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記録ID: 9018879
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沢登り
霊仙・伊吹・藤原

【湖北】妙理山・大黒山の沢登り(鷲見川ぶらぶら)

2025年11月30日(日) [日帰り]
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GPS
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距離
12.9km
登り
1,070m
下り
1,068m

コースタイム

鷲見川出合(鷲見集落跡)から林道終点まで片道1時間程度。また、どの枝谷も2〜3時間程度で登下降可能。今回は4本の枝谷を回ったが、全部で8時間半程度の山行でした。
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2025年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
アクセス路である滋賀県道284号線(杉本余呉線)及び285号線(中河内木之本線)は、菅並集落の少し先で通行止めとなっているが、実際にはバリケードは開いた状態で、車で進入可能(もちろん、公式には通行止めなので、進入は自己責任となる。あと、積雪後にどのような状況になるかは分かりません)。鷲見川出合(鷲見集落跡)付近に路肩の広くなった箇所があり、そこに駐車。
コース状況/
危険箇所等
・ 鷲見川は高時川支流の谷で、大黒山や妙理山など、湖北の粒よりのブナ山の水を集める。高時川本流との出合にはかつて鷲見集落が存在していた(平成7年に集団離村)。
・ 鷲見川沿いの林道は、ところどころ崩壊や藪っぽい箇所もあるが、歩行は十分可能。林道の付き方は概ね地形図に一致している。ただし、地形図上に記載のある2つの橋は失われており、渡渉必要。
・ 鷲見川は概して穏やかな谷で、目立った滝場としては、B谷下部の30m段瀑区間やC谷・D谷の二俣にある4段8m滝(C谷)と7m斜滝(D谷)くらいだろうか。あとは小滝が散発的に出てくるのみ。古くから鷲見集落の住民の方々が製炭など山仕事のために入られていた谷のようで、大木はあまりないものの、全体的に自然林に包まれており、藪っぽさもなくすっきりしていて谷自体の雰囲気は良いので、妙理山や大黒山などへの登路としては推奨できる。
A〜D谷が今回入った枝谷(黄緑点線は今回のルート)。正式な谷名をご存じの方、是非教えてください!
※クリックで拡大できます
A〜D谷が今回入った枝谷(黄緑点線は今回のルート)。正式な谷名をご存じの方、是非教えてください!
※クリックで拡大できます
県道の橋から鷲見川を眺める。この両岸にかつて鷲見集落の民家が軒を連ねていたとは信じられない。
県道の橋から鷲見川を眺める。この両岸にかつて鷲見集落の民家が軒を連ねていたとは信じられない。
鷲見川沿いの林道は、ところどころ荒れてはいるが、ほぼ問題なく歩ける。今でも鷲見の元住民の方が時々入られているのかもしれない。
鷲見川沿いの林道は、ところどころ荒れてはいるが、ほぼ問題なく歩ける。今でも鷲見の元住民の方が時々入られているのかもしれない。
【A谷】さっそくA谷へ。出合は引き締まった渓相で期待させるものの…
【A谷】さっそくA谷へ。出合は引き締まった渓相で期待させるものの…
結局、小滝がぽつぽつ出てくるくらいで、ごく穏やかな谷でした。
結局、小滝がぽつぽつ出てくるくらいで、ごく穏やかな谷でした。
540m二俣でようやくそれなりの5m滝。右岸を巻く。
540m二俣でようやくそれなりの5m滝。右岸を巻く。
さらに3m滝(この上に2m滝があり、実際には2段5m)。これも右岸巻き。
さらに3m滝(この上に2m滝があり、実際には2段5m)。これも右岸巻き。
妙理山のすぐ北側の稜線に登り上げる。稜線上のブナはやはり素晴らしい。
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妙理山のすぐ北側の稜線に登り上げる。稜線上のブナはやはり素晴らしい。
既に葉を落とし、あとは雪を待つだけのブナたちの間を歩く。
既に葉を落とし、あとは雪を待つだけのブナたちの間を歩く。
