北アルプス9DAYS 焼→穂高→槍→薬師→劒→欅平


- GPS
- 200:00
- 距離
- 116km
- 登り
- 11,688m
- 下り
- 12,406m
コースタイム
- 山行
- 7:40
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 8:40
- 山行
- 11:30
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 12:20
- 山行
- 10:20
- 休憩
- 4:00
- 合計
- 14:20
- 山行
- 9:50
- 休憩
- 3:10
- 合計
- 13:00
- 山行
- 10:30
- 休憩
- 2:00
- 合計
- 12:30
- 山行
- 5:00
- 休憩
- 4:00
- 合計
- 9:00
- 山行
- 7:10
- 休憩
- 3:00
- 合計
- 10:10
- 山行
- 12:40
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 13:50
天候 | 1日目:くもり時々雨 2日目:くもり 3日目:くもり一時雨 4〜9日目:快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
[帰り]黒部峡谷鉄道(トロッコ) 欅平→宇奈月 1710円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
西穂〜奥穂間は落石注意で要ヘルメット 仙人池ヒュッテ〜仙人湯間等の雪渓は要アイゼン |
予約できる山小屋 |
|
写真
これ以外に棒ラーメン用の具(乾燥わかめやドライオニオン等を混ぜたものを自作)とインスタントコーヒー。
装備
個人装備 |
テント
シュラフ
レインウェア
ヘッデン
予備電池
FAキット
地図
コンパス
ライター
コッヘル
ストーブ
ボトル
食料(行動食・非常食含む)
ペーパー
カメラ
予備バッテリー
充電器
ヘルメット
サンダル
サブザック
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感想
[1日目] くもり時々雨
前夜、大宮からさわやか信州号に乗り、中の湯へ。乗客が少なく、バス内は広々と使えたものの、あまり寝られなかった。多分、途中のPAで予備の電池を買わないといけないというのが気になっていたからだろう。
5:15頃、中の湯に着くと、外は雨。ザックを運転手さんから受け取り、素早く近くのトンネルの入口に入る。釜トンネルだった。周りには新宿からさわやか信州号で来た単独行の方が1人。車の誘導をしている方が1人。見たところ、今はやや強いが長く降り続く感じではなかったので、そのままトンネル入口で少しだけ仮眠をとる。
1時間ほど経ち、気が付くと雨が止んで、多少なりとも青空が見えている。6:30過ぎに登山口に向けて移動を開始する。中の湯温泉旅館までの舗装道は良いが、その先の樹林帯は雨でかなりぬかるんでいた。特に酷いところには丸太が置いてあるが、かなり動くものもあり、そこで右足を靴下のところまで泥水の中に突っ込んでしまった。しかも、雨は少し降っては止み、というのを繰り返す、あまりコンディションの良い天気ではなかった。
山頂に近づくと、ガレた感じの道に変わり、北峰の西にある爆裂火口から噴煙が上がっているのが見えてくる。ちょうどこのタイミングで青空も見え、山頂に向けて一気に登っていった。北峰に着いたときには、西側の雲も厚く、残念ながら南峰は望めなかった。
あまりゆっくりもしていられないのでバスの中で食べそびれたあんパンを口に放り込み、次なるポイント、焼岳小屋へ向かう。思った以上に緑に囲まれた小屋で、ちょうど昼前だったので、ここで昼食をとる。その間に何やら変わった物を担いでいる人が来たと思ったら、倒木を伐採しに来た方々で、どうやらこの先に倒木が3箇所あるらしい。昼食を終えて、西穂山荘に向けて出発すると、歩いて5分と経たないうちにそのうちの1本があり、乗り越えて進むうちに、背後からチェーンソーの音が聞こえてきた。
