ハセツネ


- GPS
- 15:57
- 距離
- 64.5km
- 登り
- 4,667m
- 下り
- 4,674m
コースタイム
- 山行
- 7:45
- 休憩
- 0:13
- 合計
- 7:58
過去天気図(気象庁) | 2015年11月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
飛行機
|
写真
感想
第23回日本山岳耐久レース長谷川恒男CUP
【報 告 者】toku
【日 時】2015年10月31日(土)・11月1日(日)雨天決行(暴風雨以外)
【参 加 者】toku
【行 程】奥多摩山域(71.5km)
五日市中学校→今熊神社→市道山分岐→醍醐丸→生藤山→土俵岳→笹尾根→三頭山→大岳山→御岳神社→金比羅尾根→五日市会館前フィニッシュ
【天 気】曇り一時雨
≪ ハセツネ(長谷川恒男CUP)とは ≫
日本山岳耐久レース(通称「ハセツネ」)は,東京都山岳連盟が東京の山におけるトレーニングの一環として、ヒマラヤを目指す若いクライマーの登竜門として開催され、優勝者には長谷川恒男CUPが贈呈致されます。
長谷川恒男は数々の記録を達成した世界的クライマーであり,その業績を讃え、大会の象徴として長谷川恒男CUPが設けられました。
≪ 報告 ≫
プロローグ
マラソンを始めて13年、あそ望山岳会に入って山を走るようになって7年、ロードや山を走るようになってからいつかは出てみたいと思っていた大会がいくつかあります。カルデラスーパーマラソン100km、富士登山競争、ハセツネカップの3つです。カルデラスーパーマラソンはすでに完走し、富士登山競争は初めて参加する人は五合目までの大会で実績を上げないと出られなくなりました。九州から遠征するのに1回で出られないとなるとハードルが上がります。一方ハセツネの方は一度で出られるけど、大会参加のエントリーは先着順、6月上旬のある日の午前10時エントリー開始で、毎年6分ほどでいっぱいになる人気大会、ランの世界ではこうしたエントリーに苦労する大会のエントリーを0次関門といいます。実際に2014年もエントリー開始日の10時前からパソコンの前で待機して10時になったと同時にエントリーを試みましたが関門通過できませんでした。
2015年は必ずエントリーするぞと、同じように10時前からパソコンの前に待機、5分でどうにかエントリーできました。
コース概要
ハセツネは奥多摩山域を周回する71.5kmのコースです。
五日市中学校を10月31日13:00にスタートし24時間の制限時間内に戻ってくることになります。コースには3箇所のチェックポイント(CP)があり、このうち1か所で給水があるのみで、他の大会のようにエイドはなく、必要な食料と水は自分で運ばなくてはなりません。CPはCP1が浅間峠22.7km地点22:00関門、CP2が月夜見第2駐車場42.1km地点11/1の4:00関門、そして最後のCP3は御岳山58km10:00関門です。
CP2の月夜見第2駐車場でのみ水かスポーツドリンクを1.5リットルまで補給してもらえます。またCP3御岳山の近くには沢水があり補給してよいことになっています。
ゴールは五日市会館前になります。予想タイム15時間で計画した各地点の通過予想時刻です。各ポイント間のアップダウンも考慮に入れて区間タイムを計算しました。
過去の大会の通過時間を見てみると、スタートーCP1間がゴールタイムの30%、CP1-CP2間が30%、CP2-ゴール間が40%になるようです。予想タイムもそれにしたがって、各区間を4:30、4:30、6:00の合計15時間としました。最初は地名を覚えるのも大変でしたが、計画を立てるうちに頭に入ってきました。
大会前
大会は五日市中学校を土曜日13時にスタートです。金曜日の夕方の便で東京へ向かい立川のホテルで1泊、朝7時に起きて立川駅から武蔵五日市駅までJRで移動、武蔵五日市駅からは徒歩15分ほどで受付会場の五日市会館に着き、受付を済ませて更衣会場となっている五日市体育館へ向かいます。体育館では九州から毎年のように参加されている椎山さんの好意で場所取りをしてもらっており、九州からの参加者数名が集まってのんびりとレースの準備をしていました。見知らぬ土地で初めての大会、いろいろと情報をもらいながら安心できる空間と時間でした。
レース(スタートからCP1浅間峠まで)
12時を過ぎるとスタート地点にならび始める選手も多くなってきました。この大会は参加者数2500人と山を走る大会としては非常に多い大会です。トレイルに入ってからの大渋滞でも有名な大会なので速い人が前に来るようにゴール予想時間によりスタートグループが決められています。10時間以内、12時間以内、15時間以内・・・私の目標は15時間以内なので15時間以内のところにならぼうと思って移動していたら、12時間以内のところに偶然知り合いがいたので、そこに入ることにしました。しかも最前列に!
