岡山県真庭市 櫃ヶ山(ひつがせん)生きものがたり

Machapuchare
その他1人 - GPS
- 05:21
- 距離
- 8.8km
- 登り
- 789m
- 下り
- 787m
コースタイム
- 山行
- 4:49
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 5:03
歩行距離9km、歩行時間4時間
| 天候 | 曇り一時晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2015年05月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
また、バス停(久納)もありましたので、バスのアプローチも可能なようです。JR中国勝山駅から湯原温泉・蒜山高原行のバスがあります。 |
| コース状況/ 危険箇所等 |
原則、地形図上の登山道を進んでいる限りは危険な箇所もなく、迷うところもほとんどありません。一般的には今回自分たちが辿った時計回りコースより、反時計回りコースの方がポピュラーのようです。 龍頭(りゅうず)の滝と登山道の分岐は2ヶ所ありますが、先に龍頭の滝を見てから、できるだけショートカットするために滝に近いほうの分岐を沢沿いに進みました。最初は集落跡(石積み)がいくつも出てきたので、生活道が続くものと安心していましたが、次第に道がなくなり、途中で沢をエスケープし地形図の道までヤブコギしながら合流しました。 前日の雨はたいした量ではなかったはずですが、沢沿いではなくても湿って滑りやすいところが何か所もありました。わずかながら水が流れている道や渡渉点もあり、大雨の後は注意が必要です。 |
| その他周辺情報 | 櫃ヶ山(ひつがせん)の登山口に面している国道313号沿いは全国的にも有名な湯原温泉をはじめ、足(たる)温泉、真賀(まが)温泉などの施設があります。登山や湯原クライミングセンターで汗をかいた後はゆっくり温泉に浸かると心身ともに癒さされます。 温泉街をさらに南へ行くと、神庭(かんば)の滝があります。日本の滝百選に指定されており、高さ110m、幅20mの断崖絶壁を落下する滝の豪快さは、西日本一の規模を誇っています。 |
写真
名は「吸い葛」の意で、古くは花を口にくわえて甘い蜜を吸うことが行なわれたことに因んでいます。砂糖の無い頃の日本では砂糖の代わりとして用いられていたこともあります。花色は白から黄色に変化します。
モリアオガエルのふわふわの泡に包まれた卵は、この時季多くの場所で見られます。これはコンクリート壁に産み付けられていました。6月14日に真庭の津黒いきものふれあいの里で観察会が催されるようです。
ハルジオンとヒメジョオンはそっくりですが、4月から5月に咲くハルジオンに対し、ヒメジョオンは5月から晩秋まで咲いています。 いつのまにかそっくりさんに交代していたようです。国道313号線沿いに多数咲いていました。
ガクウツギよりも花が小さく、初夏に装飾花をちりばめた花序(花の集団)を形成します。たくさん咲いていました。ここを過ぎて龍頭の滝へ向かう道に入ると、湿って滑りやすそうな落ち葉道や橋が出てきます。
自然が作り出したのか、人工的なのか判断がつかないほど、壁面が見事に平らになっていました。この先の橋の上には倒木がありますが、通行に支障はありません。苔むした石の上を注意して歩くと滝のそばに行けます。
別名波切り不動滝とも呼ばれ、昔旭川に棲んでいた巨大な竜が、滝へ登る時に頭が見えたと云われ、この名が付きました。ここで行き止まりなので、滝へ向かう道の分岐まで引き返して沢沿いに進みました。
沢沿いの倒木や石ごろが激しくなってきたため、崩れやすい斜面を上っている途中で見つけました。サンショウに比べ、木も葉も実も大きいです。カラスが実を好むためその名がついたようですが、人間にとってはもっとも近寄りがたく大きな棘をたくさん持っています。
同じ仲間のシロツメクサよりも、やや遅れて5月頃から咲き出します。花も葉も、シロツメクサより一回り大きいです。葉っぱにV字形の模様が付いているのも特徴の一つです。林道出合の草地にたくさん咲いていました。
金緑色の胴体を持ったトンボで、オスには透明のはねを持つタイプと、褐色のはねを持つタイプがおり、写真は後者です。ここからは湿ったところが多く、コガクウツギがあちこちに咲いていました。
5月から6月にかけて小枝の先に短い総状花序を出し、釣り鐘状の白い花を下向きにつけます。この日はエゴノキもたくさん観察できました。特にここはエゴノキの大木に囲まれた広場のようになっていました。
22のフラワーロードを歩いていると、突然サワガニが現れました。我々が近づくと「どこからでもかかってこいや!」とファイティングポーズをとりました。しばらく進むと分岐があり、谷沿いの湿った石ごろ道を進みました。
花の真ん中には花径5mmくらいの黄色っぽい両性花が集まり、 その周りを、花径3〜4cmくらいの5つに裂けた白い飾り花(装飾化)が取り巻いています。 沢から逸れると笹の間をぬう道になりました。
先端の尖った真っ白い花びらを4枚もつ花を枝いっぱいに咲かせます。厳密に言うと白い花びらの部分は「総苞(そうほう)」と呼ばれる葉に近いものです。咲き始めなのか、淡いクリーム色に見えました。
稜線に出ると気持ちのいい笹原が広がり、サイドにヤマツツジが咲いていました。花の色は朱色のものが多く 花冠は花径4、5cmのロウト形で、先が5つに裂けています。 裂片には丸みがあり、裂片のうち一番上のもの(上弁)には、濃い斑点があります。
42の案内板には2分と書いていたので、寄ってみました。ほとんど涸れ沢にパイプがセットされているだけでした。水は一滴ずつしか落ちてきませんが、周辺はぬかるみがひどく、足を突っ込んでエラいめに遭いました。ロスタイムでした(+_+)
