ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 8633457
全員に公開
沢登り
塩見・赤石・聖

大井川 所ノ沢〜上所ノ沢[布引ノ沢]廿滝沢(仮称)遡行

2025年08月30日(土) 〜 2025年08月31日(日)
 - 拍手
体力度
5
1泊以上が適当
GPS
14:31
距離
11.9km
登り
1,896m
下り
1,923m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
5:35
休憩
2:04
合計
7:39
距離 5.1km 登り 980m 下り 438m
8:46
25
スタート地点
9:11
11:15
310
16:25
宿泊地
2日目
山行
6:48
休憩
0:04
合計
6:52
距離 6.8km 登り 916m 下り 1,485m
8:18
71
宿泊地
9:29
9:33
337
15:10
ゴール地点
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2025年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
リニア中央新幹線工事の事前環境調査として、東俣林道通行許可を頂き、赤石渡付近の路肩に駐車。
コース状況/
危険箇所等
〇所の沢(二俣まで):4級下
 倉沢と似た沢だが、登りがいのある滝やゴルジュは下流部に集中しており、滝が大きめな分核心部は短い。殆どの滝は直登でき、直登できない滝も小さく巻ける。1650m付近の上部ゴルジュも全て直登可能。湧水は少なく倉沢より水量は少ない。

〇上所の沢[布引ノ沢]〜廿滝沢(仮称):2級上
 上所ノ沢本流は容易な滝がいくつかある程度。廿滝沢に入ると20個程度の滝が連続し、水量は少なめだが概ね直登可能でそれなりに楽しめる。所ノ沢の遡行が順調で時間が余りそうな場合には悪くない選択肢だろう。

〇所ノ沢右岸尾根
 藪や岩場はなく下りやすいが、ところどころ急斜面でザレている箇所もある。
その他周辺情報 【地名】
・登山大系では1725二俣の左俣を「布引ノ沢」、右俣を「本谷」としているが、現地の状況からは右俣を本谷とすることに疑問がある。本記録では南アルプスと其渓谷 : 時間記録と費用概算(平賀文男,1931,朋文堂)に従い、左俣を「上所ノ沢」、右俣を「下所ノ沢」とする。
・今回遡行した、上所ノ沢の1815m右岸枝沢に名称は確認できない。左側にあり、滝が二十(=廿)個程度ある沢であることから、廿滝沢(はただきさわ)と仮称する。
・今回下降した、倉沢と所ノ沢の間の尾根に名称は確認できず。

【他の記録】
・上所ノ沢の廿滝沢は記録未見。
○所ノ沢〜上所ノ沢
・わらじの仲間 わらじ20 宮沢直樹・大津政雄(1996年8月)
 遡行図有。上所ノ沢を遡行した唯一の記録か。とはいえ上所ノ沢に何か大したものがある訳ではない。

○所ノ沢〜下所ノ沢
・初登:岳人267号(S44年9月号)に掲載、新岳人講座5(1981)に再掲。遡行図有。
 静岡頂会の高橋弘らによるもので、1966年8月〜1968年9月に亘る6回の試登の末、1968年9月22〜23日に初登された。
・日本登山大系9(1982)に掲載されている。遡行図有。
・日本百名谷(1983) 大津洋介による記録。時期不明。遡行図有。
・さがみ山友会 源流溯行3 中島節子ほか(1999年7月)
https://drive.google.com/file/d/1oXq0BX9hbqT5wanO8px446oEqSirH91C/view
 遡行図有。下部ゴルジュはほぼ全巻き。
・山登魂 治田敬人ほか(2000年7月)
https://yama-to-damashii.outdoor.cc/reports/shono.htm
・山登魂 高橋弘ほか(2005年7月)
https://yama-to-damashii.outdoor.cc/050716tokoronosawa/01.html
・かっきー[にゅで氏],よっしー[あう],moto.p[けも氏](2008年7月)
http://kemotop.web.fc2.com/Report/2008/20080719/20080719.htm
https://www5b.biglobe.ne.jp/~yoshi-k/syonosawa08.html
 文中で言及されているエロポンは、2005年に所ノ沢を遡行した木下徳彦と推測。
・ヒーブーほか (2012年9月)
https://ameblo.jp/11harutomo/entry-11360791355.html

