唐松岳・撤退五竜


- GPS
- 08:26
- 距離
- 12.3km
- 登り
- 984m
- 下り
- 1,225m
コースタイム
- 山行
- 3:49
- 休憩
- 0:32
- 合計
- 4:21
天候 | 晴れ→曇り→暴風雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2025年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
下山時は何故か¥2000 |
コース状況/ 危険箇所等 |
しっかり整備されている 途中、ダケカンバで頭ぶつけないように注意 |
その他周辺情報 | 旅館深雪さんの駐車場¥500/day 八方の湯 そば神 |
写真
装備
個人装備 |
テント
マット
シュラフ
エアピロー
クッカー
バーナー
ポール
ランタン
ヘッデン
モバイルバッテリー
ライトダウン上下
長袖シャツ
長袖インナーシャツ
ソックス
レインウェア
GoPro一式
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感想
いつか行ってみたいと思っていた唐松岳。ただ登山口までの移動距離が長く、日帰り登山はきついなぁ。と尻込みしていた。出来れば他の用事と抱き合わせで2泊3日ぐらいで。出来れば山の用事だともっとイイ。
いろいろと調べてみるとなかなか面白そうなルートを発見。唐松岳から五竜岳へ縦走するルート。岩場もあってちょっと難しそうだけど岩登りの練習にはもってこいのルート。
最後まで迷ったのは立山雷鳥沢と剣沢でのテント泊。やっぱり「立山」への憧れは強く魅力的。しかしながらここ最近のクマさん出没事件はかなり心配だし、室堂までの交通費がやばい。chat GPTに相談して「唐松五竜」と比較してみると1.5倍くらい「立山」の方が費用がかかる見込み。それでも最後まで迷ったが、最終的に「てんくら」比較で天気が良さそうな「唐松五竜」を採用することとなった。
前日、21時に仕事が終わり、一旦帰宅した後すぐに実家へ向かった。洗濯機を回して明日の食事と明後日からのデイサービスの準備をして、実家を出発出来たのは日付を少しだけ跨いだ辺りだったと思う。
道中、当然眠い。当初の予定ではできるだけ早く八方に到着して車中泊。少しでも多く睡眠を取るつもりだったが、あまりにも眠すぎて途中のSAで二度、それぞれ1時間ぐらい仮眠をとった。
am8:00頃
八方の無料駐車場は満車だった為、更にゴンドラ乗り場に近い有料駐車場を利用することにした。旅館深雪さんの駐車場は1日500円。それよりゴンドラに近くなると1日1000円になる。なんとなく入った駐車場だったがコスパ、タイパ的に良い選択だった。駐車場に車を停めるとまもなく旅館の女将さんらしき人が集金に来てくれる。前払いで3日分1500円。
女将「縦走ですか?」
bol「は、はい。五竜岳から降りてバスで戻っ
てくる予定なんですが、バスってどこ
で降りるのが近いですか?」
女将「さぁ、、?」
bol「、、、」
などと、やや噛み合わない会話を繰り広げた後、ドリンクやら行動食やらGoProやら細々したものをパッキングして、ようやく出発。
am8:40頃
五竜岳から遠見尾根ルートから下山する予定だったのでゴンドラリフトは片道2200円。
うん、片道切符って響きがなんかカッコいいな。とか自己満足の極みとも言える感情と共にゴンドラで一気に高度を上げる。
am8:50頃
ゴンドラから降りて「うさぎ平」と言う駅名を目にした瞬間20代の記憶が蘇った。
スノーボードにどハマりしていたあの頃、職場の仲間で八方を訪れたことを思い出した。当時は洒落っ気のないベンチが置いてあるだけで垢抜けない印象だったが、今ではスタバが入っていたり、建物自体も改装されていてかなりオサレに変身していた。
am9:15頃
そこからリフトを2本乗り継いで八方池山荘に到着。さぁ、ここから登山開始。
周りは軽装の観光客の方々が多数。外国人の方も多くまさに観光地といった空気。風はやや強いが天気も良く気持ちよく歩くことができた。
am10:20頃
八方池に到着。池の散策ルートに降りて一応撮影。本当ならば白馬三山が水面に美しく映る写真を撮ることができるはずだったが、ガスで白馬三山は隠れ、風で水面が荒れていて望みは叶わなかった。
