百里ヶ岳☆イワウチワ咲く雲上のトレイルに


- GPS
- 04:39
- 距離
- 12.0km
- 登り
- 1,058m
- 下り
- 1,059m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
百里ヶ岳〜根来峠の高島トレイル、百里新道以外は一般登山道なし |
その他周辺情報 | くつき温泉「てんくう」♨️ |
写真
感想
京都の市街では夕方から小雨が降り出した。天気を確認すると滋賀の高島ではしっかりと雨が降っているようだ。翌日は満開が期待される吉野の奥千本を考えていたのだが、急遽予定を百里ヶ岳へと変更する。雨上がりの後の快晴の翌朝には雲海が期待出来るからだ。もう一つ重要な要素は気温の日較差であるが、余裕で12度を上回りそうだ。小入谷から入って三国峠へと向かうか、木地谷から入って駒ケ岳へと向かうか迷ったのだが、登りのルートの魅力で後者を選ぶことにした。
未明に京都を出発し、八瀬のあたりに差し掛かると、薄明の中に満開の桜が目に入る。大原に入ると濃霧となる。予想通りである。R367を北上するにつれ、大原のあたりでは7℃を表示していた電光掲示板の温度も花折峠を越えると4℃まで下がる。
困ったことに花折峠を越えたところでガソリンの警告ランプが点灯し始めた。当初、吉野まで始発の電車で出かけるつもりだったこともあり、給油されていなかったようだ。木地山から朽木まで戻ることが出来れば、馴染みのENEOS石油で給油することが出来る。
高島市に入ると川沿いの桜並木が立派なので車を停めて寄り道する。安曇川の下流を眺めると白い雲のような霧がかかっている。車を先に進めると朽木に入ったあたりで車のすぐ上に雲があるようだ。朽木の本陣を通り過ぎて、木地山に向かう道に入るとすぐにも濃い霧の中を進むようになった。
木地山の集落を通り過ぎ、林道との分岐点の広地に車を駐車して霧の中を歩き始める。尾根の取り付きにかかると既に霧が晴れている。杉の植林地の林床には多数の深山片喰の花を見かけるのだが、昨夜の雨のせいだろう。片端から花を閉じている。植林地はすぐにも終わり、自然林となる。尾根はさほど急登というほどでもなく、所々にユズリハの下藪があるものの歩きやすい。高度が上がるにつれ、尾根上の樹々に朝陽があたる。背後を振り返ると樹間から背後に雲海の上を昇ってゆく太陽が眩しい。
標高830mのあたりで、尾根上は樹木のない広い草原となる。背後を振りかえると、期待以上の壮大な雲海の光景が広がっていた。どうやら琵琶湖のあたりまで果てしなく雲海が広がっているように見える。彼方に望む金糞岳、伊吹山、霊仙山のシルエットは洋上の島影ようだ。
百里ヶ岳までは尾根もなだらかとなり、随所に好展望を見ながら登ってゆく。南の小入谷の方でも雲海が出ているが、朽木から高島にかけての雲海の方に比べると薄いように思える。
百里ヶ岳の山頂に着いたのは7時をわずかに過ぎたところである。この百里ヶ岳のピークを踏むのは一昨年、小4だった次男を連れて小入谷から周回した時以来である。「百里ヶ岳って看板のあったところでしょ」と次男は云う。私はすっかり忘れていたが、子供は以前のことをよく覚えているものだと感心する。
まだまだ時間があるので小入谷の雲海を眺めるべく根来坂峠まで往復することにしよう。おそらく片道30分、雲海を楽しめるのは7時半過ぎまでだろうから、なんとかギリギリ間に合うだろう。
百里ヶ岳の南斜面を下り始めるとイワウチワの群落が現われる。一週間前の桑谷山ではイワウチワの群落はほとんどが蕾でわずかに咲いている花株があった程度であったのが、この日はほとんどのイワウチワが満開である。雲海の見える箇所まで急ぐ必要があるのだが、ついつい花の写真を撮ってしまう。
根来坂峠の手前のピーク白石山まで来てもなかなか展望が開ける箇所がない。根来坂峠を過ぎて、樹間から雲海を眺められる箇所をなんとか見つけるが、急速に雲が薄くなりつつあるようだ。尾根上では、こちらでも数多くのイワウチワをみかける。根来坂峠に再び戻ると、先程は雲海に気を取られていて目に入らなかったのだが、何とお地蔵様の祠が倒壊しているではないか。
