綿向山〜祝ヶ岳〜雨乞岳☆霧氷の名峰を繋いで

- GPS
- 08:30
- 距離
- 18.5km
- 登り
- 1,459m
- 下り
- 1,452m
コースタイム
- 山行
- 8:02
- 休憩
- 0:28
- 合計
- 8:30
| 天候 | 腫れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2021年12月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
バス
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
三峰山北尾根;送電線巡視路があるが、所々で踏み跡は不明瞭、尾根下部には所々でユズリハの藪はあるが通行の支障になるほどではない 祝ヶ岳〜大峠;山行の核心部、ガレ場の北側斜面をトラバースしながら下降、かなりの急勾配 大峠〜;危険は少ないとは思うがこの登り返しも急勾配であり、滑りやすい 南雨乞岳〜雨乞岳;雨乞岳の山頂直下では背丈を越える笹藪の藪漕ぎとなる 雨乞岳〜杉峠〜千種街道;一般登山道 |
写真
感想
先週に引き続き、この週末の日曜日も寒波の後の晴天が期待出来そうだ。
霧氷が期待出来そうな鈴鹿の山・・・ということで思い浮かんだのは綿向山と雨乞岳。どちらかの山にしようというのではなく、この二つの山を繋いで縦走するという計画であった。祝ヶ岳と大峠を経てこの二つの山を縦走するコースは長い間の宿願であった。霧氷と晴天が期待できるこの日は計画を実行する格好の機会に思われた。
甲津畑の奥の谷に架かる橋(あしたに橋)の北詰の道路余地に車を停めて準備をしていると、次々と車が通り過ぎる。尾張小牧、大阪と遠方からのナンバーからしても、鳴野橋の登山口に向かうのだろう。
谷沿いの林道を歩くとすぐにも正面に大きな堰堤が現れる。右手の植林の斜面の上の方にはガードレールが見える。どうやら堰堤を越える道があるようだ。斜面を登ると堰堤の手前で送電線の鉄塔の番号を記した道標がある。堰堤のすぐ右手から伸びる尾根に取り付く。踏み跡は薄いが間違いなく送電線巡視路だろう。
地面の土は柔らかく、いかにもヒルが多そうな雰囲気ではあるが、ヒルの心配をせずに歩けるののはこの季節ならではだ。すぐにも尾根の右手には広々とした伐採斜面が現れ、甲津畑の先には八日市と繖山の展望が広がる。谷を挟んだ対岸の尾根にもかなり標高の低いところから雪がついている。
尾根が細くなると尾根上には明瞭な踏み跡が続くようになる。送電線鉄塔からは大きく近江平野の展望が広がる。
ca700mあたりでは尾根の左手は大きく崩落したガレ場となっているので、尾根の右側をトラバース気味に進む。あたりは棘のある灌木が多く、下手に素手で樹を掴むと大変なことになる。
p841 植林帯となる。竜王山に至る稜線が近づくと小さなピークには三峯山と記された山名標が
現れる。登山道との合流地点では「警告、この先登山道ではありません。関係者以外の立入りはご遠慮ください」と記された標札が立てられている。ご遠慮くださいとあるが、禁止している訳ではないとも解釈が可能かもしれない。
オンバノフトコロの展望地にたどり着くと霧氷を纏った綿向山が目の前にそびえ立つ。尾根上には数人分の真新しい踏み跡がある。すぐ先のあたりから先行者の声が聞こえてくる。綿向山への登りに差し掛かると先行する男女三人組のパーティーがアイゼンを装着しておられる。雪の上につけられていた足跡はこのパーティーによるものであった。ここから先はトレースがない。
尾根を登ると霧氷をまとったブナの樹々が次々と現れ、目を愉しませてくれる。稜線が近づくと樹間からは眺める西側斜面霧氷が壮観だ。上の方からは早速にも数組のパーティーが降りてくる。朝に登山口を出発した人達が丁度、下山の途につく頃合いだろう。
綿向山の山頂はやはり大勢の人で賑わっている。まだ先は長いので、祠にお参りして、先に進むことにする。北尾根への稜線では見事な霧氷に対する歓声があちこちから聞こえてくるようだ。
北尾根の分岐から北西へと伸びる尾根を進む。快適な草原状の緩斜面を降ってゆく。なだらかな尾根の先には祝ヶ岳の鋭いピークがわずかに顔を覗かせている。二名分の足跡が雪の上につけられている。
緩斜面が終わり祝ヶ岳への登りに差し掛かると尾根の左手を巻きながら低木の間を縫うように進んでゆく。祝ヶ岳の山頂が近づくと丁度、二人組の男性が引き返して来られるところだった。祝ヶ岳から先は当然、トレースはない。そしていよいよここからが核心部だ。
すぐにも尾根の右側に大きく崩落した荒々しいガレ場が現れる。先日、greenriverさんにご案内頂いた中央アルプスの麦草岳から木曽前岳の稜線を想起させる峻険さだ。尾根上には鈴鹿版の牙岩とでも命名したくなるような牙のような大きな岩が聳えている。
