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Yamareco

記録ID: 7131229
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

涸沢岳 〜21峰登頂、そしてもう一つの原点回帰〜

2024年08月10日(土) 〜 2024年08月13日(火)
情報量の目安: S
都道府県 長野県 岐阜県
 - 拍手
体力度
6
1〜2泊以上が適当
GPS
19:57
距離
38.8km
登り
1,973m
下り
1,953m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
2:36
休憩
0:25
合計
3:01
距離 11.6km 登り 170m 下り 46m
12:33
7
12:40
4
12:44
36
13:25
13:50
13
14:03
40
14:43
2日目
山行
5:12
休憩
1:02
合計
6:14
距離 7.6km 登り 1,457m 下り 85m
5:07
20
5:27
40
6:07
6:11
42
6:53
20
7:13
7:14
44
7:58
6
8:04
8:28
96
10:04
10:12
44
3日目
山行
5:28
休憩
1:52
合計
7:20
距離 12.0km 登り 312m 下り 1,731m
4:06
24
4:30
5:10
12
5:22
5:33
45
6:37
6:50
26
7:16
7:36
4
7:40
7:41
27
8:08
8:09
16
8:25
43
9:08
9:13
38
9:51
17
10:08
10:29
0
10:29
45
11:14
12
11:26
4日目
山行
1:32
休憩
0:02
合計
1:34
距離 7.5km 登り 35m 下り 92m
7:11
1
7:45
7
7:52
7:53
3
7:56
33
8:41
8:42
3
8:45
上高地バスターミナル
天候 8/10 晴れ
8/11 晴れ時々曇り
8/12 晴れのち曇り
8/13 晴れのち曇り
過去天気図(気象庁) 2024年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
8/10 北陸新幹線で長野駅へ。長野駅東口発8:30(さわやか信州号、5200円)上高地バスターミナル着11:30(定刻11:10)
8/13 上高地バスターミナル発9:00(路線バス1500円)平湯温泉バスターミナル着9:25、発14:30(毎日あるぺん号、10000円)新宿駅着
コース状況/
危険箇所等
小梨平〜明神間通行止めのため、岳沢湿原経由で明神へ行く必要がある。
徳沢〜横尾間は、従前の左岸ルートを行ける。
その他周辺情報 横尾山荘 2段ベッド、カーテン付きで快適。浴室あり。夕食先着順。
穂高岳山荘 一人1畳、仕切あり。夕食おかず豊富。
徳澤園 山小屋と思ってはいけない。チェックイン14時以降、シャンプー備え付けの浴室、飛騨牛ステーキがメインの夕食。そしてカプセルホテルのような相部屋。
ひらゆの森 もう何度目だろう。露天風呂もレストランも休憩処もゆったりとしていて、下山後の疲れを癒してくれる。
予約できる山小屋
横尾山荘
長野駅から3時間かけて、さわやか信州号は上高地に到着。横尾に向けて出発。
5
長野駅から3時間かけて、さわやか信州号は上高地に到着。横尾に向けて出発。
河童橋は今日も大盛況。
6
河童橋は今日も大盛況。
清流と岳沢。
明神橋が見えてきた。小梨平、明神間が通行止めのため、岳沢湿原経由で右岸をやって来た。
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明神橋が見えてきた。小梨平、明神間が通行止めのため、岳沢湿原経由で右岸をやって来た。
こんな感じで左岸は通れない。
3
こんな感じで左岸は通れない。
雲の量がだいぶ増してきた。
3
雲の量がだいぶ増してきた。
徳澤園に到着。ここまで1時間40分、迂回した割には早い。
5
徳澤園に到着。ここまで1時間40分、迂回した割には早い。
ならばいただこう。
7
ならばいただこう。
徳沢から先も従前の左岸を行ける。森の木陰の方が涼しくて良い。
3
徳沢から先も従前の左岸を行ける。森の木陰の方が涼しくて良い。
14:45、横尾山荘に到着。ほぼ予定どおり。寝室は新館の方だった。48年前に滞在した時は、まだ本館ができて間もない頃だった。
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14:45、横尾山荘に到着。ほぼ予定どおり。寝室は新館の方だった。48年前に滞在した時は、まだ本館ができて間もない頃だった。
山の日の朝日に照らされ朱に染まる。
7
山の日の朝日に照らされ朱に染まる。
5:07、山荘をあとにする。標高差1350m、すんなり登れるだろうか。
3
5:07、山荘をあとにする。標高差1350m、すんなり登れるだろうか。
カウンター前を通過する。
2
カウンター前を通過する。
30分後、傾斜が増してゆく。
4
30分後、傾斜が増してゆく。
息があがる。思わず見上げる。良い天気だ。
7
息があがる。思わず見上げる。良い天気だ。
6時、デブリ沢通過。
3
6時、デブリ沢通過。
本谷橋に着く。まだまだなのに休むゆとりがない。
4
本谷橋に着く。まだまだなのに休むゆとりがない。
7:30、今山行の目的地が見えてきた。
9
7:30、今山行の目的地が見えてきた。
涸沢端部に到達。ヒュッテに寄れないほどつかれている。
5
涸沢端部に到達。ヒュッテに寄れないほどつかれている。
涸沢小屋が視界に入る。休みたい。
8
涸沢小屋が視界に入る。休みたい。
8:07、涸沢小屋に到着。出発後ちょうど3時間、コースタイムどおりにやって来た。
6
8:07、涸沢小屋に到着。出発後ちょうど3時間、コースタイムどおりにやって来た。
さながら要塞のような涸沢ヒュッテとテント場を見下ろす。
6
さながら要塞のような涸沢ヒュッテとテント場を見下ろす。
涸沢カールを見上げて出発。
6
涸沢カールを見上げて出発。
