ミゴ谷遡行〜イチゴ谷山〜経ヶ岳〜三国岳


- GPS
- 05:03
- 距離
- 11.6km
- 登り
- 1,036m
- 下り
- 1,055m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
みご谷はほぼ完全に沢登り、沢の上部はかなりの急勾配かつ藪が深く、通過は容易ではない。 イチゴ谷山から経ヶ岳は破線のヴァリエーション・ルート。頻繁にテープが現れるが尾根幅が広く、支尾根が多いので迷い込みやすいと思わるので要注意。 丹波越え〜三国岳〜久多上の町登山口は明瞭な一般登山道であるが、三国岳の下りは相当な急勾配が続くので、登りにこのルートを通るのは覚悟が必要・・・とはいえ久多川流域から登る唯一の一般登山道ではあるが。 |
写真
感想
久しぶりに京都の山に登る機会である。散々迷った挙げ句、久多川の源流域の山に絞ることにした。京都の北山の中でとりわけ好きな山域は針畑川の源流域の山々であり、昨シーズンも何度か足を運んでいるのだが、経ヶ岳からイチゴ谷山を経て南に下る稜線をはさんで西側を流れる久多川の源流域にはこれまで足を運んだことがなかった。久多から先は冬季は除雪がされないので、この流域に入るのは無積雪期に限られることになる。それならば、いざ、新緑のこの季節に。
R367から葛川の梅ノ木を左折して久多川に沿った県道に入ると、碧色の清流と新緑の美しさに目を奪われそうなる。久多の集落で県道を曲がり、久多川の奥に続く道にはいと、早速、民家の前に広がる庭にクリンソウの大群落である。よく見慣れた赤紫のものから濃紫の色のもの、そして赤と白の斑模様まで、様々な色合いのクリンソウが咲き乱れている。民家は戸締まりされたままであり、おそらく住民の方は家を離れられたのかもしれない。満開のタニウツギが華やかに道路脇を彩っている。
針畑川と同様、狭い谷あいを蛇行する久多川の川端には広範な湿地が拡がる。湿地には菖蒲と思われる葉が生い茂るが、さすがに花期には早いようだ。久多川の最奥部には三国岳の南に天狗岳があり、滝谷を遡行して天狗岳に登るという選択肢も捨て難かったのだが、三国岳から林道の分岐点までくると既にマイクロバスが二台駐車しており、駐車しにくかったからという短絡的な理由でみご谷に入ることにする。京都府立大学の貸し切りのようで、林道の先は府立大学の演習林となっているらしい。
久多川流域の長閑な風景に見惚れて少しずつ時間を費やしてしまったようだ。みご谷の入口に辿り着いたのは既に正午を過ぎた頃であった。みご谷に入ってすぐに目につくのは左手の沢に立派な滝がある。滝まで辿り着くとさすがに涼しい。既に昼過ぎとなっていたこともあり、早速、ガスストーブで鍋に湯を沸かし、昼食を料理しはじめる。
炊事道具一式を車に片付け、いよいよみご谷に入る。先程の滝を左に見送り、右手の沢を遡行していく。傾斜も緩やかであり、かなり登りやすい部類に入るのではないかと思う・・・と考えているうちに、気がついたら支流の沢に奥深く入り込んでしまっていることに気が付く。みご谷沢の本流まで引き返すが、ここで大きくタイムロス。
沢の本流に戻ると、ところどころにテープがつけられているが、道標としての役を果たしてはいない。沢も源流に近くなり、流れが細くなってきたところで、二股に分かれている。テープが目についたので、右手の沢を遡行するが、間もなく沢は終わってしまう。ここから、急斜面の猛烈な藪こぎが待っていた。地形図を読むと右手の方が斜面が緩やかであり、そちらに進むと檜の植林地に出た。植林地の中は歩きやすいので、少し息をつく。植林地を抜けると再び藪こぎとなるが、源頭ほどの急斜面ではなく、少し歩きやすい。経ヶ岳からの尾根に辿り着くと大きく安堵の息をつく。
ここからは地図では破線となっているようだが、これまでとは一転、明瞭な登山道である。まずはイチゴ谷山を目指す。杉林からブナ林に変わると、新緑の色合いが柔らかな明るい林となり、これまでの緊張感を鎮めてくれるようだ。緩やかな登りをつめて、イチゴ谷山に辿り着くと、展望はないものの木漏れ陽が山頂を明るくしている。前回、厳冬期の霧の中の山行では陰鬱な印象だったことを思い出す。
尾根を引き返し、樹間から大きな山容を見せる経ヶ岳を目指す。ところどころにユズリハの藪があるが、尾根は非常に歩きやすい。山頂直下の急登をつめて、ほどなく経ヶ岳山頂にたつ。こちらは、冬に訪れた時には山頂標の類が一切、見当たらなかったのだが、すべての山頂標が雪に埋もれていたようだ。
