宮之浦岳縦走登山 -カミナリは怖い-


- GPS
- --:--
- 距離
- 19.7km
- 登り
- 1,283m
- 下り
- 2,033m
コースタイム
- 山行
- 0:40
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:40
- 山行
- 5:40
- 休憩
- 1:25
- 合計
- 7:05
- 山行
- 4:25
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 5:20
天候 | 雨、雷雨、くもり |
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過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
船
屋久島のバスは、 屋久島交通とまつばんだ交通の2社があります。本数が少ないので、事前に確認してください。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・木道、階段などコース全般で整備が行き届いていて歩きやすいです。 ・しっかりした道標がこまめにあり、自分の位置確認がしやすいです。 ・山頂のすぐ近くを除いてそこかしこから水が湧いており、水分補給には困りません。ただし、若干クセのある味といった感じでした。 ・一方で登山道が水の流れ道になっており、濡れに注意してください。また山頂の前後には笹が道にかぶるくらいに生い茂り、かなり濡れます。 ・淀川小屋〜栗生岳:登山道の多くが小川のようになっており、靴濡れに注意が必要です。 ・栗生岳〜平石岩屋:あまり身を隠す場所がなく、雷に注意してください。 ・平石岩屋〜新高塚小屋:こちらも小川のようになっており、靴が濡れます。 ・楠川分れ〜辻峠:標高差250mほどの登り返しですが、ルート上もっとも歩きにくい箇所でした。(ただし、概ね石で足場がしっかりしています) |
その他周辺情報 | 高塚小屋は縄文杉に近いこともあり、シーズンはとても混むとのことです。その他の小屋も混む場合があるので、できればテントを持参したほうがよいです。 |
写真
外壁は紙管と半透明のチューブを交互に重ねてできています。チューブからは外光が入ってきて、とても明るいです。
ただ、紙管のコーティングが一部剥がれて、紙管がカビている箇所が多くあり、これから長期間もつのかと心配になります。
装備
個人装備 |
小屋泊まりでも寝袋
マットは必要<br />念のため
テントも持参<br />携帯トイレを買っていきましょう
|
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感想
場所柄、行く機会とタイミングがなかった中、8月末に思い切って行ってきました。天気はあいにくでさらに雷に遭遇(最後に詳述します。)するという厳しいものでしたが、印象深い山行でもありました。
8月31日 曇り時々雨
朝のフェリーで着いて、時間的に余裕があったため、ヤクスギランドに寄りましたが、ここだけでも本州ではめったに見られない立派なスギがあちこちにあります。
ヤクスギランドは標高1千mほどで、それほど暑くは感じませんでしたが、湿度が高く汗が気化してくれません。
14時過ぎのバスで終点の紀元杉まで向かう途中で土砂降りになり、慌ててカッパを着るものの、バスを降りたときには止んでいるという、なにか屋久島らしいお出迎えです。バス停から20分ほど舗装路を歩いて、登山口に到着。登山届を提出して山行スタートです。といっても本日は淀川小屋まで。
淀川小屋では先客の翌日下山する2名の方と自分と同じバスだった1組2名、それに夕刻に到着した大学の研修で明日花之江河を往復するという18名と、賑やかで楽しい一晩となりました。
9月1日 曇り(晴れ間あり)豪雨 雷 のち 夕焼け
朝は穏やかな天気でした。薄曇りで少し青空も見えます。天気が悪ければ、引き返して出直そうと思っていましたが、出発できそうです。笹でかなり濡れると昨日登った方のアドバイスで、雨具の下は履いて出発しました。
