大山〜高取山〜弘法山縦走


- GPS
- 05:08
- 距離
- 14.6km
- 登り
- 936m
- 下り
- 1,505m
コースタイム
- 山行
- 3:56
- 休憩
- 1:12
- 合計
- 5:08
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー
|
写真
感想
前日の夜に東京で用事があったのだが、秦野のホテルにチェックインしたのはすでに真夜中を過ぎていた。途中、本厚木まで私を含めかなりの乗客が立っており、秦野に至るまでまで空席もほとんどないという状況に驚かざろうえない。
直前まで山行の計画を迷うことになったのだが、昼の14時過ぎには京都で用事があり、秦野を遅くとも10時20分には出立しなくてはならないという制約があるので、早朝に大山に登頂し、高取山を越えて弘法山に至る縦走を計画することとした。逆のコースも考えたが、途中にエスケープ・ルートもいろいろとあるので、時間が足りなくなった場合に選択の余地が残されているのが有難い。それに弘法山を通過するならどうせなら未明の時間より明るい時間のほうがよい。
タクシーでヤビツ峠に向かうと、「多くのお客様はこの先まで行かれますよ」と、いつのまにかタクシーはヤビツ峠から坂を下っている。それはもしかして、塔ノ岳を目指す登山客かもしれないと思って、慌てて地図を確認すると、大山に登るためにはヤビツ峠から登らなくてはならない。おそらく大山に登るのにわざわざ早朝にタクシーでヤビツ峠に行こうとする人はいないのであろう。
ヤビツ峠に着くと西の空には三ノ塔から塔ノ岳の稜線の上に満月がまだ煌々と輝いている。ヘッドライトの明かりを消してみると恰も街灯で照らされているかのように月明かりに照らされて私の影が出来る。ライトを消したまま、月明かりを頼りにながらかな尾根を登ってゆく。杉林の切れ目からは眼下には目を醒ましつつある渋沢から秦野にかけての街の夜景の彼方に相模湾が見える。大山の山頂に辿り着く前に急速に夜の帳が上がっていく。春霞のせいだろうか。相模湾の上にかかる空は、乳白色の靄の中にラベンダーの染料を流し込んだようである。
山頂から相模大野、横浜方面の夜景を期待していたのだが、残念ながら山頂に辿り着いた時には街がすっかり目醒めてしまっていた。その目的のためにはもう少し早く到着する必要があったやうだ。いつも思うのだが、この時間帯は5分、10分がとても大切だ。春霞のせいで下界は白い靄がかかっているようだ。間もなく真っ赤な朝日が東の空からゆっくりと昇り始める。
山頂の反対側に出ると先日、縦走した塔ノ岳への表尾根に朝陽が当たり始めている。三ノ塔の上には春霞のせいで朝陽を受けた富士山が幻影のように浮かび上がる。山頂の西側を登って電波塔のところまで辿り着く。日中は多くの人で賑わう大山山頂もまだ誰もいない。昇ってゆく朝日を拝みながら山頂で長居をしてしまったが、6時きっかりに山頂を後にする。さて、いよいよこれから長い下りが始まる。
昔からよく登られてきた登山道なのだろう。岩が多いものの、広い道をひたすら下る。下るにつれて、周りの落葉樹には枝先に花のような若葉が芽吹き始めている。小さな黄緑色の花をつけているのは油瀝青(アブラチャン)だろう。蓑毛越の手前では古い従是女人禁制と彫られた石碑が立っている。この山も江戸時代は女人禁制だったらしい。
山頂直下で二人組みの男性とすれ違ったきり、誰にも合わずに浅間山に至る。ピークには大きな電波塔のミントグリーンの色が斬新だ。眺望は望めないであろうが、折角なので杉の中の細い道を辿って山頂を訪ねてみると、苔生した小さな石の祠がある。祠の中は、誰方か奇特な方が寄贈されたのだろう、愛くるしい木彫りの仏様が莞爾されていた。杉林の中を下るともう一つ、大きな電波塔に辿り着く。このあたりにくると、山桜の花が咲き始めている。
不動越(イヨリ峠)で、ようやく他の登山客とすれ違う。それまで、誰ともすれ違わないので、人気のなさを満喫していたが、ここからは途端にすれ違う人達の多いこと多いこと。そして多くの方達がトレラン・スタイルだ。ここからはひとしきり高取山への急登となる。振り返ると、ようやく杉木立の間から大山が姿をみせる。
高取山の山頂に近づくとカエデのような小枝に下向きな垂れ下がる花を多くつけた白い花が目立つ。モミジイチゴらしい。山頂の北側斜面は伐採により大きく開け、大山の眺望が見事だ。足元には先端に細やかな白い花をつけた木が数多く見られる。こちらはツルシキミとのこと。この花々を教えて下さったheheさんには深謝に堪えない。高取山山頂でゆっくりと朝食を頂くことに。このペースでいけば、秦野駅には10時前後にはたどり着けるだろうと高を括る。残念ながら、それは大きな間違いであったのだが・・・。
樹々の間からは前方には念仏山と思われるピークが見える。大山の山頂のあたりとはまるで異なり、新緑の緑が目に鮮やかである。上ではまだ咲き始めであった山桜はこのあたりではほぼ満開である。登山道に散った桜の花びらが多く目につく。送電線の鉄塔を通ると、西側に展望が開け、送電線の彼方に久ぶりに富士山を眺めることが出来る。
