七夕。天の川の両岸に引き離された織女と牽牛が、7月7日の夜だけ会える日。とてもロマンチックな話だが、引き離された原因は、結婚後、機も織らず、牛の世話もせず遊んでばかりいたから。仕事しないぐうたら夫婦と化した。

　自分たちは楽しているが、実は着物と家畜の提供が滞り、他の者に迷惑をかけていた。これを見た天帝が天の川の両岸に引き離した。意気消沈した二人を見かねて、結婚前と変わらずまじめに働くなら、年一度会う日を設けたのだった。大岡判定だな。

　「結婚前と後で人が変わった」「生活習慣が違う」「本性を現した」などと聞く。他人同士が一緒に暮らすことなり、今までの生活環境や価値観の違いが生じる。離婚原因の一つ。反射的に相手が嫌いになってしまう。浮気などもってのほか。

　私は先月結婚したばかり。自然体で相手に気を遣わすことなどなく、かと言って見ては聞いてはいけないことが多々ある。離婚を経験し、再び一生の伴侶として選んだ相手。人として尊重し、女性として思い遣りの心で接している。ただ55年生きて来たが、女性への接し方は難しく「完璧」は絶対に無いと（笑）改めて思う。

　7月は7日日曜から9日火曜まで三連休。恒例となった秋田駒ヶ岳周辺へ行くことにした。昨年は黒湯温泉に泊まったが、今年はその時に道から見えていた玉川温泉、後生掛温泉に泊まることにした。日本一の強酸性湯と泥湯に期待大。山はどうした？

　宿を予約したのが3月1日。4か月先の天候など分かるはずも無く、おおよそ予想できたのが7月1日頃。7日と9日は豪雨で8日は曇り。7日の秋田駒ヶ岳は風も強く危険で中止せざるを得なかった。そして温泉宿泊なので早立ちは出来ないのだ。

　7日は3時と遅い出発。秋田駒ヶ岳登山なら、アルパコマクサシャトルバス始発が6時なので、前日23時に前橋を出発する。北関東道から東北道へ。福島白河から岩手盛岡までが長く感じる。約300kmある。特に宮城県を縦断するのが単調で飽きる。

　まみむさんが居るので、国見SAで休憩して再出発。その後は盛岡ICで下り、GSで燃料を補給して、道の駅雫石あねっこで買い物して国見温泉へ。土砂降りの雨が降り、沢や川は濁流となっていた。通行止めになったら困ると急いで石塚旅館へ。

　客は誰もおらず、日帰り温泉700円を支払う。受付のおばちゃんは、山の上で雨風が強いので、露天風呂はやめたほうが良いと言っていた。そうならば厳冬期積雪後の西黒尾根並みに俄然行ってやると闘志を燃やす。自ら思うが無駄でアホな奴だな。

　客はおらず「薬師の湯」は貸し切り。緑色の珍しい温泉が美しい。小浴場に行ったら地元の方が二人居た。そこから露天風呂へ向かう。ドアを開けたら横殴りの雨と強風。サンダル履いて手ぬぐいを肩に掛け、天然シャワーと言いながら素っ裸で闊歩。まさに痴れ者。

　雨除けで桶を頭に被って露天風呂に入る。地獄谷のサルはマネできない。もちろん誰もいない。せっかくなので自撮りしてみた。写真を見ると、ホントにふざけた野郎だなと自分でも思う。露天風呂を出て、横殴りの天然シャワーでかけ湯して戻った。

　仙石峠の茶屋で、名物の甘口おでん、しゅっつるラーメン、山菜そばを食べた。魚醤はナンプラーも好きなので、とても美味しく頂いた。その後はクニマス未来館やたつこ像などを観光して大場谷地湿原へ。

　大場谷地湿原は、国道341号沿いにあり、昨年はクマが出没し立入禁止だった。その時、道端から見たニッコウキスゲの群生がすごかった。傘を差して木道を歩いて湿原へ。今年は満開を過ぎてしまい、やや少なかったが近くで見ることが出来た。

　宿泊先の玉川温泉へ。駐車場が狭く、荷物を下して新玉川温泉へ停めに行って、マイクロバスで送迎してもらう。自然研究路へ行き源泉の「大噴」などを見学したり、岩盤浴もやってみたが、熱くて10分で撤収。夫婦そろってサウナが苦手で入れない。

　旅館に戻り大浴場へ。強酸性ph1.12のお湯。源泉100％の浴槽に浸かるとピリピリする。塩酸が主成分でラジウムも微量含んでいる。さすが日本一の酸性湯。酸ヶ湯、草津、蔵王、高湯と軒並み強酸湯に入って慣れてはいるが強烈。源泉50％のお湯の風呂も多数ある。露天風呂は酸性や豪雪の条件もあるので作れないのだろう。

