読売裏銀サーキット(七倉起点・反時計回り)


- GPS
- 27:20
- 距離
- 49.9km
- 登り
- 5,236m
- 下り
- 5,226m
コースタイム
- 山行
- 8:15
- 休憩
- 0:28
- 合計
- 8:43
- 山行
- 7:03
- 休憩
- 0:23
- 合計
- 7:26
- 山行
- 10:19
- 休憩
- 0:52
- 合計
- 11:11
天候 | 9/27:終日快晴 9/28:午前快晴、午後から曇り、夜から風雨 9/29:午前中を中心に暴風雨(沈殿) 9/30:午前晴れ、10時頃から雲が増える |
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過去天気図(気象庁) | 2025年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・七倉尾根↑〜船窪乗越↓ 船窪小屋まで、標高140mごとに1から10まで道標の看板が設置されている。2番までは急登できつい。そこからしばらく緩やかに登っていって、途中の鼻突八丁から再び非常に急になる。8番目の看板あたりで眺望が晴れてくる。天狗の庭からは絶景。船窪小屋から船窪乗越まではややヤセ気味で急な下りであるものの、よく整備されている。 ・船窪乗越〜針ノ木谷下降点 船窪乗越から針ノ木谷へ向けて、尾根に乗るまでのトラバース路が笹の枝で滑りやすく、切れていてやや悪い。草払いもあまりされていない。そこから尾根道に乗った後は比較的安定した下降。 ・針ノ木谷〜奥黒部ヒュッテ 針ノ木谷は渡渉があるため、濡れ対策必須。 河原歩き中心で、人はほとんどいない。すれ違ったのは2人パーティだけだった。 針ノ木谷に降りるとすぐに渡渉ポイントがあるが、増水していると濡れることになるため、対策が必要。今回はサンダルに履き替えて渡渉したが、水量はスネ程度。 最初は針ノ木峠のほうに20メートル位上流に行ったところから靴のまま渡ったが、南沢出合までで、渡渉は8回か9回位で飛び石で渡れたのは、2〜3回、あとは沢用のサンダルに履き替えて渡渉した。右岸を大きく高巻くこともあるが、基本的にはどこでもピンクテープがあるので、テープを見失っていればルートロストとなる。 南沢出合の下流にある橋で右岸から左岸に渡渉した後は、よく整備された道で平の渡しまでほぼ平坦。1カ所急な梯子がある。平の渡しから、しばらくははしごもなく歩きやすい場所だが、後半になるとはしごのアップタウン繰り返す。とはいえ、黒部ダム西岸(平の小屋側)よりもはしごの数は少ない。 ・読売新道 ほとんどの登山者は下りで使用し、登る人は少ないルート。すれ違ったのは、下りで1人だけだった。 奥黒部ヒュッテからすぐに急登となる。1887のピークまでは、急な登りと緩やかな上りを繰り返して一気に標高を上げていく。ここからぬかるみが増えてくる。2000mくらいまでは木の根が張り巡らされた登り。2300mくらいまではぬかるみが続く。 2356三角点の先から森林限界となり、眺望が良くなる。赤牛岳手前までじわじわ登り続けるので、序盤の疲れが出てくるところ。夏は熱中症に注意。 赤牛山頂以降は、岩場トラバースと広々とした砂礫の大地の通過を繰り返し、道が分かりづらく、至る所にケルンがある(ケルンなければルートロスト)。特に、ガスっている時はルートを見失いやすいので注意。 細かなアップダウンを繰り返しながら、水晶岳に向かって徐々に標高を上げる。水晶北峰直下はザレた急登。山頂からしばらくはいわばだが、途中からは砂礫の歩きやすい道となり、水晶小屋に至る。 ・裏銀座(水晶小屋〜烏帽子小屋〜烏帽子岳) 銀座の名にふさわしい、爽快なルート。登山者とのすれ違いも最も多かった。 真砂岳分岐あたりまでは、砂礫と岩場の急な下り基調のアップダウンを繰り返し。野口五郎手前は白い砂礫の快適なルート。山頂周辺はゴーロ帯だが、徐々に快適な砂の道となる。三ツ岳から烏帽子小屋手前までが最も歩きやすく、スピードに乗る。 烏帽子小屋から烏帽子岳は結構遠い。烏帽子岳は鎖場もあり、山頂は狭く、なかなかスリリング。 ・裏銀座北側(烏帽子小屋〜船窪乗越) ほとんどの登山者が烏帽子小屋からブナ立尾根を降りて高瀬ダムへ至るため、登山者が少ないルート。