苗場山。 山麓は紅葉の真っ盛り、頂上は枯色の草紅葉。


- GPS
- 05:54
- 距離
- 16.2km
- 登り
- 1,009m
- 下り
- 1,579m
コースタイム
神楽ヶ峰 11:50-12:00
苗場山 12:45-13:10
和山温泉分岐 13:35
小赤沢コース三合目 15:00
小赤沢バス停 15:55
天候 | 昼過ぎまでは良く晴れて気温も上がり、歩いていると半袖でも暑さを感じるほどでした。でも頂上付近にいる間は、高い雲に日差しが遮られる時間が長かったです。 |
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過去天気図(気象庁) | 2008年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
越後湯沢駅 08:20-(南越後観光バス)-09:08 苗場プリンスホテル 09:25-(無料シャトルバス)-09:35 ゴンドラ山麓駅 ゴンドラ山麓駅 09:35-(ドラゴンドラ (苗場-田代ゴンドラ))-10:00 ゴンドラ山頂駅 (帰り) 小赤沢バス停 16:27-(南越後観光バス)-17:29 津南役場前バス停 17:43-(南越後観光バス)-18:33 越後湯沢駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
公共交通機関で苗場山に登ろうとした場合、バスを利用しただけではどうしても行程が長くなって、日帰りするのは困難です。 しかし夏休み中と秋の紅葉期に運行される、ドラゴンドラ(または田代ロープウェイ)を使えば、東京からでもどうにか日帰りできそうだと分かったので、その短い運行期間に狙いを定めて出掛けてきました。 今回のルートには危険個所や迷いやすい箇所はありませんが、小赤沢コースは滑りやすい箇所がかなり長く続くので、気苦労が多かったです。 ※デジカメを持ち歩くようになる以前のため、写真はありません。 ※GPS導入前なので、ルートは推測です。 |
感想
越後湯沢駅から乗った苗場プリンスホテル行きのバスは、料金表が初めて見る紙芝居形式のもので、まずはそれを見て嬉しくなってしまいます。
ほどなくバスが山あいの道に入ると、山麓ではちょうど紅葉が最盛期を迎えていて、その素晴らしい車窓風景に、早くも気分は最高潮でした。
このバスを終点まで乗り続けたのは10人ほどで、その全員が、ドラゴンドラ行きの無料シャトルバスに乗り継ぎました。
小ぶりのマイクロバスの中で、ほかの乗客の会話を何となく聞いていると、ほとんどの人たちが私と同様に苗場山へ向かう模様です。
考えてみれば、ゴンドラに乗るだけならば、こんなに気合いを入れて朝早くに出掛けてくることもないので、それも当然の成り行きだったでしょうか。
早い時間のためか、ドラゴンドラは待ち時間ゼロ。しかも空いているので、1つのゴンドラを1人で独占です。そして駅を出発したと思ったら、そこはもういきなり紅葉の真っ只中でした。
周囲の山肌という山肌が鮮やかに色付いていて、私の好きな黄葉が主体のとても明るい発色です。単にこのゴンドラを往復するだけでも、来た価値が十分にあると感じられる見事な眺めでした。
さらにこのドラゴンドラ、ただ緩やかに上昇していくだけかと思っていたら、意外にもかなりのアップダウンがあります。ひとつ山を越えては谷に下り、また次の山へという繰り返し。山を越えるたびに、その先に新しい景色が開けるのも見所でした。
ドラゴンドラから苗場山へ向けての歩き出しが分かりにくいという情報を得ていたので、ゴンドラを降りる際、担当してくれた係員に苗場山への道を尋ねたところ、分かりやすく教えてくれました。
確かにゴンドラ山頂駅の建物を出ても、周囲には苗場山への案内などは一切なく、何の情報も持ち合わせないと戸惑うところだったかもしれません。
右手にレストランを見ながら、正面やや左手寄りの砂利道を進み、ドッグランを見送った先で、僅かな傾斜を登っていくとほどなく林道に出ます。
林道に出た所には背の低い道標があって、これ以降は時折現れる「神楽ヶ峰→」という指示に従って進めば問題ないようになっていました(当面は神楽ヶ峰を行き先とした道標が続いて、苗場山を示す道標はなかったと思います)。
