地獄の単独ラッセルとビバーク的幕営・取立山


- GPS
- 26:24
- 距離
- 9.3km
- 登り
- 785m
- 下り
- 767m
コースタイム
22日 7:40幕営地-8:00取立山山頂-9:14稜線→九十九折-9:34無雪期登山口-10:40駐車地
天候 | 雪時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
まだ新雪が締まっていないため、大変な苦労を強いられました。 ラッセル、緩斜面の下山、方向転換などなど、すべてにおいて残雪期の倍以上の労力を要します。 逆に、九十九折の登山道沿いは雪が平坦なまま積もっているので、傾斜のついた雪面を歩くことはないのがメリットです。 日帰りであれば、11時まで行けるところまで行き、ピストンで戻るという計画をおすすめします。 |
写真
感想
先週下見に行ってきた取立山、山頂を目指すために幕営装備で行ってきました。
さて今週も天気は雪。この季節はこれが普通です。
駐車場に着くと、親子連れが準備をしていました。下山時に見かけましたが、キャンプ場付近でテント泊してスキーなどの雪遊び三昧といった感じでした。
そそくさと準備をして、16kg少々の80Lザックを担ぎます。これでもかなり装備を絞って軽量化したほうで、この程度なら割と軽快に滑れるかな?という感じです。
今回は単独なので、ついついペースが上がります。息も上がります。
汗をかくと手袋も汗で濡れ、最終的には水浸し状になりました。手袋は暖か過ぎても問題、何種類か持って行って適度なものを選択するのがベストかも。
ショートカットすると距離は稼げますが、締まっていない新雪では斜度が強まると登行が難しく、時間的には林道を登ったほうが早いのかも知れません。
林道を歩いて、料金徴収のゲート、そして無雪期の登山口に到着しました。何とも感慨深いですが、まだ半分でこれからが本番です。
この時期は登山道に沿って歩くのが一番確実で、特に九十九折のところは斜面の傾斜が強いため、ショートカットすることもできません。登山道の雪はまだ平坦に積もっており、傾斜のついた道を歩く危険なことをすることもありませんでした。
ただ、木々が雪の重みで倒れ、行く手を阻んでいることが多いですから、木の雪を払い落として木を元の位置に戻して進みます。
稜線上に出て、強風を予想していましたがそれほどでもありませんでした。比較的穏やかな方だったです。
しかし単独での先頭ラッセルはかなりハードで、この辺りから心折れそうになり、この辺で穴掘って泊まろうか?と思い始めました。
山頂に近い稜線では、また雪庇も柔らかく、簡単に崩れてしまいますし、雪崩れる危険性もあるので歩くルート選びにはかなり慎重になりました。まぁ割となだらかな方の稜線なので、それほど危険な目に遭うことはないと思いますが、バランスを崩して転倒した後に再び立ち上がるのがとても難しいんです。手がかりをつけようとしても新雪はずぶずぶと無制限に沈みますし、スキーを脱いだら今度は足が埋もれ、ザックは重い・・・最後は叫びながら気合で立ち上がるしかありません。
で、この辺りから足が攣りそうになり、この状態でスキーで下山したら絶対攣りまくって下山どころではない・・・というのが明白になり、予定通り本日の泊まりは決定としました。
山頂をクリアした後は、東側斜面のなだらかな灌木帯を目指して適当なところで幕営することにしました。避難小屋に入れるかな?との期待もありましたが、この積雪量ではとても入れそうになさそうなので、行くのは止めました。
スキーシールを装着したまま滑ると、両足のふくらはぎが同時に攣りました!立ち上がろうとして力を入れるとまた攣りそうになり、復活するのにえらい時間を食いました。
冷えと脱水気味なのと久しぶりの山スキー筋を使用したこともあって、腹筋、大腿筋、腕、指など色々と攣りそうになります。攣りそうになったときは、筋肉を伸ばして攣る収縮に勝てば攣らなくても済むのですが、力を入れるとまた攣りそうになります。
とりあえず幕営地にふさわしい場所を見つけ、雪をスコップでかき出して穴を掘り、そこにテントを設置します。テントと言っても今回は自立型のツェルトなので、冬山向けではありません。でも雪に囲まれた穴の中ではとても静かでした。
で、手袋にしろ衣類にしろ汗で大量の水分を含んでおり、絞ると水がたくさん出るくらいでした。手袋と靴下は着替えましたが、シュラフとシュラフカバー、テントシューズを履いても寒く、お湯を沸かしてペットボトルの中に入れて湯たんぽ代わりにしました。これがまた暖かく、安心して眠ることができました。ただ2〜3時間で冷えてくるので、目が覚めたらまた温めて作り直します。
