木曽御嶽山(王滝口・九合目避難小屋泊)

- GPS
- 11:03
- 距離
- 12.4km
- 登り
- 1,470m
- 下り
- 1,441m
コースタイム
1100 おんたけ2240駐車場出発
1230 ゴンドラ山頂駅
(なぜか三笠山方面に分け入り30分ロス)
1305 田ノ原
1635 九合目石室避難小屋到着
(小屋内雪かき・荷物デポ)
1705 九合目石室避難小屋出発
1730 王滝頂上
1815 剣ヶ峰頂上到着
1850 剣ヶ峰頂上出発
1900 王滝頂上
1915 九合目石室避難小屋到着
5/12(月曜日)
0535 九合目石室避難小屋出発
0700 遥拝所
0730 田ノ原
0845 おんたけ2240駐車場到着
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2014年05月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
全体的には特に危険と感じる箇所はありませんでした。 おんたけ2240スキー場のクワッドリフトのりばから上はだいたい雪でした。森林限界を超えた先の夏道は、尾根を中心にところどころ地面が露出しています。雪の状態は、午前中早めから日没ごろまでは腐った雪なので、アイゼン無しでも何とかなりますが、日没後から午前中早めまでは、特に森林限界より上はクラストになってアイゼンが必要な状況が出現します。 |
写真
装備
| 個人装備 |
ヘッドランプ 1
ガイド地図 1
コンパス 1
ライター 1
ナイフ 1
保険証 1
飲料 2
ティッシュ 1
三角巾 1
バンドエイド 1
タオル 2
携帯電話 2
計画書 2
雨具 1
防寒着 1
スパッツ 1
手袋 2
ストック 1
ビニール袋 2
替え衣類 1
シュラフ 1
ザックカバー 1
食器 1
時計 1
日焼け止め 1
非常食 2
シャベル 1
ゴーグル 1
|
|---|---|
| 共同装備 |
ツェルト 1
コンロ 1
ガスカートリッジ 2 110g
コンロ台 1
コッヘル(鍋) 1
医薬品 1
車 1
|
感想
本来だったら12〜13日の2日間で行く予定だったこの御嶽山。それはそれで理由のある日程だったのですが、どうやら月曜から火曜にかけてが荒れ模様ということで、急遽1日前倒ししての山行となりました。おかげで前夜は寝不足で、出発時間も横浜を7時とのんびりペース。1250cc・60馬力のパンダさんでは現地到着も11時前が限界でございます。
今回の目的は、山頂にある神社にお参りすることと、できれば日没、そしてもっとできればご来光を拝むこと。というわけで、自動的に山で一泊ということになるわけですが、この御嶽山、霊山ということもありテント泊は全面禁止。でもって、小屋も夏しかやっていないとのこと。つまり、泊まるとしたら八合目と九合目にある避難小屋しか選択肢がございません。山頂で日没を拝んだとして、そこから八合目までは暗い中下りたくないので、宿泊地をとりあえず九合目の避難小屋に決めることに。
んが、しかし、ヤマレコで他の方の山行記録を見ると、ゴールデンウィーク明けの時点で九合目の避難小屋は半分雪に埋まっている状態。一週間で溶けるワケもないので、仕方なく除雪用としてシャベルを用意することにいたしました。
で、今回のこの季節、ゴールデンウィークまでだったら標高2200mの田ノ原までのゴンドラが営業中で、5月下旬だったら田ノ原までの道路が開通しているはずなのですが、まさに狙ったようにその端境期に当たるため、500mも下のスキー場駐車場からスタートしなければなりません。標高差は約1400m。前回の丹沢も厳しかったですが、今回は雪&高山ということで、より厳しい戦いが予想されます。
大方の予想通り、スキー場を登り始めるところからかなりの厳しい戦いがスタート。やっぱ一人で16kgの荷物は、軟弱モノのこの私めにとってはキツイのキツくないのってほんとにもう。大変やる気なく登り、しかも暑く、ゴンドラ山頂駅まで1時間半かけての行程となりました。しかも、なんか田ノ原までの道、途中まで通れたっぽいしw