しかし、10時間以内にも500人くらいが並んでいます。10時間を切るのは超エリートランナーでそんなにいるはずはないけど、あくまでも目標タイムなので、しかも自己申告なので仕方がありません。実際に10時間を切れる人は100人くらいです。
12時間以内は開会式ステージのすぐ前なので去年の優勝者しかも大会記録保持者の上田瑠唯選手が前を通ったので写真を撮ってもらいました。
開会式は昨年度のカップ返還と主催者あいさつ、選手宣誓などが行われました。この選手宣誓をした選手が奥宮選手、先に結果を言うと10回目の大会にしての念願の初優勝を成し遂げました。いままでずっと2位3位だったらしいです。
開会式も終わり、いよいよスタートです。スタートは前に500人ほどいるのでスタートラインまではゆっくり歩きで進みます。スタートラインを過ぎると中学校の校庭を出てロードを走ります。トレイルに入ると大渋滞が待っているので、とにかく前に行けるようにハイスピードで駆けていきます。トレイルに入れば渋滞になり休憩できるのでそこまではキロ4分半くらいで行きます。5kmほど走ってトレイルに入れば、やっぱり大渋滞でした。
トレイルに入って、しばらくするとまたロードに出て変電所横を過ぎます。しばらくロードを走って今熊神社へのトレイルに入ります。長い登りの石段が続きますがこのあたりになると渋滞もいくぶん緩和して列はできているものの立ち止まることはなくなりました。
走ったり歩いたりを繰り返しながらCP1に着くころにはずいぶんと暗くなりヘッドライトを出しました。気温も下がってきたのでレインウェアも着こみました。
レース(CP1浅間峠から三頭山まで)
浅間峠から中間地点の三頭山までは登り基調のトレイルで細かいアップダウンを繰り返していきます。時折り小雨もぱらつき始めました。渋滞はほぼなくなり下りか平坦なところは走ることができます。数人から10人くらいの集団で前の人についていきます。前の人がばてて遅くなれば抜き、自分がばてて遅くなれば道を譲って追い抜いてもらいます。登りは自分のペースに会う人が前にいればいい感じで進めます。小雨に続き、霧も出てきました。毎年、三頭山あたりは霧が出てくるようなので参加者はヘッドライトのレンズを黄色に塗ったり、赤いセロハンを張ったりと工夫しているようです。自分は、ヘッドライトはそのままでLEDの白い光は霧で乱反射して見にくくなりました。ハンドライトも持っているので腰のあたりにハンドライトを持ってくれば霧の乱反射の影響も少なくなります。
三頭山まではCP1の浅間峠から高度差700mあまり、累積だと1000mほどになります。最後はずっと登りで霧雨にも苦しめられながら、20:10、ほぼ中間点の三頭山山頂にようやく着きました。山頂では多くの参加者が一息ついて補給をしていました。雨でカメラを出すのも億劫でしたが中間点でもあり、コース最高地点でもあるので写真を撮りました。
レース(三頭山からCP2月夜見第2駐車場まで)
三頭山からは下り基調になります。とくにCP2の月夜見駐車場までは、ほぼ下りで快適に走れます。ハンドライトは300ルーメン以上の明るいものなので、夜のトレイルも昼間のように明るく照らしてくれます。
三頭山から6kmを1時間ほどでCP2に着くことができました。スタートから8:25、予定では9時間なので30分ほど余裕があります。ここでは水を1.5リットル補給してもらい。補給のため一休みします。おにぎり1個とアンパンを水で流し込みながら食べます。カロリー源は1個100kcalほどのジェルと羊羹を合わせて15個持ってきていました。それにおにぎり1個とアンパンです。ジェルと羊羹は1時間に1個の割合で補給します。甘いものばかりなのでおにぎりがおいしかったです。わずか10分ほどでしたが座って食事をしていると体が冷えてきました。汗もかいているので非常に寒くなってきました。震えが出てきて低体温症になりかけそうになっています。ここらあたりから写真を撮る余裕は全くありませんでした。
レース(CP2月夜見第2駐車場からCP3御岳山まで)
あわててトイレを済ませて、レインウェアのフードをかぶり、体が温まるまで走り続けることにしました。15分ほど走り続けているとようやく体も発熱してきて震えも治まりました。
ここからCP3の御岳山までは大きな二つのピークがあります。御前山1405m、大岳山1267mです。それぞれ400m、300mの登りが待っています。レース後半での登りは身体全体にダメージを、下りも同じくらいあるので脚にダメージを与えます。
きびしい登りが続くときは、いつも練習している金峰山のさるすべりを思い出しながら登ることにしています。さるすべりは標高差が250m、距離は700mほどです。かなりの勾配なのでさるすべりより厳しい登りはめったにありません。標高差が400mであれば、さるすべり2回分より少ないと考えながら登ります。
