絢爛豪華な紅葉と同じ価値のものは? 〜白山大回り〜


- GPS
- 44:34
- 距離
- 34.0km
- 登り
- 3,197m
- 下り
- 3,199m
コースタイム
市ノ瀬5:30 - (チブリ尾根) - 11:18別山 - 12:50三ノ峰 - 16:30南竜テン場
10月7日
南竜テン場6:00 - 7:15室堂 - 7:59御前峰 - 9:14大汝峰 - 七倉山分岐 - 12:00白山釈迦岳 - 15:30市ノ瀬
天候 | 晴れ間はありますが、概ね曇りの二日間でした。 時々の小雨もありましたがレインウェアは出番がありませんでした。 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
御前峰から御池周りルートのガレた道では浮石に注意。 急勾配の斜面をトラバースする道では滑落に注意です。 南竜の野営場とケビンは10月から休業しています。 (野営場は自由に使ってくださいと看板がありました) 炊事棟の水道は止められています。 |
写真
感想
先月の連休にhariさんと訪れた山にもう一度やってきました。
昨年はじめて別当出合から登り、この山は市ノ瀬から登りたいと思っていました。
自分の体力(脚力?)の見当もつかないままにイメージを膨らませていましたが、今年の経験を経てなんとかなるつもりの計画でした。
もちろん前回に山が予告編を見せてくれていた秋景色にもお目にかかれたら嬉しいことです。
今回は多少念入りに携行品の準備を済ませ、余裕を持って自宅を出ました。
途中の腹ごしらえや仮眠も順調にこなし、心配事のない状況で市ノ瀬に到着しました!
(素晴らしいスタートが切れそうです!!)
5時の始発バスの時間には準備を済ませた人たちが列をなしています。
もう秋分を過ぎたこの季節、夜明けの気配はまだのようです。
バスに乗らないことに少し優越感を感じながら(小市民ですみません・・・)、少し時間をつぶします。
この車内で何をするでもなく待機している時間のドキドキが良かったな・・・
5時半、まだ薄暗い道をヘッデンをつけて歩き出しました。
バス道から分かれた林道を歩きますが、工事車両の通路と重なってわかりにくい部分があります。
道標を見つけて森に入るともうそこからは世界が変わります。
登山口は一旦林道に出たところから始まります。
白山の奥宮に向かう白山禅定道も別にありますが、こちらの道も一部石段になっていたりと信仰の道の気配が漂います。
バスで別当出合に登っていった人数に比べると100:1にもならないんじゃないかと思うほど人の気配がありません。
ときどき鹿の声が遠くに響きます。
明るくなるほどに鳥たちが目を覚まして第1声を響かせています。
ペースを乱す要因がないのはありがたいこと。
自分の歩調をしっかり保ちながら窓を全開にします。
歩いていてこの山の森の美しさを感じます。
標高の低いところはまだ緑一色ですが、太い木の間隔や光の入り方が絶妙ですごく居心地のいい空間を作っています。
曇りがちの空で木漏れ日が差し込むことはないのですが、反射光がない分木の葉の透明感のある緑に包まれています。
新緑の頃にまた歩きたい森ですね。
紅葉している木は少ないのですが、足元には先に色の変わった葉っぱが落ちています。
この落ちている葉っぱたちがきれいなんです。
少しだけ赤みがかっていたり、緑が残っていたり、均一な美しさではないけど目を惹かれます。
足元に落ちている一枚の葉っぱと山を覆う絢爛豪華な紅葉と、私にとっての価値の差はないように思えます。
もちろん豪華な紅葉を見る意味がないのではなく、見れば大喜びすることも間違いないことです。
大切なことは、今私の前にあるものに心を向けること。
ここにないものを欲しがるよりも、ここにあるものを喜べればいいんですね。
わたしのなけなしの感性の中でこれから大事にしたいことです。
チブリ尾根の避難小屋あたりからいよいよ間近に秋色の山肌が迫ってきました!
