観音峰〜稲村ヶ岳〜山上ヶ岳☆悪天の中を初秋の大峰へ


- GPS
- 05:57
- 距離
- 21.8km
- 登り
- 1,666m
- 下り
- 1,601m
コースタイム
- 山行
- 5:30
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 5:54
天候 | 曇り時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
極めて良好に整備された登山道 危険箇所なし |
写真
感想
この日は当初、六甲の縦走か比良を岳山から権現山まで縦走することを考えて久しぶりにトレラン・シューズを履く。しかし、始発の地下鉄の車内に乗り込んだ瞬間、マスクを忘れたことに気がつく。この時間では京都駅のコンビニも空いていない。マスクがないままに神戸方面に向かうのは躊躇われる。湖西線なら乗る人も少ないだろうから山行先を比良にしようと考える。地下鉄がしばらく走ったところで今度はカメラも忘れていることに気がつく。一瞬、迷ったが次の駅で降りて家に戻ることにした。
再び地下鉄の駅から地上に出ると、朝日を浴びて雲が金色に輝いていところだった。市内はすっかり晴れているようだが、北山のあたりはどんよりと低く雲が垂れ込めている。雨雲レーダーで確認すると京都から滋賀の北部にかけては雨が降っている。六甲のあたりは降雨はないだろうが、このまま神戸に向かっても出発が遅くなる。再び乗り込んだ地下鉄が丁度、下市口から洞川温泉に向かうバスに乗り継ぐための近鉄特急に間に合うものであったことを思い出す。行き先を大峰の稲村ヶ岳と山上ヶ岳に変更して、コンパクトな山行を考える。
家内と長男を伴って洞川温泉から稲村ヶ岳と観音峰を周回したのは三年前のことだった(ヤマレコに記録を残す以前)。八月の末であったが気温の日較差が大きく、早朝の洞川温泉はかなり肌寒かった覚えがある。今回はバスを観音峰登山口で降りて、稲村ヶ岳と山上ヶ岳を巡ることにする。勿論、下山後に洞川温泉で入浴するためだ。
近鉄が奈良盆地を南下するとどうも雲が低いようだ。大峰の山々の上にはしっかりと雲がかかり、東側の金剛山の上にも雲がかかっているようだ。
下市口から洞川温泉行きのバスに乗り込むと意外にもバスにはハイキング・スタイルの若い女性が多い。登山スタイルの単独行の男性以外は登山に行くようには思えない。みたらい渓谷のハイキングに行かれるのだろう。最近のハイカーは性の割合の方がはるかに高いのだろう。
多くの客が天川川合で降車する。観音峰登山口の駐車場にも多くのj車が停められ、数組の登山者が出発の準備をされておられるところであった。やはりここでも女性の姿が目立つ。
観音平からは自然林の中に入ってゆく。踏み跡を辿って行くと観音の岩屋と呼ばれる場所に出るがここで行き止まりのようだ。大きな岩の下を左手にトラバースするとすぐにも明瞭な登山道が目に入る。
展望台に到着すると、ここから上はすっかり雲の中だ。上から早速にも二人組のトレラン・スタイルの若者が立て続けに二組、下ってくる。早いですねと声をかけると周回のつもりが雨がひどくて撤退ですとのこと。山の上は雨を覚悟しなけれならないようだ。
尾根を登り始めるとすぐにも霧の中へと入って行く。下生えのない自然林は樹々の間隔が疎らで、林相が美しい。先を行く四人のご婦人のパーティーに追いつく。観音峰に近づくと広々とした尾根道となり、尾根の北側からは植林が登ってくるが、南側は自然林が続く。
観音峰を通り過ぎると南側の斜面には立派な山毛欅の樹が多く目立つようになり、林相が美しい。三ツ塚への登りに差し掛かると植林の尾根のなる。三ツ塚のピークは山名標も何もない植林の殺風景なところではあるが、山頂の南側に一本の山毛欅の大樹がそびえている。
尾根を東に辿ると白いトリカブトの群落が現れる。やがて尾根は丈の低い笹が繁茂するやせ尾根となる。小さなアップダウンを繰り返し、法力峠に下る。
山上辻にかけて、長いトラバース道が続く。道が緩やかなのはいいが、いくつもの小さな谷を通り過ぎるたびにデジャヴュのように同じような光景が繰り返される。
全く人に出遭わないので、果たして登っているのだろうと思っていたが、稲村小屋にたどり着くとベンチで数組のパーティーがランチを調理されているところであった。ふと秋刀魚の匂いがするので、まさかと思って匂いの方向に視線を向けるとフライパンの上で焼かれているのは秋刀魚に見えた。
小屋の入口の手前のスペースにリュックをデポして稲村ヶ岳を往復する。丈の低い笹が疎らな自然林の中に広がり
