剱岳定着登攀(八ツ峰六峰Cフェース剣稜会→八ツ峰上半縦走、チンネ左稜線、南壁A2)


- GPS
- 47:12
- 距離
- 24.6km
- 登り
- 4,205m
- 下り
- 4,191m
コースタイム
- 山行
- 3:58
- 休憩
- 1:35
- 合計
- 5:33
- 山行
- 4:10
- 休憩
- 2:37
- 合計
- 6:47
- 山行
- 4:47
- 休憩
- 7:13
- 合計
- 12:00
- 山行
- 8:13
- 休憩
- 4:31
- 合計
- 12:44
- 山行
- 6:36
- 休憩
- 2:53
- 合計
- 9:29
天候 | 1日目:雨 2日目:晴れ 3日目:晴れ 4日目:晴れ 5日目:雨 6日目:晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
富山から室堂はアルペンルートで往復 |
予約できる山小屋 |
|
装備
個人装備 |
クライミングギア
テント泊装備
|
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共同装備 |
ロープ
テント
ガスセット
クライミングギア
|
感想
1日目「雨の剱沢」
移動中家族からのLINE、レインジャケットを忘れたことに気づき、みくりが池温泉に問い合わせてモンベルのサンダーパスを購入。金欠に追い打ちをかけてしまう。予想以上に荷物も重く、靴も浸水。テン場についても雨で、テントを張っても若干濡れ気味で嫌な気分。計画では源次郎尾根から水等も加えて登るつもりであったが、初日の疲労度と今後の天候予報等も加味し、翌日に別山尾根から荷揚げすることにした。
夜は、H君持参のペミカンでビーフシチューをいただく、これが意外と美味い。料理も早く、簡単そうだったので自分でも導入したくなった。
2日目「別山尾根の荷揚げ」
明朝の雨が嘘のように快晴へ変わり、意気揚々と出発したが、想像以降に荷揚げが辛く、去年この道をアタックザックで登っていたのに、自分が今何をしているんだ、、、と考えながら登る。ここから5日分の8L以上の水を持ち上げる。アルパインザックの細い肩パッドが食い込むが無心で登り、なんとか日の入り前に山頂に着き、適地で寝る。
3日目「初の剱登攀と八ツ峰上半縦走」
初めての剱登攀は、八ツ峰六峰Cフェース剣稜会ルートを選択した。雪溪があれば、長次郎谷からてくてくすればいけるのになあと思いながら、長次郎谷のコルを下降、熊の岩経由で取り付いた。この下降が悪く、岩側をへつりながら、不安定なガレ場、ザレ場、若干の雪溪にアックスを刺したりもした。徐々に近づいてくる八ツ峰にワクワクは膨らんでいた。
基部に着き、見上げると、今まで登ったことのないスケールの岩壁が広がる。ルートを再度確認し、登り始める。初めての本チャンルート、ピッチを切るタイミング、ルートファインディングに身構えていたため、思った以上にスピードが出ない。ただ、着実にピッチを重ね、Cフェースの頭まで詰め上げた。その時、感じたのは「意外と大したことない」ということだ。確かに、高度感や迫力のある景色を味わえたが、グレードからもわかるように、クライミングでの難所がない。先日の越沢の方が余程痺れた。達成感と拍子抜けを抱えながら、上半縦走を開始するが、こちらが確信だった。クレオパトラニードル付近のルンゼを上がるということだったが、どれも渋い。結局、少々怖いムーブをロープなしで上がり、ハイマツをガシガシ掴んで詰め上げることとなった。(後で登山体系を見ると、チンネと同じ懸垂下降で池ノ谷のガリー見せれば良いことがわかった。)ここで大幅に時間を使ってしまったせいで、日没に迫る行動になってしまった。池ノ谷乗越に着くと、山岳部の方が2人いた。その方たちに長次郎の頭を長次郎谷側から巻ける道を教えてもらい大幅に時間短縮できた。感謝しかない。巻道は長次郎谷のコル付近でピンクテープが置かれているので、それを頼りに進める。そうこうして、コルに出る頃には暗くなり、ここからヘッドライトで行動したが、行きの記憶があったため、ある程度すらすら進めた。すっかり暗くなっていたので、さっさと飯を食って明日の確認をし寝た。
4日目「憧れのチンネ左稜線」
