仙人池〜阿曽原温泉〜水平歩道


- GPS
- 80:00
- 距離
- 30.5km
- 登り
- 2,455m
- 下り
- 4,286m
コースタイム
立山駅9:00 - 10:00室堂10:30 - 13:00剣御前小舎10::15 - 10:35別山10:50 - 15:00剱沢小屋
9/25
剱沢小屋6:45 - 8:45真砂沢ロッジ9:30 - 10:18二股吊り橋10:30 - 12:55池の平小屋13:35 - 14:20仙人池ヒュッテ
9/26
仙人池ヒュッテ8:30 - 9:47仙人温泉10:15 - 13:00仙人ダム - 14:05阿曽原温泉
9/27
阿曽原温泉7:10 - 9:25オリオ谷 - 10:25大太鼓 - 10:42志合谷トンネル - 13:25欅平
天候 | 9/24曇り(視界はクリア)、その他は終日晴れ。 |
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過去天気図(気象庁) | 2010年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
剱沢から仙人池、水平歩道、欅平へ向かう方向を基準として、左岸、右岸としています。 逆からの山行は左右逆に考えて下さい。 剱沢雪渓は、例年よりも雪が多いそうですが、所々は薄くなっており危険箇所があります。 また、当情報は、あくまでこの山行当日の状況であり、日々雪渓の状況は異なります。 必ず事前に、剱沢の山岳警備隊や剱沢小屋、真砂沢ロッジにて情報を訊くようにして下さい。 剱沢小屋では、手書きの地図に詳しく危険箇所やルートを示してくれます。 武蔵谷の出合辺りから雪渓が始まりますが、ここはまだ薄く危険です。 右岸の秋道を通って下さい。 平蔵谷の出合辺りから雪渓歩きとなります。 途中、クレバスもあるので注意。 雪渓歩きは長次郎の出合の辺りを少し過ぎるまで。 そこから先少しにナムの滝があり、手前の雪渓も薄くなっている場所があります。 長次郎の出合を過ぎた段階で、早めに左岸の巻き道に入った方がいいでしょう。 真砂沢ロッジに水を引くためのパイプが左岸に向かって伸びているので、それを辿ればいいでしょう。 この辺りの雪渓上は急斜面もあるため必ず6本爪以上のアイゼンを装着のこと。 特に、ナムの滝近くでは万が一滑った場合、そのまま滝に落ちてしまいます。 ナムの滝を過ぎて真砂沢ロッジが見える辺りでまた雪渓の上を少しだけ歩きます。 アイゼンをつけなくても歩けましたが、本来ならちゃんと装着すべきかと思います。 真砂沢ロッジの手前で雪渓が薄くなるので、状態を確認しながら左岸の登山道に入って下さい。 真砂沢ロッジから先、二股の吊り橋まではずっと左岸を通ります。 三ノ沢の雪渓はもうなくなり、沢をそのままトラバース出来るので、右岸に渡る必要はありません。 四ノ沢を過ぎた途中まではマーキングがしっかりついているので迷うことはありません。 二股に出る少し前から、ペイントのマーキングがなくっていますが、 ルートになる大きな石の上には小さなケルンのように石が積まれており、それを頼りにして下さい。 仙人新道の登り口に入ってすぐに、池の平と仙人池への分岐がありますが、 マーキングが樹木に隠れておりわかりにくいです。 気づかずまっすぐ行ってしまうと池の平方面に向かう北股の道に入ってしまうので注意して下さい。 仙人新道は出だしは結構急登です。 仙人池ヒュッテから仙人温泉に向かう沢沿いの道は、所々崩落している場所のトラバースがあったり、 沢を渡る場所があるので、足を滑らせないように注意して下さい。 雲切新道は4時間近く、急な下りを歩きます。 途中、梯子やロープなどいくつもあります。 