剱岳早月尾根


- GPS
- 14:11
- 距離
- 15.0km
- 登り
- 2,333m
- 下り
- 2,329m
コースタイム
- 山行
- 4:22
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 4:36
- 山行
- 7:42
- 休憩
- 1:47
- 合計
- 9:29
天候 | 1日目→曇りのち晴れ、2日目→快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
松尾平からの僅かな平坦地以外はひたすら急登が続く。特に登り始めの急登はリズムが安定する前なのでとても厳しい。意識してゆっくり登り始める方が良い。2600mから上は岩稜帯で他の山であればクサリがあって然るべき場所でも付いていない所もあり、クサリがある場所でも難易度はかなり高い。 |
写真
感想
山登りを始めた時から歩いてみたい最右翼のルートの1つである早月尾根からの剱岳をテント泊で実行しようと考え、天気予報を見ながら時期を検討。梅雨明け10日の格言に従い、好天を期待して7月最終日からの山行を決め、7月30日午後に馬場島キャンプ場の駐車場に向かう。上市市内は猛暑の影響で気温が高止まりしていたが馬場島は標高750mほどで、夕方には気温も下がり始め前泊には好都合。市内のスーパーで購入した弁当や惣菜を食べ、馬場島荘で明日からの山行の登山届けを記入して提出し、登山口まで歩いて視察。ガイドブックに載っている登山口の石碑「試練と憧れ」を見て、鎮魂の社で明日からの山行の無事を祈願してお参りする。暗くなる前にザックの中身を再確認してから就寝。
7月31日:1日目
朝3時30分起床、いつものようにチーズトースト+コーヒーの朝食を食べ、さらにバナナでエナジー追加。トイレを済ませて5時過ぎに駐車場を出発する。今回のルートは全く水場が無い為、事前に確保していた黒部の湧水を4Lとソフトドリンク2本分をザックに入れている。テント装備も含め最近の山行では一番の重さが肩に食い込む。5時15分に登山口に到着、「試練と憧れ」の試練に立ち向かう。早月尾根は最初から急登で始まる。暑くなる前に高度を早く上げたい気持ちを抑えながら一定のペースで登ることに集中する。登山道はしっかり整備されているが流石に一歩一歩の段差は大きくすぐに汗が噴き出してくる。5時53分に標高1000mを通過、このルートでは標高差200mごとに標識がある。1時間で300m〜350m登るペースを心がけていたので、この標高標識はとても有難い。樹林越しにわずかに小窓尾根のシルエットが見えたが、はるか遠く高く見えている。気を取り直し足元に集中して登り続ける。この辺りが松尾平、奥の平まではなだらか(というか平坦)な道で心肺機能には有難い時間帯。ここを過ぎるとまた急登に戻り6時32分に1200m、7時7分に1400mと標高を上げる。7時32分に1600mを通過、シャツはすでにびしょ濡れ、ズボンも色が変わり始める。ここでも小窓尾根側の視界が開けたポイントが現れ、まだまだ見上げる高さを維持して、遥か遠いイメージをさらに強める。足元に集中し続け急登を登り続ける。標高1800mを8時5分に通過、1920mの三角点を8時36分に通過、まだ順調なペースを守り続けている。9時ちょうどで標高2000m・小屋まで1kmを通過、この辺りは傾斜も落ち着き池塘も見られる。池塘を抜けるとまた傾斜はキツくなり、丸山(標高2224mピーク)まで今日最後の急登を登り続ける。丸山山頂からは剱岳本峰や小窓尾根、大日岳方面も俯瞰出来るとの事だが、生憎ガスがまとわりつき全く見えず、すぐ目前に屋根が見えている早月小屋に向かう。9時46分、早月小屋に到着。ザックを下ろし、まずは水を飲み渇きを癒す。その後、受付を済ませテント場で設営開始。早着だったので空きは十分あり、平な場所を確保し1時間かけて設営・シュラフなどの展開を済ませる。時々強い日差しが出るので、テント内では暑すぎ、小屋前のテーブルで昼食を食べる。午後はテーブルでのんびりして、飽きると小屋周りの散歩で咲いている花を探す。ノウゴウイチゴ・ミヤマキンポウゲ・イワイチョウ・コイワカガミ・イタドリ・キヌガサソウなどを見つけ写真に収める。15時を過ぎる頃から上部を覆っていたガスが薄れ小窓尾根や剱岳上部も見え隠れする。16時過ぎに早めの夕食のパスタを作りロールパンと共に食べ、明日の山頂アタック用のサブザックの準備も済ませる。水は小屋で2Lのペットボトルを購入、山頂往復分と下山分に分けて明日の準備も完了。16時40分ごろ山頂部も含め小窓尾根が全貌を現す。丸山山頂まで登りチャンスを待ち、ダイナミックな景色を写真に収め、18時前には就寝。