経ヶ岳から三国岳への道程は地図では実線の一般登山道であり、さらに明瞭な登山道となる。このコースは2月に針畑川側からの丹波越えから辿っており、まだ記憶に新しい当時の印象を思い出すことになる。針葉樹林はさほど印象は変わらないが、ブナの林になると、新緑の林が冬枯れの明るい雪のコースとあまりにも印象が異なることに今更ながらに驚く。やがてこのコースのハイライトとも云える南側に大きく展望の拡がる笹原を通過していく。桑原山、峰床山、天狗岳といった山々を眺望する。
高島トレイルと三国岳の分岐のピークに差し掛かると、登山道の路傍には多くのイワカガミが埋め尽くしている。花期はほとんど終わっているのだが、花期の最終章のわずかに咲いている花に出遭うことができた。前回は家内がかなりバテていたのだが、今回は前半のみご谷とその後の藪こぎでかなりの体力を消耗したにも関わらず調子よく歩いてくれたようである。経ヶ岳からは短時間で三国岳に辿りついたように思う。
三国岳から久多川におりるルートは実線なので明瞭な登山道であるが、山と高原地図に記載されているように、かなりの急坂である。気がつくと登山道の両側はびっしりとイワカガミの葉が覆う。葉の形をみると、ところどころにイワウチワもあるようだ。急な坂道に後ろを振り返ると、目に飛び込んできたのは杉の巨木であった。
やがて登山道の左手から沢の音が聞こえるようになると、傾斜も緩やかになる。三の岩屋への道標が目に入り、帰宅すべき時間が迫ってはいたが、登山道から逸れて岩屋へと寄り道をする。中の暗がりの中には不動明王の石仏が佇んでいた。相次いで一の岩屋への寄り道するがいずれも入口の柱状節理の造形美が見事だ。こ沢に沿って下ると、府立大学の演習林の管理小屋に出る。ここからは林道を歩いて、ほどなく久多川に沿った舗装路に戻る。車を停めたみご谷の入口はすぐそこだ。
コメント
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yamaneko0922さん、こんばんは。
珍しいクリンソウの個体を発見されましたね。遺伝的なものなのでしょうか・・・
渓流も綺麗で芦生を彷彿させる巨木もあり、窟もあって面白そうな場所ですね!
ちらっと見えている峰床山は前々から気になってはいるもののまだ行けてない山です。八丁平にも興味があるのですが。
やはり経ヶ岳、三国岳は北山周辺ということもあり6月以降はヤマビルがでるのでしょうか?
コメント有難うございます。wildyukkyさんの山のご趣味というか志向性は私ととても近いのではないかと勝手に思うところなのですが、この山域の秘境感はきっとお気に召すことと思われます。残念ながら、6月以降、夏の時期にこの山域に入ったことがないので、どなたか教えて下さると私も有難いです。夏にもう一度、三国岳に行きたいと思う理由があるので。
ところで峰床山の魅力はなんといってもその下に広がる八丁平にあると思うのですが、ここは残念ながら夏になるとヒルの楽園でもあると思います。昨年の夏、家内と長男を連れて訪れているのですが、八丁平に入った途端にヒルに長男の靴はヒルに取り付かれ、帰ったら彼の足は血まみれでした。
峰床山に関しては、詳しくは後ほど、メッセージを入れさせて下さい。
8年前に県境にある渓流センターの釣堀からイチゴ谷山まで一人で県境を歩いたのですが、非常に悲しい出来事があり、つらい思い出の場所です。湿った場所でヒルにもやられました。久多の駐在さんにもお世話になりました。(遭難ではありません)
それ以来、この山域にはごぶさたしておりますが、いつか三国岳から天狗岳を歩いてみたいと思っています。熊・蛭・蜂・ダニ・蚊が心配で残雪期にと考えています。過去のレポを参考にさせていただきます。
それでは
コメント有難うございます。flatwellさんならご存知だろうと期待しておりましたが、さすが・・ただし、悲しい出来事を思い出させてしまっとのは申し訳無かったと思います。
flatwellさんが歩かれたそのコース、909m峰の無積雪期の景色、その稜線の南の景色が大変気になっていたので、ミゴ越えから渓流センターまでを歩こう思っていたところでした。
帰りはイチゴ谷山から少し戻って、南東に延びる長い尾根を下って鬼子淵神社に出ました。
あまり覚えていないのですが、踏み跡はないけれど危険箇所はなかったと思います。
悲しいことがあって909mピークがどんなだったかも覚えておりません。いつかまた行ってみます。
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