30分後、両足が攣ってしまう。かつて無い痛みにもがく。引き返すことを考えるも予約無しで泊まらせてくれるか。少し歩いては動けず、繰り返す。
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30分後、両足が攣ってしまう。かつて無い痛みにもがく。引き返すことを考えるも予約無しで泊まらせてくれるか。少し歩いては動けず、繰り返す。
昨夏の天狗原、南岳間の尾根から望んだ前穂高岳と同じアングル。まだ10時だが、雲が出始めた。
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昨夏の天狗原、南岳間の尾根から望んだ前穂高岳と同じアングル。まだ10時だが、雲が出始めた。
ザイテングラートが近づいた。涸沢出発後2時間20分が経過していた。
8
ザイテングラートが近づいた。涸沢出発後2時間20分が経過していた。
取り付く。疲労困憊である。
6
取り付く。疲労困憊である。
すれ違いがいつになく億劫。
6
すれ違いがいつになく億劫。
核心部を見上げる。
4
核心部を見上げる。
振り返れば常念岳、東天井岳。
4
振り返れば常念岳、東天井岳。
そして涸沢。
12:54、ようやく穂高岳山荘に到着。涸沢小屋から4時間半もかかった。出発前、にわかに奥穂高岳往復を目論んだが、当然にして中止。なお、到着直前、皆の眼前で滑落事故が発生していた。
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12:54、ようやく穂高岳山荘に到着。涸沢小屋から4時間半もかかった。出発前、にわかに奥穂高岳往復を目論んだが、当然にして中止。なお、到着直前、皆の眼前で滑落事故が発生していた。
奥穂高岳山荘の夕食。おかずの種類豊富であった。
7
奥穂高岳山荘の夕食。おかずの種類豊富であった。
8/12午前4時、山荘を出発し涸沢岳を目指す。
5
8/12午前4時、山荘を出発し涸沢岳を目指す。
振り返り、テントと奥穂への光の点を望む。
6
振り返り、テントと奥穂への光の点を望む。
25分後、涸沢岳山頂に立つ。これで3000m以上の21座登頂を成した。
6
25分後、涸沢岳山頂に立つ。これで3000m以上の21座登頂を成した。
夜明け前の槍と北穂のシルエット。
9
夜明け前の槍と北穂のシルエット。
奥穂への光の帯。
9
奥穂への光の帯。
大キレットが姿を現す。
9
大キレットが姿を現す。
奥穂高岳とジャンダルムの姿もはっきりと見えてきた。
9
奥穂高岳とジャンダルムの姿もはっきりと見えてきた。
槍と北穂の競演。
7
槍と北穂の競演。
前穂高岳の向こうには、富士山と南アルプスが。
8
前穂高岳の向こうには、富士山と南アルプスが。
常念山脈。
常念岳の右側から昇るのか。
6
常念岳の右側から昇るのか。
5:06、8/12最初の光。感謝します。
8
5:06、8/12最初の光。感謝します。
奥穂高岳が目覚める。涸沢岳でご来光を得た甲斐あった。
6
奥穂高岳が目覚める。涸沢岳でご来光を得た甲斐あった。
西を望む。薬師岳左の影はどちらのものだろう。
6
西を望む。薬師岳左の影はどちらのものだろう。
360度の眺望を満喫した。さあ、山頂をあとにしよう。
7
360度の眺望を満喫した。さあ、山頂をあとにしよう。
奥穂、前穂、富士、そろそろお別れです。
9
奥穂、前穂、富士、そろそろお別れです。
山荘に戻り、下山を開始する。今回は、この岩壁は見上げるだけにしよう。
7
山荘に戻り、下山を開始する。今回は、この岩壁は見上げるだけにしよう。
涸沢を見下ろしながらザイテングラートを下る。
7
涸沢を見下ろしながらザイテングラートを下る。
また会いましょう。
6
また会いましょう。
7:35、涸沢小屋を発つ。
5
7:35、涸沢小屋を発つ。
天候に恵まれたが、なまった体には日光が厳しい。
4
天候に恵まれたが、なまった体には日光が厳しい。
9:10、本谷橋を通過。
5
9:10、本谷橋を通過。
10:10、横尾山荘前の賑わい。
4
10:10、横尾山荘前の賑わい。
11:28、徳沢に到着、6時間かかった。普通に筋肉痛。
4
11:28、徳沢に到着、6時間かかった。普通に筋肉痛。
チェックインは14時から!なので、2時間半を宿泊者用別館で過ごす。快適だが、横になりたい。
5
チェックインは14時から!なので、2時間半を宿泊者用別館で過ごす。快適だが、横になりたい。
徳澤園。初めて泊まる「氷壁の宿」。
5
徳澤園。初めて泊まる「氷壁の宿」。
趣のある相部屋。
6
趣のある相部屋。
1.5畳の「カプセル」。窓、照明、コンセント付き。
5
1.5畳の「カプセル」。窓、照明、コンセント付き。
山小屋の洗面所とは思えない。シャンプーの使える浴室で生き返る。
6
山小屋の洗面所とは思えない。シャンプーの使える浴室で生き返る。
思えば半世紀前、中学2年のときに、この本と出会ったことが私の登山の始まりだった。
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思えば半世紀前、中学2年のときに、この本と出会ったことが私の登山の始まりだった。
夕食は、飛騨牛ステーキとイワナの塩焼き。
8
夕食は、飛騨牛ステーキとイワナの塩焼き。
8/13朝、まだ天候はもっている。
4
8/13朝、まだ天候はもっている。
7:50、明神通過。
往路同様、岳沢湿原を経由する。
5
往路同様、岳沢湿原を経由する。
ここからだと六百山ははっきりと見える。
7
ここからだと六百山ははっきりと見える。
河童橋周辺は、大勢の人で埋め尽くされていた。迂回しつつも徳沢から1時間半で来られた。
5
河童橋周辺は、大勢の人で埋め尽くされていた。迂回しつつも徳沢から1時間半で来られた。
雲の中の穂高連峰に、無事の下山を感謝する。
5
雲の中の穂高連峰に、無事の下山を感謝する。
3日前には見られなかった焼岳を望む。
7
3日前には見られなかった焼岳を望む。
8:45、上高地バスターミナルに到着。すでに多くの人がバス待ちの列を成していた。いつものように平湯でのんびり湯に浸かろう。
6
8:45、上高地バスターミナルに到着。すでに多くの人がバス待ちの列を成していた。いつものように平湯でのんびり湯に浸かろう。

