タモリも狂喜する(はず)世界ジオパーク.マイコミ平.日本最深縦穴鍾乳洞あり(新潟県糸魚川市)


- GPS
- --:--
- 距離
- 1.2km
- 登り
- 63m
- 下り
- 69m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
事前の許可なしの入山は絶対に不可 普段、マイコミ平に通ずる林道のトンネルには、頑丈そうな門扉で閉じられ、錠が掛けられており、許可がない者は物理的にも入山は不可能。林道以外に、マイコミ平に通ずる道は一切ない。冬季以外は1ヶ月に1回、地元の旅行業者{(株)三愛旅行社 025ー552ー3445}がツアー開催しているので、それに参加するのが一番最適。 地元の山を知り尽くしたガイドさんや、地元にあるフオッサマグナミュージアムの学芸員さんが、分かりやすく案内してくれ、さらに関心が高まる。 マイコミ平内は、手付かずの鬱蒼とした密林で、小川を渡ったりするので、入山の際は登山靴より、膝くらいの長さの長靴がベスト。 山中はガイドさんの案内がないと、まず迷います。 |
写真
浄土ってことは、どっちかは地獄か?
地獄じゃないけど、この先、地底の世界の入り口を垣間見れます。
しかし、見事なU字谷。U字谷は氷河の痕跡だそうですが、氷河が出来る様な標高じゃないし、どうやってできたのか?
ちなみに、この谷は水の流れていない涸れ沢だとか。じゃあ上流の川の水はどこに?
すべては、後で驚きの正解を知ることに。
ここまでは中型バスで来れます。
看板が傾いているのは何も見易くするためではありません。
看板は斜面の縁にあるので、落下しようとする雪の力で、丸太の柱がポッキリへし折られたとか。どんだけ雪が積もるんじゃ?
ちなみに柱の傷は熊の仕業とか。おお〜怖!
「なんじゃこりゃ。ただの小川じゃん」
と思ってはいけません。
小川が岩でピタリと途切れていますよね。
なのに、水は流れている。
岩で小川がの流れが遮られているなら、水溜まりになっているはず…。
永ーい時間掛けて作られた水による石灰石の浸食地形(カルスト地形)、それがマイコミ平なのです。
浸食が進めば、この小さな鍾乳洞は、いつかは人が通れる巨大な鍾乳洞になるかもしれません。
実は、この縦穴も石灰石の浸食によるもの。
横穴の屋根にあたる山の石灰石が少しずつ溶けて、縦穴を作り出した様です。
周囲の地形を含めると直径100mはあるのでは?
大きすぎて写真では収まり切れない。
これも水の浸食で、できたもの。
こういった窪地は「ドリーネ」と呼びます。
さらに浸食が進むと、いつかは、先のような巨大な縦穴鍾乳洞になるとか。ドリーネは周辺には大小数え切れないほどあります。
タモリは、某深夜番組で、「天然のすり鉢場の地形なんて存在しないよ。」と言っていたが、ここに来たら狂喜するだろうなあ。
タモリと共演していた「日本すり鉢学会」の皆さんぜひ来て見て。
ちなみに、ドリーネの底へ下りるほど、より高い場所に生えるはずの高山植物が生えている。
「どうなっているんじゃあ!ここは天地が逆さまか?」と思ったら、底に残る万年雪の影響で、底に向かって下りるほど気温が下がるからとか。
正にマイコミ平の神秘
人が屈んで入れるくらいの大きさです。
この鍾乳洞に吸い込まれれば、ウォータースライダーで、地底の国へ直行でしょうね。
ちなみに、マイコミ平の名前の由来は、この様に、水が穴に「舞い込む」から来ているとか。
しかし、この水は一体どこへ流れ着いているのだろうか?