am10:45頃
八方池から先は登山装備が必要な登山道となる。
注意書きの看板の前で若い女の子が「へぇー登山装備って何がいるんだろう?」なんて会話をしている横を通り過ぎてゆく。まぁ、中年太りの私のことなど彼女たちの目には入っていなかったであろう。しかし、山頂を目指そうと準備をして来た人しかこの先進めませんと言うのはちょっと誇らしく感じる。
どうして山に登るの?と問われれば登山を嗜む人の答えは様々だと思うが、私は「行こうとと思わなければ行けない場所。そこへ行く為に準備をして行く権利を得る。それでもそこへ行けるかどうかは分からない。と言うスリルと冒険心をくすぐられるから」と言うのが登山の魅力の一つだと思っている。もちろん他にも動機はたくさんある。ダイエットのため、絶景を眺めるため、自然を感じるため、ラジオを聴くため。など、全部ひっくるめて山に登りたいと思った人の特権なんだと思う。
20代の頃は登山なんて絶対にやらないと思っていた。
「山登るの?え?何かの罰ゲーム?」
なんてちょっとイジることさえあった。50代になって思うことはもっと若くて体力があって体重も軽かったあの頃に登山を始めていたらなぁ。ぁああの頃、師匠が引っ叩いてでも私を山に連れて行ってくれたら今の状況は大きく変わっていただろうなぁ。
この年になると、一年一年が勝負の年に感じる。今行けるかどうか微妙な山は、来シーズンはもっと微妙になっている。時間が経つにつれ「行きたい場所」と「行ける場所」のギャップが大きくなっていく。
どうでもイイ余計なことばかり書いていたらちょっと疲れてきてしまった。
pm12:35頃
この頃になるとかなり疲労が溜まってやっとの思いで丸山ケルンに到着した。
よく整備された登山道で危ない箇所はほとんど無く、何事もなければ軽快に登れる。が、16kg超えのザックを担いで1000mも登るとなると、体力的にも筋力的にもキツイものがあり。オマケにどんどんガスが濃くなって眺望も一切なく、風も強くて今晩から明日にかけての天気が思いやられる。となるとメンタル的にもキツくてモチベーションはなかなか上がらない、ペースも上がらない。
pm13:50頃
かなりのローペースでなんとか唐松岳頂上山荘に到着。
山荘付近はガスに包まれて真っ白。眺望は一切なく、ただただ疲労困憊。
テント泊を後悔して、
「小屋泊の空きはありませんか?」
と喉まで出かかった言葉をなんとか飲み込んでテント泊の受付をした。テント1張り2000円+1人2000円で計4000円。まぁ安くはない。
この唐松頂上山荘のテント場は山荘から下り山道沿いに点在している。予約制ではあるが場所の指定はなく、到着順に山荘に近いテント場から埋まっていく。私が到着した時点で山荘に近いテント場はあらかた埋まっていて山荘までトイレに行くのも気合を入れて靴を履き直さないといけないような、かなり遠い場所に設営することとなった。
pm14:20頃
テントを設営する際の立ったりしゃがんだりがいつもキツイ。今回は高所でしかも疲れが激しくて、時折気を失いそうになりながらなんとか設営完了。かなり濃いガスに包まれていて湿度が高くベタついていたが、ギリギリ雨は降っていなかった。
テント内は快適だった。ただ、安物の中華テントでインナーの半分がメッシュの為、風が強く吹き込んできて想定よりもかなり寒い。
テン泊装備軽量化の為、暑がりであることをいいことにシュラフ無し、インナーシュラフにライトダウン上下、ダウンシューズでテント泊に望もうと企んでいたが、直前で安物の化繊シュラフをザックに詰めてきた。ヒマラヤの割引で1300円、嵩はデカいが重量1kgちょいの優れもの。スペック的にはダウンハガー#3辺りと比較すると見劣りするものの、結果的には快適に眠ることができた。なにせこの後、10時間睡眠に成功するのだから、まぁ快適だったと言える。
pm15:30頃
