視界不良の八甲田山は危険(酸ヶ湯温泉-八甲田大岳)


- GPS
- 05:47
- 距離
- 8.8km
- 登り
- 765m
- 下り
- 759m
コースタイム
- 山行
- 4:33
- 休憩
- 1:09
- 合計
- 5:42
天候 | 霧と強風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
新青森駅-酸ヶ湯公共駐車場:タイムズカーシェア ※青森市街と酸ヶ湯を結ぶ国道103号線は、21:00~翌7:30の間は通行止めとなるので注意。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口-仙人岱:踏み跡も充実して傾斜も緩い。静かな森という印象。 仙人岱-山頂直下:風の影響を受けやすく視界がとても悪かった。踏み跡もなく膝上ラッセルとなった。本来ならスノーモンスターの景色が綺麗と思われる。 山頂直下-大岳山頂:雪の硬い急斜面。スノーシューとストックだけでは滑って歩きにくいが、ピッケルやアイゼンが無くても登れることには登れる。 |
その他周辺情報 | 酸ヶ湯温泉:1,000円で日帰り入浴できる。男女別の浴室の他に混浴の大浴場がある。 |
写真
膝ラッセルと視界不良、山頂が近づくと急坂と強風も加わり決して歩きやすい状態ではありません。
完全ソロでは無理だったと思います。
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
ゲイター
バラクラバ
毛帽子
靴
ザック
昼ご飯
行動食
飲料
ヘッドランプ
予備電池
日焼け止め
保険証
携帯
時計
ゴーグル
ゴーグル替えレンズ
ストック
スノーバスケット
スノーシュー
|
---|---|
備考 | 山頂直下は急斜面で雪も硬くスノーシューでは上がりにくい。 |
感想
三連休最後は天気予報を見た結果、八甲田山です。
せっかくなら岩木山や八幡平など東北の他の山も目指したいところですが、今回は八甲田山だけです。
八甲田山というと、その名前を初めて聞いたのは旧日本軍の雪中行軍遭難事件で、趣味の登山を始める前の自分にとっては、谷川岳などと同様に恐ろしいところというイメージでした。
雪山に登るようになった今考えるなら、スノーモンスターが有名な八甲田山を目指すなら当然冬です。
日本海側は怪しい天気でもこちらはどうやら晴れるらしく、風も許容範囲内です。
先月の光岳でワカンを使用して苦労した反省からスノーシューを買ったわけですが、これを試すにもよさそうです。
行くと決めたら移動手段を考えるわけですが、高速バスは既に売り切れなので新幹線で前日夜に着くようにしました。
…それにしても、今回は距離や標高差の割になかなか大変でした。
【市街地の雪の量と車を借りる場所】
新青森駅を出てみると既に雪は積もっていて、借りた車も埋もれています。
まずは車に被さった雪を取り払い、さらに駐車場の雪もどかさないと移動すらできません。
(カーシェアは屋外平置きが多く、気軽で動き出しまで早いところがよいのですが、今回に限っては有人のレンタカー店舗、もしくは建物内の車両の方がよいと思いました。)
駐車場を出発した後も路面に雪が多く、除雪車を見る機会も多かった気がします。
走行速度も普段以上に慎重になるので、GoogleMapやナビの到着予想より時間がかかります。
【視界不良で見えない進路】
先日の伯耆大山や木曽駒ヶ岳に続き、今回も大変だったのが視界不良です。
(いずれも降雪はありませんでしたが、NPO法人 雪氷ネットワークのwebページによれば、ホワイトアウトに該当するとみられます。)
しかも周りに歩いている登山者が少なく、視界に白以外のものがほとんど入ってきません。ゴーグルをつけてようやく空と道の境目がわかるかどうか。
頻繁に地図を確認しながら歩くわけですが、ちょっとでも感覚を空けるとコースアウトしていきます。
おまけに風も強く、長時間の停滞は命取りになりそうです。
