秋の気配漂う磐梯山へ☆八方台〜猪苗代へ


- GPS
- 04:00
- 距離
- 15.2km
- 登り
- 714m
- 下り
- 1,382m
コースタイム
- 山行
- 3:40
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 4:05
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
下山は猪苗代スキー場を経て猪苗代駅へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
渋谷登山口へのルートは踏み跡薄い |
写真
感想
この日は東京への出張のついでに丹沢を訪れようと思っていたのだが、前日までは晴れであった予報が前線が予想よりも南に下がったのだろう。早朝の予報では天気があまり芳しくなくなっている。さてどうしたものかと逡巡している間に出遅れたのだが、北陸から南東北のあたりが腫れの予報へと転じている。思い切って会津の磐梯山まで
つい最近、学友がご子息を連れてこの磐梯山に登ったという話を聞き、気になっていたのだった。
この磐梯山に登るにはいくつもの登山ルートがある。磐梯山スキー場、猪苗代スキー場から登る方法もあるのだが、スキー場のゲレンデ・トップまでゴンドラで運んでくれる・・・普段なら。しかし、この週末に限ってどちらのスキー場も運休しているという。八方台までタクシーで行き、猪苗代スキー場に下山するコース取りを考える。
東京駅で新幹線を乗り換えると、暑苦しい曇り空であったが、東北本線が宇都宮を越えて北に向かうと前線の北側に出たのだろう、急に青空が広がってゆく。
郡山の駅で出張の荷物をコインロッカーに預ける。駅ナカのフードコートで書き込むようにして食事をすませる。コンビニで、前の男性が財布にお金がないらしく、レジ前でブレーキをかけている。なんとかレジで会計を済ませると11時39分発の列車の発車間近となっていた。39分発の発車の列車を探し、ホームへと急ぐ。ところがいざ車内で出発のアナウンスを聞くと東北本線の福島行きだという。発車間際に慌てて飛び降りるが、なんと同じ時間に出発する福島行きに乗ってしまったらしい。慌てて磐越西線のホームへと走るが、丁度、電車はホームを出て行くところであった。
次の電車は12時52分発である。いっそのこと出発間際に気がつかずに、そのまま乗っていれば、安達太良山に山行先を変更するという可能性もあったかもしれないが、咄嗟にそのような判断は無理であり。予約していたタクシー会社に連絡して、到着が遅れることを伝える。まさか同じ時間に出発する列車が他にもあるという事態を予想していなかったが、自分の認知機能の浅薄さを呪いながら、次の列車を待つのであった。
ようやく次の磐越西線に乗り込み、列車が会津盆地へと入ると晴れ渡った空に磐梯山の大きな山容が視界に飛び込んでくる。山頂に至るまで、すっきりとした姿を見せている。対向する上りの列車の遅れのせいで磐梯町に到着したのは予定よりもさらに大幅に遅れる。山頂に着くまでに雲がかからないことを願うばかりだ。
タクシーで八方台へと向かう。運転手によると今日のような快晴の青空を背景に磐梯山がすっきりと姿を見せるのは久しぶりらしい。お盆以降、雨か曇り空続きであったとのこと。お盆の前は晴れてはいたけれども山頂でも尋常ならざる暑さで大変だったとのこと。車の窓を開けると涼しい風が吹き込んでくる。あたりはススキの穂が出ており、すっかり秋の気配が漂う。
八方台の登山口から登り始めると最初は樹高の高い山毛欅の壮麗な森の中をゆく。続々と降りてくる登山客とすれ違う。驚いたのは登りのカップルを追い越したことである。この八方台からの往復では標準的なコースタイムでは3時間半ほどであろうから、17時頃には下山するつもりで登っておられるのだろう。
硫黄の匂いが漂ったかと思うと中の湯跡地の広場に出る。真っ白なお湯が湧き出しているが、ロープが張られている。人が少なければ温泉に入ってみたい気もするが、これだけ人が往来する状況ではそれも難しいだろう。
いつしか碧空はなくなり、すっかり雲が広がっている。左手に望む磐梯山の山頂部は辛うじて雲の下だ。少し登ると尾根の展望地からは背後に桧原湖を望むが、