やがて大日岳の急峻な北側斜面をトラバースするようになる。上からは続々と人が下ってくる。大日岳と稲村ヶ岳のキレットに到達すると稲村ヶ岳から大人数のパーティーが降りてきたところだった。どうやらパーティーは大日岳へ向かうようだ。「私はもうええわ」と一人のご婦人の声が聞こえる。
稲村ヶ岳に向かうと山頂の南側で再び笹原が広がる樹林となる。数人の若者のパーティーが山頂への最後の登りを登っていこうとしているところだった。一足先に山頂の展望台に到着する。当然ながら全く眺望はない。一瞬、ガスが切れて南の尾根が姿を見せたくらいだ。到着した若者が「こんなに何も見えないのは珍しいんとちゃう?」と仲間にいっているが、私は内心ではそれには賛成しかねたが、敢えて口にするのは辞めておいた。若者達の山頂での記念写真を撮って差し上げると早々に山頂を辞す。
先ほどの大日岳のキレットに戻ると、ご婦人が一人ポツネンと佇んでいる。パーティーの他の方達は大日岳からまだ戻ってこられないようだ。
晴れていると岩壁の間からの景色が迫力あるところであるが、この日は真っ白な光景が広がっているばかりだ。「ここには昔はオオヤマレンゲが咲いとったんやけどな、それは大分昔の話やで」とご婦人が仰る。果たしてどれくらい前のことかわからないが、オオヤマレンゲだけでなく、ご婦人も相当な美人だったんだろうななどと考える。
ご婦人にお別れして、再び山上辻に向かって笹原が繁茂する樹林の中を下ると大粒の雨が降り出した。稲村小屋に辿り着くと小屋の外のベンチでランチを楽しんでおられた方々も急いで荷物をたたもうとしておられる。
山上ヶ岳へと向かう道に入ると雨は少し小降りになってくれる。トレラン・シューズは速乾性はあるものの雨には非常に弱い。このような天気であればトレラン・シューズでなく完全防水のトレッキング・シューズの方が良かったかと後悔するが、すぐにその後悔が全く意味がないことを知る。というのも雨に濡れた笹によって靴下がびしょ濡れになり、靴下から靴の中に大量の水分が入りこむことになったからである。
レンゲ辻にかけて斜面の北側のトラバースが続く。女人結界門を潜って山上ヶ岳への登り返しになると鉄梯子が連続して急登となる。ひとしきり急登が終わると樹々も疎らななだらかな笹原となる。小降りとなっていた雨は再び驟雨となる。晴れていれば絶景が広がるところだが、それどころではない。
山頂が近づくと笹原の中に立ち枯れの木が目立つ。八経ヶ岳の近くの弥山の雰囲気を思いだす。山頂はなだらかな台地の一角の樹林が生い茂る小さな隆起の中にある。山頂に向かうと湧出岩と呼ばれる岩の手前に三角点の柱石があった。
山上ヶ岳の寺院はすでに閉じられており、宿坊にも全く人の気配がない。濃霧の中を歩く数組の登山者の姿をちらほらと見かけるばかりだ。霧の中から「今日はこんなに天気が悪いと思わんかったな〜」「誰も思わんやろ」と声が聞こえてくる。
幸い雨は止んでくれたようだ。山門を潜り、ひと気のない宿坊の間を抜けると、参道を黙々と下る。登山口に近ずくと多くの登山者が歩いておられる。母公堂にさしかかると丁度、大日岳への登り口ですれ違ったパーティーが降りてこられたようだ。キレットで一人待たれていたご婦人にご挨拶するとにこやかな笑みを浮かべて応えて下さる。
登山口を出てゴロゴロ水にさしかかると実に多くの人が訪れている。混雑する洞川温泉に入り、バス停に向かうと再び驟雨に襲われる。バスにたどり着くと雨も止むのだったが・・・この日はどうも色々とついていない。
バスが下市口にたどり着くと奈良盆地の上は限りない青空が広がっている。帰宅後、家内にかなり雨に降られたことを話すと「京都市内は爽やかないい天気だったのに・・・」とのこと。山行先の選択が良くなかったようだ。
ご無沙汰しております。
残念ながらこの日は天候に恵まれなかったみたいですね。
しかし‘ どうやらパーティーは大日岳へ向かうようだ。「私はもうええわ」と一人のご婦人の声が聞こえる。’の伏線があっての‘ 先ほどの大日岳のキレットに戻ると、ご婦人が一人ポツネンと佇んでいる。’は非常に臨場感があり、まるで作家のノンフィクション小説を読んでいるみたいに引き込まれてしまいました。下山後にもその方に会われたのですね。
また私も大峰に足を延ばしてみたいものです。
yukkyさん コメント有難うございます。
この日yukkyさんが行かれた日本コバでは晴れていたようですね。山行先の選択を完全に間違えた感があります。
それにしても・・・ご婦人の記述に感心して下さるとは・・・さすがyukkyさん
また近々、ご一緒させて頂けるのを楽しみにしております。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する