【奥高野】閉ざされた谷,川原樋川・赤谷を歩く(再訪編)

- GPS
- --:--
- 距離
- 18.7km
- 登り
- 1,416m
- 下り
- 1,423m
コースタイム
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2025年11月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
・ 今回、アプローチで使った尾根は、植林が多くそれほど歩いていて気持ちのいい尾根とは言えない。藪はないものの、登山道があるわけではなく、地図に記載のない林道が錯綜するため、読図はしっかり行う必要がある。 ・ 赤谷の今回辿った区間は深い自然林に包まれ、とても気持ちよく歩ける。特にモミやツガに大径木が多く見られ、奥高野では珍しく原生的な雰囲気が漂う区間もある。滝場はいくつか出てくるが、比較的容易に直登又は巻けるので、それほど問題にならない。(今回歩いた区間よりも下流側は、前回訪問時に確認したとおり、林道が伸びており谷中にも林業関係のゴミが散見され、やや荒れた感じ。) |
写真
装備
| 備考 | ・ フェルトソール沢足袋使用 ・ 20m補助ロープのみ携行(使用機会なし) |
|---|
感想
川原樋川支流の赤谷には,昨年8月に一度訪問している。しかし、その際はゲリラ豪雨によりまさにここからが赤谷の佳境と思われる地点で遡行中断を余儀なくされてしまった。今回はその前回未踏区間を歩くための再訪編である。
前回の記録でも書いたが、赤谷はかつて相当な美渓・秀渓であったらしく,「関西周辺の谷」(昭和55年刊)には,「全域うっそうと繁った自然林に覆われ,豊富な水量を容して美事な渓谷美をみせ,奥高野では久しく登山者を迎え入れていた名渓の一つ」と紹介されている。しかし,この谷も、林道の延伸と皆伐という、多くの元・名渓と同じ末路を辿り、現在では沢登りの対象としてはほぼ忘れられた存在となっている。
さらに、平成23年9月に発生した紀伊半島大水害により、赤谷の下流部で大規模な山腹崩壊が起き、容易に立ち入ることができなくなってしまった。現在では対策工事が完了しているが、おそらく下流側からのアプローチの困難さはあまり変わっていないのではないかと思われる(未確認ですが)。
沢登りの対象としては既に忘れられ,さらに土砂災害により10年以上もアクセスが途絶えた谷は,どんな様子になっているのだろうか。それを確かめるために,北側から尾根を越え,地形図で林道が描かれていない源流部に直接入ってみることにした。
今回の再訪で確認できたことは、林道は大体P1213の真下くらいで途切れており、そこから先は大規模な伐採が入った形跡はなく、おそらく赤谷が秘境としての地位を保っていたころとそう大きく変わらないと思われる風景が残されているということだった。モミやツガなどの針葉樹の大径木の間に、ヒメシャラやカエデなどの広葉樹が混交するという、大峰の主稜線などの奥深いエリアでよく目にする植生である。そのような原生的な森が大規模に残されているというのは、植林が多い奥高野という山域ではもしかしたら珍しいかもしれない。谷沿いでは時折大ぶりなトチノキも姿を見せてくれる。
特に目を驚かせるような特異な景観が隠されているというわけではない。ただただ、穏やかで美しい流れと樹林が坦々と続いている。それが赤谷源流部の風景だった。しかしこの風景が赤谷の長い流域の全てにわたって広がっていたであろう昔日を想像すると、思わず歎息を禁じ得ない。今回の山行で私が追ったのは、その微かな残像に過ぎないのだろう。
※ 前回、キリクチ谷から赤谷にアプローチした際の記録はこちら
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-7174808.html
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