念仏山の狭い山頂の前ではほぼ満開の山吹が咲き誇り、渋沢方面の街とその彼方には箱根外輪山を遠望する。山頂の南側の広場では休憩されてご夫婦の奥様から、「念仏山の南側では左手になんとかかずらが一杯さいているとのことでしたけど、わかりました?」と聞かれる。私が八重の黄水仙の写真を撮っていたので草花に興味があると思われたのであろう。葛のような花は見当たらなかったが、見過ごしたのだろうかと思って、念仏山の山頂まで戻るも、道端のには可憐なピンク色の漏斗状の花を吊り下げた低木が多数、目につくが、やはり葛の類は見当たらない。先ほどのご婦人と再びすれ違い、通称、鶯と呼ばれる花であることを教えていただく。「葛の花、見つけました?」「いいえ、残念ながら」「人の云う花って意外とわかりにくいのよね」とのこと。後で調べて分かったのだが、この花の正式な名称は鶯神楽(ウグイスカグラ)というらしい。
なんとも情けないことに、念仏山の下りのあたりから左膝の外側に痛みを感じ始め、急に歩行速度が低下しはじめる。先日のトレランの最後で感じたのと同じ部位で、あの長い階段で痛めであろう。膝痛を感じるなどということは久しくないことであったが、体に疲労が蓄積されたのだろうと思う。一日で十分に休養がとれていないことを反省するが今更である。登りでは問題ないが、下りになると負荷が生じるようだ。しかし、行程の最後、弘法山はもうすぐそこだ。弘法山に目を向けると、桜一色に染まっている西側の尾根が視界に入る。弘法山の手前、善波峠からは蜜柑畑の彼方に大山と丹沢表尾根の山々が一望のもとで、壮観だ。
いよいよ弘法山の山頂にたどり着くと、さすがに桜の花見の名所である。桜もさることながら、人の多さが目に付く。登山靴からサンダルの人まで。桜まつりを来週の週末に予定しているようだが、おそらく週末にはほとんどの桜が散ってしまうのではないだろうか。気が付くとツツジやシャガまでが咲いている。果たして、この時期に咲く花だっただろうか。弘法山からは尾根伝いに歩いてすぐ隣の権現山の展望台にたどり着くと、360度の大展望である。桜の樹の彼方に大山、箱根外輪山を望む。好展望に一気に膝の痛みを忘れたいところであるが、そうはいかない。この権現山の直下には多くの車であった。折しも登山客を乗せてこられたタクシーがいたので、ここで登山を終了し秦野の駅に運んでもらうことに。秦野駅に着いたのは10時過ぎであった。
この日の夜は京都の自宅で久しぶりに長時間の睡眠を貪ることになったが、そのせいか膝の調子はなんとか無事に恢復したようである。睡眠と休養の大切さを痛感する・・・そういう年齢になったのだろう。
コメント
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余りの行動半径の広さに驚いております
サスナベ山を歩かれてた方と同じ方??って思っちゃって…
感想の、
>乳白色の靄の中にラベンダーの染料を流し込んだようである
と言う表現に、参りました!
詩的な表現に感服しています。読み応えのあるレコです!
それより膝の痛み!
折を同じくして私も昨日から痛みがひどくて…
それも、休みの度に山では無理が祟る!
(これで股関節痛とかしびれを発症させていますので)
と、自粛して昨日は山をやめ、御所をぶらぶらしてきただけなのにです。哀しいやら、情けないやら…
何とか収まって来た様なので、次の休みは大丈夫だな!と思っています。
花が咲き、芽吹きの頃はいくつ身体があっても足りないくらい
yamanekoさんもお大事に。
そうそう、私なんかのフォローをしてくださって
ありがとうございます<(_ _)>
本当は、私もフォローを…の気持ちなのですが
諸般の事情により差し控えさせて頂きます。
お気を悪くなさらないでくださいね。
早速のコメント有難うございます。それから先程はお花を教えて頂き、有難うございました。
実は土曜日は卒業30周年の同窓会で、30年ぶりに高校の門をくぐりました。東京をピストン往復するだけでは物足りなくて、高校時代、何度も足を運びながらも登っていなかった大山に。
実は昨日の午後の用事は御所のすぐ近くだったので、午後は長男と共に御所へ。御所の中も公開されていたのでheheさんもいらしたのではないでしょうか。桜が綺麗でしたね。
膝の痛みはお陰様で本日はほとんど消失していますが、山行の前は十分に疲れを癒すように気をつけたいと思います。
heheさんもどうぞお大事に。
そうでしたか、同窓会で帰京ですね。
それにしても、御所!!
驚き!もしかしてどこかですれ違ってたり…
私は、午後1時~4時頃までうろうろしてました。
でも、昨日はすごい人ででしたね!
桜は確かに最高のタイミングでした
ぶらぶら歩いてると楽しくて、最近御所にハマってます
私達が御所を徘徊していたのは丁度、3時半頃から5時半でした。確かに凄い人の多さでした。
私も御所にはかなり頻繁に訪れます。出張のない週末には。午後には大原野森林公園に行くかもしれません。
私の地元&方向音痴の私が知っているお山コースだと、何だか嬉しい気持ちになります。お帰りなさい!と言いたくなりますね。
久しぶりに、ヤマレコのまとめ読み。完全に一冊の本。美しい写真と表現に引き込まれます。
P.S.当日に長時間睡眠だけで回復するとは、まだまだ若いです。私も歳を考えて入念にケアしてます。
コメント下さっていたことに気がつかず、返信が遅くなり失礼しました。トレランや健脚の方には人気のコースのようですね。早朝の出立だったので弘法山の桜が見れないと思って下りのコースにしてしまったのですが、逆コースは大山に登ってゆく高揚感を味わうことが出来て良さそうです。
また機会があれば山の上ででもお会い出来ますこと、楽しみにしております。
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