朝から天気が良い。日の出前に起き、出発の準備をする。行きの道、池ノ谷乗越までは昨日までに通っているのでさっさと進む。池ノ谷ガリーでは10人ほど北方稜線の縦走者とすれ違った。三ノ窓のコルまでは結構ある。途中、落石が降ってきたり、悪い足場に難儀したが、へつったり、対岸に移動してまたへつったりしながら下ると、日の差す綺麗なコルに出た。幕営適地が幾つか整備され、ゴミが散らかっている箇所に目をつぶれば、最高の岩場の拠点になるだろう。
チンネの方を見ると、しっかり聳えて立っていた。取り付きには1パーティーいる。ここから雪溪はないので、岩側をへつって左稜線の取り付きを目指す。チンネを見上げながら、逆4の字を目指す。途中、へつりが悪そうで、そこを迂回するために大きく下ったが、そのままへつって行けたかもしれない。
ようやく取り付きまで至ると、先行者は2、3ピッチ先にいる。
緊張とワクワクの中、支度をする。
出だしはゆっくりだったが、ピッチを重ねるごとにペースが上がる。RFや支点構築に慣れきたみたいだ。そうこうしてると、ついに核心の鼻のピッチが訪れる。先行パーティーに追いつき、少し話を聞いて挑む。ここから見ると、本当にでかい顔とその鼻みたいだった。私はフォローだったのでささっと登ろうとする。他のピッチより明らかに悪いなーと思いながら、それでも意外と簡単に行けた。確実にフォローとしての感想なので、今度機会があればリードで挑みたい。その後も何事もなく、踏破した。前日同様、大きな達成感の裏で、拍子抜け感もあり、やはり剱への憧れが壁を作っていたのだと思う。帰りは、終了点から三ノ窓の頭とチンネの頭の間のコルに歩き降りて、懸垂します下降を30mと60mで2回行い、ガリーまで降りた。そこから乗越までは意外とすぐで助かった。帰りはまたもやヘッドライト行動が入る。雨の心配もあったが意外と持ち堪えて、濡れずに戻ってこられた。
5日目「狂気の停滞」
寝たり叫んだりしながら、停滞した。寝過ぎて一瞬で時間が過ぎた。夕方に別パーティーが来て少し気まずかった。
6日目「追い込みの南壁A2稜」
朝少し早めに起きて荷物を山頂付近にデポし、アタックザックで取り付く、平蔵のコルも少し手前、倒壊している元小屋(?)付近からトラバース気味に明瞭なテラスへ向かう。A2稜の登りは簡単で初心者向きという感じだった。ハーケンも多く、終了点もなんとなくわかる。3ピッチの後、コンテに切り替え詰めたが、山頂の手前で縦走路に合流して、ロープを持った登山者みたいになってしまった。
パッキングなどでダラダラしてしまったせいで、帰りの時間がない。急ぎ目で下山したが、溜まった疲労で意外と疲れる。なんとか最終便に間に合ったが、温泉に入れず、異臭を放って富山まで降りた。非常に申し訳ない。途中で乗り換え、スーパー銭湯のある駅で体を流し、富山ラーメンを食べて、夜行バスで帰った。
総括
ルート自体は意外と物足りなかったが、眺望がよく、快適なクライミングができた。また、伸び代を感じ、さらなる進歩を目指すきっかけにもなった。
ペミカンの素晴らしさを教えてくれ、上半縦走でビビっていた自分をチンネへ押してくれた相方に感謝したい。彼がいなければ、成り立たない山行だったと思う。
今年の夏になんとしても行きたいと思っていた剱定着を滑り込みでやってきた。
北ア全山縦走の学びから気合入れればいくらでも背負えると思っていたが、山頂まで水10L、ペミカンなど食料や、ギア含む40kg超えの荷揚げは流石に堪えた。
山頂付近にビバークして八ツ峰六峰Cフェース剣稜会ルート→八ツ峰上半縦走、チンネ左稜線、本峰南壁A2と登攀した。
思えば剱岳の頂きに初めて立ったのは昨年の9月。
バリエーションやアルパインをほぼ知らなかった当時は、山頂に源次郎から突き上げてきた人を見て非常に悔しく、度肝を抜かれた懐かしい思い出がある。
その際に来年は源次郎に行こうと冗談半分で今回の相方らと約束したが、源次郎には行けなかったもののチンネ含む剱定着が行えるとは。我ながら大きく成長できた1年間だったと感じる。
素晴らしいロケーションと展望と高度感の中、誰に案内されたり、リードされて引き上げられる訳でもなく、二人の力だけで荷揚げし、ロープを出し、全力を尽くす。
過去最高の山行だった。
最後まで協力しあえた相方に感謝だ。
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