樹木が茂っているのでわかりにくいですが、細い尾根筋を歩く場所もあるので、滑落に注意。 また、木の根が複雑に露出している場所が結構あり、足を取られやすいので、慎重に通って下さい。 仙人ダムを越えるとすぐに標高差150mほどの高さを一気に登る急登になります。 阿曽原温泉を出てから水平歩道に入るまでも標高差100m以上の急登。 水平歩道は、ほとんどは樹木がかなり茂っているためちょっとわかりにくいですが、 谷側は数百メートルばっさり落ちてる場所がいくつもあります。 ただ、半分近くはそれなりに快適な山道です。 ワイヤーのある場所は常にワイヤーを掴みながら歩く方が安心出来ると思います。 丸太の桟道がいくつもあります。滑りやすい場合があるので慎重に。 丸太の桟道や、H鋼と鉄板で作られた道などは、一人ずつ渡るようにした方が良いかと。 苔の生えている石は要注意。うっかり足をおくとツルリ!と滑ります。 志合谷のトンネルはヘッデンの他に、単三電池2本のマグライトを使いましたがかなり便利でした。 |
予約できる山小屋 |
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写真
感想
当初、9/22の中秋の名月を仙人池で裏剱とともに愛でる計画を立ててたが、天気が悪くなる予報で断念。
憧れてた仙人池ヒュッテ、諦めきれずに毎日天気図(地上&高層)とにらめっこ、天気サイトの情報をかき集め。
そして9/24〜9/27の間は雨は晴れる!と判断し、山行計画。
満月は過ぎてるが、早朝、裏剱に月が沈む景色となるはず。
結果、その読みはドンピシャリ!
最高の景色と山行を満喫。
今回は3泊の日程。
剱沢から雪渓を下り、仙人池、水平歩道を通り欅平まで。
一日の行動時間は、コースタイム+αで6時間程度に設定。
その気になれば一日で仙人池に行けるらしいが、剱沢雪渓を下るのは初めてなのと、体力的にもキツいのでそれはやめ。
ゆっくりと景色と名物の山小屋(剱沢小屋、仙人池ヒュッテ、阿曽原温泉)を楽しもうよ、ということで。
9/24、9:00発のケーブルで美女平着、そこは濃いガスの中。
弥陀ヶ原を過ぎた辺りからガスが晴れ始め、上空は高曇りも視界はとてもクリア。
この日は剱沢小屋泊まり。時間はたっぷりあるので別山まで行く。実は別山は今まで登ったことがない。
祠のピークまで登り、奥のピークには行かず。今回の山行、ピークハントはこの別山のみ。
剱沢小屋に行く前に、剱沢の山岳警備隊で雪渓の状態や翌日からの登山道の情報を訊く。
対応してくれた若い隊員はとても親切丁寧に情報を提供してくれた。
そういえば、山行の10日ほど前に富山県警山岳警備隊にメールで登山道の情報を問い合わせていたが、わざわざ電話にて情報を連絡して下さった。
この時も本当に親切丁寧に対応いただき、改めて感謝。
さて、剱沢小屋。
受付で翌日の予定を聞かれ、仙人池ヒュッテに行くが予約がまだ、と伝えると、「こちらで連絡いれておきますね。」とのこと。
さらに、剱沢雪渓の手書きの地図で、危険ポイントやルートなどを詳しく教えてくれた。(たぶん、若御主人の新平さん。)
しかも、「剱の主」と言われる御主人の友邦さんから直々に細かいポイントを詳しく教えていただく。
真砂沢ロッジにまで現状の確認連絡をして下さった。
飛び石連休の中日、世間は平日、宿泊者は16人。一部屋に4人だけで、広々とスペース。
剱沢小屋の夕食は噂通りのでっかいトンカツにカレースープ。(前日はビーフシチューだったそうだです。)
ほんとに山小屋?と思うほどの豪華な献立と、ほんとに食べきれるのか?と思うほどのボリューム。本当に美味しい。
セルフのインスタントコーヒーが1杯100円なのも嬉しいサービス。
あと、ここにはシャワーがある。これはマジで嬉しい。
そしてなんと言ってもトイレが奇麗過ぎる!
