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Yamareco

記録ID: 21170
全員に公開
アルパインクライミング
道北・利尻

利尻山 南稜

1992年04月24日(金) 〜 1992年04月27日(月)
 - 拍手
GPS
80:00
距離
16.7km
登り
1,701m
下り
1,693m

コースタイム

1日目
山行
2:05
休憩
0:00
合計
2:05
7:40
125
鬼脇登山口
9:45
明治大テントC1
2日目
山行
3:10
休憩
0:00
合計
3:10
7:30
190
明治大テントC1
10:40
懸垂のコルでC2
3日目
山行
7:30
休憩
0:00
合計
7:30
5:30
450
懸垂のコルでC2
13:00
バットレス基部のC3
4日目
山行
15:20
休憩
0:00
合計
15:20
5:40
650
バットレス基部のC3
16:30
16:30
90
南峰肩
18:00
18:00
50
北峰
18:50
18:50
130
長官山
21:00
北尾根登山口
4月23日:稚内(11:20)→鴛泊(13:20)→札医大付属臨海研で泊まる。
4月24日:研究所(7:00)→鬼脇登山道(7:40)→明治大テントC1(9:45)
4月25日:明治大テントC1(7:30)→1200ピーク→アプザイレンのコルでイグルーC2(10:40)→完成(12:10)
4月26日イグルーC2((5:30)→バットレス前にイグルーC3((13:00)→完成(14:30)
4月27日イグルーC3((5:40)→南峰の肩(16:30)→北峰(18:00)→長官山(18:50)→登山口駐車場(21:00)
アクセス
コース状況/
危険箇所等
<入山まで>

車を稚内港の埠頭に置いて一泊。翌日は悪天のため船が出ず、豊臣温泉で1日だらりとつぶす。その翌日やっと鴛泊港に上陸。札医大の臨海研究所で一晩お世話になる。ノラネコと一緒に焼酎を飲む。

翌日、ヤムナイ沢から入山。2時間歩いたところで明治大山岳部の捜策ベースキャンプにつく。前年12月に、雪崩で行方不明になった仲間を探し続けていた。ヒマラヤ取材の縁で明治とは顔見知りだ。この前ススキノで飲んだ二人がいた。雨も降りだしたので広々したここで一泊。おいしいマーボー定食の夕飯をいただいた。

<核心部1日目>

さて翌日。札幌を出てから実に5日目、旅先の人たちの熱い人情をハシゴしてやっと南稜に取り付いた。視界の効かぬまま標高1200m付近の極端に細い稜線へ。ついに利尻にやってきたぞ!底なしの絶壁がガスのために隠されている。だが稜線の幅は腰ほどもない。1200mピークから懸垂下降。その底の、稜線の幅2m程のコルにイグルーをこしらえる。夕方、晴れ上がり、ヤムナイ沢源頭から恐竜の背のような南稜上部、そして目指すバットレスが初めて見えた。この季節にしては異様に白い。垂直で雪が乗らない壁の部分以外はすべてが真白。びっしりとシュカブラがこびり付いている。事前に予習してきたルートなど、どこのことなのかよく分からない。

<核心部2日目>

翌朝はさわやかな晴天の下、最低コルまでもう一度アプザイレン。その後、細い雪稜を1ピッチ、スタカットで大槍の基部へ。ここはカンテからチムニーを抜けて最後は馬乗りするほど細くて切れてる数メートルを通る。恒常的に細いので、高度感にはそのうち慣れてしまう。大槍を左に捲いてP2へ。ここからの懸垂下降には不退転の決意が必要だ。登り返すのが大変だからだ。そうはいっても行く事しか考えていないのでさっさと懸垂する。20m、40m、2回のアプザイレンが終わるころ、罠にはまるのを待っていたかのようにガスが昇ってきた。ホワイトアウトになる。視界は15m程になり、P1の登りのルートがよくわからない。雪かきの末、斉藤がトップで抜ける。その後左への回り込みも視界がない故に時間がかかった。P1を越えたコル、ここにイグルーを作る。昨日と同じくらい狭いコルに、同じくらい狭いイグルー。この作業で全身ずぶ濡れになる。ひどい場所だが着実にルートを前進している充実感は大きい。うまいカレー雑炊をたらふく食べて幸せになる。

<核心部3日目>

翌朝は希望どおり快晴。作るときはガスで気づかなかったがイグルーはなんとバットレスの取り付きにできていた。数メートル登った所から斉藤が空身でトップを行く。何時間かかってもこの壁を登らなければ家に帰れない。斉藤は右にルートをとる。7mほどトラバースして脆い岩を直上し更に右の氷とシュカブラのチムニーへ。その後数m岩を直上して最後に鐙をつかって右へ。通称ハイマツテラスの1段下の狭いリッジ上でピッチを切る。トップが抜けるのに3時間かかった。僕がセカンドで取り付いたときには岩の上を水が流れていて、つかんだハーケンが緩んでいて抜けた。足の下数百メートル何もなしという滅多にないぶらさがりに肝を冷やす。2ピッチ目はハイマツテラスにあがった後、石橋がトップ。左の浅いルンゼ状を登り、抜けてから右にトラバースして終わり。こちらのテラスは外傾していてすごい高度感。こんなところに来てしまった事をしみじみ味わう。空中に飛んでいく自分を想像すると、その現実感に身震いする。3ピッチ目は斉藤。右のルンゼの中にある小さな滝を鐙でこえて左へ。このテラスではハイマツも埋まっているのかピンが取れず、いい加減なロックハーケンを一本打つ。まーるい利尻の海岸線が光っている。利尻という円錐の頂点を目指しているのが分かる。4ピッチ目石橋。右に回り込んでS字ルンゼをぬけて雪稜へ。2人にトップをつとめてもらい、僕は8ミリムービーと35ミリカメラ両方の撮影に専念した。

南峰を捲き、中央峰で2ピッチ出すころには遠くサハリン島が斜陽に浮かび上がり、北峰に午後6時登頂の頃には薄暮。これで家に帰れるという安堵感。東の空に星。長官山あたりで日が暮れる。ラテルネをつけて山麓へ。登山口駐車場のアスファルトの上にツエルトも被らずにゴロ寝。星を見ながらびしょ濡れのシュラフでスヤスヤ眠る。
サロベツ海岸から対岸の利尻
2007年07月03日 22:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:26
サロベツ海岸から対岸の利尻
札幌医科大の鴛泊海洋研究所に来た野良ネコ
2007年07月03日 22:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 22:26
札幌医科大の鴛泊海洋研究所に来た野良ネコ
野良猫と遊ぶ。
2007年07月03日 22:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 22:26
野良猫と遊ぶ。
鴛泊の本屋。以前世話になったのでお礼参り。
2007年07月03日 22:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 22:26
鴛泊の本屋。以前世話になったのでお礼参り。
鴛泊港と利尻北尾根
2007年07月03日 22:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:26
鴛泊港と利尻北尾根
鴛泊港
2007年07月03日 22:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 22:26
鴛泊港
鴛泊港
2007年07月03日 22:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:26
鴛泊港
鴛泊港
2007年07月03日 22:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 22:26
鴛泊港
鴛泊港
2007年07月03日 22:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:26
鴛泊港
鴛泊港
2007年07月03日 22:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:26
鴛泊港
2007年07月03日 22:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:26
鴛泊漁港から利尻北尾根(下降ルート)
2007年07月03日 22:48撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:48
鴛泊漁港から利尻北尾根(下降ルート)
南稜尾根機部への沢形
2007年07月03日 22:48撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:48
南稜尾根機部への沢形
明治大のテントでごっつあんになる
2007年07月03日 22:48撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 22:48
明治大のテントでごっつあんになる
南稜尾根基部
2007年07月03日 22:48撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:48
南稜尾根基部
南稜基部を登る
2007年07月03日 22:48撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:48
南稜基部を登る
細くなり始めガス。
2007年07月03日 22:48撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:48
細くなり始めガス。
イグルーの中
2007年07月03日 22:49撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 22:49
イグルーの中
イグルーの中
2007年07月03日 22:48撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 22:48
イグルーの中
南稜とイグルー
2006年04月01日 20:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
6
4/1 20:51
南稜とイグルー
イグルーと利尻バットレス
2007年07月03日 22:49撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:49
イグルーと利尻バットレス
一つ目のイグルー前。南稜全貌
2007年07月03日 22:49撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:49
一つ目のイグルー前。南稜全貌
一つ目のイグルーを出る朝
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:08
一つ目のイグルーを出る朝
一つ目のイグルー前
2007年07月03日 22:49撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 22:49
一つ目のイグルー前
南稜を上に向かう。右、バットレスその左、大槍(基部を巻く)左は仙法師稜とローソク岩。
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
3
7/3 23:08
南稜を上に向かう。右、バットレスその左、大槍(基部を巻く)左は仙法師稜とローソク岩。
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:08
一つ目のイグルーを出て南稜へ
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:08
一つ目のイグルーを出て南稜へ
一つ目のイグルーより行く手ローソク岩、大槍、バットレス
2007年07月03日 22:49撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
3
7/3 22:49
一つ目のイグルーより行く手ローソク岩、大槍、バットレス
一つ目のイグルーと利尻南稜。この稜線の幅は2mたらず
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
2
7/3 23:08
一つ目のイグルーと利尻南稜。この稜線の幅は2mたらず
一つ目のイグルーより南稜
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
2
7/3 23:08
一つ目のイグルーより南稜
山頂の見えるイグルー
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:08
山頂の見えるイグルー
南稜途中のダイク状岩峰
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:08
南稜途中のダイク状岩峰
一つ目のイグルーを出て、南稜に向かう
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 23:08
一つ目のイグルーを出て、南稜に向かう
大槍へ向かう
2007年07月03日 23:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 23:29
大槍へ向かう
懸垂準備
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 23:08
懸垂準備
南稜を上に向かう
2007年07月03日 23:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:29
南稜を上に向かう
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:08
急斜面トラバース
2007年07月03日 23:08撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 23:08
急斜面トラバース
2007年07月03日 23:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 23:29
大槍の基部
2007年07月03日 23:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:29
大槍の基部
大槍へ向かう
2007年07月03日 23:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 23:29
大槍へ向かう
大槍の基部
2007年07月03日 23:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:29
大槍の基部
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 23:51
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:51
大槍の下の岩峰
2007年07月03日 23:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:29
大槍の下の岩峰
馬乗りに股がる一番細いギャップ。あの下りが嫌な感じ
2007年07月03日 23:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:29
馬乗りに股がる一番細いギャップ。あの下りが嫌な感じ
一番細いところ、股がって超える
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 23:51
一番細いところ、股がって超える
一番細い馬の背
2007年07月03日 23:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:29
一番細い馬の背
一番細いところ、股がって超える
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:51
一番細いところ、股がって超える
P2へ
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:51
P2へ
バットレス。P2の上より
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:51
バットレス。P2の上より
P2よりバットレス全貌
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 23:51
P2よりバットレス全貌
P2アプザイレン、中間点
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:51
P2アプザイレン、中間点
P2からのアプザイレン中間地点より下部を見下ろす
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:51
P2からのアプザイレン中間地点より下部を見下ろす
バットレス基部のイグルー
2007年07月04日 00:20撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/4 0:20
バットレス基部のイグルー
バットレス取り付き1ピッチ目。イグルーの脇でビレー。
2006年04月01日 20:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
4/1 20:51
バットレス取り付き1ピッチ目。イグルーの脇でビレー。
二つ目のイグルーを出てすぐバットレス取り付き
2007年07月04日 00:20撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/4 0:20
二つ目のイグルーを出てすぐバットレス取り付き
バットレス基部のイグルーからとりつく
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:51
バットレス基部のイグルーからとりつく
バットレス基部のイグルー
2007年07月04日 00:20撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/4 0:20
バットレス基部のイグルー
バットレス1ピッチ目の終わり
2007年07月04日 00:20撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:20
バットレス1ピッチ目の終わり
バットレス1ピッチ目の終わり
2007年07月04日 00:20撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:20
バットレス1ピッチ目の終わり
バットレス1ピッチ目の終わり
2007年07月04日 00:20撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:20
バットレス1ピッチ目の終わり
右手前P2奥はローソク岩や仙法師稜
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
2
7/3 23:51
右手前P2奥はローソク岩や仙法師稜
バットレス1ピッチ目の終わり
2007年07月04日 00:20撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:20
バットレス1ピッチ目の終わり
バットレスのなか
2007年07月03日 23:51撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:51
バットレスのなか
仙法師稜
2007年07月03日 23:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/3 23:29
仙法師稜
バットレス途中から南稜と仙法師稜
2007年07月04日 00:20撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/4 0:20
バットレス途中から南稜と仙法師稜
2007年07月04日 00:20撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:20
バットレス2ピッチ目
2007年07月04日 00:38撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:38
バットレス2ピッチ目
バットレス途上
2007年07月04日 00:39撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:39
バットレス途上
大槍と右奥は仙法師稜。バットレス中間部より
2007年07月04日 00:20撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/4 0:20
大槍と右奥は仙法師稜。バットレス中間部より
手前はP1とP2。バットレス中間部より
2007年07月04日 00:20撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:20
手前はP1とP2。バットレス中間部より
バットレス2ピッチめ
2007年07月04日 00:39撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/4 0:39
バットレス2ピッチめ
バットレス3ピッチ目
2007年07月03日 23:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/3 23:29
バットレス3ピッチ目
バットレスよりみた大槍(左)と右奥は仙法師稜
2007年07月04日 00:38撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:38
バットレスよりみた大槍(左)と右奥は仙法師稜
バットレスの4ピッチめ終了点
2007年07月04日 00:39撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:39
バットレスの4ピッチめ終了点
バットレスの終了点から先を見る。中央峰への最後の登り
2007年07月04日 09:05撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/4 9:05
バットレスの終了点から先を見る。中央峰への最後の登り
2007年07月04日 00:38撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:38
中央峰への最後の登り
2007年07月04日 00:39撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:39
中央峰への最後の登り
南稜を見下ろす
2007年07月04日 00:39撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:39
南稜を見下ろす
バットレス終了点後ろは南稜と仙法師稜
2007年07月04日 00:39撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:39
バットレス終了点後ろは南稜と仙法師稜
西壁方面を見る
2007年07月04日 00:39撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:39
西壁方面を見る
西壁方面を見る
2007年07月04日 00:39撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:39
西壁方面を見る
南峰をトラバースして中央峰あらわる
2007年07月04日 00:39撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 0:39
南峰をトラバースして中央峰あらわる
中央峰へのビレー
2007年07月04日 09:05撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 9:05
中央峰へのビレー
中央峰最後の登りでアンザイレン2p
2007年07月04日 09:05撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 9:05
中央峰最後の登りでアンザイレン2p
中央峰最後の登り
2007年07月04日 09:05撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/4 9:05
中央峰最後の登り
北峰の山頂。礼文島
2007年07月04日 09:05撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
7/4 9:05
北峰の山頂。礼文島
北峰山頂
2007年07月04日 09:05撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/4 9:05
北峰山頂
北峰山頂
2007年07月04日 09:05撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
7/4 9:05
北峰山頂
北峰山頂。右は礼文島
2007年07月04日 09:05撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
2
7/4 9:05
北峰山頂。右は礼文島

感想

<入山まで>
車を稚内港の埠頭に置いて一泊。翌日は悪天のため船が出ず、豊臣温泉で1日だらりとつぶす。その翌日やっと鴛泊港に上陸。札医大の臨海研究所で一晩お世話になる。ノラネコと一緒に焼酎を飲む。

翌日、ヤムナイ沢から入山。2時間歩いたところで明治大山岳部の捜策ベースキャンプにつく。前年12月に、雪崩で行方不明になった仲間を探し続けていた。ヒマラヤ取材の縁で明治とは顔見知りだ。この前ススキノで飲んだ二人がいた。雨も降りだしたので広々したここで一泊。おいしいマーボー定食の夕飯をいただいた。

<核心部1日目>
さて翌日。札幌を出てから実に5日目、旅先の人たちの熱い人情をハシゴしてやっと南稜に取り付いた。視界の効かぬまま標高1200m付近の極端に細い稜線へ。ついに利尻にやってきたぞ!底なしの絶壁がガスのために隠されている。だが稜線の幅は腰ほどもない。1200mピークから懸垂下降。その底の、稜線の幅2m程のコルにイグルーをこしらえる。夕方、晴れ上がり、ヤムナイ沢源頭から恐竜の背のような南稜上部、そして目指すバットレスが初めて見えた。この季節にしては異様に白い。垂直で雪が乗らない壁の部分以外はすべてが真白。びっしりとシュカブラがこびり付いている。事前に予習してきたルートなど、どこのことなのかよく分からない。

<核心部2日目>
翌朝はさわやかな晴天の下、最低コルまでもう一度アプザイレン。その後、細い雪稜を1ピッチ、スタカットで大槍の基部へ。ここはカンテからチムニーを抜けて最後は馬乗りするほど細くて切れてる数メートルを通る。恒常的に細いので、高度感にはそのうち慣れてしまう。大槍を左に捲いてP2へ。ここからの懸垂下降には不退転の決意が必要だ。登り返すのが大変だからだ。そうはいっても行く事しか考えていないのでさっさと懸垂する。20m、40m、2回のアプザイレンが終わるころ、罠にはまるのを待っていたかのようにガスが昇ってきた。ホワイトアウトになる。視界は15m程になり、P1の登りのルートがよくわからない。雪かきの末、斉藤がトップで抜ける。その後左への回り込みも視界がない故に時間がかかった。P1を越えたコル、ここにイグルーを作る。昨日と同じくらい狭いコルに、同じくらい狭いイグルー。この作業で全身ずぶ濡れになる。ひどい場所だが着実にルートを前進している充実感は大きい。うまいカレー雑炊をたらふく食べて幸せになる。

<核心部3日目>
翌朝は希望どおり快晴。作るときはガスで気づかなかったがイグルーはなんとバットレスの取り付きにできていた。数メートル登った所から斉藤が空身でトップを行く。何時間かかってもこの壁を登らなければ家に帰れない。斉藤は右にルートをとる。7mほどトラバースして脆い岩を直上し更に右の氷とシュカブラのチムニーへ。その後数m岩を直上して最後に鐙をつかって右へ。通称ハイマツテラスの1段下の狭いリッジ上でピッチを切る。トップが抜けるのに3時間かかった。僕がセカンドで取り付いたときには岩の上を水が流れていて、つかんだハーケンが緩んでいて抜けた。足の下数百メートル何もなしという滅多にないぶらさがりに肝を冷やす。2ピッチ目はハイマツテラスにあがった後、石橋がトップ。左の浅いルンゼ状を登り、抜けてから右にトラバースして終わり。こちらのテラスは外傾していてすごい高度感。こんなところに来てしまった事をしみじみ味わう。空中に飛んでいく自分を想像すると、その現実感に身震いする。3ピッチ目は斉藤。右のルンゼの中にある小さな滝を鐙でこえて左へ。このテラスではハイマツも埋まっているのかピンが取れず、いい加減なロックハーケンを一本打つ。まーるい利尻の海岸線が光っている。利尻という円錐の頂点を目指しているのが分かる。4ピッチ目石橋。右に回り込んでS字ルンゼをぬけて雪稜へ。2人にトップをつとめてもらい、僕は8ミリムービーと35ミリカメラ両方の撮影に専念した。