で、ここで第一のミス。ゴンドラ山頂駅から田ノ原までの間違えようのない道を間違え、なんか駅の横から雑木林に突入し、三笠山の山腹をぐるりと半周してしまうという訳のわからないことをやらかしてしまいました。これで約30分のロス。田ノ原についた時点で13時だったので、もうとりあえず今日は避難小屋まで行くだけで終わりにしようと決め、ノロノロと登り始めます。
それでも天気は上々で、日差しはガンガンで無風という、独立峰としてはめずらしいほどの(きっと)グッドコンディション。ちょっと歩いては休み、ちょっと歩いては振り返りを繰り返しながら、徐々に徐々に高度を稼いでいきます。この時間はちょうど皆さんが下山する時間にもなっていて、すれ違う人すれ違う人皆さんが「泊まりですか?」「いいなあ山泊り」「あしたは天気悪いよw」などと声をかけてくださいます。そんなにいいのか、泊まりってw
樹林帯を抜け、森林限界に入ったところで時間は14時30分。ここでアイゼンを装着します。景色は開けてテンションは上がりますが、傾斜も急になるため、もうなんというか途中から三歩進んで二歩休む状態に。これ、今考えれば寝不足だったり、前回の丹沢より荷物がさらに重かったりの他に、酸素が薄いからというのもあったようです。楽しそうなバックカントリースキーヤーたちを横目に、それでもとにかくひたすら登り、ようやく目的地の九合目避難小屋に到着したのは16時30分。よかった、日が長くてw
小屋の状況を見てみると、やっぱり中は雪で半分埋もれている状態。特に入口部分が吹き溜まりになっていて、ちょっと中に入るのは厳しそうな状況です。ので、到着するやいなやスコップを振るい雪かき開始。全部はもちろん無理にしても、なんとか中に入ってシュラフを広げるスペースだけでも確保しないと、もうこの時間からは戻れないし、今晩は野宿決定となってしまいます。それだけは嫌だw
一心不乱に作業中、そういえば会社の女の子が「酸素持ってったほうがいいですよ!」って言ってくれて、で持ってきてたんだっけと思いだし、ものは試しにと酸素吸入。そしたらなんということでしょう、大げさではなく急に目の前がクリアに! 酸素効く! 酸素最高!
というわけで30分ほどで最低限の除雪を完了し、しかも酸素パワーで元気になってしまったので、荷物を小屋にデポして空身で山頂を目指すことにいたしました。時間は17時をちょっと回ったところ。山頂で日没を見るとしたら、ちょうどいい時間です。
空身&酸素パワーは素晴らしく、これまでは平気でコースタイムの1.5倍くらい掛かっていたところが、コースタイムを大幅に下回る時間で登れてしまうではないですか。今までの苦行はいったい何だったんだw 夕暮れの淡い光の中、雷鳥の鳴き声を聞き、羽ばたく音に驚き、西日が創りだす山の陰が山麓を伸びていくのを見ながら王滝頂上に到着。今回の山行の目的の一つだった写真を撮ろうとしましたが、そういえばiPhoneにはセルフタイマーがないことに気づいて、頂上でフリーのセルフタイマーカメラをダウンロードw なにやってんだ、俺。
目的の写真を撮り、お参りをし、次はいよいよ剣が峰へ向かいます。夕日を背負った噴気口を左手に眺め、アルファロメオの蛇のようなオブジェを通り過ぎ、最後の登りを一息に登って、18時15分、無事に剣ヶ峰頂上に到着いたしました。雲ひとつない青空に、今にも沈みそうな夕日。風もほとんどなく、登ってくるときはそこかしこから聞こえた登山者の気配もなく、そこから日が沈むまでの30分間を、一人で贅沢に過ごすことができました。
帰りは雪も締まってアイゼン歩行を楽しみながら、感覚的にはあっという間に避難小屋に到着。ヘッドランプも使いましたが、煌々と照らす月明かりで、ヘッドランプなしでも歩けるくらいの夜でした。
スタートが遅かったとはいえ、なんだかんだで8時間以上行動していたので、とっととご飯を食べ、それから外に出ていつもより近い月と星空を楽しみ、そそくさとシュラフに潜り込んで消灯。明日のご来光を待ちます。
翌朝は4時にアラームをセットしておいたにもかかわらず、寒さで3時半に強制起床w めんどくさがらずに小屋の入り口にツェルトを張っておけばよかったと震えながら後悔しつつ、震えながらお湯を沸かし、震えながら朝ごはんをいただいてようやくひとごこち。外はもう明るく、心配していた天気も今のところはまったく問題のない快晴で、東の空は今にも太陽が顔を出しそうに染まっています。