緑の中に見事なバランスで散らされた赤、黄のモザイク模様!
足が止まる回数がやたらと増えます。
カメラをしまう暇がない・・・
御前峰も姿を現しました。
今までとは違う角度の男性的なりりしい白山です。
そして目の前に全貌を見せた別山。
稜線に上がる急勾配を登りながら何度も何度も見回し、見下ろし、そして見上げます。
山頂に着くと遥かに槍や穂高に剣、乗鞍に御岳が見渡せたのは意外なご褒美でした!
ひとしきり四方を眺めて気力が戻ったところで南竜に向かうはずでした。
出なきゃいいのにそこで出てきた私の悪い癖です。
その場の思いつきで勝手に予定外の三ノ峰ピストンを入れてしまったおかげでその先は時間との競争になってしまいました。
秋の装いの稜線を歩きながら絶えず時計を気にしての駆け足ハイクは毎度の自業自得。
やっぱり自分はドMなんだろうか・・・?
三ノ峰からの別山は男前でした!
南竜への稜線歩きの最中にとうとう雨が落ちてきました。
ポツリポツリと雨具の必要はまだない状態ですが、本降りにならないうちにとさらに急ぎます。
テン場に着いたのは4時半。
さすがに足に溜まった乳酸は半端じゃない!
テントで落ち着くと餅入りラーメンと焼酎で初日の健闘をひとりお祝いしました。
割とよく眠った感覚で目を覚ますとまだ3時。
眠りは深かったようです。
空を見ると雲の間から星が覗き、昨日よりは期待できそうな空模様。
周りではもうテントを片付ける人たちもいます。
撤収に時間がかかるのは毎回の反省です。
今のうちから撤収準備を始めておきます。
その甲斐あって予定通りの6時にはスタ−トできました。
上から見下ろす南竜は紅葉に彩られて前回にも増してメルヘンの世界です。
今日は体力のストックは少ないつもりで後ろ髪を引かれながらも歩くことに集中します。
室堂では相変わらずの大賑わいです。
ここから山頂までは人の流れに逆らわず、気楽に登りました。
昨日と違って風が強い日です。
山頂から北に下りたコルでは背負っているザックまで持っていかれるかと思う風が吹きつけていました。
両足に加えてストック2本も地に付けて踏ん張りながらコルを越え、風下の斜面に立って深呼吸です。
各所に立つ道標のおかげでガスの中を迷いもせず順調に歩いています。
翠池から万年氷の千蛇ヶ池、戻って大汝峰に登ってさらに北へ。
景色はほとんど見えませんが、ここからは初めての道を歩くことを楽しみながら進みます。
七倉山分岐から釈迦新道へ。
いよいよ市ノ瀬に向かっての下りにかかります。
その前にあるピークが白山釈迦岳。
道は山頂を巻いていて、登頂には濡れた笹を藪こぎする必要がありそうでした。
そのすぐ先の釈迦岳前峰は四方を見渡せるポイントになっていて、一組のご夫婦が昼食の準備をしていました。
そういえばもう昼です。
とくにどこで食べようとは決めていなかったので、適当に岩でもあればと歩きながら探すのですが、そんなときは見つからないもんですね(笑)
痺れを切らした私は道の真ん中に座り込んで湯を沸かし、無理やりアルファ米の昼食タイムにしたんです。
(30分ほどの食事中、誰も通りませんでした。)
その先は尾根でも谷でもない斜面を林道の出合までひたすら下ります。
長い長い下りですが、この道が通る森も昨日と同じように素晴らしいものでした。
下っても下っても同じ景色ですが、動物や植物などのここの住人が羨ましく思えたこの森を素通りするのはもったいなかったです(ため息)
この山は来るたびに大事なことを教えてくれます。
山の紅葉と落ち葉一枚が同じ価値を持って心を満たしてくれること。
+−×÷をどうこねくり回しても出てこないものを自然はいきなり私に見せてくれました。
少なくともこう感じられる自分を連れて行けたことを喜ぼうと思います。
下りてくればやっぱりちょっと暑い市ノ瀬で車に乗り込みながら、空っぽにならなかった体力と気力に少し自分を褒めてやっての幕引きです。
コメント
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色使いの見事さは、、もちろんmonsieurさん、貴方の為だと思いますよ
山は山でそんなの知らないよと言いたいのかも知れませんね
目に見えることに一生懸命意味をくっつけたがる人間を笑っているかも・・・
ロングトレイル、お疲れ様でした!!