感想

 脇役的な一峰に登るために、3泊4日の山行計画を企てた。なにしろ昨年秋以来登っていない。体力低下に加え、勘の鈍りが心配だった。コースタイムの1割増しで計画を進めた。涸沢岳を対象としたのは、至極単純な理由、標高3000メートル以上の峰21座すべてに登りたいという思いからだった。

 北陸新幹線とさわやか信州号を組み合わせて、昼前に上高地入りした。今日の行程は3時間あまり、何度となくかよった道のりだから9ヶ月ぶり登山の初日に相応しい、はずだったが、歩き始めてすぐさま事前調査の甘いことを思い知らされた。先月の豪雨により、小梨平と明神間が通行止めとなり、岳沢湿原経由の迂回路を利用する必要があったのである。
 というわけで、好むと好まざるとにかかわらず、昨年秋にも通った岳沢登山口に向かった。時間のせいかとにかく観光客が多い。遊歩道のすれ違いや渋滞に難儀しながら歩くこと1時間、明神館に到着した。それほどの時間ロスのないことに安心し、目的地を目指す。
 徳沢までの道中、明神、徳沢間の道を何度通ったのか数えながら歩くことにした。表銀座縦走後初めて通って以来10度、そのいずれにも忘れがたい思い出があった。記憶をたどっていると自然に速まるものか、40分後には徳澤園でカレーライスとソフトクリームの選択に迷っていた。
 横尾までは従前の左岸を行くことができた。炎天下、木陰はありがたい。体調も良好であり、横尾山荘には15時前に到着した。チェックインを済まし、二段ベッドに収まる。カーテンもあり、なかなか快適だった。夕食は17時半から先着順、食後は山荘前で空を見上げ、明日への期待に胸をふくらました。

