西銀座縦走(折立〜薬師岳〜黒部五郎岳〜三俣蓮華岳〜双六岳〜槍ヶ岳)

- GPS
- 80:00
- 距離
- 58.1km
- 登り
- 4,295m
- 下り
- 4,129m
コースタイム
折立 8:20→太郎平小屋 11:50→薬師峠テント場 12:00→薬師岳 14:30→薬師峠テント場 16:00
9/17
薬師峠 5:00→太郎平小屋 5:15→太郎山 5:30→ 黒部五郎岳 10:30→黒部五郎小屋 12:20(休憩20)→三俣蓮華分岐 14:20→ 三俣山荘 15:00
9/18
三俣山荘 6:20→三俣蓮華岳7:00→双六岳8:00→双六小屋9:00→樅沢岳9:30→槍ヶ岳13:00
9/19
槍ヶ岳6:00→上高地バスターミナル12:00
| 天候 | 9/16 晴れ 9/17 暴風雨 9/18 晴れ 9/19 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2011年09月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
バス
http://www.chitetsu.co.jp/bus_a/summer_bus.html 下山後は、上高地から東京への「さわやか信州号」を使いました。 http://www.sunshinetour.co.jp/alps/ |
| コース状況/ 危険箇所等 |
【水】 薬師岳登山口には、飲料水の湧水がありません。 自動販売機で水を買うか、覚悟の上で湧水を飲んでください。 【風】 全体的に吹きさらしの稜線ルートです。強風に注意。 【個人的オススメ】 三俣蓮華岳〜双六岳間 アップダウンが少なく、歩きやすい。 北アルプスの風を感じながら、最高の風景を楽しめます。 |
| 予約できる山小屋 |
横尾山荘
|
写真
感想
9月16日
仕事場から直接東京駅の夜行バス乗り場へ。
相変わらずのクタクタペースで山へ行きます。
朝5時、夜行バスで富山駅に到着。 大体時間通りの到着でした。
富山駅の反対側に到着で、長い地下道を歩きます。
有峰線のバス停には最初人もいませんでしたが、時間近くになるといっぱいの人だかりに。
有峰線は「事前予約制」です。
それを知らずに(調べずに?)現地にそのまま来た人達の中には、
「補助席空いてるんだから乗せてくれたっていいじゃないか!」
などと強い口調で言う人がいましたが、バス会社の人はしっかりと拒否していました。
大人なのだから、ちゃんと調べてきましょうね。
有峰線のバスは古い車体でなかなかクラシカルな雰囲気がよかったです。
綺麗な景色と、壊れまくりの道がスリリングな対比でした。
薬師岳登山口(薬師岳登山口 標高1350m) ここには飲料水の湧き水がありません。
あらかじめ準備で調査していたので私は知っていましたが、やはり知らない人が沢山いました。
蛇口はあるものの「これは飲料水ではありません」の札があります。
折立から約1時間、樹林帯の中を歩くと稜線に出ます。
稜線からは笹や低木が多く、平らに広がる草原が、美ヶ原高原を思い出させます。
途中の三角点休憩所(標高1870m)からは、剱岳が綺麗に見えていました。
振り返れば、有峰湖。 登山道の左手に、雄大な薬師岳が広がります。
広くなだらかに美しく広がるこの一帯は素晴らしい景色でした。
折立より3時間半。太郎小屋に到着です。
小屋の周りも綺麗に整備掃除してあり、とても感じのよい小屋というのが第一印象でした。
昨晩仕事場から直接山にきたようなもので、まともな食事もしていない。
小屋の前でビールにラーメンを食べている人いて、よだれが出そうでした。
おなかがグーグー言ってたけど、とりあえず先にテント場を確保することに。
薬師峠までの道は平らな稜線の木道歩き。
15分ほど歩くと、薬師峠キャンプ場です。
トイレも綺麗。水場の水も豊富に出ていて、良いテント場です。 なにより目の前が薬師岳。
でもひとつ困ったのが、幕営料の支払いが「太郎小屋」だということです。