ちょうど大岳・小岳の分岐付近で他の登山者の方が登場し、一緒に登らせていただいたので登頂することができたのですが、おそらく完全ソロだったら無理だったと思います。
そして、特に恐ろしかったのは行きよりも帰りの下り坂です。
上りならまだストックや足の感触で傾斜を認識できるのですが、急な下りはなかなかわかりません。
気付けば急斜面を滑ったり、そもそも足場が無くて数秒間宙に浮き落ちてしまう場面がありました。
「あ、終わった。」と思ってから着地するまで2秒くらいに感じました。
(おそらく落差が小さかったこと、雪が深かったこと等、場所が場所だったので無傷で済みました。)
【体力の消耗について】
これまでも風が強い日に疲れやすいことは実感してきましたが、今回は実害が発生しました。
駐車場に戻って帰り支度を進めていると、スマートフォンがありません。
しかも、帰りの新幹線の切符の情報が入っています。
登山口に戻る直前まで写真撮影に使っていたので遠くには無いはずなのですが、ポケットの中も車の中も見当たりません。
下ってきた道を引き返し、登山口近くにいたスノーシューガイドの方にダメ元で尋ねてみると、なんと拾ってくださっていたので助かったのですが、大事なものを落としてしまうわ気付かないわで満身創痍です。
親切な方に見つけていただけて感謝です。
…この日は伯耆大山や唐松岳、木曽駒ヶ岳などでも遭難事故の報道がありました。
報道の内容を見る限り、あまり他人事とは思えません。
今思えば撤退タイミングはいくつかあったと思います。
・途中で撤退を決めた下山者とすれ違ったとき
⇒ラッセルで膝が限界を迎えたのが理由とのことで、自分は行けるところまで行ってみようと思った。
・実際に踏み跡が無くなり自分で道を探しながら進むことになったとき
⇒踏み跡は無くても、おおよその進路は地形から想像しやすく、またラッセルは膝上程度で傾斜も緩かったため、想像していたほど大変ではなかった。
・強風と視界不良で進路がわかりにくくなったとき(仙人岱あたり)
⇒少し撤退を考えたのはこのあたりだったが、どうにか進めてしまえた。
風は強かったが、防寒着やハードシェル、バラクラバを着込んでいたので寒くもなかったし、距離的にももう少しなのだから行けると考えてしまった。
…と思い当たることを書いてはみたものの、下りの恐怖を味わってようやく後から考えるに至っただけで、登っているときに考えることはできませんでした。
視界不良の恐ろしさを学ぶよい機会になりました。
自分も2年前に厳冬期八甲田に行ったことがあります。
その時は視界は程々に良かったですが、先行者のトレースを安易に辿って酷いラッセルになり、山頂付近の爆風でとても疲れたことを覚えています。山頂の標高まで辿り着いたものの爆風過ぎて立っていられず、シリセードでズリズリ下りました。。。(笑)
ホワイトアウトよりはずっとマシですが。。。
スマホ脱落防止について
自分はスマホケースに指を通す様なストラップを付けていて、そのストラップ、100均で売っていたコイル状(ゴム製で伸縮性があり、片方の端がフックになっているもの)のストラップ、ファッションカラビナを使ってスマホを確保しています
ゴム製のコイル状ストラップの片方のフックをウェアのファスナーの金属金具に引っ掛けて、反対側をカラビナでスマホのストラップと接続するとストラップが切れない限り紛失しないと思います(念のため、弱そうなスマホストラップは予備も持参)
ホワイトアウト時には、登山地図アプリは命綱になると思うので、スマホ確保は重要ですね。
ご参考になれば幸いです
ありがとうございます!
爆風で立っていられない程とは考えるだけでも恐ろしいです…
ストラップ使用ですね!
詳細に材料もご紹介ありがとうございます!
おっしゃる通り、周りの景色がなく地図アプリ無しでは進路も現在地もわからず、もしタイミングがタイミングだったらと思うと本当にヒヤヒヤします…
すぐ調達します!
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