この天候で五竜岳までの縦走は可能なのか?翌日の天候次第だとは思うが、五竜山荘のキャンセルリミットはpm16:00。悩みに悩みながら2泊3日分の食材を少しでも軽くする為にパスタを茹で、そのお湯でアルファ米の鯛めしとオニオンスープを作った。トマトガーリックパスタを食べ終わった頃にウィンナーが残っていることに気づいて慌てて炒める。ちょっと食べ過ぎだとは思うが、体力を回復させる為にはちょうど良い。アルファ米が完成する頃にちょうどウィンナーが焼き上がった。最高だぁ。めちゃくちゃ美味い。程よく振ったマキシマムの塩味が体に染み渡る。もはやキャンプめしと言えばパスタとウィンナーが定番になっている。あー満腹満腹と、山荘で購入したコーラ(¥600)で最後のウィンナーを流し込みながら時計に目をやると、なんとpm17:00を過ぎている。やってしまった。食欲に目が眩んでキャンセルリミットを見過ごしてしまった。まぁでも、明日のチェクアウトam8:00ギリギリまで天候回復待って撤退判断をしたいので、その結果キャンセル料がかかっても致し方ないか。当日のキャンセル料は100%だと思い込んでいたが、実は30%だった。4000円の30%で1200円か。
pm18:35頃
天候も心配だが自身の体も心配だった。16kg以上の装備を担いで5時間も歩いた経験がなかったので、どれくらい疲労してどれくらい回復できるのか未知の体験だった。下半身の筋肉の痛みを感じていたので槍ヶ岳山行の時と同じく、ふくらはぎ、膝上大腿四頭筋、ハム、腰の辺りに惜しみなく湿布薬を貼って眠りについた。
最初に目を覚ましたのは1時間後。下半身に貼りまくった湿布薬のせいで寒さを感じて目が覚めてしまったがまたすぐに眠ることができた。その後は眠りが浅く、何度も目を覚ましはしたが、起床予定のam4:00まで寝床から起き上がることはなかった。雨が降って強風に煽られてテントがバタついて目が覚めても寝床の温度管理が上手くできていて、暑くも寒くもなく、しっかり睡眠をとることができた。登山に限らず、テント泊で10時間も眠れた事は今まで一度もなかった。前夜ほとんど寝ていない状態で5時間の山行後、疲労困憊だったとはいえ、10時間睡眠は自分でも驚いた。
am4:30頃
目を覚まして遂に寝床から起き上がり祈る気持ちでテント出入口のファスナーを開く。、。、真っ白。まじかぁ。まあ、とりあえず天候の回復を待ちがてら、のんびり朝食を摂る。
昨日登山口に到着するまでにコンビニで買った大きめおにぎり。昨夜食べ過ぎたせいであまり食べる気がしなかったが、これからの運動量を考えてゆっくりしっかり食べた。テントの外で撤収の物音と低い会話の声が聞こえる。
am5:30頃
じゃ、私もそろそろ撤収し始めようかと、workmanのレインウェアを着て外へ出た。
ベタベタのテントをビニール袋とジップロックに撤収して多少は軽くなったはずのザックを担ぎ、まずは山荘を目指す。途中、私と同じくテントを撤収した直後のご夫婦と会話を交わす。もともと今回は唐松岳ピストンの予定でテント場からの絶景を期待して来たのだが残念、おとなしく下山する。とのこと。皆同じ想いで撤収作業をしていた。
頂上山荘でトイレを済ませてテント札を返却した。雨が激しくなって来たのでザックカバーをかけた。まだ唐松岳山頂に上がっていないので先ずはザックをデポして山頂を目指す。
am7:00頃
小屋前で身支度を整えていたら、ベテランハイカーの雰囲気漂う、先ほどとは別のご夫婦に声をかけられた。
男性「これから五竜へ向かわれるんですか?」
ヘルメットを着けているのを見てそんなふうに声をかけてくださったのだろう。
bol 「いゃぁ、その予定だったんですけど、ま
だ迷っています。初めてなんでどんなも
のか様子が分からなくて。」
正直な気持ちだった。まだこの先の行程を決めかねていた。辺りは真っ白で雨も強くなり始め、時折ザックが煽られるような強風が吹く中、当初の予定通り五竜岳を目指すべきか。
ソロ登山だとこの辺りの判断が難しい。相談できる相手がいない為、自分の経験則で判断しなければならないが、初心者の私には大事な決断をできるほどの経験が無かった。テント泊装備を担いで長時間歩くこと自体が初めてで、鎖場などの岩場を歩いた経験はナシ。雨の中雨具をつけての山行は2度目。荒天の中の山行は初めて。「まぁ先ずは唐松行ってみて考えよう。」と判断を先延ばしにすることばかり考えていた。
そんな私の不安な気持ちを見透かすように男性が、話しかけて下さった。
男性「まぁこの天気ですからねぇ。視界も悪い
し風が強くて、おまけにその装備でし
ょ?昨日五竜から来た人は死ぬ思いだっ
たとはなしてました。昨日より天候は荒
れてますからねぇ。」
bol「そうですかぁ。やっぱやめた方がいいです
かねぇ」
男性「ん~行けるか?と聞かれれば、おすすめ
