御嶽山《日本百名山》
長野県
岐阜県
山キチどん
その他1人 - GPS
- --:--
- 距離
- 17.3km
- 登り
- 1,641m
- 下り
- 2,012m
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- 山行
- 8:36
- 休憩
- 1:41
- 合計
- 10:17
| 天候 | 霧後晴れ時々雷雨 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2004年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス タクシー
下山口：中の湯温泉からおんたけ交通バスでJR中央本線木曾福島駅 |
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感想
2時33分の木曽福島駅は急行“ちくま”の上下列車が同時に到着する。ガラガラの上り列車からはF澤さん、満員の下り列車からは私が降り立ち富良野以来の再会を果たした。3:30発の臨時バスで田の原まで入る予定だったが、御嶽教の一行に遅れてJoinする女性が一人でもタクシーで行くというので、あと二人集め5人で付き合った。1万円ちょっとと言っていた運転士の言葉は偽りで15,200円も掛かったが、まだ暗い4時に到着できた。女性が合流する一行は正に出発間際、数十人の団体でお年寄りから子供、赤ちゃんまでいる。このメンバーで3,000m級の山に登るという。信仰とは凄いものだ。我々はまず腹拵えをして、背後にある三笠山(2,256m)の輪郭が見えてくると、一人でピストンした。ウォーミングアップの後、4:52御嶽に登山開始。車でやってきた個人の登山者も多く、白装束に金剛杖をついた本格的信仰登山者も多くと言うより、御神火祭の当日とあって、一般登山者が極少数派であるようだ。
昨夜は夕立があり登山道は湿り霧が立ちこめているが登山道は広くズボンを濡らす心配はない。登山口は七合目、歩を進めるに従い青空が覗くようになり八合目に達すると高皇産命(たかみむすびのみこと)などを祭る祠があり、鐘と木槌が下げられていた。九合目の立派な小屋の直前で右に折れ奥之院へのルートを取った。社があり参拝、剣ヶ峰が真向かいに見えている。月ノ門、日ノ門の奇岩を右手に見て王滝頂上(2,936m)に到った。ここにも社があり参拝して、いよいよ最高峰の剣ヶ峰(3,067m)を目指した。最後は都市公園のように整備された階段を登り小屋群を抜けると御嶽神社奥社に達した。1等三角点「御岳山」(3,063m)があるが山岳標高よりは低い所にある。信仰登山の最終目的地で神官も常駐し、参拝者のお祓いに忙しそうだった。F澤さんと共に今年始めての3,000m級の登山に感激。しかしガスはしつこく展望は殆ど無し。
このあと継母岳へのピストンを計画したがF澤さんは「行かない」とあっさり振られ一人でピストンを決行した。山頂から先行し一ノ池のお鉢を北側から回り次のピークで火口稜線を外れた。昔あった地獄の中尾根を下り濁沢に達するルートの跡を進むが長い年月に道形は完全に自然に帰り浮石だらけのガレ場を慎重に下降し鞍部（標高約2,760m）まで300m近く下った。鞍部には木の鳥居が立っていたが朽ちて倒れていた。継母岳へ登り返しは100m程で登路の踏跡を発見し西に回り込んで岩場を登り詰めてピークに達した。継母岳(2,867m)山頂は屋根の無くなった祠が信仰登山の対象であった過去を物語っていた。
下山は踏み跡を辿り直登路を下りるとほぼ垂直の岸壁に出くわし引き返えそうかと思ったが何とか3点確保でき、邪魔なストックを投げ下ろし慎重に下りた。御嶽の壁を登り返し火口稜線に戻るまで1時間20分を要した。予想外の長い道草にF澤さんを待たせてしまっただろう。後を追うがそう簡単に追いつけるものではない。二ノ池新館小屋を過ぎた辺りで雨が降り出しザックカバーとレインハットでしのぐがだんだん強くなり賽の河原避難小屋に逃げ込んだ。雨具に身を包み荷物をデポし摩利支天山(2,959m)をピストンした。半分近く登った所で下ってくるF澤さんと遭遇、五ノ池小屋での再開を約し、先を急いだ。この直後に天候が急回復し晴れ間も出てきた。御嶽の火口稜線もくっきり見える。急いで折り返し五ノ池小屋でF澤さんに追いついた。昼食を取り再び分かれて継子岳(2,859m)への周回ルートに踏み出したがそのとたんに雨が降り出し、雷が鳴る、雹が降る最悪の天気になってしまった。雨や雹は命に別状は無いが雷は怖い。岩のトンネルで10分ほど雨宿りをしたが回復しそうにも無く、時間も無くなりそうなので引き返し小屋に避難していたF澤さんと合流し即下山することにした。
三ノ池への下りで信仰登山と思しき一行、大雨の中雨具の用意も無いのか半袖Tシャツに運動靴濡れ鼠になって難渋している姿があったが、どうしてあげることも出来ない。天気の良いうちはこのような装備でも問題は起きないだろうが、なんと言っても3,000m級の山、甘く見ては命に係わりかねず十分対策してもらいたいものだ。三ノ池避難小屋まで来ると雨・雹も小降りになりアッと言う間に陽も射すようになってきた。気紛れな山の天気に翻弄されながらも、雨の止むのは大歓迎、でもまだまだ安心できない雲行きに雨具は着けたまま下山を続けた。流石は御嶽山、さっきの雹が降り積もり、まるでビーズの山のようになっている。八合目女人堂で一本立てて六合目中の湯温泉へ下山した。14時だというのに信仰登山の一行がどんどん登ってくる。今日は山頂の小屋で泊まるらしい。再び雷鳴が轟いた。軽装の人たちの無事を祈るのみ。14:46バス停に到着、温泉に入りたかったがバスは15:08だ。茶店で登山モードから平地モードに切り替えバスの切符を買うとお婆ちゃんがお茶を入れてくれて、おまけに漬物まで出してもらった。下山ビールを楽しみにしていたF澤さんも暖かさにホッとしていたようだ。山頂の雲が取れた御嶽山を振り返りながらバスは霊神の立ち並ぶ旧登山道を進み木曽福島を目指した。30分程の列車待ち、駅前のお店で五平餅を肴に大ジョッキで乾杯。16:35発の中央線の上りと下りに分かれて木曽福島を後にした。
【その後】
此の山行から10年後の平成26年9月27日御嶽山は突如噴火し、山頂付近にいた58名の登山者が犠牲になった。継母岳へのピストンしたルート上に噴火口ができ今では全く近寄ることができなくなっている。またこの時乗車した臨時急行”ちくま”はこの翌年10月を最後に運転されなくなってしまった。
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