釈迦岳〜朝の湿原と正面谷の滝を巡る

- GPS
- 03:13
- 距離
- 10.1km
- 登り
- 924m
- 下り
- 932m
コースタイム
- 山行
- 2:46
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 3:13
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
良好に整備された一般登山道 |
写真
感想
連日、猛暑が続く。この日も早朝の登山を試みる。家内が次男を連れて友人達と海水浴に行くので、家内が出発する8時半には自宅に戻るというtime limitが設けられることになる。天気予報は晴れであり、ご来光が期待できそうだ。早朝のご来光登山は権現山から蓬莱山の稜線を歩くことが多いのだが、趣向を変えて違う山に登ってみようと考える。
直前まで武奈ヶ岳と迷うが、釈迦岳に登ることにする。釈迦岳は八雲ヶ原の池や湿原を巡るという楽しみがあるが、何よりも最近、HB1214さんが日記で紹介された正面谷の金糞滝、カクレ滝をいずれもこれまで素通りして見たことがなかったので、これらの滝を来訪するというプランが釈迦岳に足を向かわせた。
イン谷口から比良リフトの山麓駅の跡地の駐車場に車を停めると、一台の車が停められている。車の主はおそらく八雲ヶ原でテン泊されておられるのではなんだろうか。
登り始めると神璽谷にはさすがに涼気が満ちている。登山道には水が流れ、沢のような状態となっているので、慎重に足場を選びながら進む。登山道はすぐにも谷を離れ右岸の斜面をトラバースしてゆくのだが、登山道が目に入らず沢を進みそうになる。すぐに気がついて登山道を探りあてることが出来たが、ここは夜間の登山では気をつけるべきポイントであろう。
予想していたところではあるが、登山道が沢離れて谷の右岸を進むようになると途端に蒸し暑い空気が押し寄せてくる。ロープウェイの釈迦岳駅の跡地までは樹林の中の登りが続く。
ロープウェイの跡地に辿り着くと初めて展望が得られる。東の空の一端が赤橙色に染まっている。手前の琵琶湖の上には広く雲がかかり、雲海となっている。このあたりからようやく空気に涼しさを感じることが出来るようになってきた。
ロープウェイ駅の跡地を過ぎると林間からロープウェイの駅がある打見山の展望が広がる。蓬莱山の琵琶湖側の東麓にはやはり雲がかかり、標高が高い山のような錯覚を覚える。
山頂が近づくにつれ、空が急速に明るくなってゆく。東の方角に展望が広がる箇所がないのが残念だ。展望が広がったとしてもこの時期の太陽が昇る方角はワンゲル道が通る南東尾根に遮られて見えないようだ。
道満岳の方向には展望が広がる箇所があるが、いつの間に雲が湧いたのだろか、これらの山々がすっかり雲に呑み込まれているようだ。
気がつくと空には朝焼けが大きく広がる。山頂に到着する前にわずかな間に一瞬にして雲の輝きは消えてゆくl。釈迦岳の山頂にたどり着いたのはご来光の直前であった。まもなく東の空から太陽を顔を出す。
ここで思わぬ問題が生じる。立ち止まって写真を撮っていると、途端にブヨと思われる多数の虫が寄ってくるのだ。すぐに両脚の下腿に鋭い痛みを感じる。トレラン用のタイツの上に止まっているのは見るとブヨではなくアブであった。ブヨは刺された瞬間に痛みを感じることはないが、アブは鋭い痛みがある。ブヨも刺された箇所は腫れ上がるが、アブの方がさらに酷いことになる。
早々にご来光の写真は諦めてカラ岳に向かう。武奈ヶ岳や釣瓶岳もやはり山頂部は雲の中のようだ。もしも武奈ヶ岳に登っていたら残念な思いをするところだっただろう。いや、この日の朝は釈迦岳のあたりのみが雲を免れているだけのように思われるが、ここに雲が来るのも時間の問題かもしれない。
