白滝山 (9/5 から行方不明の Tさんを思いながら)

- GPS
- --:--
- 距離
- 9.5km
- 登り
- 794m
- 下り
- 794m
コースタイム
9:16−伊藤新道入口ー9:21
10:00−ワサビ大滝ー10:06
10:29−最後の徒渉点(4回目)
11:20−白滝山ー11:25
11:32−音羽池ー11:34
11:54−夫婦池ー12:20
12:43−白髪渕ー12:48
13:13−徒渉点(上)ー13:20
13:32−徒渉点(下)ー13:34
13:41−ウシコバ水場ー13:49
14:03−伊藤新道入口ー14:08
地主神社着ー14:42
| 天候 | 曇り時々晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2015年10月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
感想
◆ 随分と涼しくなった。今日の天気予報は、15度〜22度。午前中曇り、午後晴れ。
湖西道路から蓬莱山は良く見えたが、上には厚い雲がある。登山口に着くと、今日は先週と違って風は余り無い。
◆ 先週と同じ処に来たが、今日は一年ぶりの白滝山だ。
伊藤新道には明王林道をウシコバへ向かうと、三の滝を過ぎた処に入口がある。ワサビ谷を流れに沿って左岸を登って行く。(昨年までは全く道標はなかったが、今回は新しい、坊村自治会の道標があった。これは恐らく9/5 以来行方不明の神戸の T さんの遭難騒ぎの為だろうと思う。)
間もなく、滝がある。ワサビ大滝である。その右側に細い流れの別の小滝がある。
◆ ワサビ大滝は左に高巻きして越える。ざらざらと滑りやすく、大変急坂で上りにくい道だが、昨年までは無かったロープがあり、頼りないが随分登り易くなった。上に上がると左から小さな切れ込んだ、普段は水の無い谷があり、それを向こう側に越えるとワサビ天井滝へ行く登山道がある。左に曲がるとすぐワサビ天井滝だ。ワサビ大滝のすぐ上だ。(道標は此処までで、それ以後は全く無い。)
この水の無い沢とその手前の苔むした山腹(T さんが入ったと思われる場所)には、ロープが張ってあり、入るなといふ表示があった。
◆ 登山道はそこを右に曲がり、滝の下の沢を渡り、西に向かって急斜面の中の杉林をトラバースしながら登って行く。(これは、滝の脇を登れないから一旦西に向かい、折り返してまた天井滝の上の沢を越えるのである。)その途中余り水の無い小さな沢があるが(ワサビ大滝の右側の小滝の谷)、この沢が台風に度に浸食されて深くなり、段差が大きくなって、渡るのに苦労するようになった。
間もなく道は東向きになり、引き返すように登って行く。すると、さっきの小滝の沢の上をもう一度、3回目の徒渉して、最後の4回目の徒渉が大滝と天井滝の沢である。都合4回の渡渉をして、いよいよ沢から分かれて、白滝山に連なる尾根に取り付く事になる。
◆ ここから 40 度はあろうかと思われる杉林の急坂をジグザグに登って行く。一番しんどい所だ。上に行くほど杉林の中に自然林が増えて、杉林がなくなると、自然林となり山頂も近くなる。傾斜も次第に緩やかになり、平坦な尾根の上の小さなピークを 3 つばかり越えて進むと最後のピークが山頂だ。木立の中で展望は無い。私製のプレートが掛かっている。
◆ すぐに音羽池に向かう。山頂から 90 度右(東南)に下って行く。その途中、左(東南)の方が開けていて、蓬莱山とその左に打見山が見える。今日初めての展望だ。音羽池までは羊歯が密生した中を下って行く。踏み跡は確りしている。
この辺りには池が多いが、他の池は水が少なく、沼地のようなものが多いが、音羽池だけは沼地がなく直ぐ深くなっていて、満々と水を湛えている。しかも茶色っぽく見えるが、澄んだ底が見える綺麗な水だ。
6 月に来ると、モリアオガエルの卵が一杯池の上に垂れ下がり、下にはイモリが待ってるのが見える。
◆ 夫婦滝への下りは、道がはっきりしない。その上夏場は羊歯が密生して、尚更分り難いが、兎に角東に向かって行くと、沢が現れるから、それに沿って下って行くとよい。
すると白滝谷にでる。直ぐ左手には滝見不動のお堂がある。右に行けば汁谷、打見山だ。
風が当たらないようにお堂の中で弁当にする。雨の時なんか重宝する。有難い事に、何時も綺麗に掃除されている。