9/25、この日の行程は仙人池ヒュッテまで。
特に急ぐこともなかったが、出発の準備が出来てしまったので、7時ちょい前に出発。ほとんど最後の出発者。
この日、剱沢小屋から仙人池方面に向かうのは私一人とのこと。
空は高曇り。だが、1時間ほどするとスッキリとした青空が広がり、軽快な雪渓歩き。
夏に白馬大雪渓を登ったときも快晴の空だったが、晴れてる時の雪渓歩きは本当に気持ちいい。
途中、登りの一人とすれ違っただけで、あとは自分一人の世界。この景色独り占め。
長次郎出合では、あまりの気持ちよさにしばらくボーっと立ちすくむ。
頭がとろけちゃうなぁ。
ほどなく真砂沢ロッジ。
小屋の前で御主人の佐伯さんがくつろいでおられ、私も休憩させていただきしばし談笑。
おおらかな人柄で、ここから先の登山道情報などを教えていただく。
真砂沢ロッジをあとに、沢沿いの川原を下って二股の吊り橋。
ふと左を見上げるとぬけるような青空と三ノ窓雪渓とチンネの岩陵!
雪渓からの冷たい沢水を飲みながら、この絶景を堪能。
吊り橋を渡るとすぐに仙人新道。 最初は木々が生い茂る急登。かなりしんどい。
30分ほど登ると木々の間にパっと視界が開け、さっきよりも迫力のある三ノ窓雪渓とチンネと小窓の王が!
青空にこの景色。いやぁ、美しい。もう頭はトロトロ。
写真集やガイドブックで見た景色そのまま。
ここからしばらくするとベンチがあり、そこからも雪渓が見えるが、
ベンチ前のここが三ノ窓雪渓を望む最高の場所(撮影ポイント)かと。
ベンチを過ぎると傾斜は少し緩くなり、まもなく仙人池ヒュッテの屋根が見えてくる。
しかしこの仙人新道、結構キツい。剱沢小屋で一泊にしてよかった。
時間はたっぷりあるので、池の平まで足を伸ばし、少し休憩してから仙人池ヒュッテへ。
受付で到着のお茶をいただいていたら、仙人池のおかぁちゃんが奥から「ようこそ来て下さった。」
嬉しいなぁ。やっとおかぁちゃんに会えた!
今回の山行のメインはおかぁちゃんに会うことと、仙人池からの裏剱を堪能することだもんね。
すぐにお風呂をいただく。
これがおかぁちゃんとともに小屋の名物になっている檜風呂かぁ。気持ちよかったぁ。
夕食までの間、居間(本当は食堂なのだが、居間と言う方がふさわしい)で先着の方や小屋スタッフ、おかぁちゃんと談笑。
窓からは青空と裏剱。
なんて居心地のいい山小屋だろう。リピーターが多いのが納得。
夕食はシチューと鶏肉のフリッターなど。ここの食事も本当に美味しい。
おかぁちゃん、「この小屋は剱沢小屋から来る人が多いんで、夕食作る前に剱沢小屋に電話して前日の夕食のメニューを訊いて、同じメニューにならんようにしてるんだわ。」
そこまでお客さんのこと考えてくれてるのね。
この日の宿泊者は単独、パーティー合わせて16人だったか。
私は、広い部屋に他の単独者とともに2人だけ。(この時の同室の方とは、最終日に一緒に行動することになるのだが。)
ところでこの日、同じ会社の上司(他部門ですが)であるAさんが室堂から一気に仙人池ヒュッテまで来るかも、と言ってたのだが。
待ってたが結局来なかった。(後日聞いたら、日帰りで早月尾根での劔岳往復に変更したとのこと。)
この仙人池ヒュッテの最大のイベントはなんといってもモルゲンロートの裏剱。
翌朝、5時に朝食をいただき池のほとりへ。
雲一つなく、すっきりと晴れ渡ってる。しかも無風。そして空には月。
ゆっくりと日が登り、裏剱の剱先から徐々に赤く焼けてくる。
磨かれた鏡のようになった湖面に映る裏剱。
もうこれ以上の絶景というか、美しい景色はないでしょ。
思わず涙が出そうになるほどの感動です。
快晴でしかも無風、こんな良い条件になるのはあまりないとおかぁちゃんも言ってた。
この日、この景色を堪能出来た人はみんな運がよかったのだね。
もう数日くらい滞在したいと後ろ髪を引かれつつ、仙人池ヒュッテをあとに次の目的地、阿曽原温泉へ。