私はまた太郎小屋に行くつもりだったので問題はありませんでしたが、
薬師岳を越えてきた人たちは皆、「え?わざわざ太郎小屋まで払いにいかないといけないの?」というような反応でした。
テント張って、まったりしていたところで思い出した。
薬師岳行ってないじゃん。
あわてて準備して、薬師岳へ。
・・・かなり登ったところで気づいた。テントにカメラおいてきた・・・。
やっぱりしっかり前日寝るのと、食事抜きはダメよね・・・orz
9月17日
前日の夜半からまた荒れだし、雨が降ってきました。 夜明け前からどんより雲です。
5時に出立。 雨が止みません。
太郎平小屋から太郎山へ。太郎山山頂へは、木道をそれてハイマツの中にある細い道をいきます。
(分岐看板はしっかりとあります)
日が昇る時間になっても、雲が切れない。 雲ノ平方面を撮ってみてもガスガスでした。
太郎山から黒部五郎岳へ向かうところで、一気に嵐に発展します。
稜線歩きの最中から、強烈な横殴りの風と雨で歩くと飛ばされそうになります。
風よけになるところもなく、周囲もガスで真っ白な中ひとり歩いていきます。
たびたび強風に煽られ歩けずにとどまらざるをえなく。
分岐点に荷物をデポし、黒部五郎のピークを踏んだ後、五郎カール側へ降りていきました。
寒さと疲れから黒部五郎で撮影することを失念していました。
秋の紅葉の始まった木々に雨の水滴が滴り美しかったのですが、その後は一眼レフが嵐の雨とガスで壊れることを恐れ、ほとんど撮影できませんでした。
すでに6〜7時間嵐を歩きずぶ濡れの身には、三俣蓮華岳に登り返す体力もなく、そのまま巻き道から三俣山荘へ向かいました。
テント泊のつもりでしたが、三俣山荘に泊まることに。
三俣山荘は、伊藤正一氏の「黒部の山賊」という小説で有名な小屋です。
昔は実際に山賊が住み着いていたようです。
当時は、この小説も小屋でしか取り扱っていませんでした。
それ以外にも、小屋で一緒になったツアーガイドさんが北アルプスの遭対協の副隊長の方で、すごく濃い山の話を聞かせていただきました。
山岳ツアーは一度も使ったことはありませんが、お客さんの事をちゃんと考え、心底山を愛する方のツアーなら使ってみてもいいかな、と思いました。
9月18日
周りの人には朝早く出るなんていいながら、見事に寝坊。 あはは・・・
でも、おかげで小屋前から、鷲羽山の影から上がる綺麗な夜明けを見ることができました。
三俣蓮華岳もそれほど時間もかからず登頂。
前日は一度も見ることのできなかった雲ノ平方面が綺麗に見えた。
いつも周りの地域の登山道を通るだけで、いまだに雲ノ平に行ったことが無かったりします。
いつか行ってみたいですねー。
三俣蓮華岳から双六岳へ向かうなだらかな天上の道は、個人的に北アルプスで最も好きかもしれません。
3000mに近いエリアを、苦もなく歩いていけるというのはなかなかありません。
以前来たときは、満月の夜に双六小屋から出発し、青白く光る登山道をナイトハイクで楽しみました。
うっすら黒く見える穂高の稜線も素晴らしかった。
ナイトハイクするならここはオススメ!
ちらほら、双六小屋から双六岳を経て、三俣蓮華岳ピストンの人もいました。
新穂高からのピストン登山者が多いのも理解できます。
双六小屋は、綺麗な小屋ですね。小屋裏(新穂高側)に大きなテント場があります。
ここからが、今回のメインとなる西鎌尾根のスタートです。
以前、西鎌はキツイと聞いていましたが、どんなものなのか?
双六小屋から樅沢岳に向けて登っていきます。
ここからは槍が見えませんので、ただ登るだけなのがちょっと・・・
西鎌尾根の良さは何と言っても槍ヶ岳を見ながら歩けることでしょうか。
槍が好きな人にたまりません。
千丈乗越までもあっという間。
ここまでもアップダウンもあるものの、稜線歩きが楽しすぎて疲れを感じません。
で、ここの看板ですが、不思議なんですが、「←天井沢(通行不可)」と書いてあるのです。
あれ?天上沢の間違いじゃ?