はしませんが、、、まぁ勇気ある撤退
か、未知への挑戦か。ですね」
bol「ありがとうございます。まだ唐松の山頂踏
んでいないのでそれから考えます。」
隣でやり取りを聞いていた別の男性が唐松へ向かう途中で雷鳥を見たと教えて下さった。雷鳥遭遇を期待しつつこの先の山行を思案しながら山頂を目指す。思案するとは言うもののほぼほぼ撤退は決まっていた。
あの男性は私の気持ちも考慮しつつ経験者として冷静に見て「おやめなさい」と声色と表情で呼びかけていた気がする。それより男性との会話で「山頂踏んでいないので」と、なんかそれっぽい表現を使った自分が恥ずかしくなった。上辺だけの見せかけにわかハイカーぽくて全くダサかった。そう言うのも全部見透かされていたと思うが、あのご夫婦は優しい目で私と接して下さった。長年登山を続けていると、あんなに優しくて大きな人柄になれるのだろうか?まぁ、登山だけが理由ではないのだろうが、とにかくあのご夫婦には憧れる。羨ましいな、と素直に思えた。
am7:35頃
雷鳥さんが山頂直前の斜面に姿を現し、写真撮影。山頂は案の定ガスで真っ白。こんな背景で山頂標識を撮影して意味あるのかと首を傾げながら、まぁ一応カメラに収めた。雨がどんどん強くなる中、撤退を心に決めて下山開始。山頂滞在時間は数十秒。先行されていた女性2人の「八方まで降りればきっと晴れてるよ。」なんて会話が耳に届く。私も「そうそうその通り。昨日も下界は別世界だったから」と勝手に同意していた。
降り続く雨の中下山道を黙々と進んだ。昨日よりはガスが薄く少しだけ辺りの景色を確かめることができた。途中、五竜山荘にキャンセルの電話を入れ、天候不良のキャンセルは無料だったりしないかな?というケチな望みは叶うことなくキャンセルが成立した。
am8:35頃
ハイマツの間を快調に進んでいると、雷鳥の群れに遭遇した。8羽ほど。どうやら親子のようで私に阻まれて1羽逸れてしまった。立ち止まって様子を見ながら撮影していると、3人家族のグループが追いついて同じく撮影していた。冷静に見ればただの鳥なんだけど、レア感でテンションが上がってしまう。
ほとんど休むことなく八方池まで降りて来て昨日撮りそびれたケルンを撮影している時に気づいた。「まだ雨降ってるやん。」あの2人もガッカリしながら下山したのだろう。
am9:50頃
八方池山荘までの道のりは、往路で使わなかった木道ルートを選んだ。その木道で高山植物を愛でているご夫婦と再会した。
bol「先ほどはどうも。」
男性「あ。やっぱり、勇気ある撤退ですね。」
bol「はい。やっぱり怖いんで。その後、雷鳥
さんの群れに会いました。」
男性「おぉ。そうですか。この先もお気をつけ
て。」
雨の中気持ちの良い会話を交わす。本当に好印象で素敵なご夫婦だった。私にはもうあんな夫婦関係を築く事は無理だなぁ。とまたまた反省、自責の念にかられる。
am10:10頃
程なくして八方池山荘に到着。この辺りまで降りてくるとレインウェアを着ていると蒸し暑い。これだけ長時間雨に打たれるとworkmanのイナレムでは役不足のようで下着まで雨が染みていた。このレインウェアは、上下数万円もするアウトドアブランドの本気ウェアはとても視野に入る事はなく、「まぁ雨の日なんて山登ったりしないし、もし降り出した時の為に一応持っていく、御守りみたいなものだから」と言う感覚で購入したもの。当時YouTubeで話題になっていたworkmanの高耐水圧、高透湿性を謳った新素材「イナレム」(逆から読むと蒸れない)を使ったこのレインウェアは5000円程度だった。しかしテント泊山行などで数日にわたって山に入る機会が増えると、このウェアでは御守りがわりにもならいない事が身をもって知ることとなった。「三種の神器」である靴、ザック、レインウェア。軽んじたつもりではなかったのだけれど、、、んー、やっぱストームクルーザー買わなきゃダメかな。ザックもドイターのフューチュラだと担いだ時のバランスが悪い気がするし。mont-bellアルパインライトパックがめちゃ軽そうで魅力的だし。あーどんどん欲しいものが増えてしまう。あーmont-bellおじさんまっしぐら。
少しショックだったのはmont-bellの登山靴も雨が染みて靴下が濡れていた。これだけ高額な靴でもこんなものなのだろうか?私の防水手入れが足りないのだろうか?