淀川小屋から宮之浦岳までは6.5kmほどですが、標高差は0.6km程度なので勾配は緩やかだと推測していましたが、実際の道も勾配はあまりきつくなく、いいテンポで歩を進めることができます。ただ道が川のようなところがそこかしこあり、靴が濡れないようにしなければなりません。
花之江河手前あたりから雲が厚くなってきました。それでも順調に高度を上げていきます。栗生岳手前で急に激しい雨が落ちてきましたが、すぐに止みました。道標がしっかりしているので、自分がいる場所がわかりやすく安心します。そして9時過ぎに山頂に着くことができました。でも真っ白。
写真を撮って早々に出発します。しばらくして雨が落ちてきました。笹が道に覆いかぶさり邪魔だったり、小川のようなところを歩くため、左足がいつの間にか濡れて気持ち悪かったりしますが、道自体は歩きやすいのでいいペースで下降を続けます。
徐々に風雨が強くなってきました。そしてついに雷鳴も轟き始めます。あいにく十分に身を隠せる場所がなく、ザックを放り投げ、岩溝に身を伏せてなんとかやり過ごします。雷遭遇体験については、参考のため最後にまとめておきます。
その後、樹林帯に入り人心地つきます。
順調に高度を下げ、新高塚小屋に到着しましたが誰もおらずパス。さらに小一時間歩いて高塚小屋に到着したものの、こちらも誰もおらず。少し寂しい気分で2階で濡れたものを整理していたところ、一人の青年が入ってきました。すっかり暗くなり、夕飯を食べていた頃、お父さんと6歳の息子さんが到着です。雨宿りなどで遅くなったとのこと。けっこうな距離を歩いただろうに元気な息子さんで、小屋内は一気に明るくなりました。それでも遅い時間のため、早々に全員寝につきます。
9月2日 薄曇り(晴れ間あり)
前日の朝よりもさらに明るい気持ちいい朝になりました。
大学院生の青年は、荷物を小屋にデポして宮之浦岳を含む周回ルートを歩く(コースタイム18時間!)とのことで、早々に出発。親子は荒川登山口へ下るとのことですが、少しゆっくりスタート。自分は朝食を済ませて6時に小屋をあとにします。
すぐに縄文杉。他の杉とはぜんぜん違う大きさ、圧倒感。まさに神々しさを感じます。惜しむらくは保護のため、近くまで寄れないこと。もっと近くで迫力ある姿をみたいとは思うものの、縄文杉が長生きするための措置なので、遠くから拝んで満足することにします。見ることができて良かった!
その後のウィルソン株もひとりでゆっくり堪能し、トロッコ道を快適に下っていきます。前日の雷雨を忘れさせる木漏れ日も気持ちいい道が続きます。
白谷雲水峡の入口に着いたのは、バスが来る少し前、良いタイミングで下山できました。
屋久島の天気は変わりやすいとは聞いていましたが、山の中と海辺、それに同じ山の中でもあちらとこちらでだいぶ異なるようです。二日後に鹿児島を離れる日には屋久島はいい天気になったようです。次回来る時は晴天の宮之浦岳山頂で記念撮影をしたいと思います。
《宮之浦岳山頂直下で遭遇した雷について》
今回の雷体験は、これまでの山行の中でもかなりこわい部類のものでした。そこでこれを忘れないためにも、また、これから屋久島に行く人への注意喚起のためにも少し詳しく記しておきます。
・天気予報
前日の予報では曇り、雨模様といった感じでした。入島前日の夜にはけっこうな雷雨もあったとのこと。また、淀川小屋でお会いした大学の方々は、宮之浦岳を目指していたそうですが、数日前に地元ガイドから天気は良くないのでやめておいたほうがいいとのアドバイスがあり、花之江河折り返しに変更した話を聞きました。
・実際の天気
朝、薄曇りからその後、雲の中に入ったような霧、もしくは曇り。山頂付近では吹きさらしで風が強く吹きつけてきます。
9時前、栗生岳手前でザッと雨が降るもすぐに止みました。
10時頃、遠くで雷鳴のようなものが聞こえた気がしましたが、この段階でははっきりと雷とは思いませんでした。
10時10分頃、バラバラと強い雨が落ちてきたと思ったら、一気に風雨が強くなってきました。それでも気温が下がるといった大気が急激に不安定になっている感じはなく、樹林帯に入ればやり過ごせると思っていいました。
