ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 8987192
全員に公開
沢登り
近畿

【奥高野】閉ざされた谷,川原樋川・赤谷を歩く(再訪編)

2025年11月22日(土) [日帰り]
 - 拍手
GPS
--:--
距離
18.7km
登り
1,416m
下り
1,423m

コースタイム

日帰り
山行
9:40
休憩
0:00
合計
9:40
6:50
10
駐車地
7:00
160
平集落付近の吊り橋渡る
9:40
60
P1335
10:40
150
赤谷源流部に降り立つ
13:10
40
稜線
13:50
100
15:30
60
16:30
駐車地
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2025年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
平集落付近の吊り橋の近くの県道路肩に駐車。駐車スペースはあまりない。
コース状況/
危険箇所等
・ 今回、アプローチで使った尾根は、植林が多くそれほど歩いていて気持ちのいい尾根とは言えない。藪はないものの、登山道があるわけではなく、地図に記載のない林道が錯綜するため、読図はしっかり行う必要がある。
・ 赤谷の今回辿った区間は深い自然林に包まれ、とても気持ちよく歩ける。特にモミやツガに大径木が多く見られ、奥高野では珍しく原生的な雰囲気が漂う区間もある。滝場はいくつか出てくるが、比較的容易に直登又は巻けるので、それほど問題にならない。(今回歩いた区間よりも下流側は、前回訪問時に確認したとおり、林道が伸びており谷中にも林業関係のゴミが散見され、やや荒れた感じ。)
今回は、前回未踏区間の赤谷源流部へ最短経路でアプローチするため、平集落付近の川原樋川に掛かる吊り橋を渡って尾根に取り付く。
今回は、前回未踏区間の赤谷源流部へ最短経路でアプローチするため、平集落付近の川原樋川に掛かる吊り橋を渡って尾根に取り付く。
美しい川原樋川の流れ
美しい川原樋川の流れ
今回辿った尾根は、その大部分が前回訪問時に下山に使った尾根でもあるのだが、ほぼ全面的に植林で、地図にない林道も錯綜しており、あまり歩いていても楽しい尾根とは言えない。赤谷を目指して黙々と歩く。
今回辿った尾根は、その大部分が前回訪問時に下山に使った尾根でもあるのだが、ほぼ全面的に植林で、地図にない林道も錯綜しており、あまり歩いていても楽しい尾根とは言えない。赤谷を目指して黙々と歩く。
稜線のP1335付近まで来て、ようやく自然林に変わる。
稜線のP1335付近まで来て、ようやく自然林に変わる。
狙ったポイントから赤谷へ下降していく。赤谷側の斜面に入った瞬間に植生ががらりと変わり、モミやツガ、ヒメシャラ、カエデなどが混生する深い森に包まれる。
狙ったポイントから赤谷へ下降していく。赤谷側の斜面に入った瞬間に植生ががらりと変わり、モミやツガ、ヒメシャラ、カエデなどが混生する深い森に包まれる。
紀伊山地の中でも大峰の主稜線など、原生的な地域でよく見られる構成の樹林だ。やはり赤谷源流の植生は素晴らしい。
紀伊山地の中でも大峰の主稜線など、原生的な地域でよく見られる構成の樹林だ。やはり赤谷源流の植生は素晴らしい。
もうすぐ谷底というところで、崩壊した林道に出会う。しかし、前回訪問時に、ここから少し上流に行くと、林道が途切れることを確認している。ここから上流は、過去に林道が入っていないエリアということだ。
もうすぐ谷底というところで、崩壊した林道に出会う。しかし、前回訪問時に、ここから少し上流に行くと、林道が途切れることを確認している。ここから上流は、過去に林道が入っていないエリアということだ。
赤谷の流れが見えてきた。1年半ぶりの赤谷。
赤谷の流れが見えてきた。1年半ぶりの赤谷。
と、谷底に5mほどの滝が見える。前回、この滝を左岸から巻いた記憶が…。谷底には降りずに、そのまま左岸から巻いて谷底に降り立つ。
と、谷底に5mほどの滝が見える。前回、この滝を左岸から巻いた記憶が…。谷底には降りずに、そのまま左岸から巻いて谷底に降り立つ。
紅葉散り残り。温暖な紀伊山地ならまだ紅葉がかなり残っているのでは、と考えていたが、残念ながらほとんど散ってしまっていた。
紅葉散り残り。温暖な紀伊山地ならまだ紅葉がかなり残っているのでは、と考えていたが、残念ながらほとんど散ってしまっていた。
おや、あの大トチは、前回、谷を離れるときに見た木だ! どうやら前回遡行を中断した地点にピンポイントに降りてこられたらしい。
おや、あの大トチは、前回、谷を離れるときに見た木だ! どうやら前回遡行を中断した地点にピンポイントに降りてこられたらしい。
気持ちの良い、穏やかな谷が続く。
気持ちの良い、穏やかな谷が続く。
しかし、穏やか一辺倒ではなく、一応ゴルジュっぽい区間もあり。
しかし、穏やか一辺倒ではなく、一応ゴルジュっぽい区間もあり。
このCS滝は泳がないと無理だな…。さすがに11月にそこまでする気になれず、左岸の壁を攀じて巻いたが、ちょっと緊張させられた。
このCS滝は泳がないと無理だな…。さすがに11月にそこまでする気になれず、左岸の壁を攀じて巻いたが、ちょっと緊張させられた。
やはりこの辺りは林道が届かず伐採は行われていないのだろう、モミやツガなどの紀伊山地らしい樹種が広がる。
やはりこの辺りは林道が届かず伐採は行われていないのだろう、モミやツガなどの紀伊山地らしい樹種が広がる。
2段15m滝。左岸を巻く。
2段15m滝。左岸を巻く。
3段20m滝。これも左岸巻き。
3段20m滝。これも左岸巻き。
竜のようにうねる木。
竜のようにうねる木。
北陸や奥美濃ほどではないけど、大トチもあります。
北陸や奥美濃ほどではないけど、大トチもあります。
穏やかさを絵に描いたような源頭
穏やかさを絵に描いたような源頭
そのまま直進すると伯母子岳山頂という好立地
そのまま直進すると伯母子岳山頂という好立地
護摩壇山方面。ぴかぴかの秋晴れだ。
護摩壇山方面。ぴかぴかの秋晴れだ。
あの光の帯は、海? 伯母子岳からも海って見えるんだ…。
あの光の帯は、海? 伯母子岳からも海って見えるんだ…。
帰路は熊野古道(小辺路)で大股へ。まだ歩いたことのない区間だったので、ちょっと嬉しい。
帰路は熊野古道(小辺路)で大股へ。まだ歩いたことのない区間だったので、ちょっと嬉しい。
登山口付近はまだまだ紅葉の盛り
登山口付近はまだまだ紅葉の盛り
アオバトが落石ネットに閉じ込められていた。アオバトって声は時々聞くけど、実物は初めて見た(まさかこんなシチュエーションで見ることになるとは…)。助けたいけど、どうにもこうにも…。
アオバトが落石ネットに閉じ込められていた。アオバトって声は時々聞くけど、実物は初めて見た(まさかこんなシチュエーションで見ることになるとは…)。助けたいけど、どうにもこうにも…。