◆ これからは、白滝谷に沿って下るだけだ。道は右岸にあるので、お堂の裏から徒渉しなければならない。2,3年前までは腐った丸木橋があったが、これも台風で流失した。徒渉は水量しだいで、今時は簡単だ。
白髪渕までは谷の右岸に道があるが、谷が険しいので道は谷筋から東側に離れて下って行く。白髪渕から谷の右岸沿いになる。と言っても、決して易しい道ではない。急な崖の高い所に、狭いトラバースして行く道が付いており、所々に丸太で補強してあるが、それも半分は腐りかけていて気持ちが悪い。鎖場もある。梯子もあるが、これも頼りにはならないような代物だ。全く気の抜けない道が崖の上に続く。
◆ そして、崖が急になり道が通らない処に来ると、川床近くまで急な坂をジグザグに下って行く。これ以上先へは進めない処に、2年前までは、此処に橋が架かっていた。それが昨年来た時には流失してしまっていて、徒渉に苦労したが、今年はそこにロープが張ってあり、渡り易い場所が分るだけでも助かった。(徒渉点 上)
しかし、両岸を結んだロープは決して助けになならない。確り掴んでおけば、滑って水の中に落ちた時流されずに済むかもしれないが、決して助けにはならない。ストックを突いて向こうの岩に飛び移る。
◆ 道はここから左岸沿いになる。大きな石の間を右へ左へと進み、通れなくなった処 、徒渉点(上)から約 250m下った処が従来橋が在った所だ (徒渉点 下)。この2箇所に以前は橋が架かっていた。去年来た時も勿論なかった。此処の方が下流で岩も大きくなり、水量も多い。当然徒渉も難しくなる。去年は徒渉場所を探して時間が掛かったが、今年はロープが 2 箇所に張ってあり、場所探しはしなくて済んだ。下の方のロープの場所は、去年私が渡った処だった。
これでやっと難所が過ぎた。右岸へ移ればあと 300mで林道に出る。
◆ ウシコバの林道に出ると、すぐに水場がある。道路脇の大きな木の根元から、大きな岩の上を水が湧き出ている。岩は赤茶色に光っている。私は此処へ来ると何時も千曲川の水源を思い出す。大きな木の根元から、岩の上を流れ出る様子が、ほんとに良く似ているのだ。冷たくて美味しい水だ。
後は林道を地主神社まで下るだけだ。
◆ 今日の私のコースには、坊村から伊藤新道〜白滝山〜夫婦滝〜ウシコバと、ずうっと 9/5 から行方不明の、神戸市の T 氏(70歳)の写真が載った、情報提供のお願いが、随所に貼ってあった。
◆(PS)
『行方不明の T 氏について』
今日のこのルートは、9/5 に神戸の T さんが入ったと思われるルートだ。
T さんは、ウシコバ〜白滝谷〜夫婦滝往復と言ふ書置きを残していた。しかし、その日に伊藤新道のワサビ大滝で挨拶を交わしたと言ふ人が現れた。そこで、ワサビ大滝経由で白滝山に行き、夫婦滝に下ったのだろうと言ふ事になった。
これに関して、ヤマレコ質問箱に T さんの親族と言ふ moon4cut さんが人探しの情報の提供を、9/15 付けで呼びかけているのを知った。これによると、誰からの情報かは分らないが、「ワサビ天井滝の手前を山道から外れて、左に入って行ったようです」とある。
ワサビ天井滝と言ふのは、ワサビ大滝のすぐ上にある。登山道はワサビ大滝の左側を高巻きして滝の上に上がる。上に上がると左から小さな谷が落ちて来ている。普段は水は無いが、大雨で侵食されて、今では幾分深くなった。それを越えて向こう側に上がると道がある。この道はすぐに左に 90 度曲がる。すると正面にワサビ天井滝が見える。
登山道はこのワサビ天井滝から流れる沢を西(右)に渡り杉林の中に入って行く。
そこで、私の疑問は、moon さんの「ワサビ天井滝の手前」が何処か? と言ふことだが、左に入って登って行くとすれば、考えられるのは、大滝の上に上がった所、小さな水の無い谷か、その谷の直ぐ手前の苔むした山腹しかない。これは谷筋か、その谷に沿った、すぐ左(北側)の尾根を登るかの違いだ。
しかし、此処は私も確認したが、人が通った形跡がある様な処ではない。殆ど人は通らない処だ。
ただ、ヤマレコのルートを書き込む地形図には、過去に二人程此処から白滝山に直接登った人がいるようだ。こんな所から登る人は余程のマニアで、GPSを駆使しないと無理だと思うが、地形図を見ると急だが、綺麗な形をした尾根が真っ直ぐ伸びているから不可能ではないと思う。
ワサビ天井滝の手前から、左に登れる処は此処しかないと思われるが、T さんが果たしてそんなベテランだったのか?、ベテランだったとしたら何故行方不明になるのか?