【本記録の新規性】
 上記の参照可能な記録等を確認した結果、本記録で新規性のある箇所は以下の通りである。
・20m大滝をフリーで登攀した。
・上部ゴルジュの内部を突破した。
・廿滝沢を遡行した。
林道から急斜面を下り赤石沢に降り立つ。ダムより下流の赤石沢は、石だけでなく水も赤い。
2025年08月30日 08:54撮影 by  SOG02, Sony
8/30 8:54
林道から急斜面を下り赤石沢に降り立つ。ダムより下流の赤石沢は、石だけでなく水も赤い。
F1(4m):何だか厳つく見えるが、ラバーソールなら左から簡単に登れる
2025年08月30日 09:10撮影 by  SM-G973C, samsung
1
8/30 9:10
F1(4m):何だか厳つく見えるが、ラバーソールなら左から簡単に登れる
魚止め滝(F2/8m):右から直登を試みたが厳しいのでやめた。ハーケン打ってエイドして頑張れば登れそうだったが、岩が脆いのであまりやりたくない。右から小さめに巻き、立木から懸垂下降で沢に戻る。
2025年08月30日 09:16撮影 by  SM-G973C, samsung
8/30 9:16
魚止め滝(F2/8m):右から直登を試みたが厳しいのでやめた。ハーケン打ってエイドして頑張れば登れそうだったが、岩が脆いのであまりやりたくない。右から小さめに巻き、立木から懸垂下降で沢に戻る。
F3(2段10mCS):CSの左から快適に直登
2025年08月30日 09:41撮影 by  SOG02, Sony
8/30 9:41
F3(2段10mCS):CSの左から快適に直登
F4(2段9mCS):下段は左のスラブを登ったが、ヌメるのでたわし使用。上段は狭いが容易。
2025年08月30日 09:51撮影 by  SOG02, Sony
8/30 9:51
F4(2段9mCS):下段は左のスラブを登ったが、ヌメるのでたわし使用。上段は狭いが容易。
F5(大滝/20m):一見絶望的な、下部の核心。エロポン(木下徳彦?)によりエイドで直登されているとのことで、近づいて見たら確かに登れそう。途中でカムが足りなくなりピッチを切ったが、フリーで登れた。カムが良く決まり、楽しく登れる滝で、巻いたら勿体ない。
2025年08月30日 10:01撮影 by  SM-G973C, samsung
8/30 10:01
F5(大滝/20m):一見絶望的な、下部の核心。エロポン(木下徳彦?)によりエイドで直登されているとのことで、近づいて見たら確かに登れそう。途中でカムが足りなくなりピッチを切ったが、フリーで登れた。カムが良く決まり、楽しく登れる滝で、巻いたら勿体ない。
F5をフォローするたな
2025年08月30日 10:22撮影 by  SOG02, Sony
8/30 10:22
F5をフォローするたな
F5の直後の8m滝:これもクセ有だったが、左から取り付き、激シャワーで落ち口へ。
2025年08月30日 10:39撮影 by  SOG02, Sony
8/30 10:39
F5の直後の8m滝:これもクセ有だったが、左から取り付き、激シャワーで落ち口へ。
次の10m滝は直登が厳しそうな割に、楽に巻けるので左から巻いた。
2025年08月30日 11:09撮影 by  SOG02, Sony
8/30 11:09
次の10m滝は直登が厳しそうな割に、楽に巻けるので左から巻いた。
8m滝は、左壁を甘いホールドでトラバースしてから水線を登攀。
2025年08月30日 11:19撮影 by  SOG02, Sony
8/30 11:19
8m滝は、左壁を甘いホールドでトラバースしてから水線を登攀。
出た、名物の石橋。石橋の下にある4m滝は左からへつって登る。
2025年08月30日 11:29撮影 by  SOG02, Sony
8/30 11:29
出た、名物の石橋。石橋の下にある4m滝は左からへつって登る。
石橋を振り返る
2025年08月30日 11:37撮影 by  SOG02, Sony
8/30 11:37
石橋を振り返る
石橋の先には13mの滝:左をへつって取りつくまでがホールドが細かかったが、取り付いてしまえばガバが多く登りやすい。
2025年08月30日 11:46撮影 by  SM-G973C, samsung
8/30 11:46
石橋の先には13mの滝:左をへつって取りつくまでがホールドが細かかったが、取り付いてしまえばガバが多く登りやすい。
石橋をバックにフォローするたな
2025年08月30日 11:56撮影 by  SOG02, Sony
8/30 11:56
石橋をバックにフォローするたな
このゴルジュ最後の2条6m滝。左の水流をカムA0しながら直登。
2025年08月30日 12:02撮影 by  SOG02, Sony
8/30 12:02
このゴルジュ最後の2条6m滝。左の水流をカムA0しながら直登。
幕営できる川原を経て、直後の8m滝は登れそうにない。右から小さく巻いて立木から懸垂下降。
2025年08月30日 12:23撮影 by  SOG02, Sony
8/30 12:23
幕営できる川原を経て、直後の8m滝は登れそうにない。右から小さく巻いて立木から懸垂下降。
ナメ滝の先に10m斜瀑があるが、つるつるで登れそうにない。右の草付きから巻く。
2025年08月30日 12:36撮影 by  SM-G973C, samsung
8/30 12:36
ナメ滝の先に10m斜瀑があるが、つるつるで登れそうにない。右の草付きから巻く。
左が易しそうだったが、右から登った5m斜瀑
2025年08月30日 13:18撮影 by  SM-G973C, samsung
8/30 13:18
左が易しそうだったが、右から登った5m斜瀑
岩の裏に落ちる13m滝。直登を探ったが、この水量では厳しそうなので、右のルンゼから巻いて立木から懸垂下降。
2025年08月30日 13:33撮影 by  SOG02, Sony
8/30 13:33
岩の裏に落ちる13m滝。直登を探ったが、この水量では厳しそうなので、右のルンゼから巻いて立木から懸垂下降。
暫く平穏な沢が続いた後、上部ゴルジュが現れる。過去のどの記録でも巻かれているが、見てみると、登れそうではないか。とはいえそれなりに時間がかかりそうなので、
2025年08月30日 16:17撮影 by  SOG02, Sony
8/30 16:17
暫く平穏な沢が続いた後、上部ゴルジュが現れる。過去のどの記録でも巻かれているが、見てみると、登れそうではないか。とはいえそれなりに時間がかかりそうなので、
上部ゴルジュの手前で幕営。砂地で寝心地良し。
2025年08月31日 06:05撮影 by  SOG02, Sony
8/31 6:05
上部ゴルジュの手前で幕営。砂地で寝心地良し。
翌朝、上部ゴルジュを登攀。全てフリーソロで登れる程度(お助け紐は使用)で、想定していたほど厳しくはなかったが、見栄えのする良いゴルジュだ。
2025年08月31日 08:26撮影 by  SOG02, Sony
8/31 8:26
翌朝、上部ゴルジュを登攀。全てフリーソロで登れる程度(お助け紐は使用)で、想定していたほど厳しくはなかったが、見栄えのする良いゴルジュだ。
上部ゴルジュの上部は小滝だけになり、快適そのもの。
2025年08月31日 08:35撮影 by  SM-G973C, samsung
8/31 8:35
上部ゴルジュの上部は小滝だけになり、快適そのもの。
9m滝は、左から直登。あまり登りやすくはない。
2025年08月31日 08:56撮影 by  SOG02, Sony
8/31 8:56
9m滝は、左から直登。あまり登りやすくはない。
6m樋状滝には都合よく流木があり、苦労せずに登れた。エロポンはエイドして登ったらしい。
2025年08月31日 09:05撮影 by  SOG02, Sony
8/31 9:05
6m樋状滝には都合よく流木があり、苦労せずに登れた。エロポンはエイドして登ったらしい。
上所ノ沢には期待していなかったが、一応ちょっとしたゴルジュもあった
2025年08月31日 09:48撮影 by  SOG02, Sony
8/31 9:48
上所ノ沢には期待していなかったが、一応ちょっとしたゴルジュもあった
廿滝沢の10m斜瀑:廿滝沢は、10m以下の小滝がこれでもかと連続する。側壁も結構立派で良い感じだが、水が少ないのが残念。
2025年08月31日 10:05撮影 by  SOG02, Sony
8/31 10:05
廿滝沢の10m斜瀑:廿滝沢は、10m以下の小滝がこれでもかと連続する。側壁も結構立派で良い感じだが、水が少ないのが残念。
廿滝沢上部の5mCS滝:水量は少ないが水は冷たいし、割と登り応えのある滝だった。
2025年08月31日 10:40撮影 by  SOG02, Sony
8/31 10:40
廿滝沢上部の5mCS滝:水量は少ないが水は冷たいし、割と登り応えのある滝だった。
詰め上がった稜線には、こんな綺麗な苔の絨毯が。ここから長く単調な下山が始まる。
2025年08月31日 12:06撮影 by  SOG02, Sony
8/31 12:06
詰め上がった稜線には、こんな綺麗な苔の絨毯が。ここから長く単調な下山が始まる。
それにしても赤石沢の赤い水は凄い。金属でも採掘できるのでは。
2025年08月31日 15:04撮影 by  SM-G973C, samsung
8/31 15:04
それにしても赤石沢の赤い水は凄い。金属でも採掘できるのでは。
遡行図
2025年09月04日 08:26撮影
9/4 8:26
遡行図
撮影機器:

