蝶ヶ岳〜徳本峠〜霞沢岳☆名峰を紡ぐ静寂の中村新道


- GPS
- 15:45
- 距離
- 36.2km
- 登り
- 3,028m
- 下り
- 2,800m
コースタイム
- 山行
- 7:14
- 休憩
- 0:18
- 合計
- 7:32
- 山行
- 7:27
- 休憩
- 1:02
- 合計
- 8:29
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
いずれのルートも良好に整備された登山道 |
予約できる山小屋 |
蝶ヶ岳ヒュッテ
|
写真
感想
8月の最後の週末は晴天が続く予報ではあるが、とりわけ残暑が厳しいようだ。名古屋をはじめとして東海地方の各所では40度の予報、京都でも39度の予報となっている。この暑さの予報を見ると避暑に出かけたくなるのは当然のことだろう。
京都から松本に向かう夜行バスはかなり先まで満席となっているのだが、木曜日に検索すると松本に早朝の6時20分に到着する夜行バスにキャンセルによる空席が出たようだ。反射的に席を確保する。この時間に松本に到着すればば北アルプスの様々な山行の選択肢があるだろう・・・と安易に考えるのだが・・・
信濃大町から七倉山荘まで裏銀座登山バスが二年ほど前から運行されている。まずはこのバスを使って烏帽子岳か七倉岳に向かうことを考えるのだが、このバスに乗り継ぐにはもう一声早く松本に到着する夜行バスでないと間に合わないことに気が付く。となれば信濃大町から扇沢行きのバスは頻繁にあるので、先々週に訪れたばかりではあるが、爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳や五竜岳に向かって北上するのはどうだろう。まず冷池山荘にテント場の予約をすべく電話をかけたところ、熊の目撃情報があるので種池山荘と共にテントの受付をしていないとのこと。
次に目を向けたのがは餓鬼岳から燕岳への丸山新道を経る縦走である。餓鬼岳小屋に電話をかけるがこちらは小屋もテント場も満員とのこと。応対に出たのはおかみさんと思しき女性であったが「週末は大変なんです」と言って、電話を切られた。餓鬼岳は訪れる人の少ない静かな山と聞いてはいたが、満員御礼とは意外であった。
そこで以前より気になっていた霞沢岳と蝶ヶ岳を結ぶ縦走を脳裏に浮かぶ。ここを最初に考えなかったのは通常は二泊三日を要する行程であることと、夏季よりも紅葉の季節がいいのではないかと考えていたからであった。しかし、多少の無理をすれば一泊二日でも不可能ではないだろう。
蝶ヶ岳の登山口となる三股登山口には今年から安曇野市が登山バスを運行していることを知る。ホームページで確認すると日曜日の午後の下山便は既に予約で満員となっていたが、土曜日の午前の第3便は空いているようだ。電話をすると「最後の一席が空いています」とのこと。次いで徳本峠の小屋に電話すると、「テント場は人数を制限していますが、あと一人ならなんとか・・」とのことだった。
これでようやく山行計画が決まる。コース・タイムは11時間と40分。三股登山口にバスが到着するのは9時半なので、夕方までに徳本峠に到着するにはコースタイムをかなり短縮することが前提となる。今回はリュックの中身をそれなりに切り詰めることにしたが、テンプラニーリュの赤ワイン、鴨肉とバケットは携行する。
松本駅を7時48分に出発する大糸線に乗り込むと、3両編成の車内は閑散としており、少ない乗客の多くは登山者だ。すぐにも車窓には一際、存在感のある常念岳のピラミダルな山容が映る。その左手の続くたおやかな稜線がこれから縦走する予定の蝶ヶ岳からの稜線だ。
穂高駅で降りると、中房温泉行きのバスはこの列車に接続するが、三股行きのバスは30分以上待たなくてはならない。定刻に到着したのは小さな8人乗りのバンであった。バスは途中で温泉施設に寄っていくが、これらの施設にも登山者用の駐車場が設けられている。「ほりでーゆ」から乗り込んできた女性客に運転手がもう一人いませんでしたかと聞いているので、予約したにも関わらず乗らなかった人がおられるのだろう。どこの山でも女性の登山者が多いが、バスの他の乗客は単独行の男性一人以外は全て女性であった。
