天祖山・タワ尾根
埼玉県
東京都
山キチどん
- GPS
- 08:41
- 距離
- 17.8km
- 登り
- 1,545m
- 下り
- 1,542m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 8:03
- 休憩
- 0:38
- 合計
- 8:41
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2009年01月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス
|
写真
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梯子坂ノ頭山頂より
感想
低気圧がオホーツク海で発達し冬型気圧配置となった。昨日とは一転、雪は止み雲一つない快晴。青梅線の終点奥多摩駅で下車し2分後のバスに乗ろうと乗り場へ急ぐと東日原（ひがしにっぱら）行は7:02までない!事前に調べていた時刻では6:25発だったのに今日は土曜日、仕事の都合で月曜日の休日を金曜日に振り替えたので1日ずれてしまっていたのだった。空しい37分を過ごしバスに乗ると登山者は他に3人何処に行くのだろう。
この路線平日はこの奥にある鍾乳洞まで入るが土・休日はすべて1.5�匱蠢阿療貽�原止まりで、日原街道を歩き鍾乳洞バス停を越えて小川谷を渡った。鍾乳洞は右に行くが、左に折れて日原林道に入って日原川を遡る。鍾乳洞がある程なのでこの辺り一体は石灰石の産地で北岸に採掘場がある。そして目指す天祖山の東斜面は山頂近くまで採掘が進んで武甲山や藤原岳を思い起こさせる。
孫惣谷合流点に架かる八丁橋（標高715m）から登山道は始まり、1,000mの標高差を登る。取り付きは酷い急斜面に辛うじて付いたジグザグ道を行くと標高850m位で少し緩くなり尾根に乗った。樹林越しに雪晴れの石尾根や長沢背稜が見えるが樹林の切れ目は全く無い。積雪は15�冂�度、トレースはなく気持ちよい新雪だ。標高が上がってくると雪質は粉雪でサラサラ、「♪峰の処女雪 蹴立てつつ・・・」、坊ガツル賛歌の一節が思い浮かぶ。ときどき吹きつける強風に枝が揺すられ積もった雪がドサッと落下する。これに直撃されると大変、歩くと暑いので上はシャツ1枚になった。
標高1,130m辺りの平坦地に大日大神の神社があるが近づくと床は抜け荒れ方が酷かった。P1355手前は等高線が詰まり急登となった。少し下って再び登りとなると、後は一貫した登りで天祖神社の会所に達した。一般人は「ご遠慮ください」と書かれているが、鍵も掛かっていないので緊急時は避難小屋としても利用できそうだ。天祖山(1,723m)山頂はもう少し、近そうで遠い。山頂には天祖神社が鎮座、無人ながら立派な社殿がある。樹林帯で山頂からの展望は得られない。
冬型の気圧配置が強まり稜線に時折突風が吹く。枝の雪は全て飛ばされ落雪の心配はなくなったが、突風が吹き抜けると地吹雪が起こる。舞い上げられた雪の粒が太陽に輝きダイヤモンドダストのように輝く。雪原には見事な風紋が広がり素晴らしい。
雲取山(2,017m)は東京都の最高峰、奥多摩の核心部で日原川を挟み南に石尾根、北に長沢背稜の長い尾根を従える。天祖山を北に進むとこの長沢背稜に達する。ナギ谷ノ頭(1,671m)を越えると何処までも下って行くかのようで、最低鞍部は“梯子坂ノクビレ”と呼ばれ標高は約1,545m。以前は孫惣谷に下る道があったようだが石灰石採掘が進み通行止めとなったようだ。因みにこの石灰石は奥多摩駅裏にある奥多摩工業の工場まで曳鉄線と呼ばれる軌道が繋がり、ケーブルに繋がれた無人のトロッコが石灰石を運んでいるそうだ。日原街道の川乗橋バス停の奥多摩寄りで日原川を横断する鉄橋が見られる他は殆どがトンネルとなっている。
閑話休題、梯子坂ノクビレから登り返すと木が疎らな所があり、雲取山の写真を漸く撮ることができた。小高いピークに達すると梯子坂ノ頭(1,662m)で直前に展望地があった。天祖尾根が長沢背稜に接続する処は板小屋ノ頭(1,710m)で地形図の登山道は東側の水松山(あららぎやま1,699m)との鞍部に乗り上がっている。巻道を避けて尾根通しの踏み跡を辿り板小屋ノ頭の山頂に達すると樹林の切れ目から再び雲取山が望め、芋ノ木ドッケ、白岩山が木に邪魔されずにしっかり見ることができた。