根来坂峠から白石山にかけて登り返して、樹間から小入谷の方を眺めて驚いた。先程までの雲海は吹き飛ばされたかの如く、瞬く間に消失しているのだった。わずか数分の間のことである。雲海は日の出から1時間半までという定理は正しいとつくづく実感する。
再び分岐に戻り、シチグレ峠の方に向かって歩き始めたところで、分岐より南の尾根が目に入った。逆光で尾根の様子が十分には判らないのだが、杉の植林の間に山毛欅の林があるようだ。この尾根を辿って木地山に戻ることを思いつく。かなり早くに下山を終了することになるだろうが、たまには午前中に山行を終了してもよかろう。
再び分岐に戻ると百里新道を南下する。こちらの尾根でもイワウチワが満開である。そよ風に吹かれてピンク色の可憐な花がプルプルとうち震える様はなにかを語りかけてくるようにも思われる。
シチグレ峠を過ぎると、最初のピークから東に分岐する尾根に入る。最初は山毛欅が多い気持ちのよい尾根をなだらかに下る。尾根上にはかすかな踏み跡があるが、明瞭とは云い難い。気がつくと申し訳程度にテープもついているが、その頻度は少ないので道標としての役割を果たしているようには思われない。
徐々に尾根には杉の樹が増える。標高点754mのあたりは杉に囲まれた殺風景なところであるが、尾根のその先にあるca770m峰の登りに差し掛かると、途端に山毛欅の目立つ自然林となる。樹間からは南に三国岳から経ヶ岳、イチゴ谷山へと続く尾根を望む。
Ca730mのピークからは尾根は再び杉の植林地となり、南東に向かってなだらかに続いてゆくが、ここからは尾根から左に分岐位する尾根に入らねばならない。尾根の樹林の切れ目からは次のca690m峰に向かって急下降する尾根が見える。
しかし、この尾根の下降点がわからず右往左往する。ついこのような局面でGPSを取り出してしまったが、GPSを過信するよりも最終的にはコンパスと周囲の地形から尾根を探り当てる方が良いことを改めて思い知らされる。
Ca690m峰からは北側にのびる尾根を辿るべく、左手に大きく折れ曲がる。614m峰を過ぎるとすぐにも尾根は広々としたなだらかな尾根になり、尾根上の窪地には小さな池が出現した。このあたりから山毛欅の新緑が始まっている。尾根の左手には大きく斜面が開けており、百里ヶ岳を正面に、シチグレ峠にかけての稜線を見晴らすことが出来る。満開の花を咲かせたタムシバの樹が風景に気品のある彩りを添える。ここは季節を変えて訪れたいところである。
尾根の末端のピークが近づくと再び杉の植林地となるが、ここでも広い尾根の杉林の中に黒い瞳のような池が現われる。杉林の間から池に差し込む光と池の水面に映る木立が交錯する。
杉林を過ぎると車を停めたあたりを目指して尾根を下る。自然林の斜面になるが、ここではさすがに踏み跡も見当たらない。ユズリハの藪をこぎながら斜面を下ることになる。尾根の下部で再び植林地に入ると林床にはやはり深山片喰の花々がお出迎えである。登り始めの林とは違って、こちらでは白い半透明の花弁をほぼ満開に花を咲かせている。
問題は最後の麻生川の渡渉である。こちら側に下ってくることを考えていなかったので、渡渉可能なところを注意しておけばよかったと後悔する。この植林地に入るための小さな橋があるだろうと期待していたが、川べりに辿り着いて下流を眺めると、川に架かる小さな橋が目に入った。
麻生川に沿って朽木へと戻る道を車を走らせると周囲の山々は芽吹き始めの若葉のせいで若緑色から赤茶色まで色とりどりである。
久しぶりに早い時間の下山であり、くつき温泉のてんくうに立ち寄ることにする。安曇川の土手の桜並木はそよ風が吹くとハラハラと桜吹雪が舞う。温泉にたどり着くと、咲き始めた石楠花が出迎えてくれるのだった。
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