装備

備考 ・ フェルトソール沢足袋使用
・ 20m補助ロープのみ携行(使用機会なし)

感想

 川原樋川支流の赤谷には,昨年8月に一度訪問している。しかし、その際はゲリラ豪雨によりまさにここからが赤谷の佳境と思われる地点で遡行中断を余儀なくされてしまった。今回はその前回未踏区間を歩くための再訪編である。
 前回の記録でも書いたが、赤谷はかつて相当な美渓・秀渓であったらしく,「関西周辺の谷」(昭和55年刊)には,「全域うっそうと繁った自然林に覆われ,豊富な水量を容して美事な渓谷美をみせ,奥高野では久しく登山者を迎え入れていた名渓の一つ」と紹介されている。しかし,この谷も、林道の延伸と皆伐という、多くの元・名渓と同じ末路を辿り、現在では沢登りの対象としてはほぼ忘れられた存在となっている。
 さらに、平成23年9月に発生した紀伊半島大水害により、赤谷の下流部で大規模な山腹崩壊が起き、容易に立ち入ることができなくなってしまった。現在では対策工事が完了しているが、おそらく下流側からのアプローチの困難さはあまり変わっていないのではないかと思われる(未確認ですが)。
 沢登りの対象としては既に忘れられ,さらに土砂災害により10年以上もアクセスが途絶えた谷は,どんな様子になっているのだろうか。それを確かめるために,北側から尾根を越え,地形図で林道が描かれていない源流部に直接入ってみることにした。

 今回の再訪で確認できたことは、林道は大体P1213の真下くらいで途切れており、そこから先は大規模な伐採が入った形跡はなく、おそらく赤谷が秘境としての地位を保っていたころとそう大きく変わらないと思われる風景が残されているということだった。モミやツガなどの針葉樹の大径木の間に、ヒメシャラやカエデなどの広葉樹が混交するという、大峰の主稜線などの奥深いエリアでよく目にする植生である。そのような原生的な森が大規模に残されているというのは、植林が多い奥高野という山域ではもしかしたら珍しいかもしれない。谷沿いでは時折大ぶりなトチノキも姿を見せてくれる。
 特に目を驚かせるような特異な景観が隠されているというわけではない。ただただ、穏やかで美しい流れと樹林が坦々と続いている。それが赤谷源流部の風景だった。しかしこの風景が赤谷の長い流域の全てにわたって広がっていたであろう昔日を想像すると、思わず歎息を禁じ得ない。今回の山行で私が追ったのは、その微かな残像に過ぎないのだろう。

※ 前回、キリクチ谷から赤谷にアプローチした際の記録はこちら
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-7174808.html

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:20人

コメント

まだコメントはありません
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら