東の鯖街道79.9kmを歩く!小浜 to 京都 2020-3-20,21


- GPS
- 21:38
- 距離
- 79.5km
- 登り
- 2,209m
- 下り
- 2,167m
コースタイム
- 山行
- 9:30
- 休憩
- 0:18
- 合計
- 9:48
- 山行
- 11:29
- 休憩
- 0:18
- 合計
- 11:47
小浜駅9:04-下根来小栗山登山口11:42-上根来登山口12:39-根来坂峠14:18-焼尾地蔵14:51-百里ヶ岳登山口根来坂峠ルート15:09-15:13小入谷林道出合15:22-三国岳登山口16:00-桑原橋16:29-久多(自然環境活用センター)19:15
二日目 タイム11:50 距離36.5km 上り1,454m 下り1,782m カロリー5923kcal
オグロ坂登山口5:04-オグロ坂峠6:50-八丁平7:05-二ノ谷管理舎8:09-11:59花背峠12:03-百井別れ12:29-鞍馬温泉13:28-13:37鞍馬駅13:46-叡電市原駅14:43-出町橋西口16:51
過去天気図(気象庁) | 2020年03月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車
京都出町が終点 |
コース状況/ 危険箇所等 |
特に危険箇所はない。一番危ないのは花脊峠ー鞍馬寺の車道 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
タイツ
ズボン
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
毛帽子
靴
ザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
カメラ
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感想
以前から行きたかった鯖街道。昔、若狭国から鯖などを京都に運んだ道。鯖に塩を付けて一昼夜歩いて京都についた頃には塩が良い具合に滲み込んでいたらしい。鯖街道はいくつかのルートがあるが、多くは車道になってしまっている。山歩き部分の多い針畑峠コースに絞って計画を温めていた。福井県小浜市いづみ商店街から京都出町の枡形商店街まで。公称76km。かつては廃道になっていたが地元の皆さんが復興されて、今では鯖街道ウルトラマラソンが実施されており、部分的ではあるがも1泊2日で36km歩く鯖街道ウォーキングも毎年開催されている。
職場にウルトラマラソンの参加者が居り、聞いてみると12時間以内で走るらしい。この76kmを完歩する場合、24時間位掛かりそう。ということで、テントで1泊が必要。ウルトラマラソン以外のレポを探したが、途中までバスなど利用したものが多い。完登されたのを探すと、志賀の里 後藤さんの昨年11月に3泊して行かれたレポが見つかった。詳細な資料のあるレポで大変参考になった。この資料を拝読して計画を立てた。この場を借りてお礼申し上げます。
ここは1日目、2日目の800m超えの峠越えがあるが、ルートの3/4は車道歩きになるらしい。これが厳しそうなのでシューズがゴアテックスのトレランシューズにした。荷物は重量を抑えるためにツエルトにして、シュラフも軽いモンベル#5にして、防寒と結露対策にシュラフカバーを持参、水と飲料は2.4L、食事はパン2種類、おにぎり2個、他にお餅、ゼリー飲料3個など。結局、10kg程度の重量になり、背負いやすいグレゴリー40Lザックに入れて行くことにした 。
JR始発 に乗って敦賀から小浜へ。小浜が近づくにつれて、ロングな山行のプレッシャーで気が重くなる。ここは途中でエスケープしにくいルート。体力と気力は必要だが技術的な難易度は無い。気をつけて行けば大丈夫。自分を納得させる。
小浜駅に降り立った。駅前の観光案内所に寄って、ガイドブック(税込み550円)を購入した。
「これから京都まで歩くのですが、そういう方は居られますか。」
「ウルトラマラソンもありますし、5月にはウォーキングもあります。2泊ぐらいですか?」
「1泊2日で行きます」
「気をつけてがんばってください」
もう気弱な気持ちは消え去った。進むのみ。まずは出発点である、いづみ商店街へ。ここで女性の方に声をかけると、鯖街道ミュージアムがあることを教えていただいた。ここには鯖街道の資料、観光客用のノート、地面には出発点のプレートがあった。
まずは小浜市街を通り、コンビニでおにぎり2個を補給した。JR踏切を渡り、北国街道国道27号線に入る。今日は曇りから徐々に回復する見込みだが、小雨が降ってきた。雨具は着ずに鯖街道に入って検見坂へ。遠敷地区を歩くと、遠敷昔絵図が示されていた。昔から栄えた街だったんだなぁ。右折すると若狭姫神社に到着。奈良時代に創建された古い神社。
このあとに進む若狭彦神社から分社されたらしく若狭彦神社を上社、こちらを下社とされている。畿内五芒星(きだいごぼうせい)の真北にある神社としても有名。五芒星は奈良を中央に熊野大社、伊勢神宮、伊吹山など古くからの神社などが正五角形に位置しているというもの。
広い境内、本殿にお詣りして次は若狭彦神社に。鐘つき堂のところから県道35号線から外れ、若狭彦神社にお詣り。足早にその先へ。森林の水PR館は休館のようだった。次に神宮寺山門(仁王門)が見えてくる。仁王様に睨まれている。ここから長い参道を徐々に登り、志納所で拝観料を払って境内へ入場。本堂には横から入れる。線香を焚いて祈ります。その後、3月2日に行われるお水送りの御香水を取られる湧き水を見に行く。隣には大護摩を焚かれた跡が残っている。お水送りの水について、志納所で飲めますよって言われていたし、柄杓もたくさんあった。水面には木の葉が浮いていたので一瞬躊躇したが、きれいそうなところから水をすくって飲んでみた。
飲んだあと、水の汲んだところを見ると中でカエルが泳いでいるのが見えた。エエッ。飲んじゃったヨ。まあ、少しだけだし大丈夫かと思いなおし、先に進むことにした。ああ、気分が悪かった。
お水送りでは、御香水を松明とともにこの先の鵜の瀬まで行列して運び、鵜の瀬で遠敷川に注がれる。ここは奈良二月堂に通じていて、
注がれた御香水がお水取りの水となる。畿内五芒星とともに神秘的で興味深い話である。
鵜の瀬までも遠敷川沿いに舗装道路を進む。お腹が空いてきたので、歩きながらおにぎりを食べる。今日の目的地である久多(くた)には夜の到着の予定。少しでも早くつきたいので、休まずに歩く。左前方に鵜の瀬が見えてきた。ここでは河川敷に降りて見学した。大護摩を焚いたあとがあった。ここには資料館もあったがひっそりしていた。ここで飲水を補給できるし、トイレもある。この後も舗装道路を南下する。路肩はあるし、交通量が多くないので安心して進める。いつしか道は狭くなり、斜度も増えてくる。
下根来(しもねごり)では県道から外れて八幡神社に向かう。その手前に小学校があったが既に廃校となっていた。子守唄を刻んだ碑が置かれてあった。百里ヶ岳への周回のスタート地点になる八幡神社は改修中であった。
ここから県道に戻り、中の畑、上根来へと進む。車の往来は少なく、後ろからロードバイクが軽快に抜いていく。廃屋も所々に目立ってきた。向かいから欧米人の二人連れが自転車で凄いスピードで降りてきた。日本に在住の方かなあ。上根来では最初に廃屋が連なっていたが、その奥に住居があり一安心。ここには休憩できるところもあるのだが、営業されているか確認せずに先を急ぐ🏃。これより先に人家はないはずだが、その先へ行く自動車があり、どこに行くのかと思ったら墓地があった。お彼岸のお参りだった。私も墓参りしないといけないな。
その先を進むと大きな牛舎があり、今は薪が積み置かれている。ここの横から林道に入る。自動車でも峠越えできるので、そちらに行かれるんだろうか、追い抜いて行く。その先には鯖街道の石碑があり、ここが根来坂の登山口。ここまで18km。予定より40分早い到着で快調。ようやく山道に入る。
ここから針畑峠まで標高差500m超。でも、出だしはジグザグに緩やかな登山道が設けられている。これなら、ウルトラマラソンの方々も走れそうだ。しかし、斜度が増し、深く掘れた溝のような道に枯れ葉が積もり、滑りやすく、しかもその下の凸凹の状況がわからないので足をひねりそうになる。残雪が残り、倒木もあり、跨いで、乗り越して、くぐって進む。林道に合流して再び登山道に入り、左への長いトラバースを登り詰めると針畑峠。壊れた祠とお地蔵様。まずは一礼。ここまで22km。今日の最高点でここからは下っていくのみ。まだ20kmほど残っている。この下りで少しでも、時間を短縮したい。
途中で京都方面を展望できるところがある。まだまだ、深い山並みだ。今日はなんせ余裕がないので休むことなく進む。オニュウ峠越えの林道に二度合流し、再び山道に入る。多少、足元が不安定な箇所もあるが総じて歩きやすい道。最後は川を渡る。事前の調べでは上流で渡れる見込みだったが、今日は無理そう😂。あらかじめ、この事態を想定してレジ袋を用意していたので、足を入れて無事に渡った。ここから、長いロードになる。コミュニティバスのルートなので、バス停を目標に、一つ一つ越えて行く。また、おにぎり、ゼリー飲料を補給しながら停まらずに歩く。トレランシューズなので、足元は軽いが、小指が痛い。荷物が肩に堪えてくる。久多の手前で明るいうちにテントを張るのも考えてみるが、明日が余計に長く厳しくなるので、久多まで頑張ろう❗
風は今日一日強く、すでに肌寒い。歩いていても手にこわばりを感じる。集落を1つ過ぎるのに30分ぐらいかかる。横を通り過ぎる自動車ならすぐなんだろうな。しかし、今回は昔の方のように歩きとおすのが目標。一日目で文明の利器を使用しては情けない。しかし、小浜市内を出てから自動販売機が見つからない。この季節なので水分の消費量は少なく、500mLペットボトル半分くらいだが、暖かい紅茶などで体を元気づけたかった。ないものは仕方ない。時間的には計画より早めに来ているので真っ暗になる前にテントが張れるかもしれないので頑張る。
ここまで登山者はもちろん、歩いている方も皆無。周りからは珍しい人に見えているかもしれない。日は落ちて少々暗くなってくる。ようやく京都に入る。福井ー滋賀ー京都とつないできた。道は大きく右に曲がると久多までもうしばらく。ここでの登りは結構きついが行程の終盤となると力が湧いてくる。木立の中の林道は薄暗く、百均で購入した自転車用のフラッシュを点滅しながら歩く。通り過ぎる自動車は何事かと、減速して通り過ぎてくれる。人が歩く時間帯でないから驚かれているだろうか。19時を回って、久多のキャンプ場が見えてきた。ここにテントが晴れればよいが、まだ、営業期間外。予定通り、観光トイレのある自然環境活用センターに到着。ここにも自販機はなかった。これは残念。手前のお食事処いろはの前にはあったので、そこしか利用できないみたい。
さあ、ツエルトを張ろうとし、建物横の街灯のある個所が便利と思ったが、念のため、近くに見えた駐在所を訪れ、テントを張ってよいか相談すると、そこは組合の建物なのでダメ、このあたりに張って問題ない公共のエリアはないとのこと。近くには住民の方も住んでおられ、テントを張ると火事などを心配されて通報されるケースもあるらしい。そりゃ、住んでいる方にしたら、不審者が近所でテント張ったら気になってしようがないわなあ。しかも、釣りの解禁のため早朝から漁業権を購入した方たちが来られるので河川敷もダメとのこと。駐在さんを困らせてしまったが、もう少し山の方に上がれば、誰からも苦情が出ないのではないか。困った末のアドバイスなので、これも自己責任で、そのようにすることにした。ザックを再び担いで、明日登るはずだった道をしばらく登り、林道の曲がり角の広いスペースの片隅にツェルトを張った。まったく明かりの届かない暗闇でも、何とか立てることができた。シュラフを敷き詰めてもぐりこんだのが20:15。最後は必死だったなあ。今日の走行距離は42.9km。最後の登りはカウントしてないので43km超えになった。残ったおにぎり1つ食べただけで眠ることにした。
夜間は樹林帯のため風がなく、ツエルトは安定していた。ファイントラックのツエルト2ロングは長さ、幅とも一人には十分、横にザックを置いても余裕であった。夜半,2℃くらいになり、寒かったので、持参した衣類をいくつも着込んでシュラフ&シュラフカバーにもぐりこんだ。蓼科山での車中泊のように、シュラフの入り口が寝息の水分で凍り付くことはなかった。また、早朝でも結露はなくて助かった。
翌朝の行動は3時起き、4時スタートを予定していたが、樹林帯で暗く、疲労もあることから4時起床、5時スタートに変更した。鹿の鳴き声の中、外に出てみると息が白くなる。良いお天気なのだが相当に冷え込んでいる。先日購入したジェットボイルでお湯を沸かした。短時間でしっかり沸くのでほんと助かる。カップラーメンとコーヒーを体に入れて、目覚めさせて、ツエルト撤収。まだ、暗いのでヘッデンで忘れ物がないことを確認し、明るい空を頼りに二日目スタート
多少、水を消費したためか、疲労が取れたためか、ザックが軽く感じる。広い林道をヘッデンの明かりを頼りに緩やかに登っていく。最初のウォーミングアップに丁度良い斜度だ。この林道は途中で崩壊していて、左側の山道を登るのだが、そこまでは結構距離があった。それまでに林道は土砂崩れの箇所があり、車両は通れない状態だった。倒木などもあるが、ウルトラマラソンまでには整備されるのだろう。
さて、古い標識やウルトラマラソンの表示に従って山道に入ると少し斜度が上がるが大きくジグザグの道は歩きやすい。それでも後半は傾斜を増してくる。右の腰に痛みがあり、左足ふくらはぎにも痛みがでてきた。ふくらはぎの痛みは初めてだ。これが、このあとひどくなるとはまだ、考えていなかった。登りを進めると前方にスカイラインが見えてきて、太陽が横の山並みにあたると気分も良くなる。まもなく、オグロ峠。今日の最初の峠。ここにはお地蔵さんがいらっしゃる。計画を構想した段階でこの峠のお地蔵さんの写真を何度も見ていたので、実物を見たときは本当にうれしくて、「お地蔵さん、会いにきましたよ!」って声をかけてしまった。
ここから、高層湿原八丁平へ進む。ここの冷え冷えとしていて霜が降りているし、土の地面は凍りついていて歩くとザクザクと良い音がする。多分、気温は零下。鹿の群れが逃げていく。八丁平はこの季節、枯れた世界できれいとは思えなかったが、木橋を渡って高みに登って下を見下ろすと枯れた湿原に曲がりくねった川、全面の霜が美しかった。人が全くおらず(今回は全行程で登山者は皆無だった)、鳥の鳴き声のみの静寂な世界。ここには季節を変えてゆっくり訪れたいものだ。
ここからフノ峠から山を少し下りる。途中、林道を交差しながら歩きやすい道を下ると二ノ谷管理舎。ここにはトイレがあり、水道も出ているので、暑いときには貴重な水場になるだろう。ここの閉まったゲートを横から出ると、再び舗装道路。尾越地区へ。昨日の針畑やここもかなり奥地にも拘らず、ログハウスやきれいな住宅がある。セカンドハウスで週末ライフを楽しまれているのであろうか。尾越から登って下ると大見地区。お地蔵様に挨拶して、再び峠に向かう林道に入る。道路は途中から水の流れと重なっていて、さらにぬかるみもある。静寂を切り裂くようにけたたましいバイクの音。オフロードバイクがぬかるみをもろともせず、走り抜けていく。何度もオフロードバイクと出会ったが、こちらが路肩に避ける。どの方も一礼しながら通過される。ときには私が通過するのを、エンジンを切って待っていてくれる。みなさん、礼儀正しくていい印象なのだが、ここは路面が轍だられで乱れており、残念。自然を痛めずにうまく共存できるとよいのだが。
杉ノ峠を通って花脊峠に到着。ここからの鞍馬街道は、また舗装道路。さらに自動車がビュンビュン通る、別の意味で危険地帯。ここまでで、ふくらはぎの痛みがひどくなっており、道中では、ここでバスに乗ることも考えてきたが、鞍馬まで7km、なんとか頑張ってみようと決めた。予想通り、沢山の自動車が行き交い、自転車で頑張っている方もいらっしゃる。ただ、ものすごいスピードで私のすぐ脇を通過する自転車の輩もいる。怪我したらそちらの責任だとわかっているのだろうか。その点、自動車の方は安全運転されていて安心して通れた。
辛い下りを終えて鞍馬寺まで到達した。予定より早いペース。鞍馬寺の人出はやや少なめな気がしたが、それでも観光客で賑わっていた。さて、ここから京都市街の鯖街道終点まで12kmくらい。今の時刻は13時半。時間を掛けて良いので、ここは踏破することに決めた。
貴船、二軒茶屋、円通寺、深泥池と学生時代に親しんだ名所を通過する。途中で何度も休憩を入れて、ふらはぎを休める。途中で残ったパンを食べて、北山通り、北大路、御影通りとその度に休み、鴨川を渡れば終点へのビクトリーロード。観光客に混じってザック姿は完全にアウェイだが、そんなの気にならない。鯖街道終点の石碑のまえで記念撮影、枡形商店街のプレートを踏んで無事に鯖街道を踏破した。派手な言い方は好きではないが、ここは踏破と言っていいだろう。我ながらよく頑張った。
しかし、昔の方は仕事でこれをこなしたのだから大したものだ。我々とは体の鍛え方が違うからなあ。
さて、バスに乗り、JRで帰宅したところ、足を休止させたこともあり、ふくらはぎが傷んで、ほとんど歩けなくなった。しかも、翌日には何らかの感染症で赤くなり、わずかに腫れてきた。そのため、整形外科、整骨院、皮膚科と連日、仕事を休んで病院通いになってしまった。
感染症は酷くなくて入院は免れたが、しばらくは安静にせねばなるまい。いつ治るかわからないが、静養し、普通に歩けてもしばらくは散歩程度にとどめて花を愛でようか。それも一興だな。
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