林道を道なりに進んでいくうちに、まずこの軽い登りの段階で早速ひと汗かかされます。シャツを半袖にまくってもまだ暑く、10月下旬の新潟の山とはとても思えません。
リフトの直下に出て林道が終わると、その先が一旦不明瞭になりますが、リフトの駅まで斜面を適当に登ると、駅の左手裏側に登山道の入口がありました。
登山道は、ササの茂る稜線の中に、しっかりと刈り払われた明瞭な道として続いていきます。
足元はずっと土の道で、段差などは全くありませんが、難点は、神楽ヶ峰に至るまでのほぼ全区間、ずっと急坂続きだったことです。
どんなに急坂になってもジグザグを描かずに直登するので、長く続くとかなり辛く感じます。最も急な何箇所かにはロープも下がっていて、登りでは使いませんでしたが、下る際や地面が濡れている時には出番がありそうでした。
ほぼ中間点に当たる1659mピークには「←田代原 神楽ヶ峰→」という道標が立っているだけでしたが、道の傾斜はここを過ぎるとさらにきつくなって、ほとんど緩むことのない急登の連続となりました。
前方には神楽ヶ峰が大きく立ちはだかり、振り返ればゴンドラの山頂駅付近が遥か下で小さくなって、その向こうには谷川連峰の山並みが折り重なっていました。
ようやく傾斜が収まってくると、和田小屋から登ってきた道と合流して、すぐに神楽ヶ峰に到着となります。狭くて地味なピークである上に、登山道はその僅か手前を微妙に巻いていて、うっかりしていると通り過ぎてしまいそうでした。
神楽ヶ峰を過ぎた先では、一度もったいないほど下ります。ここは所々で登山道が崩壊しかけていて、新たに木段を設置するなど修理がされつつある状況でした。
鞍部まで下って登り返しに変わると、またしても急登が始まって、しかも神楽ヶ峰までの稜線よりもさらに傾斜が強まっています。
地形図を見ても等高線の集まり方たるや尋常ではないので、恐らくは崖記号になる寸前の斜度なのでしょう。実際にここでは岩がちな道となって、段差の大きな箇所も何度も現れました。
喘ぎながら250mの標高差を登り切って、平坦な木道が始まったと思ったら、いきなりその先で待望の山上湿原が目の前いっぱいに広がりました。それまでの苦しさが一瞬にして吹き飛ぶような演出です。
10月ももう下旬の湿原は、草紅葉と言うにはあまりに枯れ色が進んでいて、秋というより冬の足音が聞こえてきそうな、少し寂しげな情景です。
それでも2145mの頂上まで登っても、なおシャツ姿で十分に過ごせる気温で、時折降り注ぐ日差しを背中に浴びていると暖かくすらあって、季節感が狂ってしまいそうでした。
ただし上空には雲が多く出始めていて展望は損なわれつつあり、どの方向もごく近くの山がぼんやりと浮かぶように見えるのみとなっていました。
まずは最初に、頂点に建つ遊仙閣の裏手に回って、三角点と山頂標柱を確認しました。
すでに今年の営業を終えている遊仙閣は、現在頂上部一帯で進められている木道補修作業の拠点(作業者の休憩・宿泊用?)として使われているようでした。
次に、まだ営業中の苗場山自然体験交流センターに向かうと、建物の裏手から展望台への道が続いています。僅かに下った先にベンチが置かれて、下山する秋山郷方面の展望が広がっていました。
西側に当たる秋山郷は良く晴れていて、しかも今朝見てきた苗場スキー場側と同様に最高潮を迎えているらしい紅葉が実に鮮やか。このあとの下りもとても楽しみになりました。
展望台で少しくつろいだ後は、再び山上湿原に戻り、池塘の点在する中の木道上に腰掛けて、しばらくの間、この風景を目に焼き付けることにしました。
もう遅い時期とあってか、頂上全体を見渡しても人の姿はほとんど見られず、静かです。心地よいやわらかな薄日が差す中を、ゆったりとした時間がいつまでも穏やかに流れていました。
静かな頂上部を後にして、行動再開です。といってもすぐに下山という雰囲気の道にはならず、まずは木道をたどっての湿原の横断から始まります。それまで目で眺めていた湿原の広さを、今度は足で実感しながら歩いていくような具合でした。
一旦湿原を出て、岩がゴロゴロする中の下り勾配の道に入ると、そこでは足元が非常に滑りやすく、一度大きく滑って左足の臑を強打したりしています。
でも滑りやすい区間は長くは続かず、再び平坦な湿原内の木道歩きに戻ります。そして和山温泉への道を分けて、薄い踏み跡が付いていた2036m峰を左手に見送ると、そこから急降下が始まりました。