　湯治宿でもあるため食事はビュッフェスタイル。健康志向が高いが私は無視して、玄米メシと比内地鶏のきりたんぽ汁は大盛り。ビールも美味かった。腹いっぱいになったら20時頃に寝てしまった。夜は気温が18℃で涼しかったからかな。

　翌朝5時に起きたら薄曇りだった。八幡平には予定通り行ける。駐車場まで送ってもらいアスピーテラインを八幡平へ。途中から濃霧で視界は10mほど。県境を過ぎて南側の駐車場へ。地元の中学生が、外来種の除去作業をするので集まっていた。

　一年ぶりの八幡平は、去年同様ガスガスで眺望もなく、可愛らしい花々を観賞しながらゆっくり歩いた。ヒナザクラが終わっていて残念だったが、キヌガサソウ、ベニバナイチヤクソウは残っていた。気温12℃で寒いほど。当日の前橋市は39℃。

　車で移動して黒谷地湿原へ。タカネバラは終わっていたが、ニッコウキスゲが満開だった。濃霧の道を戻って後生掛温泉へ。ビジターセンター手前を左折すると、湯けむりに包まれた建物が後生掛温泉。マンガ「テルマエ・ロマエ」にも登場した温泉。

　開湯300年、旅館は創業大正7年の老舗。建物は新しくきれいだが、昭和レトロを模している。チェックインして自然県研究路を散策。源泉「オナメ・モトメ」や泥火山など、殺伐としているが、地球の息吹を感じることが出来る。素晴らしい。

　下の紺屋地獄を歩いている人が居た。話しかけると源泉を管理されている方。源泉は乾くと泥火山のようになってしまうので、沢の水を引き込んでいるとのこと。危険な場所で働いている方がしっかり管理されているからこそ、安心して温泉に入れる。

　戻ってその泥温泉へ。大浴場は7つの湯がある。全て源泉かけ流し。神経痛の湯は88度の高温で加水してありほぼ源泉。ここも酸性湯なので箱蒸し風呂がある。泥風呂で泥を全身に塗りたくって入った。効能は私なので分からない。

　露天風呂へ向かう。床に湯の花が流れており滑りやすい。風呂に注ぐところから、にごったお湯が流れている。浴槽の底など見えるはずもなく、泥火山のすさまじさを感じた。酸化鉄の沈殿物らしい。当日の宿泊客は8組で20人程度。温泉で人と会う事は無く貸し切りだった。平日は空いている。

　ここも湯治宿らしく、質素だが地場産品を使った夕飯。この日も満腹になり20時頃寝てしまい、23時に起きて風呂に入った。翌朝も5時に起きて朝風呂へ。ここは温泉宿としては珍しく定休日が設けてあり、次ぐ日の水曜日が休み。

　チェックアウトして八幡平市へ向かう。国道へ出ようと徐行したら、目の前の側溝に黒い塊。先週も野反湖の帰りに見たクマ。しかも親子。旅館から3分の距離でクマと遭遇する秋田県鹿角市、恐るべし。

　車のエンジン音など気にもせず、こちらを全く見ずに、フキを貪り食う母クマ。しかし子グマは臆病で、直ぐに気が付き、こちらをチラチラ見て逃げようとしている。母は頭を下げたままゆったりと食事。車や人慣れしているのだろうか？窓を下げて撮影する私を見て恐れをなした子グマはササ藪へ逃げた。私がなまはげに見えたか！

　母クマもやっとそれに気が付き、面倒くさそうに動いて子グマの方へ歩いて行った。母クマは結局私たちの方を一度も見なかった。良い度胸だな。3分ほどのクマの目撃。すぐに旅館に戻って話すと、その場所はよく出没するとの事。恐るべし秋田県。

　雨の八幡平を抜けて岩手県八幡平市へ。直売所や地元スーパーなどで買い物。盛岡インター近くのぴょんぴょん舎本店で、盛岡冷麺を食べて帰った。帰りは雨雲に突っ込む様に雨の宮城県と福島県を抜け、晴れの栃木県、群馬県と戻ってきた。

　やはり前橋市は暑くて37℃。夕日を見て太陽を見るのは3日ぶり。あいにくの天気の東北遠征だったが、新妻のまみむさんと楽しく温泉旅が行けて良かったと思った。山はどうした？（笑）

天気に恵まれず、一昨年に続き秋田駒断念。なんとか八幡平歩けてよかったです。
一昨年も同様でしたが潔く気持ちを切り替え温泉を楽しみました。どの温泉もすばらしかったです。ピリッと刺激的な玉川温泉に泥の後生掛温泉。国見温泉は、地元の方が日本一の湯だとおっしゃっていましたが、本当に色よし匂いよし雰囲気よしで最高のお湯だと思いました。今度は泊まりたいです。次こそ秋田駒とセットでね！