カラスアゲハは花にとまって密を吸う時、羽を揚げてとまるアゲハチョウの仲間で、黒っぽいので烏(カラス)に例えて名付けられました。光の加減で羽の色が違って見えます。ここを過ぎて5合目からは再び日陰になり、滑りやすい黒土や小石がごろごろしたところもありました。
沢を見下ろすと1輪だけ咲いていました。もう開花時期は終わっていると思っていたので驚きでした。しかも花は一日しかもたず、開花した翌日にはしぼんでしまうと言われており、貴重な1輪に遭遇しました。
コチャバネセセリはハエのように直線的に飛び、いろいろな花で吸蜜します。地上で吸水したり、動物の糞にやってくることもあります。この日はカノコソウがお気に入り!?アオスジアゲハには逃げられましたが、カノコソウロードがしばらく楽しめてよかったです。
クロアゲハ
お墓の脇がちょっとした花壇のようになっていました。ムシトリナデシコ(蝶がとまっている花)はハエトリナデシコやムシトリバナの別名があり、蟻などの虫を捕らえる機能を有します。蝶は影響なし?手前の大きな花は園芸植物のジギタリスで、数種類咲いていました。
ハエ取り紙(たとえが悪い(*_*))のように、茎の真ん中あたりで粘着性の分泌物を出すためにそこに虫がひっつくだけで、食虫植物ではありません。虫にとってはいい迷惑です。ここだけ小さな花畑のようでした。
装備
| 個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下(厚手)
軍手
雨具
スパッツ
日よけ帽子とフード
雨用帽子
登山靴(防水加工)
靴ひも予備
着替え一式
アタックザック
ザックカバー
地形図
コンパス
ファスナー付クリアーファイル
筆記用具
携帯
時計(防水)
タオル
カメラ
飲料水(スポドリ&茶)
水筒(保温)
非常食(栄養補助食品)
スマホ(山使用可能)
eTrex30(GPSナビゲーター)
|
|---|---|
| 備考 | 雨の日の翌日の登山でしたので膝から下がびしょ濡れとなりました。最初からスパッツかカッパ(ズボン)をつけておくべきでした。 |
感想
櫃ヶ山、皆ヶ仙、仏ヶ仙、雨乞山、津黒山、星山、朝鍋鷲ヶ山、さてこれらの山に共通していることは何でしょう?・・・これらの山はすべて真庭市にある山で、山の文字を“せん”と読みます。鳥取、島根、兵庫、岡山県にまたがる地域の山は“せん”と呼ぶ山(大山や氷ノ山など)が多くあります。全国の“せん”と読む山の大半がこのエリアに集中しています。
岡山の郷土文献によると、8世紀に天台宗角磐山(かくばくざん)大山寺が開かれて、大(だい)も山(せん)も呉音であり、天台宗とともに大陸から渡ってきた目新しい文化であったため、そのハイカラな呼び方が近隣の山名にも普及した、とあります。また、岡山県北の山々は多くの修験山伏の行場であり、行者(仙人)のこもる山をセンと呼び、仙とも書くようになった、とあります。今回訪れた櫃ヶ山(ひつがせん)も、そんな山の一つで、山を神聖視し崇拝の対象とする信仰が行われ、パワースポット的な要素も持ち合わせているのかもしれません。静寂ながら沢の水音、野鳥などの動物の鳴き声、風で木々がざわめく音などが山行中常に耳に入ってきます。
櫃ヶ山はこの時期は予想以上に生きものの宝庫でした。車を停めた場所からいきなりその洗礼を受けました。駐車場所近くの水路の側にモリアオガエルの卵を見つけました。またその水路の水の中を覗いて見ると、卵から孵化したオタマジャクシを狙うアカハライモリの群れを発見しました。また、スイカズラやウツギなどの植物の花も開花していました。詳しくは写真で紹介をしていますが、この場所だけでも出発が10分ほど遅れる羽目となりました。ここがまさに“生きものがたり”のスタートポイントとなりました。
ここから先も注視しながら歩いていると、カラスザンショウ、サワガニ、ユキノシタなど普段の山行ではめったに見られない生きものに出会えました。蝶がアザミなどの花の蜜を吸うシーンやトンボが飛びまわるシーンはこの時季の日常の光景と化していました。
残念ながら期待していたオオサンショウウオ(特別天然記念物)を発見することはできませんでした。川の岸辺の横穴や岩場の下に潜んでいることが多いので元々視界に入ってくること自体が稀有な生きものなのですが、櫃ヶ山は知る人ぞ知るオオサンショウウオの生息地だったので、サプライズな発見を期待していただけに少し残念でした。世界最大の両生類で、周りに天敵も特におらず人間より長寿で、生きた化石と形容されるオオサンショウウオに対する興味は今後も尽きることはありません。
山道は素直に標識に従って進めば、地図も必要ないぐらいに分かりやすいです。しかし、道幅がせまい所が多く、草木を縫うように進む箇所もたくさんあるので、雨が降った後の山行にはたとえ晴れてもカッパやスパッツを装着したほうがいいと思います。今回はそうしなかったために、雨が降っていないのにも関わらず、膝から下がびしょ濡れになりました。
また、土壌が黒土の所も多く滑りやすいので、傾斜がきつくなった登り下りでは足場を一歩一歩確認しながら慎重に歩いていく必要があります。
稜線にいったん出てくると傾斜も緩やかになり、晴れていれば360度パノラマ展望が効くロケーションとなり、櫃ヶ山頂上前後の山行がとても楽しくなります。
今回の山行は全体として見ると、天候にあまり恵まれず景色をほとんど楽しむことができなかった分、結果的に身近にいる自然に目がいき、多くの生きものの発見ができたことで、想定以上の満足感がありました。










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