唐松岳@八方尾根・・敗退

- GPS
- --:--
- 距離
- 3.0km
- 登り
- 244m
- 下り
- 244m
コースタイム
| 天候 | 快晴+暴風 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2010年05月の天気図 |
| アクセス | |
| コース状況/ 危険箇所等 |
八方池まで、積雪は1mぐらいありますが、コースは問題ありません。 ただし今回は、第2ケルン以降強風が吹荒れ、強い時は立っているのも困難な状態でした。休憩時話をした男性は、「不帰のキレットを抜けた風が、もろにこの辺りに吹きつける」と言っていました。 山麓駅の登山相談所の情報では、丸山以降のコースはアイスバーンで右側(白馬側)にセッピが出ている、との事でした。 |
写真
感想
久しぶりの登山。恒例のGW北アルプス山行を計画しました。初めは、三股口から蝶が岳登頂を計画しましたが、無雪期の経験がないコースを積雪時に登る事の不安と、コースが尾根筋でないのでもしかして昨日の雨で雪面が緩み雪崩の危険を感じて、出発直前に唐松岳@八方尾根に変更しました。
天気は快晴でしたが、前回の那須に続き、またしても強風と言うより暴風にさらされ、あえなく八方池で引き返しました。
本山行では、私のサングラスがいつの間にか吹き飛ばされしまい、また、他人の方でしたが、一緒にケルンの陰で風をしのいでいた男性のザックが一瞬のスキにアッと言う間に吹き飛ばされ、五竜側の谷に転げ落ちてしまいました。大型のザックでしたので、大切な山道具がたくさん入っていたかと思います。ご本人は、しばし唖然としていましたが、なすすべもなく、下山されました。
そんな状況の中でも、登山者の6割位は八方池から丸山に向かって登り出しましたが、はたして何人の方が唐松岳頂上小屋にたどり着けるのか、とても不安に思いました。残る我々を含む4割位の登山者は、ここでUターンとなりました。
GWの北アルプスは、気温も零下で、まだまだ冬ですね・・。そして、風の恐ろしさを再確認する山行でした。
●登山
山麓駅には登山相談所が設けられ、登山届を作成ながら、登山道の状況を教えてもらった。
山小屋は営業している。丸山から先はアイスバーンになっていて、左手にはセッピが張り出している、また15m以上の強風が吹いている。との事で、思った以上に険しい状況である。回りにはかなりの重装備の登山者も多い。
客が多く、ゴンドラの切符を買うのに10分乗るのに10分位かかった。3つのゴンドラとリフトを乗り継いで、第一ケルンに到着する。
5月に入ったが回りは一面銀世界、予想以上の雪の多さに北アルプスのすごさを再確認する。山頂駅の広場では、登山者もそれなりに多く、皆ここでアイゼンを着けて登山の準備をしている。
ここでは風は穏やかで、今後の暴風は想定もしてなかった。
出発すると無雪期とはまったく異なった景色が広がり、たおやかな雪面の登りが続く。
その内に左手には鹿島槍と五竜がセリ出し、右手には白馬三山が広がる。さすがに雪を抱いたアルプスは素晴らしい!
広々した真っ白な尾根をアイゼンを利かして登る。すぐにトイレ小屋(休業中)に到着するが、この辺りから風が気になりだす。
白馬岳方向と五竜方向の雲はドンドン晴れ渡る傾向で、天気はGOODである。
人の顔に見える八方ケルンに着く頃は、かなりの強風で、皆ケルンの風下側に逃げ込むようにして休憩する。
この頃から、本日の唐松岳の登頂に?がつきだす・・・。取りあえず、お結びを食べて、八方池を目指す。
程なく八方池ケルンに到着するが・・、風は益々強くなり暴風と化した。時折強風が吹くと、立っているのが困難な猛烈な風である。人生の中でも一番の強風である。
しばらく様子をみて、10mほど先に進むが、とても登山の状態にならない。風に耐えるために地面にヒザを着かないと飛ばされそうになる。
跳ね上げ式のサングラスも強風で上がってしまい、機能しない。カメラをシッカリ構えても、風の波に揺すられてマトモナ撮影ができない。
逃げるようにケルンの後ろに逃げ込み、迷うことなく本日はここまで、となる。
その中、多くの人が丸山へ向かって歩いているのが見えるが、彼らははたして大丈夫なのか?とても心配になる。いくらベテランでも今の1.5倍の風が吹いたら、体が持ち上がり滑落してもおかしくない。
また、我々が八方池ケルンで休んでいる最中にも、3人以上の登山者が我々と同じに、本日の山行を諦めて下山を決断した。
その中で単独行の男性も、ここ八方の積雪時の登山は3回目との事であるが、今日のこの風は参った、との事である。
我々も敗退を決めた後も、ケルンの後ろで様子見をしたが、その際、ケルンに立ち寄った男女2名の登山者の男性が、60L位あるザックをおろした際、ちょっと放置した空きに、突風が吹きザックがいとも簡単に谷底に転げ落ちてしまった。
ケルンの裏で風を避けていたのに、重たいザックが吹き飛ばされてしまうほどの強風である。
これが人間だったら・・・。風の恐ろしさをビビッドに体験した。
残りのお結びを食べ、少し未練ながら、下山に入る。
すると、私のサングラスも強風ではね上げられそのまま飛んで行ってしまった。自分は、いつ飛んで行ったか一行に分からない、とにかく強風の中で半分パニックの中で気がついたら無くなっていた・・・・
下山時も直後は風は一向に治まらず雪煙で景色がぼやけるほどである。しかし、高度を落とすに連れて段々弱くなり、一気に安堵する。
山頂駅に到着すると、今までの強風がウソのように穏やかな天気である。八方池も風が止んでいるかと錯覚してしまう。
本当に山の天気は局所的にまったく異なるので油断ができない。予測も難しい・・・
一服して、本日の今後の行動について検討をする。
下りて別の山に登るか、山頂駅の小屋に泊って明日の再起を目指すか、山以外の観光をするか、おとなしく帰宅するか。
サングラスを紛失してしまった今、登山を続けるのは無理と判断し、結局、下山して、猿倉や三俣登山口を視察しながら帰宅する事にした。
リフトの乗換駅の広場にはたくさんのスキーヤーでごった返している。ここはまさしくスキーシーズンである。









5月3日に同ルートで入山した者です。八方ケルン付近で南側の谷に人工物を見つけ,もしや遭難者ではと確認するため降りました。するとザックだけで,人は見あたらず,そのまま放置するのもどうかと思い,八方ケルンまで持ち上げました。5月1日のゴンドラの荷物券がついていましたので,おそらくこの記事に出てくるザックだと思われます。我々は上に向かいましたが,翌日下山するときにはその場所にありませんでしたので,どなたかが持って降りてくださったものと思われます。オスプレイの大型ザックでした。連絡先などは見つけられませんでした。
T-W0305さん、こんばんは!