それから15分は、昨日の夕日を明るく染め直したような太陽がゆっくりと顔を出すのを見守る時間。昨日の夕日と今日のご来光を見るという目的をどちらも果たすことができたことを感謝しながら、やっぱり貸し切りの山の中で心ゆくまで楽しませていただきました。
ご来光を拝めたとはいえ、空には巻雲が掛かっているので、天気は明らかに下り坂。いい天気のうちに下りてしまいたいので、片付けを急ぎます。と、ここで第二のミス。アイゼンでエアマットを踏んづけるというミス。おかげで畳むのはラクになりましたが、うーん、まったくもう、もったいない。
そんなこともあり、テンションは下がりつつも、5時半には準備完了。一晩を過ごさせてもらった避難小屋に感謝しつつ、山を下り始めます。キチキチに締まった雪にアイゼンを食い込ませながらサクサク歩いて行くのは本当に気分がいいのですが、辺りを見るとスキーやスノボはともかく、ヒップソリのシュプールがそこかしこに。うーん、あんなもんでサクッと下りられるんなら、自分も持ってくればよかった。と、そこで私の脳裏にあるひらめきが。
「お前、ヒップソリみたいなカタチのもの、持ってきてるじゃん」
そう、それはシャベル。こいつをお尻の下に敷いて、足でブレーキ掛けながら滑ればいいんじゃね? いけるんじゃね? 俺ってアタマ良くね?
つーことで、さっそくいそいそと準備開始。シャベルを取り外し、雪に食い込んだら骨折しそうなのでアイゼンも取り外し、ザックのヒモ類を綺麗にまとめてシャベルにまたがり、いざ出発!
おおおおおおおおおおおおお
速ええええええええええええ
そう、昨日のようなザラメ雪ならともかく、ツルンツルンのアルミ製シャベルと、早朝のクラスト状バーンが合わさったことで、ヒップソリならぬヒップシャベルは荒馬のようなダッシュを見せ、また、硬いバーンはカカトブレーキも受け付けず、その3秒後にはツボ足の跡でロデオのようにジャンプ。ジョッキーを振り落としてカラ馬となったシャベルは150m下まですっ飛んでいったw
ジョッキーもそのまま滑落しかかるも、競技スキーをやっていた時のコトを思い出して何とか停止。レーシングウェアに比べれば、そりゃあ止まるわな。で、止まって下を振り返ると、シャベルが朝日をキラキラと反射しながらピョコンピョコン飛び跳ねて、最後は樹林帯の一番上にあるブッシュに引っかかって止まったのを確認。ああ、良かった、拾える所で止まって。8190円もしたのに、小屋の雪かき30分とヒップソリ3秒で紛失したら悔やんでも悔やみきれん。
というわけで、今の危険な行為を結構真面目に深く反省し、とぼとぼとシャベルを拾い、そのまま樹林帯の登山道に復帰し、道すがらにあるすべてのお社に無事にここまで帰ってこれたことを感謝し、田ノ原に帰還。今度はちゃんと道を間違えずにスキー場のトップに出て、ゲレンデをまっすぐ下りて駐車場へ。最後の雪がなくなったゲレンデは、正面に木曽駒ヶ岳の山並みも見えて、ちょっとした高原気分。サウンド・オブ・ミュージックのラストシーンを思い出して「Climb Ev'ry Mountain」を口ずさんでいると、1日ぶりにパンダさんのかわいい姿が目に入り、こうして人生2回目の登山がなんとかかんとか終わりを迎えたのでした。
その後はまだ9時なので、昨日苦しめに苦しめられた重力の力を逆手に取って、60馬力のエンジンと960kgの車重をフルに活かして山道を駆け下り、桟温泉でお風呂と食事を楽しみ、パンダさんにもエサを与え、一度行ってみたかった奈良井宿の町並みをブラブラし、のんびりトコトコ帰ったらリッター24kmとかいうびっくりするような燃費を叩き出し、写真を整理して今に至ります。
で、今回の反省点は以下のとおり。
1) スケジューリングは柔軟に
これは反省点というか、今回に限っては良い点だったと思うのですが、日程を1日前倒しすることで素晴らしい景色を楽しむことができました。スタートが遅かったため二の池方面へ足を伸ばすことはできませんでしたが、無駄なく予定のスケジュールを楽しむことができました。
2) 荷物はもうちょっと整理する