焼岳小屋から割谷山を経て西穂山荘に向かうルートはほぼ全て樹林帯で、濡れた下草が足に触れて痒い痒い。そして蛙多すぎ。展望もなく、いまいち気の乗らない感じで歩き続けると、西穂山荘にたどり着いたときには15時を回っていた。
ペース次第では、1日目に奥穂までと思っていたが、朝の1時間と思いのほか上がらない歩行速度の為、この日はここまでとしてテントを張る。
[2日目] くもり
霧雨で濡れたテントの撤収から始まった2日目。朝はコーヒーだけ飲んで西穂独標で朝食の野菜グラノーラを食べる。それも、大人数のパーティーより先に出る為、大急ぎで。ヘルメットは西穂から着けた。途中、西穂から天狗岳の間でライチョウの親子を見ることができ、子ライチョウとは初対面。親と違ってすぐ飛んで逃げる。写真が撮れなかったのが残念。
重たいザックに重心が安定しないまま、キレットよりも難度の高いルートを進んでいくと、目の前にようやくジャンダルムが。あの上に天使がいるのか、とちらっと考えたりしていたら目の前でかなり派手な落石が。前の人が落としてしまった50Lザックくらいの石が他にも大小の落石を誘発しながら跳ね落ちていく。距離から考えると、あと2分くらい早く進んでいたら巻き込まれていたかもしれない。あれが上から来たら避けられたかと一瞬想像を巡らせたが、あの数全部となると…まぁ厳しいな。
ヒヤリとした部分はあったものの、ジャンダルムは落石さえ気を付ければなんということもないただのピークのように登れた。残念ながらガスってしまっていたので、景色はいまひとつ冴えなかったが。難度としては、その先の馬ノ背の方が高いと思う。まったく、こういう岩場は手足があと5cmずつ長ければもっと楽なんだが。
このルート上では、意外とたくさんの人と交流があり、ロングの縦走だということを知って飴をくださった方や、ヤマレコユーザーのboroPさん達と会った。
奥穂を越え、穂高岳山荘に着いたのが13:30過ぎ。だが、今日はまだこれでは終わらない。ここまでに同じくらいのペースで登ってきた人たちと別れ、更に北穂へ向かう。西穂〜奥穂間や大キレットは名前も知られているが、この奥穂〜北穂間はその間にある為、ジャンダルムやら飛騨泣きやらの有名なポイントがなく、短めなだけで、ルートの感じはかなり近い。ここの一人旅はやはりザックの重さに苦しめられ、CTより10分早い程度だった。
北穂のテン場は奥穂・北穂・涸沢の分岐の近くなので、この時点でザックをデポしておけば良かったが、それを忘れていて北穂の小屋まで背負っていってしまった。でも、この北穂高小屋の売店の方がもの凄く親切で、今回の山行のことを話したり、その日の記録を書いたりしている時にスタンプ付きのメモ(北穂から見た山々を自分で彫ったもの)やお菓子をくださった。かなり過酷な山行だったが、ここで応援してもらえたことで、きついときに頑張れた気がする。ほとんどずっと雲に隠れていた槍も、日没に合わせるようにして姿を現してくれた。
夜は寝ようとしているうちに風が出始め、1〜3時頃はペグが抜けるほどだった。また、雷も鳴り出し、とても寝られる状況ではなかった(小屋泊の人によると、小屋では全然気付かなかったらしい)。雷の様子を確認しようとテントから顔を出すと、北穂側は一面ガスっていて見えず、雷そのものは東側で鳴っているようだった。奥穂側は星空さえ見えていて、ちょうど頭を引っ込める前に大きな流れ星が見えた。
[3日目] くもり一時雨
3時半過ぎにようやく風が収まり、うとうとしているうちに4:45になっていた。慌ててテントを撤収して小屋まで行く途中、タオルを落としてしまった。この山行に合わせて買ったシートゥサミットの高機能タオルだったので、余計残念だが、そもそも山行中にタオルがないのはかなり不便。昨日うっかり水代を払い忘れていたので、小屋に着いてから売店の方を探すと、昨日とは違ったので代わりに渡してもらうことにした。聞いてみると3交代制らしい。
この時、前日も少し話した名古屋から来た少年と談笑し、彼の山の経歴等を聞いて感心した。まだ小学生だろうに、意外と登っていて、今日もこれから北穂〜奥穂のルートを行くという。こちらの山行のことも話したところ、ここでもまた少年のお母さんからゼリー等をもらってしまった。もしかしたら同情されやすい顔なんだろうか…。