氷河のできる標高でもないのに、このU字谷ができた理由
それは、かつて、この谷自体が巨大な鍾乳洞で、天上が落盤して谷になったと考えられているとか。どんだけ、でかい鍾乳洞なんだ。
谷底から何十メートルか上の岸壁に、ぽっかり穴があいている。
地元では、「恐竜の化石があるのじゃないか?」とか、「原始人が住んでいたのじゃないか?」とか噂があったらしいが、さすがに、それは無かったらしい。
いくら原始人でも、あそこから往来するのは大変だろう。
なんと、マイコミ平で吸い込まれた水は、地下河川を通りこの鍾乳洞から流れ出ているとか。
マイコミ平から、おが屑を流し確認したそうです。
この地下河川の全貌は未だに明らかにされていないそうで、ロマンを誘いますね。
装備
個人装備 |
長靴(1足)
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感想
新潟県の西端、糸魚川市全域に指定されている「世界ジオパーク」の一つ、「マイコミ平」に行ってきました。「そもそも世界ジオパークって何?」とお思いの方も多いだろう。
直訳すれば、「ユネスコ支援の大地の公園」だが、平たく言えば、「世界遺産の地学版」というところでしょうか。
「世界」を冠するのは本州では、ここ糸魚川だけで、他は、北海道の洞爺湖有珠山と長崎県の島原半島にあるそうだ。
その他に日本独自の「日本ジオパーク」というのが国内各所にある様だ。
糸魚川といえば、かつて授業で習った日本を二分する活断層「フオッサマグナ」、北アルプスが日本海に落ち込む北陸道の難所「親不知」、白馬岳からその親不知まで続く標高約3000mから海抜0mへの縦貫登山道「栂海新道」、古代に勾玉に使われたひすいの産地、クライミング界では有名な明星山の岩壁、日本百名山を定めた深田久弥が恋い焦がれた「雨飾山」等、正に地学に関する名所が多くて有名だ。
そのどれもが、世界ジオパークに指定されている。
しかし、普段は広く公開されないこの「マイコミ平」こそが隠れた目玉の様だ。以前からマイコミ平の話は聞いてはいたが、許可なくして入山はできないので、見学の機会がないかと窺っていた。今回、ツアーが開催されと聞き、ようやく念願が叶ったわけだ。
さて、マイコミ平が公開されていない理由は様々ある様だが、聞くところによると、
1世界でも稀な貴重な自然を保護するため
2石灰石の採掘鉱山が直近にあるため、発破(火薬による岩石の爆破)時の飛び石、落石等の危険性があるため。
と聞いている。
1については、 多くの観光客が来て手付かずの自然が荒れてしまうこともさることながら、アクセスする林道が狭隘で険しい点、登山道の安全確保、自然環境に配意したバイオトイレ等の設置等、安全面、衛生面の整備等にも課題があるだろう。
2については、現地に行くと分かるが、アクセスする林道は石灰石鉱山の正に真ん前を通る。
糸魚川市には豊富な石灰石を採掘しセメントや化学製品を製造する工場が林立しており、その規模は日本屈指と聞く。
言うまでもなく、地元の基幹産業だ。
マイコミ平の観光のため、鉱山が連日、採掘を停止すれば、産業だけでなく、そこに勤める多くの市民の生活にも影響が出るだろう。
自然保護、産業、観光のバランスを取る難しさを感じた。
これらは何もここに限らず、他の世界ジオパークや世界遺産、さらには地球環境全体にも、共通の課題と言えるだろう。
そこで、マイコミ平では、鉱山側と粘り強く協議し、1ヶ月に1日だけ鉱山の採掘を停止する日を定め、その日をツアー実施した日と決めたそうだ。その上で、入山者を限定し、一般車両の乗り入れを禁止し、ガイドや学芸員の目が行き届けば、自然保護や入山者の安全面も確保できる。
三点のバランスを見事に保った、地元の知恵と努力には、正に頭が下がる思いだ。
ところで、あの大物司会者のタモリが、芸能界きっての「地学マニア」であることは、ご存知の人も多いであろう。
彼は自らの冠番組内で、地学に関する企画を頻繁に行っており、その博学ぶりは専門家も舌を巻くほどだ。
彼は番組内で、ひすいの企画や、「電車で親不知を見に行った。」「一度フオッサマグナ沿いを走る大糸線に乗ってみたいんだよね。ここ景色が良いんだよ。」 等と申しており、糸魚川に何度か足を運んだことがある様だ。しかし、流石の彼でも「マイコミ平」は知らない様だ。
以前、彼は、番組の企画で「日本すり鉢学会」という地形研究の愛好会の方達と、都内のすり鉢状の地形に赴いたがあった。結局、そこは天然のすり鉢上の地形ではなく、谷を人工的に堰止めた地形であった。
彼は番組内で、「日本に天然のすり鉢状の地形なんてあるわけないよ」と、申していたが、このマイコミ平は天然のすり鉢状の地形だらけだ。
何せ、このマイコミ平自体「ポリエ」という、直経約1kmに渡ろうかという天然の巨大な凹地なのだから。
彼が足を運んで、体感すれば、さぞ狂喜することであろう。
ぜひ、お越し願いたいものだ。
最後に、このマイコミ平は広く公開されていないだけに、正に日本に残された数少ない秘境と言えるだろう。
このブログを見られた方にもぜひお勧めしたい。
ただし、無許可入山だけは、絶対にしないでほしい。(物理的に無理ではあるが)
正直、それを助長するきっかけにならないかと、このブログを公開するのを悩んだくらいである。
暮れぐれも、せっかくの、これまでの地元の方の努力を無駄にだけはしないでもらいたい。
入山希望者は、事前に糸魚川市役所(交流観光課025ー552ー1511)や地元の旅行業者(三愛旅行社)に問い合わせてもらいたい。
来年は、北陸新幹線の糸魚川駅が開業し、東京から乗り換えなしで糸魚川に行けるようになって、さらにアクセスしやすくなる。
ぜひ世界ジオパークの稀有な自然を体感していただければと思う。
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