霧ヶ峰(車山→車山湿原周遊)


- GPS
- 03:24
- 距離
- 3.8km
- 登り
- 160m
- 下り
- 155m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
よく整備されており危険箇所なし |
その他周辺情報 | 尖石温泉 縄文の湯 |
写真
感想
日常生活で「記憶消してもう一回〇〇したいわ〜」とか話すことがよくあるけれど、山やクライミングにもそれってあって、結局どんな事でも初見を超える体験の密度を超えることは難しい。
またその時と同じかそれを上回る感動を得るために、山ではそれが難度や危険度に向かいがちなのかもしれない。
初めて森林限界を超える縦走した時、ロープクライミングを体験した時、テント泊に挑戦した時、軽アイゼンを買って残雪の山に入った時、確かにそこには一度きりの感動があり、自分の中に鮮烈な記憶として残っている。
一般論として、山が自己満足の世界であるのは自明なので、そうした感動は自分の世界の中で完結する唯一その時だけの物だと思っていた。それを共有する仲間が居たとしてもその人の初めてはその人の経験に基づいた、当人からの視点でしか、味わえない初めてだから。
しかし、子育ての中では、そういった初めてを自分事として追体験する事が出来る人生の中で稀な機会なのかもしれない。
さて、先月8歳の長男と中央アルプスに行って来て、5歳の次男が「自分もアルプスとやらに行ってみたい、長男ズルい」と言い始めたので、バランス取りに次男をどこかに連れて行こうと行き先を検討。100名山を難度順に並べて1番簡単な方に出てくる霧ヶ峰に行くことにした。
霧ヶ峰の良さを調べたところ、いわく「初心者でも山のいいところ取りができる」、「危険な箇所が少なく、緩やかな道のりが多いため、初心者でも安心してハイキングを楽しる」など。ふ〜ん、いいんじゃない?
ちなみに「霧ヶ峰」という山は無くて、車山を最高峰とするこの辺一帯の溶岩台地の山域全体の名称を「霧ヶ峰」と呼ぶらしい。
実際駐車場から山頂回ってルートタイムで2時間くらいで周遊出来る2000mに近い山というだけでお得感あるし、有名山域にありがちな観光バスに乗り換えないと入山出来ない系の制限が無いのもポイント高い。
というわけで、コースは車山肩駐車場→車山山頂→車山湿原→車山肩駐車場までで設定。
ちなみに、当たり前ながら子連れ山行は悪天中止がマストである。なので、企画だけ暖めて天気が確実な時に狙いすまして行くしかない。この土日天気が安定していなかったが、休み明けて飛び石の23日火曜に終日晴天の予報を見て慌てて決行を決める。が、前日に予報がズレて曇天に。とはいえ雨は無さそうなのと昼には晴れ間も出そうということで決行。
月曜に仕事を定時ダッシュして、21時に子どもたちを連れてカーシェアのN-BOXで東京発。山に興味の無い妻は1人で羽を伸ばしてもらうという事で送り出して貰う。車中興奮する子供達をなだめながら運転していると、時間も時間なのですぐ2人ともすぐ寝落ちしてくれた。
日付が変わる頃、道の駅こぶちさわに到着。フラットにシートを倒して持って来たマットを敷いて車中で就寝。N-BOX3人ギリ行けるじゃん!(小柄で良かった)
翌日、計画段階では早起きして星と朝焼けを眺めるプランもあったが、曇天で昼に向かって天気が好転するのでゆっくり起床に。朝マックを店内でボチボチ食べてから出発。なんやかんやで9時半に車山肩駐車場を出発となった。
歩き出しからなだらかな登りで、危険ではないが、子供は足を取られて転びそうなのでちょっと気を使う。積みやすそうな石が多いので、ちょっと休んでは至る所に小ケルンを作って遊ぶ作業が始まるのでなかなか歩みが進まない。賽の河原かよ。
周りの登っている人を見ると、同じくらいの歳の子供を歩かせている家族や、まだ1歳前後と思われる子を抱っこで登っている方も見える。今回はルートが違うが、裏手からリフトで上がる方法もあり。来るもの拒まずで、山ってこういう楽しみ方もあるのね、と今更に感じる。
難しいほど、危険なほど偉いみたいなストロングスタイルもいいけれど、他の家族が乳飲み子を連れて背負子で登ってる姿とか、普段山なんて来ない年配の方とかに混じって、ウチの子供達が一生懸命登っている姿を見ると、彼らが登った時の感動と比較してそこに優劣は無いわな、と当たり前の事を思う。難しい山に傾倒することってこういう優しい山の魅力を捨てる事でもあるよな、とか。でも今はそんな事考えるけど、仮に一人だったら結局絶対来ないよな、とか。
車山の頂上はゆっくり子供が歩いても片道僅か1時間。頂上には天候観測のための球形の大きなレーダーがあって、そこに向かって歩くと頂上なので目標が分かりやすい。頂上では記念写真を撮って、綺麗な休憩所で昼食を食べてゆっくり過ごす。唯一子連れで考えた時に難を挙げるなら頂上近辺にトイレが無いことかも。
景色は評判通りとても良い。どこまでも綺麗に草原(正確には湿地帯と笹藪)が続いていて、下部に樹林帯が見えないところが日本離れしている。
頂上からは、来た道を戻っても良いが、ここまで来たなら裏から周遊して降りて、湿原の木道まで歩きたい。するとWindows XPの壁紙みたいな綺麗な草原に出会う事ができた(古い?)。
後半は快適な木道を歩き通して、なんやかんや、ゆっくり周って約3時間半。5歳児にはちょ〜ど良い塩梅。近くの縄文の湯に寄って満喫して帰路へ。
まあ、大した工程ではないのだけど、子らにとっては初見の目の輝きはあるわけで、これに山が好きな側としてその良さをプレゼンしてる気持ちで向き合う事になる。彼らが何を面白いと思うのか、全然自分の感性とは違う視点で物を見ているわけだから、やはり自分の初見とは違うのだけど、自分が山の良さ、面白さを棚卸しして、もう一度優しい山まで戻って追体験できてる感があり、これはこれで感動があるよなぁ、というのが所感。
これは、彼らの経験の大半を、ここまでほとんどすべて知っているからこそ、自分事に近い形でそこまで思えるという、一種の役得なんだろう。
恐らくこういった事も今だけで、じきに彼らが自分の世界を各個に持ち出して、精神的・経験的に親から離れて行けば、この理屈は成り立たなくなるだろう。ただ、今はそれが自分にとっても楽しく、それが人生の中で稀少な時間だという事を自覚しておこう、という備忘としてはこれは書いておく価値があるかもしれない。
自分の山にいけないならば、それはそれで今しか無いことを楽しむし、その先には自分の山がまた戻ってくるだろう。
秋の深まりに人生の深まりを感じたり、感じなかったり。
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