黒岩谷右岸尾根~六甲山~観音山


- GPS
- 05:42
- 距離
- 16.5km
- 登り
- 624m
- 下り
- 1,057m
コースタイム
- 山行
- 5:25
- 休憩
- 1:39
- 合計
- 7:04
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
知人のK氏が六甲を案内して下さるというので、山行にご一緒させて頂くことにした。土樋割峠から一軒茶屋に向かう七曲りルートの東側、黒岩谷の右岸尾根にルートがあるという。以前に黒岩谷は遡行したことがあるが、右岸尾根のルートは地図にも記されていない。
JR芦屋の駅前を8時36分に出発するバスに間に合うべく、新快速に乗っていたが、長岡京駅の通過線で列車が停車し、摂津富田の駅で不審物が見つかったので運転を見合わせるという。そのまま15分ほど車内に閉じ込められていたが、阪急電車による振替移送のアナウンスが入る。長岡天神の駅まで歩いて12分ほどの道のりを移動して、梅田に向かう特急列車に乗るが、JRから移動した乗客のせいだろう、車内は超満員である。
阪急の芦屋川に到着したのは9時半過ぎであった。JRはいまだに運転再開できていないらしい。阪急芦屋川の駅前には多くのハイカーが集合しているが、その多くはロックガーデンに向かう人達らしい。阪急の高架下には小さな駄菓子屋があるが、驚くほど安い。おにぎりは最後の一つが残っていたが、おそらくはハイカーたちが既に購入していったためだろう。
バスに東お多福山の登山口に向かう。登山口のバス停では数組のハイカーが下車する。このバスは登山口を過ぎて奥池方面まで乗る乗客はほとんど見かけないように思う。まずは林道を歩いて土樋割峠に向かう。峠からわずかに西側に進んだところに黒岩谷の流れがあるが、谷の入口を対岸に渡渉すると明瞭な踏み跡が現れ、すぐにも尾根に取り付くことが出来る。
50年近く前、小学生の頃から六甲の登山をしているというK氏によるとこの黒岩谷の右岸尾根は以前は完全なる岩尾根で樹木の類は一切、生えていなかったそうである。鉄砲水による水害が発生したことを契機に多数の堰堤が造成され、尾根には雑木の種子が撒かれたそうである。尾根は花崗岩の痩せ尾根が続く。樹木が全くなかった頃は須磨アルプスのような景観を呈していたことだろう。
確かに樹木は若木が多く、低木が多いため随所で背後に六甲灘の展望が広がる。尾根の上部では傾斜も緩くなり、林床には六甲山に特有とも云える丈の低い笹が繁茂するようになる。尾根の西側には七曲りルートがあるせいで、頻繁に人の話し声が聴こてくる。
このルートは間違いなく六甲最高峰への最短ルートであろう。歩き始めて1時間もしないうちに一軒茶屋にたどり着く。茶屋の店の中ではビールで乾杯しているハイカー達の姿が見える。数年前に出来たばかりの瀟洒なトイレは男性用の小用の排水管が詰まっているようで、コンクリートが水浸しである。溢れているのは、残念ながら水のみではない。
最高峰の山頂は以前は米軍のレーダーが設置され、その周囲をフェンスが囲まれていたので金網越しにしか三角点を眺めることが出来なかったことをK氏が教えてくれる。横須賀からの無線を沖縄や南洋に飛ばすための電波塔を建設する場所としてはこの六甲山は格好のロケーションだったようだ。
山頂を後にするとまずは石の宝殿に参詣する。広場の東側にある社殿にお参りする。その北側から笹の斜面を下る小径を辿ると、すぐに六甲山上道路の自動車道に合流する。しばらくは車の行き交う車道を歩かねばならないのが鬱陶しいが、大きな左カーブを曲がると熊笹峠への尾根道に入ることがが出来る。
尾根道は笹原の中に広く刈り払いがされた道であり、奥山貯水池に向かって緩やかに下降してゆく。気がつくと快適なアカマツの樹林となる。貯水池に出ると、その西側には子供のための公園があるようで、大勢の家族連れが訪れている。
貯水池を過ぎて再び笹原の登山道に入ると右手の笹原の中を流れる清流がある。ここでペットボトルに水を補給する。緩やかに丘陵を辿り、突如として360度の好展望の広がる小高いピークに出る。観音山の山頂である。山頂の北側の松の樹に小さな山名標が掛けられている。眼下には甲山の向こうには関西学院大学の広いキャンパスと並木の続く武庫川、その彼方に広がる大阪平野が一望のもとだ。
観音山からはその西側の緩やかの斜面とは対照的にかなりの急下降となる。ひとしきり降ると、鷲林寺の境内に着地する。境内を通り抜けて参道を東に向かうと周囲の田畑では彼岸花が花盛りである。しばらく車道を歩き、北山貯水池の辺りを過ぎると、再び大きな寺院が現れる。神呪寺である。
門前の階段を下ると右手に古民家がある。その軒先に並べられた床机台ではスタイルの良い若い女性と巨漢の外国人男性がラムネを飲みながら休憩しているので、この店が茶店であることが判るが、看板や幟の類は一切ないので、知る人ぞ知るところだろう。店の中に入るとメニューもない。老婦人が一人で切り盛りしておられるらしく、しばらく経ってから彼女が持ってきた短冊におでんと麺類のメニューが記載されており、希望のものに鉛筆で品数を記入する仕組みになっているらしい。屋内にはエアコンはなく、昭和の時代から時が止まっているかのような場所であった。
大根、卵、蒟蒻、厚揚げを注文し、一休みするうちに真っ白な猫がやってくる。屋内には白猫の写真が多く貼られているが、この店の愛猫らしい。店を後にすると再び参道の階段を登り、境内に参詣する。東側に設けられて休憩舎に赴くと、ここからも東側に大阪平野の展望が大きく広がるのであった。
神呪寺からはすぐに東の甲山森林公園に入る。すぐ近くに住宅街があるということを感じさせないほどに緑の深い公園である。公園のトイレの綺麗さが印象に残った。K氏のご実家のサロンに一瞬立ち寄って、阪急の仁川の駅に向かう。折しも小雨が降り始めるが、駅の手前の弁天池からは甲山の彼方に辿ってきた観音山と六甲の山並みが明るく輝く西の空を背景に浮かび上がっているのだった。
阪急電車に乗ると、さすがにJRは運転を再開していた。早朝に摂津富田の駅に置かれた不審物というのは中古の温水洗浄便座だったらしい。誰か粗大ゴミの回収料金を吝嗇ったのだどうが、それにしてもわざわざ駅にすて捨てるとは。
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