三股登山口が近づくと道路沿いにはいくつもの大きな駐車場があるが、いずれもが満車状態のようだ。今年は常念岳への一ノ沢登山口に通じる林道が崩落のために通行止めとなっているせいで、この三股登山口に集中しているのだろうが、それにしても山の上はかなりの混雑が予想される。
バスが登山口到着すると、登山地図を取得していなかったことに気が付く。登山口の綺麗なトイレに安曇野市のWifiの案内がある。無事、地図を取得するといざ登山開始である。
林道の終点から登山道に入るとすぐに常念岳との分岐がある。蝶ヶ岳への登山道に入ると、最初は沢沿いの左岸を緩やかに登ってゆく。常念への一ノ沢の登はじめに似た雰囲気だ。本沢にかかる小さな吊り橋で対岸に渡るといよいよ本格的な登りが始まる。それにしても気温が上昇するのが早いようだ。早速にも大粒の汗が噴き出すことになる。
登山道では下山の登山者と続々とすれ違う。前日に蝶ヶ岳で泊まらられた人達だろう。すれ違った少し年配のカップルが「この登山道は階段が多い」と話しておられる。確かにゴム板を間に挟み二枚の板を組み合わせた木製階段が延々と続く。階段を整備するだけでも大変だろうが、この階段を作ること自体にもかなりの労力がかかっているだろう。この階段のおかげで効率的に高度を稼ぐことができるので、なんとも有難い。
登が緩やかになったと思うとベンチが設置してある広場に出る。道標にはまめうち平と刻まれている。休憩所を過ぎると途端に道は平坦となり、緩斜面に広がる林宗の美しさを楽しむ余裕を味わうことが出来る。
登山道が斜面をトラバースす気味に登ようになると、沢の谷の対岸に常念岳が見えるが、その山頂部は雲で覆われている。雲の下縁の高さはここよりもわずかに高いので、およそ2200mほどだろう。ということは、この登山道もまもなく雲の中に入るのだろう。再び急登が始まるとすぐにも登山道の周りはガスで覆われる。
いつしか高木の樹林を抜け出し、ダケカンバの低木と草地が広がるようになる。斜度が緩やかになり、一面のお花畑に出たと思えば大滝山への分岐がある。どうやら森林限界を出たらしい。ハイマツの茂みの間を進むと、その先から賑やかな声が聞こえる。
ハイマツの間から蝶ヶ岳の広々とした山頂部に飛び出すと、臙脂色の大きな山小屋に彼方に槍ヶ岳から穂高岳にかけての大展望が視界に飛び込んでくる。穂高岳の山頂には雲がかかっているが、折しも、雲の中から槍の穂先が姿を現したところだった。稜線の東側は雲で覆われているのだが、稜線を境にその西側は晴れているのだった。穂高連峰から視線を左に移すと存在感のある鋸歯状のピークが見える。これから向かう霞沢岳だ。それにしても、ここあら霞沢岳に向かって伸びてゆく尾根のなんとも長大に感じられることか。
この蝶ヶ岳からの大展望を前にすると、ここでテントを張って泊まってもいいのではないか・・・という気にすらなる。しかし、この蝶ヶ岳山頂はあまりにも大勢の人で賑わっており、単独行の身にはなんとなく居心地が悪いような気がした。それに驚いたことに山頂手前のテント場は驚くことにほとんど埋まっているのだった。時間はまだ13時前だというのに。
そう、小屋からの展望に見惚れてここでのんびりしている余裕はない。この日の行程は距離にしてまだ1/3しか歩いていないのだ。雲しか見えたに小屋の東側のがら空きのベンチで行動食でランチを済ませると大滝山への吊尾根に踏み出す。
お花畑の中を下降して行くと、まもなくオオシラビソと思われる針葉樹の樹林の中に入る。蝶ヶ岳への登山道とは雰囲気が一転したのは他の登山者の気配が全く感じられなくなったからであろう。萌沢山と呼ばれる小さなピークに登り返すと尾根は大きく広がり、登山道沿いには小さな池塘が次々と現れる。池塘の周囲に広がる草原からは尾根の先に樹木のないなだらかなピークが見える。大滝山だろう。
尾根の起伏が少ないせいか遠くに感じられる。再び樹林を抜けて、広々としたお花畑を緩やかに登ると、大滝山まで1kmと記された小さなプレートが目に入る。お花畑から振り返ると、蝶ヶ岳から辿ってきた尾根を俯瞰することが出来る。
ハイマツ帯となり好展望の稜線に出ると一組のカップルが休憩しておられる。深い槍沢の谷を挟んで対岸には穂高連峰の展望が広がり、ここも格好の展望台である。大滝山の山頂はもう少し先のようだ。男性が「あと1kmとあったけど、ほんまかな」と仰るのも頷ける。
