来てください。
そうそう、出張の合間を縫っての山登り、いいですね。と言いながら私には山登りの合間を縫っての仕事にしか思えません。(笑) m(__)m
一日違いで山の景色が変わることはよくありますが、十二月だというのにこんなに温かい日が続いていていいものかと思ってしまいます。この気候だったら石鎚スカイラインを通行止めにしなくてもよいのでは・・・と思われる方も少なくないのではないでしょうか。
紅葉の時期・・・弥山からの天狗岳の写真をよく目にしますが、確かに東稜は良さそうですね。それにしても墓石といい、墓場尾根といいホラーなネーミングをしたものですね。南尖峰に辿り着いたときは墓石のあたりから急速に白いガスが立ち上ってきて、それはそれは不気味でした。
確かに山登りの合間を縫っての仕事・・・に思われても仕方がないかもしれませんが、taskは果たしておりますゆえ
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