そもそも天上沢って東鎌の方だったよね?北鎌への取り付きの。
帰宅後ネットで調べていたところ、
「昭和30年代の地形図と現在を比較検証」というサイトが見つかりました。
http://www42.tok2.com/home/monjirou2/uraginnzamap/top.htm
やはりそこの方も疑問におもったようです。
*************
「古地形図には北鎌を挟んで一つは天上沢を辿って水俣乗越へそしてもう一つは北鎌の西側の千丈沢を辿り西鎌尾根へ至る宮田新道なるものがある。宮田新道とはこの地図を見て初めて知った。」
(上記サイトから引用)
*************
古い時代は、天上沢の下流方面もすべて天上沢と呼ばれていたのでしょうか? 謎です。
伊藤新道など今では廃道となってしまったルートも北アルプスにはあります。 一度行ってみたいですね。
槍ヶ岳山荘はハイシーズンで小屋もテント場も人であふれていました。
穂先も登り降りの人で渋滞。いつもの槍の光景ですね・・・。
はしごエリアでは、あまり山慣れしていない人が怖がって登れていませんでした。
自分は横の岩場をひょいひょいっと登っていきます。
頂上もやはり人だらけ。 まあ、連休だから仕方がないですよね。
穂先から降りてきて、休憩がてら槍を見ながらビールタイムー、と、まったりしていたら、なんだか山荘の医務室があわただしい。
怪我をして腕をつっている人を囲み、集団が出てきました。 どうやら、槍で滑落していたようです。
小屋番の方が出てきて、
「今から県警のヘリがきまーす。危ないのでヘリポートから離れてくださーい。」と
しばらくすると、上高地の方からヘリが飛んできました。
遠くにいた人までみんなカメラを持ってダッシュしてきた!、ヤジ馬多すぎ
山岳救助ヘリをここまで間近で見たのは初めてでした。
怪我をした人には失礼ですが、興奮してしまいました(笑)
ゆっくりと槍と穂高を眺め ・・・
遠く富士山まで見え・・・
ゆったりと、コーヒーを飲みながら山々を眺めていられる時間・・・これが何よりも最高のご褒美です。
秋の3000m地帯で寒いのに、誰もが自分の宿に帰らず、日が落ちるまでゆったりとした時間を楽しんでいました。
この時の記憶は忘れることはないでしょう・・・。
夜は満天の空。 砂粒を振りまいたように、夜空が輝いていました。
9月19日
最終日です。 多少寒さは感じたものの、ゆっくりとした目覚めです。
テントのドアを開けると・・・・・・そこは素晴らしい世界。
朝食を済ませ、コーヒーを一杯。
槍ヶ岳山荘の前にはすでに多くのカメラさんがスタンバイしていました。 槍ヶ岳頂上にも三脚が見えます。
いやー、日本人でよかった。 日の出でこんなに感動できるとは。
紫からピンクに輝く光が天を貫き、そのまま爆発的な白へと変貌していきます。
日の出が見えたときには拍手喝采! 何でしょうこの一体感。
でも、すんごい寒いです(笑
晴れた夕方、満天の星空、見事な日の出。
最高の槍の一泊でした。
今回の行程は、西銀座ダイヤモンドコースとも呼ばれる、比較的アップダウンの少ない歩きやすいコースでした。
ほぼ稜線伝いに歩くルートで景色も素晴らしい。
反面、ひとたび荒れると小屋間の距離も長く、身を隠すことのできないエリアが殆どなところでもあります。
ちなみに、折立から太郎平小屋に向かってきた人たちは、みな雲ノ平へ向かっていきました。
(黒部五郎岳へ向かう人はほぼいませんでした。)
雲ノ平人気ですねえ・・・まだ行ったことが無いので行ってみたいです。
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