たおやかな尾根に広がるハイマツと灌木の間を進むと突然、周囲にテントが4張ほど張られた小さな広場に出る。そこが大滝山の山頂であり、大滝山荘指定のテント場になっているようだった。私がテン泊装備であることを察知したテントの男性が「どうぞ真ん中に」と仰って下さるが、「徳本峠まで行きますので」と辞退する。
山頂から樹林帯の中に下降するとすぐにも大滝山荘の小屋に辿りつく。小屋の前にはベンチとテーブルがあり、トレラン・スタイルの男女三人のパーティーが休憩しておられた。男性はビール、女性はコーラを飲んでいる。三人は松本駅から三郷スカイラインと呼ばれるルートを経由して駆け上がってきたらしい。「この大滝小屋の営業は今日までですから、飲んでいった方がいいですよ」と女性が仰る。まだ先が長いのでビールの誘惑には抗うことが出来たが、コーラの魅力には抗うことが難しかった。
小屋の主人にコーラを注文するとよく冷えたペットボトルを出してきて下さる。行き先を聞かれたので、徳本峠と応えると「長いぞ〜」と云われる。距離にするとここで漸く半分である。時間は14時過ぎであるが、ほぼ計画通りの時間である。夕方までにはなんとか徳本峠に辿り着くことが出来るだろう。
小屋から小さなピークに登り返すと今度は東側に大きく展望の開けた広場に出る。大滝山の南峰であり、三角点の柱石があった。いつしか東側の雲も晴れたようだ。眼下には松本盆地の展望が大きく広がる。大滝山からの降りの斜面からは徳本峠に向かう尾根が目に入る。ここから先は延々と樹林が続いているので、展望を得る機会もほとんどないだろう。
この大滝山荘から徳本峠に至るおよそ9kmのルートは中村新道と呼ばれ、その名称はこの道を切り拓いた蝶ヶ岳ヒュッテと大滝山荘の先々代の小屋主である中村喜代三郎氏に由来する。北アルプスのルートの中でもこの中村新道を歩く登山者は極端に少ないが、林相を楽しむことの出来るルートと蝶ヶ岳ヒュッテのHPには記されている。
すぐにも登山道はオオシラビソの樹林に入り、尾根の西側の斜面をトラバースするように進んでゆく。上空の雲からこぼれ落ちる午後の光が樹林の中を気まぐれに明滅させる。木漏れ日が溢れると樹林の中はかなり明るいが、光が消えると途端に陰鬱な様相を帯びる。確かに展望もなく地味で長大であるが故に敬遠されるのであろうが、それ故にこのルートに静寂という魅力を生じさせているとも言える。森閑とした樹林の中に熊鈴の音をこだまさせながら、黙々と進む。
緩やかな下降が登りに転じると槍見展望台のある三角点ピークが近いのだろう。ここでも「槍見台まで1km」との道標が現れるが、その1kmがなんとも長く感じられる。ようやく槍見台の小さな櫓を見出すことが出来たのはピークとは思われない平坦な樹林の中であった。櫓の上に登って見ると櫓の丸太には折れているものもある。慎重に櫓に乗ると、確かに樹幹の上に槍ヶ岳や穂高岳を眺望することが出来る。
槍見台からは樹林の雰囲気が変わり、林床には一面のチシマザサが繁茂するようになる。少し進んだところで「徳本峠まで4km」との道標が現れる。地図では広い尾根には瘤のような小ピークが不規則に並び、登山道は律儀に小ピークを超えて行くことになる。地形的には面白いところではあるが、延々と同じような景色が続くことに加えて、小刻みに繰り返されるアップダウンが疲労を募らせる。尾根が大きく下降に転じたところで笹原の斜面の下に臙脂色の小屋の屋根を見出した瞬間には安堵の息をつく。
登山道は小屋の裏手に着地する。表に回り込んでも小屋番の姿が見当たらない。小屋の前のテント場では数名にパーティーが宴を広げていた。その中の一人、女性が立ち上がって「あら、蝶ヶ岳からいらしたの?」と話しかけて来られる。「長かったでしょう」・・・御意である。「実は私も先週に蝶ヶ岳からここまで縦走したところなの・・・この中村新道を歩いてみたくて」
上述のようこのルートを歩いく人は極端に少ないという話であるが、ここを歩いた人と出遭うこと自体が驚きだろう。それよりも、私よりも年配で、一見、上品で華奢に見えるご婦人の風貌からはその言葉が意外にも感じられた。敢えてこのルートを選択したということは北アルプスの大概のルートを歩き尽くした人が一般のルートに飽き足らなくってのことではなかろうか・・・