コメントありがとうございます。
ご指摘のザックは、たぶん我々と一緒に風をしのいでいた男性のザックと思われます。
落とした場所も、第二ケルンと第三ケルンの間にある、(人の顔に見える)八方ケルンからでした。
落とした方は、女性との二人のグループでしたが、当方あいにく、お名前や住所は、聞いておりません。
落とした方が下山後、リフトの係員や山麓駅の登山相談所に届けていれば、無事に戻っているかと期待しております。
それにしても、雪崩の危険がある谷筋に救助の志で降りられた、T-W0305さんの勇気に感銘いたします。
ザックには替え難い愛用の道具や貴重品が詰まっていると思います。
本当に、無事にご本人に届いている事を祈っています。また、このヤマレコの愛読者である事も少し期待しています。
こんな繋がりがあると、益々登山者の皆さまと、山でふれあう事が楽しくなりますね。
ありがとうございました。
同じ日に怖い思いをした者です。
私は家内と共に4/30と5/1で八方尾根-唐松岳山荘間を往復しました。初日は途中からひどい吹雪になり、消えかかったトレースをたどりながらようやく小屋にたどり着いた時は本当にホッとしました。
翌日5/1も朝9時くらいまでガスがかかっていて、晴れを待って小屋を出発したところ、風が吹きはじめました。引き返す訳にいかず、何度も身をかがめながら風に耐え、小やみになったら進むという感じで下りました。風もさることながら、巻き上げられた雪の粒が、目出し帽とサングラスの隙間のわずかな露出面にビシビシ当たるのが辛かったです。何とか第二ケルンまで下りるとずいぶん風はやわらいでいました。筆者様の書いておられるとおり、山頂駅ではほぼ無風でした。初日も2日目も下界は快晴だったのことで、上と下では随分違うものだと思いました。
山頂駅では何組か引き返された方々がいらっしゃいました。私たちも5/1が往路だったら間違い無く途中で引き返していたと思います。
kiyonovさん!初めまして、こんばんは!
5/1同じ日に、山頂小屋から八方尾根を下山されたのですか!。小屋からですとかなりの距離があったかと思います。
体験談をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。この日は私ども夫婦も、自然の怖さをビビッドに体験しました。
おっしゃる通り、柔らかそうな雪の粒が暴風の中では、小石の礫のようで痛かったのを思い出します。
このような体験も、無事に下山しkiyonovさんと共有してお話させていただくと客観性が増し、貴重な経験・知識として頭に焼きつき、そして確実に今後の安全登山に活かせます。
色々な怖さを理解しコントロールして、素晴らしい雪山を安全に楽しみたいと思います。
5/1に、唐松岳に、向かう途中で、突風により、ザックを飛ばされた持ち主は、私達です。
ブログに載せて頂きありがとうございます。
危険なところまで降りてザックを拾いあげて頂いたT-W0305さん 八方池山荘まで 運んで頂いた Мさん 山荘の方達 皆様のお陰で 一昨日手元に届きました。
感激です!!ありがとうございます。
事後報告になって申し訳ありません。あの日は、突風が強く、雪煙を浴びながらも、ゆっくり進み。八方ケルンのあたりで、休んでいた時、一瞬の強い風が・・・ ザックは、あっけなく転げ落ちていきました。どうする事も出来ず
こんなにも早く、手元に届くなんて!!皆様のあたたかさと、登山者の繋がりの大切さに、感謝致します。
ありがとうございました
また、唐松岳にチャレンジしたいです。
wasabiさん、はじめまして、こんにちは!!
ご連絡ありがとうございます。
ザック手元に戻ったのですね!!!本当によかった、よかった。
お話を聞くと今回のザック救出劇は、登山を志す人たちの熱い連帯感の賜物ですね。私も感激しています。
>思い出の一杯詰まっていたザック
共感いたします。
登山道具は、時には自分の命をも守ってくれるもので、購入して一度でも使用すると、自分の体の一部の様に愛着がわきます。
また、自分なりに色々工夫を凝らしたりして。
代替品やお金では替え難いものですね。
T−W0305さんの話を聞いてから、ご本人に無事に戻る事を、切に願っていました。
当日は本当に強い風でした。私もケルンの陰に居ても足を踏ん張っていました。
これからも、この強風の経験を糧にして、そして、登山者の熱いソウルに共鳴して、登山を楽しみたいと思います。
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