烏帽子岳に登っている登山者以外は誰ともすれ違わなかった。 烏帽子岳から先は標高が2600mを下回り、背の高いハイマツ、シャクナゲなど、薮が増えてくる。特に南沢岳から降り、南沢乗越から不動岳の登り返しは、急な上に背の低い藪が多く、背丈があるとザックが引っかかって中腰を余儀なくされるので、辛い。 また、ハイマツやシャクナゲの葉が濡れていて、靴やウェアが濡れてしまいやすいので、必要に応じてレインギアやスパッツの使用もよい。 不動岳から船窪岳第2ピークの間は、長いが大半は比較的歩きやすい。標高300m下がって200m登り返し。登り返しはかなりハードだが、南沢岳から不動岳へ登り返しよりは藪が少ない。コルの手前では花崗岩のザレの急な下りがあり、ロープしか手がかりにならないところがあり、バランスを崩すと滑落の恐れがあるため、注意。 船窪岳第2ピーク〜第1ピークは下りは250mの標高を一気に下げるが、ルートは狭いものの穏やか。コルでは狭く、鎖場やはしごがある微妙なルートを通る。登り返しも、途中まで楽だが、第1ピークの山頂周辺はザレ&ヤセていて、所々古いロープやはしごなどもついている。 ・船窪乗越↑〜七倉尾根↓ 行きと同じルートだが、ここまでの疲労が溜まっていることから、船窪小屋までの登り返しはかなり辛い。そこからも、標高差1400mの急な下りが待っている。最後まで気を抜かずに歩こう。 |
その他周辺情報 | 船窪小屋:9/30宿泊分で今シーズン終了 奥黒部ヒュッテ:9/30宿泊分で今シーズン終了 水晶小屋:9/30宿泊分で今シーズン終了 野口五郎小屋:9/25宿泊分で今シーズン終了 烏帽子小屋:9/30宿泊分で今シーズン終了 つまり、9月末で上述のすべての小屋の営業は終了 平日だったためか、七倉山荘は閉まっていた。 近くで温泉に入りたいなら、葛温泉の高瀬館が空いている。お湯が熱い。 他、大町温泉郷の薬師の湯など、色々あり。 |
予約できる山小屋 |
七倉山荘
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
サンダル
ザック
ザックカバー
サブザック
行動食
非常食
調理用食材
ハイドレーション
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ナイフ
テントマット
シェラフ
ヘルメット
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感想
ここ数年、自分自身の心の赴くがままのソロ山行を全然していなかったことや、仲間が水晶小屋で働いていることもあり、その仲間の働いている姿を見に行こうかな、と思いたち、久々に超ガチ計画を立てた。
最初は、知人とその友人が、私の計画に便乗することを申し出ていたこともあり、1日目は高瀬から湯俣晴嵐荘までのんびり歩いてテン泊、2日目に水晶小屋泊、3日目に裏銀→ブナ立尾根から高瀬へ下山という、まあ無難な計画だった。
それが、紆余曲折の末に知人が申し出を撤回したこともあり、それならガチ計画を立てようと気持ちを切り替え、地図とにらめっこした。
そこで思いついたのが、読売新道を登って水晶小屋に行くこと。読売新道は、下る情報はよく聞くけれど、登る情報はほとんど聞かない。そして私は登りのほうが好き。アプローチは、黒部ダムからが最短だが、数年前に平乃小屋まで歩いたときに、木ハシゴを延々と繰り返してとてもうんざりした記憶があったこと、平の渡し船の時間の制約があること、扇沢の電気バスの始発が7時半という遅い時間になる上、駐車場やチケットの争奪戦に巻き込まれるのも嫌だ、という超わがままな理由で、ほとんど誰もやらないであろう方法で読売新道へのアプローチをすることにした。
つまり、七倉から船窪へ上がり、そこから針ノ木谷に降りて黒部ダムの東岸へアプローチ、そこから奥黒部ヒュッテのテン場でテン泊し、翌日に読売新道を上がる、というものだ。