そんなことをしているうちに、出発は6時半を過ぎてしまい、ようやくキレットを下り始める。北穂から200mの付近で、この日もライチョウに遭遇。ライチョウはキレットを事も無げに闊歩している。あんな可愛い顔して逞しいやつだ。
キレットを越える際は、初めは強めの風が吹いていたが、長谷川ピークを過ぎた辺りで雨に変わる。若干滑りやすくなった(気がする)が、キレットは相性が良いらしく、CTを50分短縮して南岳に到着。ザックの重さに慣れてきたこともあるのだろうが、キレットは西穂〜奥穂に比べてホールドしやすい岩が多く、重心を安定させやすいのが大きかったのだと思う。難所はさほど長くないし。
この日の山行はその後もペースを上げて進むことができ、槍は渋滞にはまって1時間かかったものの(登頂時に奇跡的に雲が晴れ、西側の眺望も得られた)、西鎌尾根も快調に進み、18時頃の到着を覚悟していた双六小屋に17時前にはたどり着くことができた。
双六小屋では、昨年に続き樅沢岳に登り(戻り)、槍を見た。今回は見事な月が華を添えた。
[4日目] 快晴
日付が変わった夜、目が覚めると妙に足の裏が痛い。どうやらマメができてしまったようだ。寝るまではそれほど痛みを感じなかったが、アドレナリンが収まったタイミングでは痛みが強く感じられるのだろう。しかも、両足の薬指、親指の付け根辺り、かかとの外側の計6箇所。
夜のうちはそのままにして、朝歩いてみると、意外に何とかなりそうな感覚。予定を変更して双六・三俣蓮華を回避、巻き道を使って三俣蓮華山荘に向かい、そこから高天原温泉に向かうことにする。この時、高天原も取りやめて黒部五郎から回ることも考えたが、今考えればそちらから回っておけば良かったと思う。このルートは途中の渡渉点に残った雪渓が崩れそうで嫌だったが、それ以外はほぼ歩きやすい道だった。
三俣蓮華山荘まではCTを上回るペースで進むことができたが、山荘前での朝食後、渡渉点までの30分のルートで写真を取りすぎてCTを5分も越える。岩苔乗越の先では、下りで足の裏が痛く、水晶池に寄り道したことを除いてもCTより時間がかかってしまった。この時点で薬師岳山荘まで行くことを諦め、ゆっくり温泉に浸かった後に雲ノ平山荘に向かうことにする。
高天原山荘で200円のふつうのタオルを買い、からまつの湯へ。3つあるうちの野湯に挑戦。野湯は完璧なまでの露天風呂。まさに露(あらわ)。他の2つは簡単な仕切りのある風呂と、女性用の美人の湯。同時に来た方々はそれぞれ仕切りのある方や美人の湯に行ってしまったので、野湯を貸切状態。この時、美人の湯は熱すぎて入れないくらいだったらしく、仕切りのある方も触ってみたらかなり熱かったので、ちょうど良い温度の野湯は結果的に大正解だった。
その後はもはや急いでもしょうがないので、なるべく足への負担がかからないようにしながら雲ノ平山荘へ。しかし、直射日光でほぼ無風という辛い環境に苦しみ、おまけに2450m地点で岩を乗り移ったときにバランスを崩し、左足のかかと外側にあったマメが裂ける。歩く度に「ちゃぷん」という小分けの醤油袋を振ったような感覚がする。
そこから更にゆっくり進み、40分ほどで雲ノ平山荘に着く。意外に遠いテン場にがっくりしながら向かい、テントを設営。そして水でよく足を洗ってからナイフを使ってマメを潰すことに。そして念の為、消毒。マキ○ンなんてないから、ウィスキーで。効果があるかはわからない。
3日間で精神的には一番きつい1日だったので、この日の食事は豪勢にした。といっても、トマトリゾット、ハンバーグ、チーズ、ハイボールくらいだけど。
[5日目] 快晴
出発は7時を過ぎてしまった。相変わらず足の裏は痛いのでペースが上がらず、薬師沢小屋までの急な下りはほぼCT通り。だが、登りはあまり痛みを感じず、太郎平小屋までのきつい登りでは40分も短縮。ルートがよく整備されていて歩きやすいのも大きかったかもしれない。
太郎平小屋では、折立から登ってこられた方と話し込み、思ったより長い休憩になってしまったが、好調を維持していたので、「これは行ける。」ということで先へ進む。
薬師岳山荘の手前で南西方向に雲が発達していることを確認したが、流れからすると薬師岳〜スゴ乗越の方は問題ないと判断。14:50からスゴ乗越へ向かう。薬師岳、北薬師岳は得意な岩稜帯だったので、18:40にはなってしまったものの、まだ明るいうちに着くことができた。
