童仙坊〜三ヶ岳〜鷲峰山☆雨後の滝は良いが蒸し暑さには辟易


- GPS
- 07:23
- 距離
- 31.4km
- 登り
- 1,659m
- 下り
- 1,596m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
写真
感想
この日は家内の実家の宇治の近くで夕方に用事があるので、それまでの間、宇治の近くの山を訪れることにする。車が使えないので、公共の交通機関を使うことが前提となる。まずは鷲峰山が思いつくが、この山はアプローチが不便である。長距離コースとなるが東海自然歩道を辿り、南山城から童仙坊を経て鷲峰山の和束側の登山口となる原山に至るコースを計画する。
関西本線の始発となる加茂駅へは木津駅から一駅、大和路線を乗らなければならない。木津駅を始発にした方が乗り継ぎは良さそうなものだが、そこは様々な事情があるのだろう。加茂駅で関西本線に乗り換えると一両のワンマン列車であった。
列車は加茂駅を出るとすぐにも両側の山が迫り、木津川の急流に沿って狭い山間に入ってゆく。
周囲の山々の上の方はしっかりと雲がかかっている。
大河原の駅で降りると、まずはこの日の最初のアトラクション、木津川にかかる沈下橋を渡ることから始まる。恋路橋とも呼ばれるらしい。前日の雨のせいだろう。木津川は茶色く濁り、水量はかなり増している。沈下橋の上には木の枝が散乱しているのは川の水が橋まで及ぶことがあったせいだろう。橋の直下まで水があるので、まるで船の上にいるような感覚だ。
橋を渡って対岸の集落を抜けると恋志谷神社がある。集落を左折すると近代的な大河原大橋が現れる。上流の高山ダムの建設に伴って1966年に完成したらしいが、この橋の完成より川の両岸をつなぐという沈下橋の役割は終わったようだが、いまだに沈下橋が残っているらしい。
再び右岸に戻ると童仙坊山荘の看板が目に入る。大河原から童仙坊に至るには山城谷に沿った舗装路を辿れば良いのだが、国土地理院の破線のルートを辿ってみることにする。この道の情報は全く見当たらないが、完全に藪化して通行不能なことがあるのが心配だ。最初は谷沿いに舗装路が続いているが、舗装路はあくまでも堰堤を築くためのものだったのだろう。二つ目の堰堤を越えると途端に道は途端に不明瞭になる。
堰堤の上を対岸に渡渉し、斜面をの登るとすぐに上流から緩やかに左岸を登ってくる幅の広い古道が現れた。段差もなく緩やかに続く九十九折の古道はおそらくはかつては牛や馬も往来するためのものだったのだろう。今や通る人もなく、廃道になって久しいものと思われるが、意外にも倒木は少なく歩きやすい。しかし、風もなく高湿度の空気のせいで汗が吹き出す。
月ヶ瀬から登ってくる舗装路と合流するとわずかばかりでも風があるのが有難い。林の中を歩いて行くと、忽然と田圃が現れる。野殿にたどり着いたようだ。既に標高500mある。集落の中心の十字路を左折していよいよ童仙坊へと向かう。
古くは奈良時代にこの地に数多くの堂宇が建立されたことに由来し、「堂千坊」が本来の地名とその後、古い時代に寺院が消失してからは長いことこの土地の歴史は空白となる。再び歴史に登場するのは明治に入ってから京都府が禄を失った士族のために開墾事業を行ったことによる。明治4年に162戸、560人が入植し、童仙坊村が成立するが、土地の不便さや入植した多くの者が士族であったことなどもあり、その数年後には多くの者が離村することになったらしい。
十字路に出ると、その手前に立派な学校の跡がある。童仙坊生涯学習センターと看板があるが、どうやら童仙坊野殿小学校跡らしい。
先に進むと茶畑を背後に小さな寺が現れる。泥洹寺「ないおん寺」と刻まれた石標があるので、読み方を知ることが出来るが、到底読めない字である。ここも明治初期、入植者のために京都市内にあった寺が移転したらしい。。
道沿いには童仙坊山荘と瀟洒な宿が現れる。下の大河原に看板が出ていたところである。山荘の前にはコカ・コーラの真っ赤な自動販売機があるので、早速にもコーラを一缶購入し、休憩する。
さらに先に進むと左手には池が現れ、蓮の花が数多く咲いている。池のほとりの案内板によると役所池と呼ばれるところで、かつて明治の初め、童仙坊支所が池のほとりにあったことに由来するらしい。
やがて東海自然歩道は舗装路から右手に分岐する林道に入ってゆく。林道を進むと、私に気がついた鹿の親子が周囲の樹林の中へ逃げ込んでゆく。三ヶ岳から南に延びる尾根と交叉する地点には尾根上に薄い踏み跡が見えるが、林道をそのまま辿ると広々とした茶畑に出る。正面に大きく見える山は鷲峰山と思われるが、山頂のあたりはすっかり雲に覆われている。
茶畑の端に沿って尾根を辿ろうとするといきなり塒を巻くマムシに出くわす。マムシは私の気配を察知したのか、すぐにも周囲の草叢の中へと逃げ込んで行った。茶畑を上がるとすぐにも明瞭な尾根上の踏み跡と合流する。霧の立ち込める尾根を辿って三ヶ岳の山頂に至る。山頂は樹林の中の地味なピークであった。
再び先ほどの分岐に戻る。地図では尾根上に破線がつけられているが、その道はほぼ完全に藪化して失われてしまっているようだ。p458のピークは茶畑が広がる好展望のピークだ。このピークの北側から西側に向かって下降する破線がある。斜面を探ってみるとすぐにも深い掘割の古道が現れた。
