万野〜茶野☆カレンフェルトの展望台へ


- GPS
- 05:06
- 距離
- 8.8km
- 登り
- 850m
- 下り
- 843m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
万野には尾根上にはテープはあるものの登山道はなし 万野〜大見晴は踏み跡もテープ類もなし 大見晴〜ミノガ峠は植林の中の作業道を歩く ミノガ峠〜桜峠への尾根は林道と尾根上に踏み跡あり |
写真
感想
鈴鹿北部には変わった山名が多いが、犬上川北谷の支谷、滝洞谷の左岸に万野、大見晴、右岸には茶野と記された点標は否が応でも目を惹く山域の一つだ。厳冬期にここを訪れた友人の情報で茶野が知られざる魅力的な山であることを知り、以前から訪れたいと思っていたところだ。万野からミノガ峠を経て茶野へと尾根を縦走すると、長距離が苦手な家内でも歩けるような程よい行程の周回ルートになりそうだ。
子供達を送り出してから家を出たのは9時と大きく出遅れることになったが、湖東三山ICで降りると大君ヶ畑には10時半前に到着することが出来る。川を渡ったところにある妙玄寺の前に広地があり、駐車させていただく。寺の奥にも道沿いには民家が並んでいるが、いずれも人が住んでいる気配は感じられない。集落の奥の林道を植林地の中へと入っていすぐ左手に明瞭な尾根筋が見える。
尾根を登り始めるとすぐにも植林を抜けて自然林となるが、かなりの急傾斜である。尾根上には所々に大きな岩が目につくが、いずれも石灰岩である。尾根の上部にたどり着くとそれまでの急登が嘘のようにカレンフェルトのなだらかな尾根となり、樹林のない尾根からは一気に好展望が広がる。背後には霊仙山、すぐ左手には滝洞谷を挟んで樹木のないカレンフェルトの山頂部を戴く茶野を大きく仰ぎ、午後に訪れるその山頂からの光景への期待が膨らむ。
尾根の先にはca760mのピークに至ると広い山頂台地が広がっている。万野も大見晴も地図を見るとすぐにわかるように台地状の山のピークの一角である。霊仙山、御池岳、藤原岳と同様、カルスト地形の山に思われる。惜しむらくはこの山頂台地の大部分は杉の植林地で覆われてしまっていることだ。
山頂台地は北側斜面のみは自然林が残されている。緩やかなコブを越えて西端の万野に至ると、山頂の一角のみは自然林が取り残されている。琵琶湖の方向には展望が開けており、正面には高室山の展望が広がる。すぐ下には送電線鉄塔があるので、そこまで下るとさらに好展望が広がるのであろうが、大見晴へと向かうことにする。
植林地の中は間伐された杉の樹が無造作に散らばっており、なんとも歩きにくい。林床を覆う羊歯の間につけられた鹿のものと思われる踏み跡を辿って大見晴から西に伸びる緩やかな尾根に乗ると尾根より南側の一体だけ帯状に自然林が広がっており、薄暗い植林から解放される。
カレンフェルトが随所に見られる尾根を辿りピークを目指すと、墓石を積み上げたようなカレンフェルトの集簇が目に入る。大見晴は名前とは裏腹に周囲は樹林に囲まれており、落葉した自然林を介して東側に茶野のピークを望むばかりである。かつては見晴らしが良かった時代があったのかもしれない。
大見晴の南斜面はかなりの急下降であるが、幸いにも距離は短く、すぐに鞍部にたどり着く。ミノガ峠にかけては、広い植林地の尾根の中には蛇行しながら明瞭な作業道が続いている。尾根がなだらなせいもあり、すぐにもミノガ峠にたどり着いてしまったように思われる。
ミノガ峠からは尾根上には道幅の広い林道が蛇行しながら続いているが、植林地の尾根芯にも踏み跡が続いている。茶野には南斜面をトラバースして桜峠に到達し後、尾根伝いにピークに至るようだが、鬱蒼とした植林地のトラバース道を辿るより急峻ではあるが自然林の南斜面を直登することを選択することにする。
急登を登り終えて尾根に出ると樹木のほとんどないピークに飛び出す。三角点のある938m峰だ。たおやかな吊尾根の先にはカレンフェルトの広々としたもう一つのピークが見える。あたり一面に苔か広がる広い尾根を歩いて茶野の山頂にたどり着く。
樹木のない山頂からは360度の展望が約束される。南には御在所岳、雨乞岳、綿向山といった鈴鹿中部の山々、北側には霊仙山の右に伊吹山、左に鍋尻山に高室山を望む。この日は高曇りではあるが、視線を左に移すと比良の山々までよく見える。奥美濃のあたりで山頂部が白く冠雪しているのは能郷白山だろうか。
ここは何とも贅沢なピークだ。一面の緑の苔にカレンフェルト、好展望、そして静寂。この日の乳液を溶かしたようなどこまでも続く高曇りの空と生温かい湿り気を帯びて霞んだ空気は非現実感を漂わせるカレンフェルトの無機質の岩と苔のモスグリーンによく似合うような気がした。
そういえば以前、鞍掛橋から鈴ヶ岳の北斜面を攀じ登った時は間断なくR306の工事の音が御池谷に響き渡っていたのだった。工事は終了した筈だが、今日は音を空気の中に閉じ込めてしまったかのようにやけに静かだ。冬季通行止のせいだろうか。
茶野からは吊尾根を戻ると、p938から自然林の尾根を北西に下る。踏み跡は不明瞭だが頻繁にテープが現れる。なだらかな尾根をp729の送電線鉄塔まで下ると送電線巡視路の踏み跡が現れ、北東側の尾根を下るようになる。送電線巡視路は尾根の途中から右手の植林地の斜面の中をトラバースするようになる。植林地の中に入りかけたが、尾根筋に戻り自然林の急斜面を下ることにする。
尾根の下部はメタセコイアの植林地となり、林床はメタセコイアの落葉によるフカフカの絨毯となる。最後は再び右手から現れた送電線巡視路に合流し、杉の植林地の中を下って大君ヶ畑の集落に到着する。駐車地に戻り車に乗り込むと我々の出発を待っていたかのように、すぐにも本降りの雨が降り出すのであった。
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