三ノ峰まで歩くなんて、やっぱり"ド"が付きますね
お花と紅葉、ちょうど狭間に行ったので、
季節を変えて再訪したいと思います
チブリ尾根に別山、大きな宿題も残ってます
"ゆるキャラの葉っぱたち"を見つけたいですねぇ
みつけました、ドS仲間
歩きますね〜〜
一度、このルート挑戦してみたいです!
お気に入り登録させていただきます!
白山は季節ごとの多様な世界ももちろんですし、場所によっての様々な世界が広がって何度でも歩ける山です
今度歩きたいルートは一の峰から中宮温泉までの南北一刀両断ルート。
堪能できると思いませんか?
ただ車だと厳しいかな・・・
senrakuyaさん、こんばんは!
S仲間と呼ばれたのは初めてですよ
(senrakuyaさんと比べちゃダメですよ
自分で決めて自分を歩かせているのはSなのかな
でも無理やりじゃなくて喜んで歩いているのはM?
ま、どっちでもいいです
白山、いい山ですよ
ルートもいろいろ組めますし、ぜひ歩いてみてくださいな
monsieurさん、遅くなりましたがレコ拝見しました。
やっぱり市ノ瀬からの別山⇒南竜キャンプ場は遠いですね〜
さらに翌日はピークハントまで、さすがの健脚っぷりです。
monsieurさんが私に見せようとしてくださったチブリ尾根からの景色、楽しませていただきましたよ!
前回より進んだ紅葉、今度は北アルプスまで見えて、ますます白山ファンになられたんじゃないでしょうか。
精力的な山歩きですね
テント場から別山への登山道を眺めていました
1度訪れると違う道を歩いてみたくなる山のような気がします
別山もとっても綺麗ですね
テント場付近の紅葉と笹が光ってとても美しく感動していたんですよ
行っちゃいましたか
我々も別山から別山平までは行こうかと思案してたのですが、別山から見下ろした標高差に尻込みして諦めました
一ノ峰からの縦走…
あの稜線見ちゃうとねぇ…、チャレンジしたい気持ちはめちゃめちゃあるのですが、車の回収等、ハードルが高いですね…
また来年も色々なルートを歩いてみたい山です
白山、ルートは本当にいっぱいありますよ!
別山〜三ノ峰の稜線はいつか歩いてもらいたいですよ
私も来年はルートを変えながら何度か歩くつもりにしています。
ただ、これも誰かさんの影響か、「残雪期に・・・」との思いが時々湧いて出てくるようになっているんですが・・・
南竜山荘周辺は去年行く機会がなくて、今年初めて歩いたんです。
室堂あたりとは雰囲気が違う別世界の印象を持ってテン場の居心地もよく、これから登るたびに常宿になりそうな予感です
各方面からの登山道によっても花や景色が全く違いそうで、好奇心が刺激されます
初日のルートをテン泊フル装備で歩くのはちょっときつかったです・・・
よっぽど別山にデポしようかと思ったのですが、せっかくだから連れて(?)行きたいとよけいな考えがよぎってしまったんです
そうですよね、一ノ峰からだと周回にはしにくくて、回収も一苦労しそうだ・・・
車を自宅にデポすべきですかね
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