10時20分頃、近くで雷鳴が響きだし、それから長い間暴風雨と雷が続きました。雷は遠くで鳴ったと思ったらすぐ近くで鳴るといった感じを繰り返します。
11時頃、徐々に回復してきました。
その後、新高塚小屋に着く頃には雨も止み、高塚小屋に着いてからは風は強いものの、遠くに夕焼けが見られるほどに回復しました。
・現地の状況
栗生岳前後あたりから笹原になり、以降平石岩屋まで、平石の水場?付近を除いて身を隠す場所がほぼありません。山頂前後を除けば、多くは樹林帯なので、高い木への落雷などに注意すれば、避難できそうでした。
・行動予定
午前の早い時間には山頂を越えていくつもりであり、雷は午後に発生することが多いと思い込み、用心はすれど雷が発生するまでには安全な場所には行かれるだろうを考えていました。
・雨装備
雨具の下とスパッツは出発から身につけていたため、頂上手前で一時雨に降られた際にも慌てず雨具の上を羽織ることができました。カメラなど外に出していた荷物をザックにしまってザックカバー、雨用の手袋をして、以降、高塚小屋までその格好で行動しました。ただ、強烈な風雨と雷避難の際に水が流れるところに伏せていたこともあり、途中からは全身ずぶ濡れになっていました。
・実際の行動
先に記した通り、最初の雷鳴(らしき音)がした時、まだ午前であることや気温変化もないこと、あるいは雷鳴ではないと思うようにしていたからか、雷とは認識せずに、下降を続けていました。(風の音、木が擦れる音などと思っていた)それでもここで雷に遭遇したらまずいので、なるべく早く樹林帯に下ろうと考えながら歩いていたと思います。
最初の雷鳴(らしき音)から10分ほどした頃、今度は近くではっきりと雷鳴が聞こえ、稲光も見えました。これはまずいと周囲を見回しますが、一面笹原で身を隠す場所がありません。岩屋も20分ほど前に通り過ぎ(これもあとでわかりましたが、まだ岩屋の手前にいました)、この先に進んでも稜線上を徐々に登っているようで、身を隠せそうな場所はないように見えます。(後述しますが、結果そうではありませんでした)そうこうしてる間にも雷鳴が大きくなり、さらに焦り出します。結局目の前の登山道の一部になっている岩にできたわずかな溝(幅深さともに40センチ程度)に隠れることにしました。
ザックを背負っていては危ないと考え、ザックを放り出し、水の流れが一層強くなったその岩溝に身を伏せます。といってもうつ伏せになるわけにはいかないので、水の流れの中に踵を浮かせて身をかがめるといった感じです。
頭上で青い閃光が瞬き、雷鳴が轟きます。もし避難しているこの岩に落雷したら、足元の水の流れに落ちたらと考えるとゾッとしますが、一方で閃光と雷鳴の間隔を数えて雷との距離を測ろうとしたり、稲妻が横走りしていないので少しマシかと思ったりと、冷静に観察していました。
避難してから30分ほどたった頃から雷の間隔が広がっているのがわかりました。でもまだ鳴っているので、鳴らなくなるのをじっと待ちます。
それからさらに15分。全身ずぶ濡れで体もだいぶ冷えてきて、そろそろ動きたいと思っていた頃、ようやくほぼ雷鳴がしなくなったため、思い切って動くことにして、ザックを背負い歩き始めます。すると、2分ほどで身を隠せるほどの岩場にでました。地図を確認するとどうやらここが平石岩屋だったようです。手前で見たのは水場の岩場だったようです。わかっていればここまできたのにと思いながらも、とにかく無事だったことに安堵です。立ち止まると、膝が震えているのがわかり、改めて厳しい状況だったのだと再認識しました。
今回の経験で強く思ったのは、
1.雷鳴が聞こえたら、たとえ遠くであってもすぐに安全な場所を探して避難すること。
2.雷は鳴り止んだと思っても急に近くで発生する場合があるので、しばらくは様子を見ること。
3.どのような気象状況で何時頃発生するのかなどは、ある程度は傾向があったとしても、その条件以外でも発生することを念頭に入れておくこと。
などで、雷の怖さを改めて思い知らされました。
屋久島という特殊な地形だったことも影響している部分もあるかもしれませんが、十分注意してこれからの山行を楽しみたいと思います。
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