スゴ乗越小屋に着いてみると、東の方向に巨大なかなとこ雲が。テントを設営し、再び小屋前で食事等をしに戻ってくると、かなとこ雲が移動しながら頻繁に雷を発生しているのが見えた。
[6日目] 快晴
朝、マメの様子がよろしくないので、小屋の方に手当していただけないか聞いてみたところ、快く引き受けてくださった。バンドエイドまでしっかりしてくれた。ありがたい。
テント撤収の後、出発は6時。劔澤か、せめて雷鳥平まで行きたかったが、甘かった。というのも、スゴの頭までは調子を見ながら岩場を登っていくことができたが、その先で稜線の東側を歩くことが多く、直射日光で無風という状態が続いた為。熱中症になるかならないかというような苦しい状況で何とか五色ヶ原山荘まで歩いた。
頻繁に休憩をとりながらも4時間40分で着いた為、意外に早かったようだが、結局休養日とすることにした。
まだ誰もいないテン場で良い位置を確保。テント一式、シート、寝袋を干し、衣類等も洗って乾かすと、なかなか快適。山荘の方が言った通り、ただ進む、登るだけが山ではないというのを感じた。
日差しが厳しいので、雪渓の下から吹いてくる天然のクーラーで涼みながら外国人パーティーが川の冷たい水ではしゃいでいる姿を見たり、彼らと流暢な英語で会話する女性を見て感心したりして過ごした。当然、今後の山行計画の練り直しと食料計画も。日程は厳しくなってきたが、食料は何とかもちそうだ。
[7日目] 快晴
この日もまた快晴。一体雲のやつは何を怠けているんだ。大体、雲(絹雲とか)があった方が写真も映えるのに。
とはいえ、休養は十分。獅子・鬼・龍王をあっさり通過。この日は風があり、日差しもあまり気にせず歩けた。
一ノ越には中学生らしき一団がかなり賑やいでいて、雷鳥平の方からも若い集団が「ヤッホー」を連呼しながら歩いていた。とりあえず手は振ってみた。
立山雄山は、1時間のところを30分程度でガンガン登ったが、頂上直下の小屋までで、500円の登拝券が必要な山頂はパス。現金の残額から考えてお土産が買えなくなると困る。
その先の大汝山では、映画「春を背負って」のセットとしても使われた大汝休憩所をちらっと覗き、富士の折立も横目で見ながら別山まで到達。12時前には劒澤に着いた。
しかし、ここで問題が。富山県警劒澤警備派出所の方によると、劒に登るにはその時間からでは遅い(6〜8時間くらい)とのこと。天候も崩れてきている。仕方なく劒澤にテントを張り、この日も午後休となってしまった。好調だっただけに惜しい。これで明日以降の日程に余裕がなくなってしまった。ただ、足の調子は雲ノ平よりは戻り、荷も軽くなってきているのでいけるか…。
テントを乾かしたり、荷物の整理や記録の整理などをしたりして過ごし、16時頃だったか夕飯にしようとリゾット(の為のお湯)を作っていたら、先ほどから何度か会話していた隣のテントのTさん、Sさんからおつまみのお裾分けをいただき、話しているうちに一緒に夕飯(とウィスキー)をとることに。
お二人の山行についてや、オーストラリアでのバックパッカーの話等を聞いたり、今回の山行のことを話したりして楽しく過ごした。思わずウィスキーの残量を考えずに多く飲みすぎた。山は厳しい。だからこそ、そこにいる人たちは尚の事温かく感じると実感した。休養日になってしまったのも悪くなかった。
[8日目] 快晴
劒に早い段階で登って先へ進む為、3:30に起床。軽い朝食を口に入れてから、ヒップバッグにペットボトルに入れた水と行動食を入れ、まだ寒いので長袖(ここまではほぼ全行程半袖)を着、ヘルメットにヘッデンを付けて出発。一眼は肩に掛けた上、下の方をカラビナで固定した。
ところが、歩き始めて3分ほどでヘッデンの調子がおかしいことに気付き、外して様子を見ようとしていたときに浮石を踏んでよろけて手を付くと、そこの岩か氷で左手親指の皮が剥がれて出血。大した怪我ではないことを判断し、暗闇に放り出されたヘッデンを探してから一旦テントに戻る。応急処置をし、ヘッデンは電池を交換して点灯することを確認。4:26に再出発する。