 8月11日、山の日、例年どおり予想どおり、空は晴れ渡っていた。標高差1350メートル、コースタイム5時間40分、今の私にとってチャレンジであることは明らかだったが、達成できる気でいた。
 5時10分、横尾をあとにする。傾斜が大きくなる頃、足の重さを意識するようになった。当然のように後続に道を譲る。やはりブランクと歳には逆らえないのか。本谷橋にてすでに予定以上の疲労を感じていた。
 けれども眼前に穂高連峰が姿を現した瞬間、その疲労は一気に吹き飛ぶ。待ちに待った瞬間だった。嬉しくて何枚も構図に収める。
 昨年夏、およそ30年ぶりに槍穂高の領域に足を踏み入れた。中学3年の夏、槍ヶ岳から穂高連峰の雄姿を見て以来、私は山の虜になった。かの山々は私の登山の原点であり、心の拠り所になった。よもや山から遠ざかる日が来ることなど、そしてその訳が穂高であることなど思いもせずに。

 涸沢小屋には、何とかコースタイムどおりに到着した。25分の休憩を取る。この行為がいけなかったのかもしれない。再び歩き始めてから30分後、両足に異変が生じた。痛みで動かせない。かつて、奥多摩で一度だけ味わった苦痛だ。休んでは歩き始めてすぐに止まらざるを得ない。引き返すことを真剣に考えたのち、だめもとでマッサージ、ストレッチを繰り返した。
 結局、30分以上費やしてようやく足が上がるようになり、ヘルメットを装着してザイテングラートを目指す。しかし、すでに疲労困憊、取り付き点で再び20分以上の大休止を選んだ。
 いつになくすれ違いが億劫である。ペースを乱されることにいら立ちを覚えるほどだった。時折、風が頬を撫でる。前穂高岳や常念岳を望みながら、気力のみで進んでいた。
 13時前、横尾から実に7時間45分かけて白出のコルに到達した。穂高岳山荘前はざわめいていた。人々は、数分前に眼前で起きた滑落事故について語り合っていたのだった。私は、倒れそうだったので、チェックインをしてすぐに部屋へ逃げ込む。
 47年前の夏、ここで私たちは待ち合せた。涸沢定着から上がってきた私たちは、大キレットから近づいてくる彼を待った。そして時間どおりに現れた友を、高校2年生だった私は誇らしく迎えた。共に登った唯一の山、奥穂高岳。彼ともう一度登りたかった山。今、目の前にそれは存在する。

 仮眠を経て、談話室にてココアをいただく。ようやく回復してきた。チャレンジの未達を噛みしめながら明日の好天を祈る。夕食は17時から、皆おかずの豊富さに満足していた。いつものように18時過ぎには横になる。
 8月12日4時過ぎ、山荘をあとにして涸沢岳に向かう。テント場を抜けると、東の空がうっすらと明るくなるのを感じた。上空に雲は無い。風もかすかだった。この上ない好天に感謝する。
 4時30分、残る1座、涸沢岳山頂に立った。感慨深かった。そしてこの山の素晴らしさを知った。槍ヶ岳、大キレット、北穂高岳、奥穂高岳、前穂高岳、ジャンダルムすべてを近くに望み、そして富士山、御嶽山、南アルプス、八ヶ岳、常念山脈、双六岳から笠ヶ岳に連なる稜線などを視界に収めることができた。ため息をつきながら山々を見つめる。
 やがて常念岳の右から朝日の昇ることを知る。5時7分、その日最初の光を得た。それは、みるみるうちに奥穂高岳を染め上げてゆく。北穂高岳へ向かう人々を見送って、私は山荘に戻る。もう一つの目的を果たすために、下山を開始した。
 前日、疲労困憊になって登ったザイテングラートを順調に下る。日差しは強く、非常用0.5リットルを残して、レトルトパイナップルを含めたすべての水分を消費した。往路同様、涸沢小屋で休憩を取り、連峰を見上げる。また来ます。Sよ、また会おう。
 