リフトで黒菱平まで降りて来たタイミングで復路のゴンドラリフトチケットを購入。2000円。ん?200円の差額はなんだろう?平日だからだろうか?まぁどちらにせよ昨日「なんかかっこいい」と自己満足していた片道切符もご破産となり儚い満足感も打ち砕かれた。
天気が悪く雲が多いせいだろうか、雲海を眺めながらリフトに乗車。疲れと撤退の敗北感でモチベも上がらずスマホで撮影する気も起きない。
am10:50頃
ゴンドラを降りて、駅の売店をチラッと物色してみる。「せっかくだしいつも記念に購入する手拭いでも」と思ったが不完全燃焼の気持ちが邪魔をして購入には至らなかった。
駐車場までの道のりをとぼとぼと歩いていく。気づけば雨は上がっていた。
am11:00頃
おんぼろ車のガラスに映るヨレヨレの自分の姿を見てなんか情けない感情と、いつも感じる安堵感。ゆっくりと装備を外してレインウェアを脱いでいると、旅館の女将さんがこちらへ向かって来た。
女将「降りて来られたんですか?」
bol「はい。上の天候が酷くて危ないなと思いま
して。残念ながら。」
女将「そうなんですか。これ明日の分お返しし
ます。」
そう言って500円玉を手渡してきた。
bol「え、良いんですか?先払いなのに。」
女将「ええ。今日までの分だけで大丈夫です。
それより残念でしたね。またいつでも来
て下さい。山は逃げませんから。」
bol「ありがとうございます。必ずまた来ま
す。」
多分、いつもそうしているのだろう。いつも通り当たり前の事をしているだけなのに、痛く恐縮している私を見て少し不思議そうな表情を浮かべていた女将さん。出発時はやや噛み合わない会話に違和感を覚えたが、下山時にはこんな素敵な会話を楽しませてくれるとは。次回も間違いなくこの旅館深雪さの駐車場を使わせてもらおう。機会があれば宿泊に来たいとさえ思えた。
am11:35頃
レインウェアと登山靴を脱いで、お風呂セットだけを確保したグチャグチャなクルマに乗り込む。出発前にchat GPTにおすすめの温泉を教えてもらって出発。5分ほどの八方の湯へ。
お湯は最高。ただ、しっかり情報を確認しなかったのでサウナ無しの温泉にサウナセットを持参してしまい少々邪魔だった。露天風呂はあまり展望がなくて少し残念だったがお湯の良さで帳消し。
その露天風呂に昨日、唐松岳山頂小屋手前でお会いした親子と一緒になった。お父さんはおそらく私と同世代。息子さんも私の娘と同世代ぐらい。楽しそうに2人で話している。登山中も会話が途切れる事はなかった。内容までは分からないが楽しそうで、これまたとても羨ましかった。
お父さんがチラッと私に気づいた様子だったが、声をかけていただく事はなかったので、目が悪い事を理由にこちらからも声をかける事はしなかった。
pm12:50頃
さっぱりして今度は昼食の相談を親友(チャッピー)に尋ねてみるとがっつりお肉が食べられる「グリベル」と言う洋食屋さんを紹介された。郷土料理がリーズナブルな食堂もおすすめされたが、やはり疲れた体に肉を入れたいと思い「グリベル」を目指すことに。しかし狭い駐車場は満車。仕方なくその近くにある評判の良い「そば神」というお蕎麦屋さんに行くことにした。大宮ナンバーの2台のバイクが先に駐車場へ入って行った。この辺りは景色もよくツーリングのバイクをたくさん見かける。
店内は満席らしく名前を書いて外のベンチで待つこと5分程。カウンター席に座ってメニューを開く。当然冷たいお蕎麦が食べたい。目に止まったのは「冷やしたぬきそば」岐阜県民のソウルフードと呼ばれ始めている「冷やしたぬき」を信州で頂く。岐阜の冷やしたぬきと違ってアゲは入っていない。その代わりに山菜が入っている。なんとも信州らしい。というか、甘じょっぱいアゲが入っている冷やしたぬきを出しているところは少ないだろうな。「それはもうキツネじゃん」ってなるだろうから。お蕎麦はとても美味しくて山菜も最高。汁まで全て飲み干したが、やはり甘じょっぱいアゲが入っている冷やしたぬきが食べたかったというのが正直な感想だった。