20kgを越えるようなザックが背中にないのは非常に軽快で、まるで重りを外した孫○空のような感覚でサクサク登っていくことができた。DBはあまり見たことがないけど。鎖も大半は使わずに済み、有名なカニのタテバイも他の岩場とさして変わらずに越えることができ、登りは約110分で登頂。山頂では、カロリーメイトと水を補給した後、他の方が劒でジャグリングしたりしているのを鑑賞して過ごす。
下りは、カニのヨコバイの一部が足の掛け場に困るのは聞いていた通りで、それ以外はやはり特にどうということもなし。途中、前劒の直下でTさん、Sさんとすれ違い、再会を誓って握手して別れた。下山は115分。山頂での滞在を含めて4時間5分で劒澤のテントまで下りてきた。
この日はここからもゆっくりはしていられない。スキムミルクを1杯水に溶かして飲んだ後、テントを撤収し、劒澤雪渓を下る。その途中、劒岳の登りでも会ったかなり早いペースの年配の方と道中を共にし、二股までの雪渓あり、岩場あり、樹林帯ありのバリエーションに富んだ道を進んだ。
二股からは一人旅で、仙人新道のきつい500mの登りを、これも直射日光と時折微風が吹くだけの状況で進む。かなりきつい。ようやく着いた仙人池ヒュッテで水場の位置を聞き(山渓の地図には記載されていない)、仙人湯の方に10分ほど下ったところで昼食をとる。本当はラーメンにしようと思っていたが、この水場が狭く、調理するには不便過ぎた。
そこにちょうど来た3人組のうちの1人が足の怪我を見て薬を塗ってくれた。仙人湯の分岐までは同じルートなので一緒に進むことになる。
だが、そのすぐ下の雪渓が危険。急な傾斜の下に崩れそうな雪渓が口を開けており、その下は岩が転がる冷たく浅い川になっている。3人組はアイゼンを装着し、アイゼンを持ってきていなかった自分はその間に雪渓の右から抜けられないか試す。崩して降りようにも河岸の土壁やそこに埋まった岩は脆く、掴みきれない。やむなく雪渓の上を慎重に進むも、最後に踏み抜いて仰向けに落下した。幸い、ザックがクッションになり、足を少し擦りむいただけで済んだ。後で気が付いたがこの時にウォーターバッグを破損。おそらくこれがショックを和らげたのだと思う。
降りてみて分かったが、ここは実際は左側から降りた方が安全で、流れで声が届かない為、3人組にジェスチャーで伝えて左側から降りてきてもらった。
3人組には片方のアイゼンとストックまで貸していただき、後から来た1/25000の地形図と宿からの情報をもっている男性の案内もあって、大分時間はかかったが分岐までたどり着いた。
仙人湯の分岐からはまた一人旅。雪渓でかなり体力を消耗したことで、雲切新道の600mほどの傾斜は途中からほとんど気力だけで下っていった感じだった。仙人谷ダムに着くと、そこは旧日電のトンネルを通るルートで、最後はうっかり出口を通り越して、職員用の入口に入りそうになってしまった。
阿曽原までは、また100mほど登った後にそこからほぼ水平に移動していく感じ。ここまで来てまだ登りがあるのかと閉口しながら進む。阿曽原温泉小屋が見えた時は心底ホッとした。
テン泊は自分1人で、最良の位置を選択し、温泉も他の人は既に入った後らしく、貸切状態だった。お湯は透明で、湯船は広く(ただし1つだけ)、シャンプー等も置かれている。快適なことこの上なく、疲れがかなり癒された。
また、小屋の方々はとても親切で、親指の怪我をテーピングで処置してくれた他、そのテーピングテープまで譲ってくださった。怪我というのを耳にして見に来てくださった医学生(?)の方にも感謝。
[9日目] 快晴
14時間近く歩いていた夜はさすがに疲れ、荷物の整理も不十分なまま眠ってしまった。朝もセットしたはずの目覚ましに気付かず、起きてみれば5時前。テン場の周りではやたら猿がいて、大手を振って歩いている。猿に食料等を取られないよう注意しながら荷を手早くまとめ直して、6時前に出発。
折尾谷まではCT通り90分ほどで、草で道が隠れているところがある。その折尾谷のトンネルを出てすぐの箇所が難関で、ゆるい土の斜面から、雪渓の上に乗らなければならず、危険な感じがするうえに、思いのほか重労働。反対からならそうでもないのかもしれないが。ちなみに、聞いていたより道幅はあるものの、切り立っているので、大抵のところは落ちたら怪我では済まないと思う。この辺りでペットボトルを紛失。