装備

備考 ・ラバーソール適
・ロープは40m1本だったが、30mでも可。

感想

【計画の経緯】
 所の沢は大井川上流部で代表的な沢の1つであり、今年実施中の大井川上流部集中調査の対象として、外せない1本である。遡行記録は結構あるものの、支流は調査されていないため、数ある支流の中でも最も等高線が混んでいる、上所ノ沢右岸支流に狙いを定め、行ってみることにした。

【感想】
 先人の記録によると大高巻きが多いとのことだったので、面倒なのを覚悟していたが、実際には直登できる滝と小さく巻ける滝ばかりで、予想外に快適で面白い沢だった。大滝のフリー化と上部ゴルジュの(多分)初突破もでき、大変満足である。廿滝沢はできればもう少し水量が欲しかったが、登れる滝が多くてまずまずの内容だった。
 今回は車で赤石渡まで行ったのでかなり楽をしているが、自転車や徒歩等でもわざわざ行く価値のある、お薦めの沢だと思う。足の揃ったパーティで下所ノ沢の登山道横断点までの遡行であれば、日帰りも可能だろう。

諸事情あり全く頑張る予定じゃなかった週末、家でゴロゴロする気満々だったが結局沢に来てしまった。
倉沢と双璧をなすイメージだったが、ゴルジュ区間は倉沢より短い。南アにありがちな大湧水帯が無いのは意外だった。魚止めとなる滝が無い区間の途中で、魚影がパッタリ消えたのは謎である。
あとは所の沢越えの古道も気になった。きっともう辿れないほど野に還ってるだろうなぁ。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:200人

コメント

まだコメントはありません
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら