越後 二ノ岐川〜平ヶ岳先ノ沢〜

いもやん
その他5人 - GPS
- 56:00
- 距離
- 25.0km
- 登り
- 1,443m
- 下り
- 1,443m
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2016年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
人があまり入っていない状況で荒れ果ててました。 |
感想
合宿前日にリーダーさん、サブリーダーが体調を崩し、参加できるかわからないという不安な状況でしたが、予定通りの全員で出発することができた。
6時半に道の駅で全員集合し、銀の平へ向かった。
雨池橋に停車しいよいよスタート。沢登りは去年から始め今回が5回目で慣れない不安な気持ちで一杯だった。越後はアブが多いと聞いていたのでハッカ油を準備しておいたおかげで、林道ではアブが近寄ってきたが、アブは近寄ってはこなかった。その後、笹の葉やススキが自由に生え渡った林道という名にはふさわしくない道を進み、道が緩くなる手前で靴を履き替えるとの事で、全員が靴を沢靴に履き替えた。
すぐに泥沼地帯を進むことになり、リーダーの予測に尊敬した。泥沼を歩く途中、前を歩くMIさんの右足の靴底のソールがはがれている事に気がつき、少し歩いたところにあった堰堤にて、応急措置でテーミングを巻いた。しかしテーピングもすぐに外れ、KOさんが持っていた紐と結束バンドでしのいだ。まだ沢登りも始まらない場所で靴底のソールがはがれるということは自分自身が同様の立場だったらどうするか、今思うと私は降参して戻ると思う。その後の沢を登る事を想像すると怖くてたまらない。
やがて大沢との出合いにぶつかり、沢を歩きはじめる。すでに11時を回っていた。重たいザックの影響もあり、バランスをとるのが難しく、みんなのスピードについていけず常に遅れがちでプレッシャーを感じながらの一歩一歩。
越後の沢は水の勢いがつよく、滝の高さもあり、今までの経験した沢とは異なる厳しい自然の姿に感じた。滝を直登するのは難しく高捲きすることが多く、予想以上に時間と体力を使った。時間が経つにつれ、さらにザックは重たく感じ、足に力が入らなくなっていった。そんなとき、急なナメ状岩を登らなければならなく、足が滑って1メートルすべり落ちた。下でMさんがいて支えてくれたことに感謝。しかし、そのずり落ちた事で、指や足への衝撃と精神的なダメージをうけ、その後の山行が引け腰になった。16時を過ぎても、標高は1200メートル付近で、テント場予定の1400メートルには近づかない。後少しでテント場だからと気合いを入れていったがなかなか標高はあがらない。暗くなるタイミングで、ゴルジュの間を壁に股を開いて両足で支えながら進まないと越えなければならないポイントがあり思うように足が前に出ず時間が過ぎ、焦りがより増していった。一歩後ろに下がり再度チャレンジしたら前に進めた。時には後ろに戻ってみる事も大事だと思った。後ろにいたMさんのヘッドライトの調子が悪く、自分のヘッドライトで一緒に暗いゴルジュのなかを進んでいった。暗いと沢の深さはより深く見え不安が増す。ますます暗くなり、テント場はまだかと思いながら歩いていくとリーダーとM Iさんが待機しており、この先の滝をこれから進むのは難しいのでこの場所でビバークすると言われた。ビバーク初体験をこのゴルジュの中で、濡れたままで??という信じられない気持ちだった。焚き火もなくきるものは乾かないが大丈夫か?でも、例えこの滝を登ったとしてもテント場があるとは限らない。当初の夏合宿の2日目は、平ヶ岳の手前1800メートルあたりで恋ノ俣沢を下る予定であったが、今日の進行が予定外であったこと、メンバーが沢下りの経験がないことにより、平ヶ岳まで登り尾根を下山することに変更にすると報告を受け、内心ホッとした。今日の自分自身の実力で沢を下るのは、非常に困難であると思ったからだ。また、一日目の山行を経験し、体力的にも続くか不安であった。
夕ご飯は、最初は非常食で対応とのことだったが、お湯を沸かし珈琲をのみ、次第に気持ちに余裕ができ、ポテトサラダをつくり、リッツにのせて配給した。思いのほか大人気だった。その日は夕立もなかったため、増水のリスクは低そうとの事だった。ゴルジュの中は滝からの水の流れがあり、冷たい風が吹いてくる。私は、沢から1.5メートルくらいの大きな石の上にMIさん、私、リーダーの川の字でタープをかけ、中には上下雨具をきて、増水や岩が落ちてくる危険があるため、ヘルメットとハーネス着用で21時に寝た。
その日は満点の星空がみえ、流れ星も時折ながれてきた。こんなに奇麗な星空の下で眠れることに有り難さを感じながら、寒いためタープをかぶって寝た。下半身が濡れているため、寒さが増してくる。寒さを耐えながら、眠れず1時間ごとに時計をチェックしてしまう自分がいた。24時頃タープの下に水滴が付着し、寒気で体の震えが止まらなくなった。ツエルトをだして、中にかけて寝た。暖かかった。その後1時間は死んだように睡眠をとることができた。4時半頃日が昇り、湯を沸かしてそうめんを食べた。つゆが暖かく体にしみた。
気を取り直して、6時頃スタート。明るくなるとビバーク地の手前の滝も横から滝の横の壁に沿っていけば登れそうな事がわかり、順に伝っていく。2日目初回から緊張した瞬間だった。その後も高捲きを1時間くらい繰り返しながら、1400メートルにあるテント場に到着した。昨日より体力が回復した状況で1時間かかった道のりであったため、昨日のビバークの判断として、一番最善の選択だったのではないかと思った。
その後もナメ沢がつづく。天気がよく、日差しが強い。1時間くらいごとに休憩をとりながら上へ登っていく。睡眠を取ってない割に体は動く。しかし、13時を過ぎても、まだ1600メートル付近。思うように進まない前日のネガティブな記憶がよみがえり、焦りと不安が涌いてくる。今夜もゴールに到着でずビバークになるのではないかと。
沢を登るにつれて、沢幅が狭くなり岩がもろくなっていく。細目にザイルを使って登っていくが時間がないためザイルなしで登っていかないといけない場面が何カ所かあった。私の実力がもっとあれば、ザイルを利用せずに、チームはもっと早く前に進むことができるかもしれないと思い、この合宿に参加する資格があったのかと疑問を繰り返し、皆に申し訳なさと感じた。
やがて沢のスタート部分がなくなり、藪漕ぎが始まる。笹の葉と薮がからみあっている。かき分けながら進んでいくが、なかなかゴールがみえない。すでに15時をすぎている。今日もビバークになるのかなと不安になりながら、前のMIさんに遅れないようについていく。先頭のMさんが看板を見つけたと声が上がったのを聞いて安堵した。15時半に姫の池に到着。みんな疲れて果てた様子だったが記念写真を撮った。久しぶりの苦笑い。終わったのに笑顔が作り笑いしかできない。
16時半にこれから3時間下山して、テント場にいくという。昨日と同じく暗い中、下山するのかと弱気な自分が現れてきた。
再びザックを背負って下山開始。ハーネス、沢靴がザックに入ったため、ザックが重くなり足が進まない。少しの登りもきつい。途中、短いコースであったが、たまご石の方に道を間違える。このまま下山を続けたら、予定以上に時間がかかるので、平ヶ岳のテント場にしてもらえないかとリーダーに懇願したが、水がないので降りるとのことで、下山せざるを得ないとのことでテントのポールをMIさんに持ってもらった。ありがとうございます。
沢の水を飲むのは初めてのせいかお腹が痛くなってきた。その気持ちをふりはらいながら、ただただおりていった。標高1200メートルがゴールとのことで、少し歩いたら標高を確認するという、まだかまだかという気持ちでおりていった。ペースは思ったより早く、2時間でテント場についた。18時半をすぎていた。ザックをおろした瞬間、急に力が涌いてきた。気持ちが落ち着いてきたからだろう。たき火の準備とごはんの準備担当に分かれ、作業を開始した。その日はカレーライスをつくりお酒を楽しんだ。みんな疲れているようで、お酒はそこそこで睡眠に入っていった。21時頃には全員睡眠した。
翌朝4時に半頃に起きた人もいたが、私は2度寝して6時半にまで登山者のくま鈴で目が覚めおきた。パスタを食べ林道3時間を歩いてかえる。天気もよく、山や沢がキラキラしていた。たくさんの睡眠を取ったせいか全く辛くなかった。
下山しながら、二度と沢に登りたくないという気持ちだった。精神的にも体力的にも限界を超えていたように感じる。その限界を超えて最後までやり遂げることができたのは、チームメンバが支えてくれたからであると思う。みんなに感謝です。本当にありがとうございます。また、ゴルジュでビバーク経験はリーダーが10年に一度あるかないかの頻度といっていたので、非常に貴重な経験をさせてもらったなと思うようになってきた。
厳しい経験を乗り越えた事が自分自身の糧となり、今後の山行に活かされていけばよいなと思う。
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