仙人温泉で少し休憩し雲切新道。
少し登って尾根ピーク。白馬山系や五竜、鹿島槍などがくっきり。
ピークを過ぎてからすぐに長い長い過酷な下りの開始。しかも急坂。
途中でニホンザルに遭遇。さらにメインの水筒を崖下に落としてしまうというアクシデント。
ただ、降りきってしばらくに沢水があり、そこで1本だけのペットボトルに水補給。助かった。。
仙人ダムは施設内を通過。途中で有名な高熱隧道を横切る。
奥からはものすごい熱気と水蒸気と硫黄の匂い。
ここにくる前に、吉村昭著「高熱隧道」を読んできてたので、ここがその場所かとしばし感慨にふける。
仙人ダムを過ぎると、とどめの急登の登りと下りを経て阿曽原温泉。
ご主人の佐々木さん、「受付はあとでいいから温泉入っておいで。」
ん〜、疲れたからだにここの温泉は体にしみる。気持ちよ過ぎ。
ただ、ちょっと小屋からは遠いなぁ。(10分ちょい) しかも帰りは登りだし。
宿泊者は20人ちょいだったので、自分は12畳の部屋に4人でゆったりスペース。
夕食は自家製野菜の天ぷらなど。美味い。ミョウガの天ぷら、初めて食べたが美味美味。
今回の山行で泊まった小屋は、どこも本当に食事が美味しい。
それに、ここのご主人の佐々木さんはじめ、山小屋ご主人のみなさんのおおらかかであたたかいこと。
俗世間でこんなあったかい人達にはなかなか会えないんじゃないだろうか。
仙人池で同室だった、茨城から来られたHさんとここでも同室。翌日の水平道をご一緒させていただくことに。
疲れがたまってたのか、すぐに就寝。
翌朝、ほぼ最後にHさんと出発。
佐々木ご主人から、「水平歩道では絶対転ぶな、丸太の桟道は濡れてると滑るから気をつけろ。」などなど諸注意をいただく。
小屋を出てすぐの急登。出だしでいきなりこれはキツい。
ほどなく水平歩道に入る。
色々と事前に情報を集めて、結構ビビってたのだが、ほとんどは快適な普通の山道と言ってもいい感じ。
晴れていれば、木漏れ日の中、気持ちよく歩ける。途中途中の沢水も美味しい。
とはいえ、途中からは真下がバッサリと切れ落ちた断崖の道。高度感は満点。
で、あれだけ阿曽原温泉の佐々木ご主人から言われていたのに、転びました。(汗)
転んだ方向がもうちょっと悪かったら滑落だったかも。あぶねぇ。。。
志合谷のトンネルは結構長い。しかも暗い。ここを一人で通るのは怖い。
Hさん、ご一緒していただいてありがとうございます。
長い長い水平歩道、後半は足が上がらず、ふんばりも利かず。
最後は欅平への急な下り。足はすでにヘロヘロなのに、この下りはキツい。
結局、阿曽原温泉から欅平着までは、コースタイムを大幅に超える6時間ちょいかかってしまった。
旅の最後のシメは温泉。
Hさんと一緒に名剣温泉で汗を流してすっきり。ちょっとお湯が熱かったけど、いい温泉である。
今回は、すべての日が天気に恵まれ、最高の山行となった。
景色も絶景の連続。
泊まった山小屋はどこも居心地がすごくよかった。
山小屋のご主人、知り合えた人々、すべてがあたたくいい人ばかり。
なんて思い出深い山行だろう。
今回は3泊という余裕のある行程だったおかげで、景色と山の人をゆっくり楽しみことが出来た。
自分にはこういうペースの山行が合っている。
劔岳や阿曽原温泉に行く予定を組むのであれば、事前に「劔岳〜点の記 新田次郎」や「高熱隧道 吉村昭」などを読んで行くことをお薦め。
これを読んで行くのと行かないのでは、その山や場所の見方や感じ方がまったく違ってくる。
とくに高熱隧道では、読んでいなかったら単に「熱いトンネルだなぁ」くらいにしか思わないだろう。
その山、その場所の歴史を知ることによって、山行がさらに楽しいものになるかと思う。
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