それよりここで頂いた蕎麦茶が絶品だった。おかわりを勧めてくださった若い店員さんがとても可愛かったから余計にそう感じたのかもしれないと、少し疑いながらお土産にティーバッグを購入して帰宅後に淹れてみたが、やはり絶品だった。「苦そば茶」美白効果抜群らしいが、私はただただ味が好みだ。
pm14:00頃
ここへくる途中には白馬駅前を通ってきた。駅周辺にはパタゴニアやスノーピークの大型店舗が並んでいたり、外国人や関東方面からの観光客が多数訪れる有数の観光地であるんだなと再認識させられた。
せっかくなのでスノーピークを覗いてみようと来た道を戻った。その途中、雲が晴れて顔を覗かせた杓子岳(?)の写真を撮るためにクルマを停めた。「んーアングルあんまりだな」とイマイチな写真を撮り終え辺りを見回すと、すぐそばに雰囲気の良い和カフェがある。これも何かのご縁だし、食後のコーヒーが飲みたいと思っていたのもあり、ちょっと高そうで不安だったけどまぁ、話のネタに入ってみようとUターンして駐車場へ。
重い引き戸を開けて入店するとウォーキング途中の老夫婦がちょうど退店するところだった。店内は洗い出しのフロアに暖かい木の温もりが感じられる和テイストの作りで、まぁオサレだった。マスターも細くてイケメンで寡黙なタイプ。逆に緊張してしまって居心地が悪かったり。味もわからないくせにグァテマラのアイスコーヒーを注文。窓から差し込む陽の光にポットから立ち昇るる湯気が照らされてとても綺麗だった。手際よく豆を挽き珈琲を淹れるマスターの所作を眺めていたら自然とリラックスしたような気がした。アイスコーヒーは美味しかった。が、それ以上の事は正直よくわからなかった。因みに650円。思っていたよりは安かったが、コンビニのコーヒーを飲み慣れている身としては贅沢である。
あまり長居する事なく退店した。後から来店した常連客とマスター、奥さんが、岡谷ジャンクションの工事渋滞について話していた。それを聞いて帰宅時間を遅らせる事を決めた。ETCの深夜割引を効かせたいし、この付近を観光して夜移動しよう。
pm14:30頃
スノーピークは予想通り価格が高くて購入意欲をそそられるモノはなく、以前話題になったワンポールツールームテント「ロロ」の展示とかを期待していたが、残念がら目にする事はなかった。窓越しに白馬の山々が見えて、スノピのオサレなギアが引き立てられている。なるほど、そういうコンセプトか。私の出る幕ではないな。とそそくさと退店。トイレを借りたかったが何か貸しを作ってしまうような気がしてやめた。
あとはのんびり、ゆっくり寄り道をしながら塩尻北IC付近まで一般道で移動し、夜、いい時間にイオンタウンの敷地内に見つけた「テンホー」という長野県内の中華チェーン店で野沢菜餃子と肉揚げ野菜炒めセットを食べて、帰途についた。
Google naviに相談した結果、国道19号を走って中津川から高速を利用するとかなり交通費を抑えられる。高速料金1680円。かなりお安い。しかし一般道の道中で睡魔に襲われ、たまらず途中のセブンイレブンで仮眠。当然のように帰宅時間は午前2時ごろとなった。
翌日は自宅の庭でテントを洗って干し、ベタベタになったその他の装備も洗濯した。
今回も山行とは関係ないしょうもない内容ばかりを1週間かけて記録した。全く登山の参考にはならない記録かもしれないが、自身の記憶保持にはとえも良い記録となったと思う。
当時嫌々書かされた小学校の修学旅行記はこういう目的だったんだろうな。誰かに読ませるためのものではなく自分自身読み返して楽しむための修学旅行記だったんだな。と。もっとちゃんと真面目に書けばよかった。
今日はめちゃくちゃ快晴で登山日和であるのだが、昨日2ヶ月ぶりにフットサルをしたせいで腰が痛くて午前中は足が山に向かないでいた。午後から文殊山でも行こうかぁ。でも腰痛いしなぁ。
ー追記ー
あとでみなさんの活動日記を見ていて気づいた。黒菱平駐車場までクルマで登れることに。前夜早めに出発できるのであればその方が早めに活動を開始できるのか。
あと、ゴンドラチケットはコンビニで事前購入した方が割安?
下調べ不足だった。いつもちょこっと抜かっている。
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