ガスを使うたびにテント内が結露した水滴が下に垂れ、体温で雪を融かす効果もあってお尻の位置が一番低くなり、そこに水が溜まります。
エアーマット上とは言え、お尻の部分だけは濡れから開放されませんでした。
また相変わらず、変に力を入れると攣りそうになって往生しました。
翌朝、この時期はなかなか明るくなりません。6:30を過ぎて少し明るくなり、朝食も済ませてパッキングし、雪が小康状態になったタイミングでテント外に出て撤収します。しかし出口が雪で埋もれているため、まずはその雪をかき出す作業から開始です。
下山は荷物も少し軽くなって・・・というのは見事に裏切られ、水に濡れた昨日の手袋、靴下、タオル、テント、シュラフなどなどがずっしりと重みを増しています。
まずは取立山への登り返し、昨日はこっちに下りずにピストン方向に下ればよかったと思っても後の祭り、最後のシール登行です。
やっとこさ取立山に再び立ち、シールを剥がし、いざ滑走モードに入るのですが、新雪が深くスーパーファットでも沈みこみが大きくあまりスキーが進みません。下山もラッセル雪漕ぎです。
ここの下りはなだらかであるから故にルートを間違いやすく、薮に阻まれて難儀します。ちょっと進んではGPSで確認、軌道修正を繰り返します。途中でわずかに残ったトレース跡を見つけたときは安堵しました。
しかしこのトレース、逆に新雪のたまり場になっており、余計にスキーが走りません。昨日のトレースは役立たずでした。
九十九折の部分はショートカットしたくても薮が多く、大半は登山道通りに下山しました。荷物が重い、新雪で沈みすぎ、と苦労の連続でした。
そして無雪期登山口まで滑り降りたときは「帰ってきた感」に満たされました。まだまだ緩斜面のラッセル漕ぎが続きますが、我慢です。
と、今朝のスノーシューかワカンのトレースを発見!ここに入るとスキーでぐんぐん滑って下りることができます!これこれ(笑)
そして適当にショートカットもして、そこからはあっという間に駐車地まで戻ることができました。
しかしそれにしてもハードでした。5月の鈴鹿セブンマウンテン6座一気狩りとどっちがハードか?ちょっと悩むレベルです。(実際は鈴鹿の方がハードでしたが)
冬山、特に新雪の時期は予想外のことで体力を消費し、それがきっかけで足が攣るとか、色々と連鎖的に問題が発生し、生命の危機に至ることがあります。
泊まり装備を背負うのではなく、日帰りでなるべく軽量化し、日帰りで余裕を持って行ける計画にしておくのが、色々な意味で正解じゃないかと思います。そういう意味ではとても貴重な経験になりました。
昨日はありがとうございました。
楽しかったです。
勉強になります。これはあれですか、もう少しでテントが雪に押されてヤバイ状態なのでしょうか?
スゴイの一言。なかなかやれませんよ。これ。
まさか子連れ狼ならぬ子連れゴリラだとは思いませんでしたよ〜みんな「カワイイ」を連発してましたよ
空のペットボトルを2本くらい予備に持って行くと何かと役立ちます。水場での汲み出し用とか、雪から水を作って残しておいたり。
そうですね〜もう6時間くらい経つとかなりやばかったと思います。全体が雪で埋没して脱出するためにテント内に雪が入りまくったり・・・あんまりやるもんじゃありませんよ。ここで自制するか、調子に乗ってまた行くかが遭難する人しない人の分かれ道なのかと思います
パーティーを組めば、ラッセルの負担も荷物の負担も軽くなるのでその分楽でしょうね。精神的にも。
ラッセル泥棒させて頂いたキャンプ場で幕営の家族連れです。有難うございました _(__)_
あの雪の中でツェルト泊とは、凄いですね。私達にはとてもできそうにないです。キャンプ場付近まででもスノーシューで、時に膝くらいまで埋まるような雪(もっとも私と家内の荷物は軽く30kg超ですが)の中、スイスイ登られていったので、感心しておりました。
単独ラッセル、素晴らしすぎます。
adieuさん初めまして、よくぞ見つけていただきました
さすが北陸、近畿地方のラッセルとは格が違いましたね
あの中を家族連れでしかもテント泊とはなかなかできるものではありません、お子様たちも自力でスキーで登っては滑りされてて、さすがだと思います。
北陸にはまた3月になったらお邪魔する予定です
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する