古道は多くの倒木により通れたものではないが、樹林の中は下生えも少なく、尾根の下降には苦労しない。谷に下降すると、狭いながらも舗装された林道が現れたのには驚いた。谷の流れは細いが小さな滝が連続する。沢音を聴きながら林道を下ると、突然、景色が大きく開け、周囲の丘陵に広がる茶畑が目に入る。和束に到着したようだ。
東海自然歩道の中継点となる原山は南斜面に広がる集落だった。鷲峰山への参道と離れて清水谷へと続く道をたどる。地図では破線ではあるが、歩きやすい林道が清水谷まで続いていた。清水谷には小さな滝が連続している。林道が終わり、登山道に入ったところで早速にも5mはある直瀑が現れる。
上流に遡ると行場めぐりの登山道と合流し、今度は大きな一枚岩から流れ落ちる滝がある。五光の滝だろう。さらにその上流に大きな段瀑が見える。滝のたもとには「千手の滝」の標柱が建てられている。
問題はここからだった。谷から離脱する道がわからずにしばらくあたりを徘徊することになる。上流に向かうと「胎内くぐり」と標柱の建てられた岩場があるが、その先の尾根には道がない。千手の滝まで戻り、右岸の薄い踏み跡をトラバースすると、すぐに尾根を下から登ってくる明瞭な道と合流した。
道には頻繁に赤ペンキによる矢印が現れるが、矢印が登りの方向のみにつけられているところからするとどうやらこの道は登り専用らしい。岩場が次々と現れるが、ロープも鎖もないので、確かにこれらの岩場の下降は無理だろう。岩は前夜の雨でまだ十分に乾いていないところが多く、滑りやすい。雨上がりに来るようなところではなかったようだ。三点支持でホールドを慎重に確認しながら登る。
相変わらず湿度が高いせいか体力を大きく消耗する。ようやく険阻な岩場の登りが一段落して傾斜が緩やかになると、行者の辻と記された下降路との分岐にでる。登ってきた道には「入らないで下さい」と案内がある。
行者の辻からは金胎寺にかけてほぼ水平な道が続くが、すでに足がかなり重く感じられる。ようやく金胎寺に到着し、寺の休憩所に到着すると住職さんと思しき男性が金魚の水槽を綺麗にしておられるところだった。冷蔵庫の中のジュースは一本\100で飲めるらしい。スポーツドリンクのペット・ボトルがすぐに目がつくが、冷蔵庫の中に数多く入っていたのは何と、関西では珍しいDrPepperの缶だった。迷わず二本いただく。
息を取り戻し、いざ出発しようとすると、入山料\300を払って下さい、住職さんに云われる・財布の中をみると100円玉2枚とあとは一万円札があるのみだった。ここは1万円でお釣りを頂くしかない。ここで万札を崩して頂けたのは怪我の巧妙だったかもしれない。
金胎寺の多宝塔を訪れる。その裏手に伸びてゆく小径には「宝篋印塔」の案内がある。小径をたどると立派な宝篋印塔が建つ山頂広場に出る。広場は樹林に囲まれて眺望はないものの、宝篋印塔のせいか何とも神聖な雰囲気の漂う場所であった。
鷲峰山の山頂からは馬酔木の藪を抜けて金胎寺から続く舗装林道に出ると、あとは林道の下り一辺倒だ。やがて林道は尾根から地福谷へと下るが、谷間の涼しさはあまり感じられない。宇治田原に出るとあとは長い平地歩きとなるが、午後になってますます蒸し暑さが酷くなる。どうやら下道を長く歩くには適切な季節ではなかったようだ。
再び路傍の自動販売機でさらりとしたトマト・ジュースを購入する。宇治まで歩くと用事に遅れる可能性があるので、家内に電話をして宇治田原の郷之口まで車で迎えにきてもらうことにする。家内の実家にお邪魔すると庭の畑で採れたというキュウリとトマトが何とも美味しく感じられた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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びっくり! 暑い中の長距離 流石ですね
場所柄茶畑が多いですね
滝は涼しげでいいです しかもたくさん
DrPepperがあるとは粋なお寺ですが入山料請求は何か世知辛い気もします
300円は京都に比べると安いですね
また私事です💦
九州から京都に戻ってからですが、木津川沿いに大河原まで二回自転車で走ったことがあります はじめは私一人で、二回目は高校生になった息子と走りました
また楽しいレコお待ちしています
長距離とはいえ大部分が舗装路なのです。
しかし、予想以上に蒸し暑く、こういう日には向いていないコースでした。
確かにこのあたりの茶畑の景色はいいですね。三ヶ岳のあたりは山中に忽然と茶畑が現れるところがあって、広大な展望と相俟って独特の美しい光景となっておりました。
DrPepperは今回の1番の驚きでした。DPさんに是非、お知らせしなければ・・・と思いました。
木津川は加茂を過ぎると急に両側の山が迫り、大河原までの間は渓谷美を見ながらサイクリングするのは楽しそうですね。川沿いに遊歩道があればいいのに・・・と思ったりしてしまいます。
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