 横尾には10時過ぎに到着した。いくつかの団体を含め多くの人々が休んでいた。今日は、あと1時間の行程である。必要以上にゆっくりと休憩を取った。
 徳澤園の食堂からは人があふれていた。再びカレーライスを諦め、宿泊棟へ。目の前には「チェックインは14時からです」の看板。衝撃を受けていると、「専用のラウンジがありますので、それまでそちらでお休みください」の案内。トクサワベースと呼ばれるそこで、ピッツアとコーラを味わう。横にはなれないが、快適な2時間半を過ごすことができた。
 14時、チェックインをしてからすぐに浴場に向かった。シャンプーの存在が、一日早い入浴の動機になった。談話室で、およそ山小屋のそれとは思えぬほど美味いアイスコーヒーを味わい、その後は話題の相部屋でくつろぐ。カプセルホテルのごとく快適なその空間には、窓、机にもなる棚、個別照明、コンセントが備わっている。館内の至るところに5代目のこだわりが見られた。夕食は、飛騨牛ステーキとイワナの塩焼きがメイン。聞きしに勝る美味であった。
 氷壁の宿というよりも、私にとっては「かおるの待つ宿」である。中学2年のとき、私は「氷壁」と出会って、登山の厳しさと奥深さを知った。そして、主人公、魚津の生き方に憧れた。彼が恋人の待つ場所へ向かう姿は、登山という行為に惹かれるのに十分な情景だった。それは、大切なもう一つの原点。

 台風5号の接近に伴い、天気予報はめまぐるしく変化していた。最終日は、9時に上高地を離れる予定であったから、それほどその変化に敏感ではなかったが、なるべく雨具は使いたくなかった。幸いにして、好天は続き、「河童橋のソフトクリーム」には長蛇の列が出現していた。横目に見ながらバスターミナルへ、ひらゆの森へと急ぐ。無事の下山を、何よりまた山に登れたことに感謝しよう。あの気高き峰々を思いながら。

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コメント

 kimichin2様 shin123ともうします。初めてコメントいたします。
 標題の涸沢岳に先日自分も登ったのと、涸沢岳だけというのに興味を持ち拝見させて頂きました。
 感想を見ていて、なんというか何か小説を読んでいるような感覚を覚えました。また、私も中学生の頃に親戚の叔父叔母の影響で山にはまりましたが、学生の身分ではそれほど山に行けない分、色んな山の本を読みました。新田次郎や氷壁も勿論読み、山や登場人物にとても憧れたのを久々に思い出しました。
 すいません、感傷的になり何となくコメントさせて頂きました。
2024/8/16 23:13
shin123様
コメントをありがとうございます。
3泊で涸沢岳だけという贅沢な登山をしました。それでもなまった身体には厳しかったのですが、どうにか節目の山旅にはなりました。
100高山完登おめでとうございます。
プロフィールを拝見しました。
これからたくさんの記録を読ませていただきますね。
2024/8/17 13:36
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1
kimichin2さん、まずは3000m峰の達成おめでとう御座います!!そしてお久しぶりのレコ、首を長〜〜くしてお待ちしておりました(^^)
ここ数年、夏のザイテンを上がっていないのですが、最盛夏の賑わいや穂高岳山荘周辺の賑わいに触れたかったな〜、、と指を加えてみなさんのレコを拝見していたので、kimichin2さんの写真や表現一つ一つのお陰で、一緒に登ってその賑わいを味わっているような感覚になれました。

足の攣りはツラいですよね。昨年のお盆休みに私も両脚攣ってしまってどうしようも無く1時間近くも悶えて泣いて過ごしたので、お気持ちよーく分かります。それ以来、暑さのせいなのか運動不足か年なのか原因は分かりませんが、以前よりも攣ることが増えてしまっていつも騙し騙し登ってたりします。
ご多忙かもしれませんが、またkimichin2さんのステキな写真と記録、安定感抜群のレコを楽しみにしておりますので、ぜひ心と足の赴くままに山行を続けて行ってください(^^) 引き続き首を長くしておきます!
2024/8/17 15:41
ハルボーさん、いつも心のこもったコメントをありがとうございます。読んでいると、また山に行きたくなります。
最も賑わう日に人気の場所に居たはずなのですが、密集状態でなかったためか、山時間を満喫できました。
ハルボーさんでも足が攣ることあるのですね。
今回は、本当にどうしてよいものか悩みました。結果的に登山を続けられて良かったのですが、準備運動や日頃の鍛錬の不足を反省しています。
山に居られる幸せをまた感じることができました。
時間を見つけて、でも計画的に山に向かおうと思います。
ハルボーさんの楽しい、時に驚きのレコを待っています。
2024/8/17 16:32
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1
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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