また、道を間違えて、左に入ってしまい迷ってしまったとも思えない。分って入るなら兎も角、分らずに迷い込むにしては、たとえビギナーでも考えられない様な処だからだ。
そして、残したメモと、実際のコースが違うのも合点が行かない。
そんな疑問を moon さんに聞いてみた。そして、返事を頂いた。
それによると、T さんは花や滝の写真が趣味で、殆ど登山の経験はなく、登山靴、地図やコンパスもなく、当日も軽装だったようだ。
そして、ワサビ大滝で挨拶を交わしたと言ふ証言をされた、京都の方(ご夫婦)によると、T さんが 先にワサビ大滝を左に高巻きして上に上がった。その後に自分達も登って行ったが、水の無い小さな谷の処でどっちへ行ってよいか解からなくなって、「上を見たら T さんと思われる人が登って行くのが見えた」と言ふことだ。
従って、T さんがここを登って行ったことは確かのようだ。
それでも私は、登山の経験がなく、登山靴も履いていない人が、此処を登ると言ふ事が信じられない。それとも、経験がないからこんな無謀な事が出来るのか。
京都の方たちは、大滝の上に上がって、どちらに行ったらよいか解からなくなった時、ご主人が右の方へ行って、ワサビ天井滝の方に道がある事を確認して、西へ登山道を進まれたそうだ。
山ではこう言ふ慎重さが必要だ。先にT さんが登って行くのを見ても、それを訝しく思い、先まで確認に行く証言者は立派だ。でも殆ど全てのハイカーが此処は道ではないとしか思わないような処を Tさんは登って行ったと言ふことだ。
それにT さんが、もし運よく白滝山に連なる藪尾根をとらえて山頂に達したとしても、その先はもっと道が分からなかったと思われる。音羽池に無事着いたとしても、夫婦滝への下りは解かり難いからだ。
南方向に踏み後があり、長池方面に行ってしまうことは一層悲劇的だと思われる。
それに私のもう一つの疑問は、「白滝谷〜夫婦滝往復」といふルート変更は如何してか? と言ふことだが、京都の方によると自分達も、ウシコバ〜白滝谷〜夫婦滝の予定だったが、上から来た登山者に白滝谷は増水して危険だと聞いて、伊藤新道のルートにしたそうだ。
(9 月の初めは雨が多く増水していたと思われる。私も夫婦滝までの 2つの橋がないのが解かっていたので、今日まで延ばしていたのだ。)
T さんもこれを、耳にしたのだろう。
moon さんは、T さんのご子息だそうだが、その胸の内を思うと全くやりきれない気持ちだ。早く見つかる事を祈るのみだ。私がも少し若かったら捜索に参加したいと思うが・・・如何にせんこの体力では・・。残念だ。
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mesner










神戸のTさんが遭難した件を知ったのはヤマレコだった様な?
その後、比良山系に行けばあちこちにビラが貼られていました。
過去の遭難事例も思い出すと行方不明の人間を探すのは簡単な事ではないと改めて思います。
遭難者がどのルートを取ったかは僅かな情報での推測しか出来ず…
登山靴を履いておらず白滝谷の渡渉を諦め伊藤新道に入ったのかも?
伊藤新道の途中で遭難した可能性も否定は出来ませんが、長池近辺で道迷いも有りそうですね。
nakato さん、今日は。
nakato さん、何時も早く、よく歩きますね。
今回のTさんは、目撃者がワサビ天井滝の手前を左に登って行くのを見た、と言ふ事ですから、そこから登山道の北側の尾根に入り込んだことは、間違いないでしょうね。だから、捜索隊も最初は白滝山の北側の谷、アザミ谷とカラ谷を捜索したのでしょう。
でも、何も手がかりが無く、T さんは白滝山を越えたと看做してオシロ谷やシメン谷も探したようです。
しかし、白滝山を越えて行ったち言ふ事になると、捜索範囲が大きくなりますね。
大阪の男性が正面谷の隠れ滝で発見された時は、5〜6年経っていましたから、登山道を外れた遭難は、発見が難しいですね。
Tさんは、登山経験は無かったけれど、体力は結構あったらしいですよ。うんと動き回ったかも知れませんね。
雪が降る前に見つかるといいですがね。
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