1日目は最も標準的なコースタイムと言われるヤマケイオンラインで13時間50分、これまた無難なコースタイムであるヤマレコで14時間16分、ユーザーデータの平均値だか中央値だかをコースタイムにすると言われるYAMAPでも11時間48分である(細かいアルゴリズムはわからないが、メジャールートのコースタイムはそれなりに妥当性があるが、マイナールートほどコースタイムが極端に早くなる傾向にあるように感じられる)。
これでは、朝3時に出発しても、到着は夕方になってしまう。そこで、自分の現在の体調や歩力などを考慮し、ヤマレコの0.7掛けの時間で計画した。
2日目は、読売新道を上がり、水晶小屋泊、翌日は黒部源流を沢歩きしてもう1日水晶小屋泊、最終日は裏銀座を縦走するというものだ。
私は、登りルートのほうが好きだ。というのは、森林限界下からじわじわ標高を上げ、森林限界を超えたときの風や空が抜ける空気感が好きだということと、登りのほうがコースタイムの計算がしやすいからだ。そういう点では、七倉尾根も読売新道もうってつけの急登で、私好みだった。
2日目の読売新道の登りは、序盤の急登やぬかるみなどはあるものの、じわじわ登っていけば着実に標高が上がるし、人もほぼいないルートなので、とても快適に歩けた。計画より少し遅れて水晶小屋に到着すると、仲間がはつらつと働いている姿を見ることができ、名物の力汁をいただくと、すぐさま疲れが吹っ飛んだ。
小屋スタッフや、他の宿泊客の方々と歓談したり、本を読んだりしながら、ひさびさに文明の利器と離れたゆったりとした時間を過ごすことができた。
3日目は前線が直撃して水晶小屋周辺は風速20m超の暴風雨。多くの宿泊客が連泊を選択し、私も沢歩きはおろか、周辺の散歩も中止し、仲間の良い仕事ぶりを横目に、小屋でひたすら読書をして過ごした。晴登雨読。
4日目の最終日。1日休養して体力が充分に回復したこともあり、せっかくだから裏銀座縦走路の末端から更に北上し、船窪までつなごうかといういたずら心がむくむくと。これを歩けば、七倉起点で読売裏銀サーキットになるじゃないか(正確には、裏銀座は烏帽子〜槍の間の縦走路を指し、烏帽子から北の稜線は裏銀座とは言わないようだが)。
というわけで、朝5時に供された朝食を一番に食べ終わって、仲間に見送られながらすぐに出発。烏帽子までは歩いたことがあるので、勝手知っており、野口五郎から先は快適に歩けることが予想されたので、烏帽子小屋に10時までにつかなければブナ立尾根から下山するつもりだった。
そして、烏帽子小屋に8時35分着。小屋でトイレをお借りしたり、烏帽子岳へピストンしたりしている内に1時間近く経ってしまったが、明るいうちに下山できそうだったので、そのまま稜線を北上した。
初めて歩くルートで、地形図で地形はわかっても、サーフィスや植生はよくわからない、つい先ごろ遭難事故があった船窪岳周辺、不安がないでもなかったし、実際に森林限界下で藪が多く、身長のある私のザックが引っかかったり、たくさんのアップダウンの繰り返しで体力を持っていかれたりと、なかなかタフなルートだったが、なんとか船窪乗越まで戻ってきて、読売裏銀サーキットを描くことができた。
最後は、船窪小屋までのうんざりとした登り返しからの1400mの下降で締めくくり。
世に○○サーキットと呼ばれる登山ルートはいくつかあるようだが(代表的なものは、常念〜蝶をつなぐ三股サーキットや、針ノ木峠〜柏原新道をつなぐ針ノ木サーキットあたりだろうか)、この読売裏銀サーキット、それも反時計回りのタフさは相当なもの(2日連続で尾根を1400mアップ、3日の累計標高差がアップダウンとも5200m超)だと感じたし、もう一度やれと言われたとて、さすがにためらってしまう。
しかし、久々にたくさん歩き、たくさん考え、たくさん楽しんだ山行だった。
今回のルートにおける各サービス別標準コースタイム(コースタイム倍率1倍)
七倉尾根〜船窪〜針ノ木谷〜奥黒部ヒュッテ
ヤマケイ:13時間50分
ヤマレコ:14時間16分
YAMAP:11時間48分
読売新道登り〜水晶小屋
ヤマケイ:9時間40分
ヤマレコ:11時間2分
YAMAP:8時間50分
水晶小屋〜烏帽子〜船窪〜七倉尾根
ヤマケイ:17時間22分
ヤマレコ:16時間29分
YAMAP:16時間59分
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