どちらの山か記憶になくなりましたが山中付近は岩場を通過するところもありました。疲労した身体では慎重に通らなければなりません。
そうこうするうちに、このレースで一番きつかった難所も過ぎてCP3に着きました。ここでは九州から来ている本田さんに会いました。初めは飛ばし過ぎて体調不良そしてお腹の調子も悪いということでした。ここでは休憩をせずにすぐに出発しました。
レース(CP3御岳山からゴールまで)
CP3の御岳山からは、ほぼ下りになります。スタートからの時間は12:08、目標の15時間まで3時間弱あります。距離は14km弱なので歩いても目標時間は達成できそうです。しかし欲が出てきて、どうせなら14時間を切りたいと思いました。厳しい登りもなく、登りといえば最後のピークの日の出山までの登り返しが100mほど、とにかく日の出山まで飛ばします。距離にして2kmほど時間で20分でした。ここから14時間切るまでは90分ほど残っています。距離は11kmほど、日の出山で道案内をしていたボランティアの人たちも「14時間切れるよー」と言っていました。まだ日の出前なので朝日は見えませんが夜景がきれいでした。周りのみんなも14時間切りを目標に飛ばしています。ここで歩いたら14時間は切れないのでみんな必死です。しかし短い距離でも登りになると息が上がって走れません。痛い脚を我慢して一生懸命に走ります。全然知らない選手とも声を掛け合ってゴールを目指します。最後の数kmは舗装してあるけど傾斜がきつくて走れないというように聞いていました。早く舗装路に出ないかなと思いながらトレイルを必死に走ります。ようやく舗装路が出てきたけど、案の定勾配がきつくてブレーキを掛けながら走るしかありません。脚は悲鳴を上げながらもどうにか走って進みます。前方に5人くらいの集団が列を作って走っています。しばらく並走して追い抜こうとしたときに、残り2kmの案内表示がありました。14時間まで残り20分弱、とにかく何があるかわからないのでスピードを緩めることはできません。集団のみんなにも「14時間切れるよー」と声をかけて追い越します。すると集団の中の一人が声をかけてきました。CP3で追い越した本田さんでした。いつの間にか抜かれていたようです。お互い健闘をたたえつつ14時間切ろうということで並走します。残り1kmをすぎて10分以上の余裕があったのですこしスピードを緩めてゴールを目指します。最後の角を曲がるとゴールゲートが見えました。本田さんと二人で一緒にゴール!目標の14時間を切ることができました。記録は13:54:51でした。お互いの健闘をたたえ喜びを分かち合いました。
順位 ゼッケン 氏名 第一関門 第二関門 第三関門 FINISH
642 5262 天本 徳浩 4:13:30 8:25:10 12:08:38 13:54:51
レース後
ほとんどのカロリーをジェルで補給していたのでしょっぱいものが食べたいと思っていたら、豚汁がふるまわれていました。脚が痛くてゆっくりとしか動くことができません。どうにか空いた席を探して椅子に座ることができました。走ることから解放されて、14時間以内にゴールできた喜びをかみしめながら、ゆっくりと豚汁を食べました。
お腹が満たされた後は、深夜も営業している近くの唯一の温泉に行きました。シャトルバスで運んでくれます。バス乗り場の列に並んで待ちます。
運ばれた先ではマッサージもしてもらえるということでしたが1時間待ちとのこと、お風呂も洗い場が数人分しかなく、お風呂の混雑をなくすために、お風呂に入れるのは洗い場の人数分だけとのこと、お風呂場の入り口から階段、廊下へと数十人が列を作ってならんでいました。1時間以上かかるとのこと、本田さんと二人並んで廊下に座って待ちます。お腹がすいたのでカップ麺とビールを買ってきて待ちながら食べました。
ようやくお風呂に入れたものの湯船のお湯は50℃以上もあるようで入れません。しかたなく洗い場の蛇口からお湯を使って体を洗うだけでした。それでも体はさっぱりし用意された仮眠室で1時間ほど寝ました。起きたら明るくなっていました。会場に戻り、みんなそれぞれの飛行機の時間に間に合うように解散していきました。午後の便の人たちだけで立川まで移動し、お昼を食べながらささやかな打ち上げをしました。レースの話で盛り上がり九州での再会を約束し、それぞれの飛行機の便に合わせて解散しました。私は最終の羽田発熊本行きで帰ってきました。
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