【B谷】B谷へ下降。ごく小さな枝谷なので全く期待しておらず、ただ単に下降路としただけだったのだが、むしろA谷よりも変化があった。2段3m。
【B谷】B谷へ下降。ごく小さな枝谷なので全く期待しておらず、ただ単に下降路としただけだったのだが、むしろA谷よりも変化があった。2段3m。
かなり下ってきたところで岩間滝が連続する段瀑帯が30mほど続く。
かなり下ってきたところで岩間滝が連続する段瀑帯が30mほど続く。
鷲見川本流に合流。この辺りは既に林道もなくなり、人の気配の絶えた陽だまりの穏やかな谷を気持ちよく歩く。
鷲見川本流に合流。この辺りは既に林道もなくなり、人の気配の絶えた陽だまりの穏やかな谷を気持ちよく歩く。
480m二俣は両俣とも滝で、ちょっと見栄えがする。右俣(D谷)の8m滝。
480m二俣は両俣とも滝で、ちょっと見栄えがする。右俣(D谷)の8m滝。
左俣(C谷)の3段5m滝。
左俣(C谷)の3段5m滝。
【C谷】まず左俣のC谷へ。3段滝は楽しく直登できる。
【C谷】まず左俣のC谷へ。3段滝は楽しく直登できる。
3段だと思っていたらその上に4段目があった。4段7mくらいかなぁ。
3段だと思っていたらその上に4段目があった。4段7mくらいかなぁ。
鷲見川でも最奥の谷なのだが、古い炭焼き窯の跡が頻繁に目についた。鷲見は製炭が盛んだったそうで、この谷にも多くの人が入っていたのだろう。
鷲見川でも最奥の谷なのだが、古い炭焼き窯の跡が頻繁に目についた。鷲見は製炭が盛んだったそうで、この谷にも多くの人が入っていたのだろう。
あとは小滝がぽつぽつ出てくるくらい。二次林で大きな木はないが、歩きやすく爽やかな谷が続いていた。
あとは小滝がぽつぽつ出てくるくらい。二次林で大きな木はないが、歩きやすく爽やかな谷が続いていた。
もうさすがに谷中の彩りはほとんどないが、その中でも早々と花を咲かせているヤブツバキの鮮やかな紅色に目を引かれた。もうすっかり冬やね。
もうさすがに谷中の彩りはほとんどないが、その中でも早々と花を咲かせているヤブツバキの鮮やかな紅色に目を引かれた。もうすっかり冬やね。
ところどころ小滝。
ところどころ小滝。
高圧電線が上空を通過するあたりで、突然谷を横切るピンクテープが。おそらく巡視路だろう。
高圧電線が上空を通過するあたりで、突然谷を横切るピンクテープが。おそらく巡視路だろう。
だいぶ源流まで来た。大黒山まで詰め上げるのもいいが、一度登ったことがあるし、今回は谷を探ることが目的なので、引き返すことに。
だいぶ源流まで来た。大黒山まで詰め上げるのもいいが、一度登ったことがあるし、今回は谷を探ることが目的なので、引き返すことに。
【D谷】480m二俣まで戻り、今度は右俣のD谷へ。出合の8m滝は快適に直登。
【D谷】480m二俣まで戻り、今度は右俣のD谷へ。出合の8m滝は快適に直登。
滝の上がゴルジュっぽくなっているので期待したが、小滝があるのみだった。
滝の上がゴルジュっぽくなっているので期待したが、小滝があるのみだった。
他の谷もそうだが、立木がなく草地になっている斜面が時々見受けられる。伐採のためか、焼畑の跡か、それとも自然の雪崩地形だろうか。
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他の谷もそうだが、立木がなく草地になっている斜面が時々見受けられる。伐採のためか、焼畑の跡か、それとも自然の雪崩地形だろうか。
出合の滝以降は変化は少ないが、それでも左俣のC谷よりは滝が出てくる。2段7m。
出合の滝以降は変化は少ないが、それでも左俣のC谷よりは滝が出てくる。2段7m。
上段の2条3m。
この谷も炭焼き窯跡が多く、真っ黒く煤けた煙突が残っている窯跡もあった。
この谷も炭焼き窯跡が多く、真っ黒く煤けた煙突が残っている窯跡もあった。
小滝がぽつぽつ
これ以上の変化は望めなさそうなので、散り残った紅葉を名残惜しく仰ぎつつ、引き返す。
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これ以上の変化は望めなさそうなので、散り残った紅葉を名残惜しく仰ぎつつ、引き返す。
美しい鷲見川本流に沿って降っていく。
美しい鷲見川本流に沿って降っていく。
もちろんナメナメたちも。
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もちろんナメナメたちも。

装備

備考 ・ フェルトソール沢足袋使用
・ 20m補助ロープのみ携行(使用機会なし)