道は左手の低木の斜面をトラバースしながら下降することになるのだが、これが当然ながらかなり急斜面だ。斜面に薄く雪が積もっているところは慎重を要する。雪が多少積もっている方が明らかに歩きやすい。
なんとか急斜面を無事に下降してガレ場を振り返ると、改めてガレ場の険阻な様相に驚くのだった。しかし、まだまだ安心する訳にはいかない。急斜面のトラバースが続くので緊張を強いられる。岩に薄く雪が積もった状態は全く気がぬけない。標高が低くなったせいか、あたりの樹木は霧氷は見られなくなる。
山と高原地図ではこのあたりでは道は消えかけていると記されてはいるものの、あくまでも道は明瞭であり、ルートファインディングに苦心するような場所はないように思われた。小さなアップダウンを繰り返して大峠に辿り着いて、やれやれと一安である。
大峠からは危険箇所はないものの、登り返しはかなり急登である。日当たりの良い斜面の雪は既に融けた後なのだろう、濡れた急斜面はかなり滑りやすい。大峠に向かって逆コースを辿る際にはこの急斜面の下降は安易ではないだろう。
急登が終わり尾根に乗るとシャクナゲの低木の藪の間を縫って迷路のような道が続く。以前、大峠に向かって逆にコースを辿ったことがあるが、シャクナゲの季節にも関わらず裏年だったせいかほとんどシャクナゲの花が見られなかった憶えがある。
やがて尾根が東向きに大きく方向を転じるca970mが近づくとシャクナゲの迷宮を抜け出し、自然林の疎林が広がるようになる。尾根の南側は植林ではあるが、尾根上は再び霧氷が見られようになり、緩やかに高度を上げるにつれて大きく発達した霧氷が見られるようになる。しかし、樹々からはバラバラと霧氷が絶え間なく落下してゆくのは致し方ない。
霧氷の樹林を抜けて清水頭に至ると樹木のない苔の裸地が広がり、360度の大展望が広がり、鎌ヶ岳の鋭峰から延々と南に連なる鈴鹿主脈を一望することができる。これから辿る雨乞岳に向かって尾根から北側斜面にかけて霧氷の樹林が広がっている。雨乞岳の山頂部では笹原の草原と霧氷のコントラストが鮮やかであり、笹原の中に点在する樹々が白い羊のようにも見える。
雨乞岳に向かって進むうちに空には急速に雲が広がってゆく。南雨乞岳のピークが近づくとリョウブと思われる低木のなかを進む。南雨乞岳のピークは樹林から飛び出し、再び360度の好展望が広がる。鎌ヶ岳の左手に広がる伊勢湾は空の色を反映して灰色の水を湛えているように見える。雨乞岳から東雨乞岳にかけてのたおやかな笹原の稜線が視界に入るが、数組のパーティーが稜線を歩んでいる。
南雨乞岳のあたりは熊笹の笹原は膝下ほどであるが、雨乞岳が近づくにつれて急に笹藪の丈が高くなり、山頂直下では背丈以上となる。笹藪の中にはしっかりと刈払いされた道があるので、道を外さない限り問題なく進むことが出来るが、家内は笹藪の藪漕ぎには相当に辟易したようだ。
山頂にはやはりかなりの人が訪れた気配があるが、すでに人影はない。山頂の北側からはイブネの彼方に御池岳、霊仙山に至る鈴鹿北部の山並みが一気に視界に飛び込む。霧氷イブネの東側斜面にもわずかに霧氷がついているようだが、この雨乞岳から東雨乞岳にかけての北側斜面における霧氷ほどではないように思える。
空が曇ったせいか空気は急に冷え込んでくるようだ。そのせいか雨乞だけの北側斜面では霧氷の落下があまりみられない。再び霧氷の樹林の中に入り、杉峠に降り立つ。つい一月ほど前には杉峠のあたりでは紅葉が見事だったが、今や樹々には紅葉の名残りもみられない。峠から千種街道を下降し始めるとすぐにも霧氷はみられなくなった。
まだ時間は14時台ではあるが、空に広がった雲のせいだろうか、急にあたりは薄暗くなったように感じる。振り返ると谷奥に霧氷を纏った雨乞岳の北斜面が依然として白い山肌を見せている。雪の上につけられた多くの足跡がこの日に往来した登山者の多さを物語るが、鉱山跡のあたりにくると足元の雪も疎らとなる。
岩ヶ谷林道の入口まで登山者に追いつくことはなかったが、鳴野橋のたもとからは数台の車が出発していくところであった。まだ3台ほど車が残っている。林道を辿って駐車地に向かうと先方から三人組が歩いて来られる。カクレグラから下山して来られたようだが、前回歩いたイブネからの尾根を縦走して来られたのだろう。
西の空にかかる雲の下から夕陽が顔を出したようだ。夕陽に照らされたカクレグラへの稜線が橙色に輝いてる。駐車地に戻り、日野のスーパーに寄り道して外に出ると、先ほどまでの雲はすっかり消えて、雲ひとつない夕空には一番星が瞬いていた。
家内は(いつもより)早くから出発した分、距離が長くなったと不服だったようだが、念願の綿向山から雨乞岳への縦走を無事に果たし、全くと言ってもいいほど趣の異なる霧氷の名峰を堪能することが出来た山行であった。
コメント