大大鼓までも47分とほぼCT通り。アップが少ないからか、自分の足の状態が悪いからなのか、これでもペースを上げているのに時間を縮められない。しかも、この日も太陽が照りつけ始め、この先の行程に不安が生じる。
志合谷のトンネルはヘッデンが必要で、かなり長い上に、足元は雪渓が解けた冷たい水溜り。上からも水滴が落ちてくる場所。外の暑さとどっちが良いかと聞かれたらトンネルを選んでしまいそうだが。
結局、この暑さでは進めても祖母谷までではないかと考え、残りの日程を考慮して欅平での下山を決める。足の裏や膝なんかの状態からいっても、もう1日余裕がないと仕事に間に合わなくなってしまう可能性がある。
<山行を終えて>
10日(+α)で焼岳から親不知を目指すということで、その途中に高天原や劒岳を組み込んだことでかなりきつい行程だった。何処かを削るか、日程を1日増やせば行けないことはないが、更なる軽量化や足元の改善等も必要だと思う。ちなみに家に帰って体重を測ってみたら6kg減っていた。
テン泊、食料持参で望んでみたが、水に関しては途中で補給する他ないので、お世話になった小屋や山荘の方にとても感謝しています。また、応援してくださった方、手当をしてくださった方、どうもありがとうございました。
長期縦走お疲れ様でした。
最初、山行計画を拝見した時は「何だ、これは!?」と思いました笑。その後、食料の写真がアップされて実際に実行されることを知り、何事もなく進まれているかなーと思ったりしていました。
足の怪我は大丈夫でしょうか?ゆっくり休んでくださいー。
快晴ですとアルプスでも暑くて辛いと想像しますが、9日間アルプスで家に帰ってきたらこの下界の蒸し暑さですので、この気温差から夏バテ気を付けてください!!
ありがとうございます。
足の裏のマメや負担がかかったところに痛みがあるのと、前脛骨筋(?)っていうのが張ったままで違和感がある感じですね。手も指紋が薄くなってるし。あとは日焼けが尋常じゃないですね。しかも意図的じゃないので微妙にまだら。
少しゆっくり休むことにします。
奥穂で 飴をあげなかった?boroPともうします
バーボンも飲み切っていたけど
バンドエイドなら一杯持っていたのですが、、
北穂から 声掛けたの聞こえませんでしたか?
日本海は通過しただけのようですが
あれ以後 天気も良く温泉も入れたようで 良かったですね
充実の山旅 お疲れ様!!!
on-boroP
boroPさんこそ、お疲れさまです。
あの時点ではまだ足の裏もマメができていなかったんですよ。おそらくキレットを越えてから南岳〜槍や西鎌尾根辺りを飛ばしていた辺りでできたのかと。
声はばっちり届きました。そのまま持って行って、劒の上に飾ってあります。
走りやすそうなところがチラホラ。
軽量化はやっぱり重要ね。
自分も8kgを超えると走れないし
でも、そこにあるのはやはりお金ですよ!
テーピングテープをはじめファストエイドキットは持っていかなかったのかな?
あと安全ピンもっていって、晴れている日中の山行で靴下とかザッグに固定して干しながら歩くといいよ!
良いでしょう。今度のトレラン楽しんできて。お金で解決するのはつまらないから却下。
FAキットはもっていってたんだけど、テーピングテープはなかったんだ。バンドエイドの類は途中で使い切った。
安全ピンは使わなかったけど、必要なときはカラビナとか使って干してるよ。安全ピンだとどっかに引っ掛けて失くしそうで怖いんだよねぇ。
9日間お疲れ様でした!
私には到底想像できない日々…今回の山行で得た長期縦走のノウハウ、ぜひ教えて下さいね~
写真もヤマレコにアップした以上に写真撮ってるのではないですか?その他もぜひ見てみたいっ
今年は全国的に猛暑日が続いていましたから、お天気が良すぎるのも大変だったですね
とにかく無事で何よりでした~
ありがとうございます。
写真は全部で800枚近く撮った気がします。雲があった方が味が出るし、山行そのものが厳しかったので、いつもに比べると力が入れられなかったですけどね。
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