感想

 最近、気がつけば高時川源流の谷によく通うようになった。京都から比較的短時間で行けるし、どれも小粒で入る人がほとんどない割には意外な変化を見せてくれる枝谷群に惹かれるのもあるけれど、何よりもただ、この流域の雰囲気が好きなのだ。現在人家がある最後の集落である菅並集落を通過し、うねうねと蛇行する高時川の上流に向けて車を走らせていくと、本当に奥地に入りつつあるような気分になる。気まぐれで入った谷の源頭部では、必ずと言っていいほどビックリするような巨樹に出会えるのも魅力だ。もちろん、既に集団離村されてしまったが、小原や田戸、鷲見、奥川並など、奥丹生谷(丹生谷は高時川の別称)七箇村が長年にわたり山河に刻んできた深い歴史もある。何となく、自分が勝手な愛着を寄せている山域の一つである奥美濃によく似た雰囲気を帯びている気がする。そういえば、一つ稜線を越えればそこは揖斐川源流域、まさに奥美濃。この2つのエリアは地理的にも近しく隣り合っている。
 今回入ったのは高時川支流の鷲見川。かつて高時川本流との出合に存在していた鷲見集落の人々の生活と共にあった川である。本来なら鷲見集落の鎮守である八幡神社に参拝してから入渓したいところだが、同社は集団離村とともに余呉東野にお移りになってもうない。
 何本かの枝谷を回ったが、どれも穏やかな谷だった。製炭を主たる生業としていた鷲見集落の人々が築いたと思われる古い炭焼き窯が随所に残り、往時が偲ばれる。目立った変化は多くないものの、鷲見川は爽やかな清流だし、ほどよく人手が入った山里の自然が美しく残り、落ち葉の散り敷いた晩秋の谷をカサコソ、ジャブジャブと歩いているだけで、何となく豊かな気持ちになる。ブナの森の待つ妙理山や大黒山への隠れた登路としておすすめ。
 
 ここからは余談だが、普段、マイナーな山をマイナーな季節にマイナーなルートでばかり登っているおかげで、山の中で人に会うことはめったにないのだが(そのため、人に会うとそれだけで小さな事件となる)、今回は妙に人に会う山行だった。
 まず、鷲見川のC谷の奥で、単独のハンターに出会った。まさかそんなところで人に出くわすと思っておらず、しかもよく見ると肩に猟銃さえ担いでいるので、びっくりしてしまった(先方もびっくりされていたが)。その方からは、何時ごろから山に入ったか、どのあたりを歩いたかを順番に聞かれた。答えると、「ああ、だからシカが全然おらんかったんか、おかしい思ってたんや」と渋い顔をされている。どうやら、私のような沢徘徊者が無遠慮に歩き回ったおかげで、知らない間にエモノを追い払ってしまっていたらしい。すみません。そのうち、もしかしてこの人は鷲見集落の元住民の方なのでは、と思われてきた。わしらの山に勝手に入りおって、と怒られるかもしれない。恐る恐る「鷲見の方ですか?」と聞いてみると、「違う違う、余呉町のモンや、あそこにはもう誰も住んどらん」とのこと。どうやら違うみたい? とりあえず怒られなくてよかった。
 また、下山してから鷲見集落跡の前に停めた車の中で着替えをしていると、一台の軽自動車が菅並方面から走ってきて、そのまま走り過ぎるかと思いきや、私の車の横に停まった。何ごと? と思っていると、初老の男性が運転席から降りて来て、「この道は中河内のほうへ通り抜けできるのか?」と聞かれた(そっち方面に通り抜けたことがなくて分からないです、すみません)。そこからトチノキの巨木に関する話が始まった。男性は滋賀県の大トチに関する本を取り出してきて、奥川並に幹の周囲9.8mの県下一の大トチがある(知らなかった…)、自分はそれを見たい、今日はその下見だ、と熱く語った。話題は朽木の平良にある大トチの話や、ブナの大木もなかなかかっこいいが巨木としての格はトチの方が上や、などなどディープな方面に膨らみ、どちらかというと巨樹には目がない私としても時間が許す限りゆっくりとお相手をしたいところだったのだが、折悪しく私は沢歩き後の着替えの真っ最中で、タイツ履き替え中に声を掛けられたため、あいにく下半身がほぼ半裸状態の情けない姿であり、寒くて仕方がない。すみませんが今着替え中で…と誠に遺憾ながら話を切り上げさせていただいた。でもあの人が持ってた滋賀県の大トチの本、欲しいな。買おうかな。

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