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山猫
yamaizu
















また、面白いコースを行かれましたね。これは良いとこ取りで、とても良いコースです。
大崩落地は確かに牙岩ですね(笑)。鈴鹿でもこれほどの迫力ある崩落地は少なく、見応えありますよね。
この辺は鈴鹿でも霧氷ができやすく、雨乞や神崎川あたりは積雪も多めです。また、清水の頭の稜線は積雪期の景色が素晴らしいです。次回は是非、清水の頭も絡めて積雪期に行かれてみて下さい。
今年は、沢山雪が降って欲しいですね。
お疲れさまでした。
昨年の厳冬期にこのコースを二度に分けて歩かれたGRさんのレコを拝見して、いつか積雪期に・・・と思っておりましたが、その前にまずはコースを把握するためにもこの季節に歩いておきたいと思ったのでした。しかし、大峠の手前、薄雪の積もった岩場のトラバースは緊張を強いられますね。
そのうち改めて厳冬期に訪れてみたいと思っております。
実際に歩くと、岩場、崩落地のトラバースよりも大峠の手前のトラバースの方が厳しいです。岩場、崩落地は樹林内の木をつかめるところが、なんとか行ける斜度でエスケープできましたが、大峠の手前は、木をつかめるところしか行けなかったのですが、そこが崖のような感じで、地面ごとスラフとなって滑り落ちていく感じでした。積雪量がなければ大したことありませんが、雪が多いと足元からスラフとなって落ちていく状態だったので、なんともできずに、残り時間も考慮して撤退しました。あの時はパウダー80cmでスラフが発生したり、底付きするような雪でしたが、根雪になっていればスノーシューでもグリップしたと思いますし、12本爪とピッケルも効果あると思います。自分は途中からはスノーシューで通してますが、スノーシュー以外では埋まって歩けなかったので仕方がないです。
どうせ行くならロングで行かれたいでしょうから、やはり大雪降って1日、2日後、ちょっと雪が締まった方が良いでしょうね。
ああ・・・、今年、大雪降りませんかね。
GRさんが歩かれた時はどうだったのかな・・・と気になっておりました。
やはり崩落地を通過してからの方が難しいですよね。
急斜面のトラバースが続くのですが、ステップが非常に狭い岩場である上に、薄く雪が積もった状態で緊張を強いられるところでした。新雪で雪が柔らかいと、ここはかなり危険でしょう。再びここに挑む時には慎重に雪の状態を見極めて臨むことに致します。
いずさん ネコさんに負けないくらい健脚ですね
確かに危険箇所では私が慎重に歩いているせいか家内をそれほど待たずに済んだのですが、緩やかな尾根では家内を待つこと頻りです
いいルートのご案内ありがとうございます。このルート取りは思いつきませんでした。
綿向山から雨乞岳まで足を延ばしたいとおっしゃる方が結構おられるんですよね。
私もその一人ですがピストンでは味気ないので、鈴鹿スカイラインに自転車をデポして縦走と考えておりましたが、そうなると自転車での峠越えもあったりと中々実行に移せないままでして。
この時期では不安もあるのと山猫さんの足で8時間越えですから、陽の長い季節に歩いてみたいです。
最近のグーグル ストリートビューでは、以前見られたルートも見られなくなっている箇所も多く、甲津畑も集落手前で青線が切れております。あのヘアピンカーブ状の橋の所に駐車されたご様子ですが、路肩が広くなった箇所があるんですね。
私ならいつものチャリデポスタイルで、鳴野橋からこのスタートポイントまでは、ちょっとずるしようかな? 路肩が狭いなら初めにチャリで此処へ来るのもいいかも。
確か、綿向山から雨乞岳まで縦走したい・・・とコメントされておられたことがあったので、ののさんにはご興味を抱いていただけるのではないかと思っておりました。
登りの三峯山の北尾根は次々に現れる送電線鉄塔からの展望が良いのと尾根上部のガレ地からも展望があり、退屈しないルートです。
コースタイムに関しては今回は家内はゆっくり歩いており、最後、杉峠から甲津畑は少しスピードアップしてくれたようでしたが、8時間というのは無理のない時間だと思います。そのうち積雪期にも歩いてみたいと思いますが雪がない状態でしたら祝ヶ岳から下りはそれほど困難なルートではないと思います・・・勿論、多少の危険がない訳ではないですが。
しかし、陽の長い季節はヒルが問題ですね。千種街道は非常にヒルが多いところですし、おそらく三峯山の北尾根の下部も相当にヒルが多そうな雰囲気でした。
出発地点のあしたに橋の北詰には道路にはかなり余地があって十分に車を停めることが出来ます。鳴野橋からは歩いて丁度30分ほどの行程です。
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