8月1日:2日目
朝(というよりも真夜中)2時40分起床。テントから這い出て見上げると一面の星空、昨日準備しておいた朝食(というより夜食)を腹に収めトイレを済ませてサブザックとウエストポーチとヘルメットを再確認、3時25分にヘッドライトとフラッシュライトで正面の足元を照らしながら山頂に向け出発する。樹林帯の中、足元を確認しながらゆっくりと登る。標高2400mを3時49分に通過、東の空はわずかに白み始める。標高2614mのピークを通過するまでにはライト無しでも問題無い明るさで、これから始まる岩稜帯の早月尾根の核心部に向け気持ちを引き締める。一旦緩やかだった傾斜はこのピークを越えると一気に厳しくなる。5時3分、東大谷・池ノ谷両側が開けた場所が現れ、切れ落ちた岩壁の合間から劔御前・立山・薬師に朝日が当たる荘厳な景色に出くわす。池ノ谷側は小窓尾根の向こうに北峰稜線上の毛勝三山・遠く朝日岳のシルエットがオレンジ色に染まる。標高2800mを過ぎるとクサリ場も頻繁に現れ3点支持を必要とする場所ばかりになる。ルートを外さないよう周囲を見回しながら慎重に進む。小窓尾根の上に広がる白馬連峰もさらに広がり、大日連峰も奥大日岳まで見えるようになる。目前の岩の要塞を一つづつ片付ける感じで登り続ける。岩の隙間にはクモマグサ・ヨツバシオガマ・イワヒゲ・ミヤマオダマキ・イワツメクサなどが目を楽しませてくれる。獅子頭・カニのハサミの難所を越え、5時52分に劔沢からのルートとの合流に到着、あとはガラ場を見えている山頂に向け進むだけ。5時58分、山頂の社に到着。山頂からの景色は壮麗の一言。まずは劔沢方面、立山とその上にわずかに顔を出す槍ヶ岳と前穂高、その左に常念・大天井、右には水晶・乗鞍・御嶽・笠・黒部五郎・薬師と百名山のオンパレードが広がる。東に目を移すと針ノ木の右に広がる南アルプスは甲斐駒から赤石まで、左には八ヶ岳連峰が巨大な船が雲の海の上に浮かぶ。残念ながら富士山は手前の雲に遮られて見えなかた。さらに左側は朝日の逆光を浴びた後立山連峰が白馬岳まで全てラインナップ。北に目を向けると八ッ峰のゴジラの背から北峰稜線まで荒々しい岩尾根を連ねている。この素晴らしい時間を満喫し写真を撮って、6時25分に下山開始。登り以上に慎重さを必要とする標高2600mまでの下りに取り掛かる。ところが初っ端から劔沢方面に下り始めてしまい、地図とGPSを確認して後戻り。分岐標識を見つけて早月尾根に戻る。登りは早い時間帯ですれ違う登山者はいなかったが、下りは登りのパーティとすれ違い、その度間合いを測りちょっと気忙しい。そんな中斜面に咲いていたチシマギキョウの紫色を見つけるとホッとする。日は高くなり小窓尾根にも光が差し始めるが、富山方面の雲海はさらに発達して波濤のように立ち上がる。7時59分にやっと標高2600mを通過、危険地帯は無事通り過ぎたようだ。振り返ると小窓尾根の上に山頂が遥か高く聳えている。1時間かかって9時18分、早月小屋に到着。日差しを強くなり喉はカラカラ、小屋でコーラを購入して一気飲みで喉を潤し、テントを片付ける。残っていた昼食のパックを取り出し雑炊を作り食べる。10時丁度に馬場島への下山開始、晴天の日差しがますます強くなり軽くなった荷物の割にはペースは上がらない。標高1200mを過ぎたあたりで12時になる。あとは疲れた足を左右に前に出す繰り返し、登山口の「試練と憧れ」前で無事の山行を感謝して御礼をして駐車場まで下りる。用具を片付け林道を下り上市市内の「アルプスの湯」に入り2日間の疲れを癒す。
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