傾斜はさほど極端なものでもありませんが、とにかく滑りやすいので難儀します。特に、長年歩かれて良く磨かれた岩の上は、まず例外なく滑ると言っても過言でないほどでした。
滑らない足場を慎重に見定め、また岩などを手掛かりにできる場所ではそれらを使って、最大限の注意を払いつつ下っていきます。
次第に局所的な急傾斜が度々現れて、ロープやクサリが下がる箇所も無数に見かけることになります。それらを使わずに対処できていたのは最初のうちだけで、ロープを頼らないと滑ってどうにもならない箇所も少なくありませんでした。
なんとも骨の折れる下りが250mもの間続くのは、かなり長く感じられて、しまいには体力的というよりも精神的に疲れてきます。
このようなコンディションを初めて体験するような人の場合は、何事もなく下り切るのはかなり難しいコースのように思われました。上で1度足を滑らせていることもあって、普段以上に注意深く歩いていきます。
なんとか四合目の標柱が立つ、水場のある地点まで下った頃には、ようやく傾斜も緩んで歩きやすい道になってきました。
四合目を過ぎると、紅葉して色づいた木々の中を下っていくようになります。でもまだこの段階では、その紅葉に頂上から見た程の見事さはありません。
なおも下っていくと突然、三合目の駐車場に躍り出ました。広いスペースに車が2台停まっていて、そのうちの1台は乗ってきた人たちが帰り支度を進めているところでした。
三合目の駐車場から始まる車道を見送って、さらに山道の続きを下ります。さすがにこの先は歩く人も少なくなるのか、道幅がかなり細くなりますが、それでも道自体は明瞭に続いていました。
そして今のこの時期、三合目から先のこの下りの区間が、素晴らしい紅葉の中のプロムナードでした。頂上から見た最高潮の紅葉が、今まさに自分の周囲を埋め尽くしています。
平坦に近い歩きやすい道は、足元への注意がほとんど必要なく、頭上一面に広がる鮮やかな赤や黄色に目を奪われたまま、足取りも軽やかに進んでいけます。
サクサクという音とともに落ち葉を踏みしめていく、足裏の柔らかな感触も実に心地良く、これまでに歩いた中でも1・2を争う素晴らしい道ではなかったでしょうか。
しばらく続いた、この極彩色の別天地を抜けると、やがて沢の水音が近づいてきて、道はその沢へと急に下っていきます。
数本の丸太が組まれただけのやや頼りない橋で沢を渡ると、その先は沢の近くを絡める区間が少し続いて、湿り気のある滑りやすい道に終始します。
ようやく沢を離れても、ぬかるんだ箇所の多い歩きにくい道が続き、周囲の木々には杉などが混ざるようになって、紅葉も美しさを失っていきました。
ほどなく車道に降りたら、あとは舗装道路を小赤沢バス停まで歩いていきます。バス停に着いても周囲に人の姿はほとんどなく、秘境として人気のある秋山郷も、平日とあって静かな佇まいを見せていました。
バス停は屋根のある待合室付きでしたが、建物の中に閉じこもるよりはと、近くにある苗場神社の前で見つけた落ち着いた一角で、バスが来るまでの時間を過ごしていきます。
津南行きのバスは乗客を2名だけ乗せてやって来て、私が乗った後はもう新たな乗客は増えませんでした。
終点の津南まで乗るつもりでいたところ、津南役場前で「湯沢への乗り継ぎはここで」と運転手から案内されて、それに従って降りることにしました。
確かに津南まで行ってしまうと、津南役場前との間が往復になってしまうので、この案内は適切なのでしょう(ただし料金はどちらでも変わりません)。
乗り継ぐ越後湯沢行きの急行バスが来ると、それは学生・児童の通学の足になっているようで、津南からしばらくの間は通学客の乗り降りが結構頻繁にあります。
しかし町外れを過ぎてそれがなくなると、あとは信号も街灯すらもロクにないような真っ暗な道を、ほほノンストップ・猛スピードで走り抜けて越後湯沢へと向かっていきました。
なお、帰りに乗った2路線とも、料金表は朝のバスと同じ紙芝居形式でした。
詳細な記録のページ
http://cellist.my.coocan.jp/yama/mt2008_10_12/mt2008_10_12.html#20081022
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