ここからは平成14年11月に雲取山からの縦走で歩いたルート。この先長沢背稜の登山道は殆どピークを巻いている。次の水松山も然りで前回は稜線ルートを強引に突っ切り山頂に立った。今回も山頂を通ったが、雪があり、かえって歩き易かった。二重稜線の左側を詰めて山頂に立って3等三角点「東谷」を探すが20センチの雪の下で発見することはできなかった。長沢背稜の稜線は吹き溜まりの雪が深く、所によっては50�儷瓩�に達する所もあった。風に吹かれてミニ雪庇が発達し面白い。
さらに東進し岩下谷ノ頭(1,708m)が前方に見えてくるがこれも巻き道が南側についている。この時点では名前があるとは知らず巻き道を行ってしまった。滝谷ノ峰(1,710m)との括れに達すると登山道は大きく南に巻いている。ここは前回パスしたので今回はどうしても登りたい。稜線通しに進むと岩場が立ちはだかり取り付けない。北から巻き込み這い上がりクリアし山頂に到った。山頂からの展望は良く雲取山、芋ノ木ドッケ、白岩山がほぼ障害物無しに見通すことができた。
滝谷ノ峰は別名“タワ尾根の頭”と呼ばれ、これから下るタワ尾根の絶巓である。長沢背稜の縦走路と直交し下っていくが縦走路から山頂までは微かな道形らしきものが確認できた。なだらかな稜線を行くと突如荷物運搬用のモノレールの軌道が敷設され延々と尾根上に続いている。まだ設置されたばかりのようで汚れはない。中途半端な位置で途切れているが一体何を運ぶのだろう。細い尾根に設置されているので、右に跨ぎ左に跨ぎ歩行の邪魔であることは間違いない。しかし登山道では無いので文句を言う筋合いではなのだろう。このレールもP1602辺りで尾根西側の急斜面を下り孫惣谷へと消えて行った。
大京谷ノ峰(1,602m)とウトウノ頭の間は深いキレットで急斜面を木に掴まりながら下りた。キレットからの登り返しは極度に急峻な登下降が必要で“登山道”とならない訳が分った。ロープや鎖は当然無く木の根や枝に掴まり雪の斜面を這い登り、漸く山頂かと一息つくがまだ稜線端に達しただけで山頂へはもう一段の登攀が待っていた。大京谷ノ峰から直線距離で600mしかないのに34分も掛かってしまった。ウトウノ頭(1,588m)山頂は樹林帯の中に3等三角点「孫倉」が置かれているが山頂標識は無かった。
等高線の詰まった南の尾根を下り切ると一転なだらかな稜線となり篶坂ノ丸（すずさかのまる1,456m）に到った。山頂標識があり、しかもここで折り返したトレースを発見、今日のトレースに間違いない。そうここからは登山地図に赤点線で記された登山道、登る人がいるのだ。ホッとする反面処女雪を汚された残念感もあり複雑な心境だ。この後出てくる3つの山を見逃さないように気を付けてトレースを追った。昨日・今日と登山者とは全く会っていないのでできることなら追いつきたいものだ。ほんの僅かに登り返すと金袋山(きんたいさん1,325m)山頂で、展望も標識もないので地図をよく見ていないと通り過ぎてしまうこと受け合だ。人形山(1,176m)は梵字のような山頂標識とお札が木に巻き付けてあった。ほんの少しの盛り上がっただけの山頂だった。
トレースは東の尾根にも分れて続いている。気になりながらも一石山への南東尾根を下った。下りがひと段落したところの膨らみが一石山(1,007m)で小さな木の標識が掲げられていた。トレースが急に途切れ登山地図を見ると人形山の東尾根にトラバースして籠岩経由で小川谷に下るのが実線登山道で一石神社へ直接下りる道は赤点線道となっていた。一石神社への道を取ると天祖山の登山口と同様急斜面のジグザグ道となった。石灰質の山域、谷が抉られ深くなったためだろう。どの尾根も登り出しは恐ろしく急だ。
谷音が近づいてくると直ぐに一石神社に到着、無事の下山を報告し日原街道の車道を歩いた。対岸には観光スポットとしても有名な日原鍾乳洞がある。入洞料は600円、年中無休で営業しているが、今日はもう時間が無い。小川谷橋で朝歩いた日原林道に合流し東日原バス停を目指した。来るときは気が付かなかったが日原川対岸に稲村岩という鏃ように鋭い尖がり峰の山が目を引いた。
バスの10分前に辿りつき、荷物を整えていると、男性3人組みの登山者が戻ってきた。何処へ行っていたかと聞くと「篶坂ノ丸」だと言った! そうあのトレースの主だったのだ。彼らが人形山を東進し、籠岩へ迂回している間に追い越したようだ。奥多摩駅に着くと駅から10分の所にある“もえぎの湯”に行こうかと思ったが、すぐにホリーデー快速“おくたま号”があり停車駅が少なくラクチンなのですぐに乗ることにした。ホリーデー快速が冬場も走っているのは新発見だった。この日は海老名に泊まり翌日、東海道鈍行に乗り継ぎ京都に帰った。
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