かつての比良ロッジ跡地からはスキー場の後を下って八雲ヶ原に向かう。まだ朝陽が差し込まない朝の八雲池は独特の静謐な空気に包まれている。池の畔にはテントが三つほど張られている。果たして虫は大丈夫だったのだろうか気になるところだ。
山と高原地図では一つしか池は記されていないが、湿原に向かう道に入ると八雲池のすぐ近くにそれなりに大きな池に出る。こちらの池の水は茶褐色に濁っている。
湿原の木道は来る度に痛みがひどくなってゆくように思う。私の知る他の湿原よりも板が薄く、いつ割れてもおかしくないような状態だ。一箇所は途中で板が完全に落ちており、通過が困難な箇所がある。崩れた木の板の上を慎重に通過するが、バランスを崩しかけて、危うく湿原の泥濘の中に足を突っ込むところであった。
湿原の南側では踏み跡はほぼ完全に消失している。この道は廃道に近いのかもしれないが、この美しい湿原の中を通過する道が荒廃するのは残念なことだ。
八雲ヶ原から流れ出す奥の深谷の源流に沿って谷を下る。谷沿いにはところどころに小ぶりではあるが芦生杉が現れ、樹林の中にちょっとしたアクセントを添えている。
金糞峠は最近、ここを訪れたことがあったと思い、記憶を辿ると新緑の季節に古道葛川越道を辿り比良岳から周回してきたことを思い出す。峠の直下の急下降を過ぎると谷は急に傾斜が緩くなる。深い谷に朝陽が差し込むと木洩れ陽が疎らに生える苔を明るく輝かせる。
青ガレを過ぎて登山道が堰堤の下に下降していくところで堰堤の上に向かう明瞭な踏み跡があることに気がつく。しかし、この金糞滝を訪れようという明確な意思を持った者でない限り、気まぐれにこの踏み跡を辿ろうとは思わないことだろう。
堰堤の上に出るとすぐ谷の左岸から流れ落ちる滝が目に入る。灰緑色と茶褐色のツートーンの岩肌が印象的な滝だ。ふと前腕の長袖のシャツから出ている手首のところに鋭い痛みを感じる。再び虻が手首に止まっているのを目にする。
正面谷を下降すると続々と登ってくる登山者の方達とすれ違う。平日であるにも関わらずこんなに登山者が多いものかと思ったが、よくよく考えたらお盆休みの初日である。
山道に復帰すると谷の右岸の明瞭な登山道を辿る。次に訪れるカクレ滝は左岸からのウエ谷との合流点が目印だ。確かに注意深く左岸から合流する谷に気をつけていないと見過ごしてしまいそうであるが、谷の合流点にはウエ谷に入って行く踏み跡がある。沢を渡渉し、ウエ谷に入るとすぐに滝音が聞こえる。
谷を辿るとすぐにも左手に落差のある滝が目に入る。HB1214さんnの記事によると倒木が滝に凭れかかり、見栄えが悪いというが、確かにその通り杉の倒木が滝に凭れ掛かっている。まるで喉に刺さった魚骨のようである。大人が二、三人がかりで頑張れば倒木を取り除くことが出来そうではあるが。
時間を勘違いしたせいであるのだが、予定の時間に帰ることが出来ないのではないかという焦りが生じる。谷を下降するにつれ急速に温度が上昇するのを感じる。それは、かなり駆け足気味に下っているせいかもしれない。
イン谷口から車を停めた比良リフトの山麓駅に上がると不思議と谷の上流から涼しい風が吹いているのを感じる。正面谷と異なりこちらは登山者はほとんどいないようだ。駐車場にはつい今しがた追い抜かれたばかりの車だ一台増えているばかりであった。駐車場に戻り着いたのは7時20分。この時間なら京都の家には8時前後には帰りつけるだろう。
京都への帰路につき、湖西道路から山の上を見上げると釈迦岳を始め蓬莱山に至るまで山の上の方は悉く雲がかかっているのだった。しかし、登山者にとってはその方が涼しくいいのではないだろうか。
虻に噛まれた場所はこの感想(山行記)を書いている月曜日になってようやく治まったが、南アルプスの仙丈ヶ岳を登っている二日間、噛まれた場所を中心に半径5cmほどが発赤し、丸太のように腫れ上がることになるのだった。
山猫
















こんばんは。