当初は「とにかく天候が悪くても12〜13日で行くんだ!」と思っていたので、悪天候への備えや予備の食料等々で、ちゃんとはかってみたらザックの重さが19kgにもなっていましたw 運動不足の大初心者が背負って、厳冬期ではないにせよ3000m級の雪山に登るとしたら、もうちょっと何とかしないとなあ、と。
3) 危ないことはしない
ヒップシャベル大失敗事件ですが、どう考えても誰もいなかったとはいえ、万が一にも流れたシャベルが他の登山者に当たったら大惨事ですし、ていうか、本人もヘタすると朝のツルツルの雪面で止まらなかったらどうするのさというお話なわけで、これは大反省です。
4) 痛いところがある
今回は登りで左の腸腰筋の裏側と腰方形筋、下りで左足の小指と人差し指が痛くなりました。腰方形筋はポールを使いだしたら改善されたのですが、その他はいかんともしがたく。シューズやザックが合っていないのかどうなのか、ちょっとしらべてみなきゃですね。
で、ここからは蛇足。自分が書きたいだけで、私以外のすべての人にとっては極めてどうでもいいことが書いてあるので、元のページにお戻りくださいw
そもそも今回の山行の日程を限定していたのには理由があります。それは、先日死んだ彼女の四十九日が5月13日だからという、そんな理由からです。私は全く山登りに魅力を感じない人間だったのですが、それでも「いつか一緒に山に行きたいねえ」なんて言われて「うーん、そのうちね」なんて返してるうちに、ちょっとずつ自分の山道具も揃えて、旅行に行ったついでにちょっとしたハイキング程度のことをしたりもしました。アイゼン使ったことがあるってのは、その時の話だったりもします。
でも、もう彼女と山に行くという約束を果たすことはできません。イロイロな事情があり、彼女の四十九日に立ち会うことができない私は、それじゃあその日に、彼女が山登りを始めるキッカケとなった御嶽山に登ろう。そして、最後のお別れをしようと思い立ったわけです。
幸いなことに(というかなんというか)彼女と私は体格が非常に近く、ザックもウェアもシューズもそのまま無理なく使えるので、そんなわけで私が使用している道具は、結構な割合でレディースものだったりするわけです。
で、本題。そんな理由で今回の山行を計画し、その練習として丹沢の塔ノ岳に登り、本番の御嶽山をクリアしたわけで、これで本来の意味で言えば私が山に登る理由がなくなってしまいました。
でも、ですね。
練習で行った塔ノ岳は天候のせいもあり、ただただひたすら苦行でございました。でも、ですよ。今回の御嶽山は天候にも恵まれ、スキーで見てきた雪山の素晴らしさとはまた違った美しさに触れ、山で泊まることの心細さと楽しさを知り、去りゆく太陽と新たに生まれる太陽を、あの広大な御嶽山でただ独り占めするという僥倖を与えられ、こんなことを言うのもなんですが、彼女にお別れをできたという満足感と達成感以上のものを、山から与えられました。
自分でも信じられないことですが、帰りの中央道から見える八ヶ岳(彼女が好きな山でした)を見て「あれを縦走したら楽しいかなあ?」とか、東富士五湖道路から見える富士山を「一回は富士山でも登ってみるかなあ?」などと思っていたのです。そして、今思えばあんなにしんどかった塔ノ岳の後、私は今回の御嶽山を、実はちょっぴり楽しみにしていたのです。
文章や写真の端々からひょっとしたらお分かりいただけるかもしれませんが、私はクルマの運転という第一の趣味があるので、山に人生を捧げるようなことには間違ってもならないと、それだけは断言できますw でも、この先、山登りというものを、趣味の一つに加えようかどうしようか、とても迷っていると同時に、そんなことを迷うようになった自分自身に少なからず戸惑っています。
なんか訳のわからないことをツラツラと書いてまいりましたが、もしこの先私の山行記録が増えなかったとしたら「あ、この人は当初の目的を達成して、満足して山登りをやめたんだ」ということになるでしょうし、もし遅いペースながら増えていったとしたら「あ、この人ちょっと楽しくなっちゃってるw」ということになるでしょう。
というわけで、まだ見ぬ未来の自分のために、この文章を残しておきます。さあ、どうする、俺。
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