南峰を捲き、中央峰で2ピッチ出すころには遠くサハリン島が斜陽に浮かび上がり、北峰に午後6時登頂の頃には薄暮。これで家に帰れるという安堵感。東の空に星。長官山あたりで日が暮れる。ラテルネをつけて山麓へ。登山口駐車場のアスファルトの上にツエルトも被らずにゴロ寝。星を見ながらびしょ濡れのシュラフでスヤスヤ眠る。

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コメント

これも懐かしいですね。
 yoneyamaさんはいろんなところを登っているのですね。

 私も85年のゴールデンウイークに登りましたが、P2からアプザイレンして降りたところ、バットレスは雪が無く、ぼろぼろだったので、登攀意欲がなくなり、沢を横断して、右手の雪尾根に取り付いて登頂しました。どこを登ったかは定かではありません。多分東稜だとおもいます。

 その年の正月合宿が穂高滝谷だったので、滝谷の岩場と比べて岩があまりにもボロボロで、がっかりした記憶があります。もう少し早い、岩場が氷結している時期が良かったのですね。

 でも、写真では美しいリッジですね。

 追記:写真の何枚かは南稜ではなく、仙法師稜では?
2010/6/26 13:14
写真を整理しました。
pmir88さんこんにちは
コメントをいただきありがとうございました。良い機会なので時間がばらばらだった写真を並べ直し、説明も丁寧になおしました。デジタルじゃないもので、一発時間順入れ替えができず、難儀しました。仙法師稜と南稜のキャプションも丁寧にしました。
利尻を楽しむならゴールデンウィークは遅すぎです。4月上旬〜中旬まででなければいけません。
2010/6/27 21:25
わざわざすみません。
yoneyamaさんこんばんは

つれづれなる、つまらないコメントのために、わざわざ写真の整理をしていただいたようで、申し訳なく思っております。

でも、美しい雪稜で、気持ち良さそうですね。これを登られたことはうらやましいです。

近頃は、ワンデイハイクに行ったり走ったりして体が絞れてきたので、簡単なクライミングをやろうかなあと、この記録を見ながらよからぬ考えが頭をよぎっております。最大の難点は、言うまでもなく、女房をどうごまかすかですが
2010/6/27 22:07
テントの中の先輩!
驚きました!
このときのGWは利尻だったのですね。
テントの先輩方が僕の1期上。
TさんとMさんが懐かしい!
南稜は見果てぬ夢だなあ。

しかし、yoneyamaさんは
ホントすごいですね!
2010/7/16 17:22
う〜む写真、撮っておくもんですねえ。
この晩いただいた一汁一菜とごはんという、明治定食に我々は驚いたものです。うちは18センチの料理用ボール一つにカレー雑炊すりきり一杯というような野蛮な伝統食だったので・・・。
TさんMさん、今もまだ登っていますでしょうか。

このあと一回ススキノで飲んだ覚えがあります。
2010/7/16 21:09
さすがは伝統食!
あの夕食食べたのですね。

しかし、yoneyamaさんの文章読んで
北大のほうがすごいご飯を
食べられているようですね。
18cmボールの
カレー雑炊すりきり一杯って
coco一番のカレーよりも凄そうです・・・

8月終わりにI先生別邸であるBBQに
今年も家族で参加しま〜す!
2010/7/27 17:12
プロフィール画像
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