弘法清水にたどり着くと、無情にも山の上の方はすっかり雲がかかっている。やはり郡山駅での1時間のロスが悔やまれる。正面に櫛が峰を大きく望むが、その山頂にも雲がかかり始めようとしている。これから登られるんですか?とどこからともなく現れた女性に声をかけられる。小屋の女主人であり、これから下山するところらしい。これより遅い時間にここに到来する人はほとんどいないのであろう。弘法清水の冷たい水の美味しさに気を取直して、山頂を目指す。
山頂への登りは潅木帯の中で、本来は見晴らしが良いのであろうが、すぐにも雲の中へと入ってゆく。涼しさを通り越してむしろ肌寒いくらいである。それまでの登りでかいた汗で急に体が冷えてゆく。
山頂では若い男女の3人のパーティーが休憩しておられた・・・というより雲が晴れるのを待っておられる様子だ。一瞬、雲が薄くなり、陽光がさし、猪苗代方面の景色が一瞬、見えるが、まもなく雲の中に全ては消えてゆく。
山頂の近くでは数多くの花が咲いており、ウメバチソウ、ヤマハハコ、ジンジソウといった花々を楽しみながら下山の途につく。再び弘法清水に戻ると、下山は爆裂火口の縁を目指して見晴らしの良い草原の中を降りてゆく。登山路の左手には平坦なお花畑が目に入るので寄り道をする。振り返ると、山頂部にかかる雲が薄くなり、一瞬、山頂が雲の中から姿を現す。
再び登山路に戻ると登山路脇に湧き出している清水がある。黄金清水だ。人影のない草原の中を歩いて爆裂火口の縁にたどり着く。平和の雰囲気の周囲のお花畑と荒涼とした爆裂火口の様相とのギャップが著しい。火口の先には赤錆色の縁に囲まれて緑色の液体を湛える銅沼のが見える。
櫛形山への分岐を過ぎると、再び樹林帯に入り沼の平へと下ってゆく。沼の平が近づくと左手に大きな池が見える。渋谷方面の登山路への分岐に至ると薄い踏み跡が池の方に向かって伸びている。一度は通り過ぎたが、池の向かう側に草原の小さなピークが目に入り、このピークに寄り道することにした。
渋谷方面の登山路はあまり人が歩いていないのだろう。細い登山路は柔らかな草に覆われ、地面の露出が見られない。樹林を抜けると樹々もまばらな草原状の広地に出る。上からは見えなかった小さな池がある。
この磐梯山と櫛が峰に囲まれた山上の平原の雰囲気は素晴らしく、知られざる庭園といったところだ。人の気配は一切、感じられない静謐な雰囲気がこの閉ざされた平原の神秘的な印象を与える。磐梯山の山頂部は相変わらず雲を被っているが、小さなカルデラに面して荒々しい山肌を見せている。池に沿って登山路の草原の中の潅木帯を避けるように蛇行する踏み跡を辿り、小さなピークへと歩む。心ゆくまでのんびりしたいところではあるが、そうは言っていられない。時刻はすでに16時半を回っている。ヘッドライトを必要とするまでにはならないと思うが、下山を気にしなければならない時間になっている。
猪苗代への登山路へ戻ると樹肌の美しい白樺の林となる。その樹間からは右手に大きな湿原が見えるが、先ほどの渋谷への登山道に比べると、猪苗代への登山路からは樹林に眺望が遮られている。黙々となだらかな道を急ぐと、沼の平の南端あたりで猪苗代登山口まで5kmと記された道標がある。猪苗代から郡山への次の列車を確認すると17時40分とある。到底、間に合わないだろう。
赤植山への分岐を左手に見送ると樹林の中の平坦なトラバース道が続く。樹林を抜けると突然、猪苗代湖を見晴らす展望地に飛び出す。猪苗代湖の上では雲が多く、湖面は金属的な藍鼠色の鈍い光を放っているが、その上では青空を背景に斜陽を浴びた雲が黄金色に輝き始めている。ここからは登山道からは随所に夕暮れの色に染まってゆく猪苗代湖の展望を見ながら下ってゆく。
スキー場の上部に出るとゲレンデはあたり一面、ススキの原である。時間は17時10分、登山口に17時半にたどり着ける可能性は到底無理だろうと思ったが、ススキの原の中の道は下りやすく、急速に距離を稼ぐ。もしかして列車に間に合うかもしれない。タクシー会社に連絡をして、ゲレンデの下の登山口に配車を依頼する。電話交換手の男性は先ほどタクシーを依頼した人物だとすぐに認識したらしく、下山の時間に驚かれる。
ゲレンデの下の登山口に到着したのは17時半をわずかに過ぎたところであった。しかし待てどもタクシーが見当たらない。タクシーを飛ばしても次の列車には間に合わない時間となる。こういう日は全てがうまくいかないものだ。タクシーをキャンセルして、猪苗代の駅まで歩くことにする。
瀟洒な作りの小学校を通り過ぎると古い城跡があるので、訪れてみる。猪苗代氏の居城であった亀ヶ城らしい。夕暮れの城の石垣の周囲では秋紫陽花が美しく咲いていた。
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