奇しくも2日後に同様なルートを歩いているのですが釈迦岳には寄りませんでした。
早朝の釈迦岳山腹から見られた雲海と朝焼けが見事ですね。美しいです。
眺望が良くない山頂付近のどの隙間からご覧になられたのだろうと感じた御来光は、この季節、東と言ってもかなり北側の方向からでは無かったでしょうか?というのも翌日比良にテント泊で訪れられたkoumamaファミリーのレコによると、北比良峠で迎えられた日の出が釈迦岳の肩付近から昇っている様子だったからです。
さて八雲ヶ原の池ですが、スキー場を下ったところにある皆さんがよく休憩をされる方の池は八雲ヒュッテが閉鎖された後に人工的に作られた池だと聞いています。
そしてもうひとつの茶褐色の池の方が本来の八雲の池だとか。
30年以上前の学生時代に幾度かテント泊で過ごしたはずの八雲ヶ原なのですが、残念ながらヒュッテも池も想い出の中には存在せず、思い出すのは朝早く起きて朝食の用意をするべくフォエブスに圧をかけるピストン運動をしてる光景ばかりです。
湿原の中の傷みが激しい「平均台」のそばに、白い鷺が舞っていたのにはお気づきだったでしょうか?ここ数年はしょっちゅう比良に訪れているにもかかわらず、八雲の湿原にサ ギ ソ ウが咲くのは去年はじめて知りました。
一昨日この花に一年ぶりに出逢えて喜んだのですが、木の歩道が修復されずに湿原内に人が訪れ難くなってゆく方がいいのかも知れないな、と余計なお節介的な発想をしておりました。
うりさん コメント有難うございます。
確かにこの時期に陽が昇るのは東北東の方向ですね。釈迦岳の山頂でご来光を拝むことが出来るとは思っておらず、山頂手前の尾根からどこかで展望が開けるところがあるだろう・・・と期待していたのですが、実際には全くでした。山頂からはヤケ岳の登山道の方向の樹間から程よく御来光を拝むことが出来たのですが、偶々だと思います。
八雲ヶ原の池、茶褐色の池の方が大きいのでこちらに名前がついていてもおかしくないのに・・・などと以前より不思議に思っておりましたが、なるほど、そういう訳だったのですね。教えて下さり有難うございます。
>フォエブス・・・
その名称を目にするのは実に30年ぶりに思われます。当時、友人と上信越の山に出かけていったのですが、フォエブスにピストンで圧をかけるのそれを所有していた私の友人の役割でした。あの油の匂いを思い出します。
>白い鷺
よくよく見ると私の木道の写真のそばに確かに小さな白い鷺がいくつも写っていますね。今にも割れそうな木道を慎重に歩くことに気をとられて、白い鷺が目に入らなかったというのは完全なる不覚でした(~_~;)
yamaneko0922さん おはようございます。
夜明けで刻々と移り変わる空の描写に引き込まれます。
明るさの変化に、わくわくしたり、静寂を感じたり、心とは不思議なものです。
比良の思い出は、虫なんです。
服の上からでもかみついてくるやつらです。
今年は、「森林香」赤くて、太い線香を用意しました。
やぶ蚊は、近寄ってこれません。
けれど、煙に巻かれた自分がなんか調子悪いなぁって。
虫からの「倍返し」。
まだ、奴らのいるところで試していないので、奴らが近づけなければ、よしとします。
churaさん コメント有難うございます。
アブは普通の服であれば大丈夫の筈なのですが、タイツの上からだと噛まれしまうようですん。アブはハッカ系の香りを嫌うらしいので、普通の防虫スプレーを振りかけておけば大丈夫だったのでしょうが、前回、白滝山の音羽池で虫の多さに辟易したにも関わらず、この日は油断しておりました。蚊取り線香を携帯するのも一法ですね。しかし、山の中では問題は蚊よりもアブやブヨのようにも思います。効果があれば是非、教えてください。
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