テントを張り終えて、宴を人に水場の場所を聞くと、そのうちの一人の男性が3リットルの水を担ぎ上げてきて水が十分あるので・・と水を800mlほど分けて下さる。男性は私のテントの対面に張られた珍しいワンポール・テントの主であった。テントを選ぶのに今のテントとかなり迷ったのがsix mooのlunar soloであるが、実物を見かけるのは初めてだ。早速にもテント談義に花が咲く。
男性は単独行であるが、金沢ハイキング倶楽部の方達と一緒に宴を楽しんでおられるのだった。先ほどの上品なご婦人が丸太のベンチの隣に席を空けて下さるので、遠慮なくご相伴させて頂くことにする。山行の話をお伺いすると、どうやらハイキング・クラブとは名ばかりで、かなりハードな山行をされるようである。近々、穂高からジャンダルムを経て西穂高に至る山行が計画されているらしいが、隣のご婦人は「若い頃に縦走したわよ」と事も無げに仰る。どうやら先ほどの直感は正しかったようだ。
ハイキング倶楽部の方々と歓談しているうちに急速に夜の帷が降りてくる。気が付くと時計は9時を回っていた。皆さんがテントに引き上げた後で、小屋の裏手に回ると、天の川に向けてシャッターを切る。星屑のような流れ星が落ちていった。
翌朝4時になると多くのテントから一斉に目覚ましの音が聞こえる。他の方々はテントを張ったまま霞沢岳に往復されるらしい。テントのアウターは結露でしとどに濡れていたが、撤収することにした。というのも、今回はポールを一本しか携行していないので、テントを畳まない限りポールが使えない。準備を整えて出発しようとすると、テント場の奥から昨日の上品なご婦人もリュックを背負って出て来られる。ご挨拶をして先発させて頂く。
登山道はすぐにジャンクション・ピークと呼ばれるp2428への急登を九十九折りに登ってゆく。まもなく小屋に泊られた単独行の女性に追いつく。登山道を外れて尾根の左手の草原に足を踏みいれてみると、朝日が雲の上に顔を出すところだった。大滝山の上からは朝陽を浴びて黄金色に輝く滝雲が流れ落ちていた。
ジャンクション・ピークの山頂からは東側のみに展望が開けており、雲海の上に昇ってゆく朝日を眺めることが出来る。ピークからは尾根の雰囲気は一転し、広く緩やかな斜面にh林相の美しいシラビソの樹林が広がっている。尾根の左手には樹間から霞沢岳が見えるが、その山頂部には笠雲がかかっている。眼下には霞沢の広い谷の展望が広がり、その彼方には朝陽に輝く乗鞍岳と御嶽山を遠望することが出来る。
樹林の中に黒黒とした水を湛える池塘が現れると、標高点2261の鞍部に至る。細尾根を辿り小さなアップダウンを三回ほど繰り返すと、いよいよ眼前にはピラミダルなK1への急登が迫る。先ほどまで山頂部にかかっていた雲は跡形もなく霧散したようだ。かなりの急登が連続するが斜面にはお花畑が広がる箇所が多く、梓川を挟んで穂高連峰の迫力ある岩峰群が展開する。
急登を登つめてようやくK1のピークに至るとその狭い山頂からは360度の展望が広がる。南にはK2とその向こうに霞沢岳の本峰が指笛の音がかすかに聞こえたかと思うと、驚くことにK2のピークの上に人が立っているのが見える。
ハイマツや石楠花の広がる灌木帯を進み、霞沢岳の本峰に辿り着くと、先ほどのK2の上に見かけた単独行の男性が行動食をとりながら休憩しておられるところだった。4時頃に徳本峠を出立されたとのことだった。ジャンクション・ピークから早朝の穂高連峰の景色を期待しておられたらしいが東側の展望のみでがっかりされたとのことだった。
山頂の小さな山名標には「霞」の字の上に無数の傷がついている。熊による仕業に思えるが、ここまで熊が登ってくることに驚きを禁じえない。平坦な山頂部には南端に向かってハイマツの間にかすかな踏み跡があるようなので、先に進んでみる。南端からは山を囲むように流れる梓川の深い谷を俯瞰することが出来る。細い踏み跡はさらに西側に伸びる尾根に続いているようだった。
山頂での景色を堪能すると徳本峠への長い復路につく。K1の手前で昨日、水を分けて下さったlunar soloの男性とすれ違う。K1からの降りでは金沢ハイキング倶楽部の方々や小屋泊まりの登山者達とすれ違うが、ジャンクション・ピークへの鞍部を死ぎると全く人に出遭わない静かな山行となった。
ピストン往復の復路というのは短く感じられるものではあるが、ジャンクション・ピークへの長い登り返しは流石に長く感じられる。しかし、先へ先へという逼迫感に駆られていた往路と違って、シラビソの美しい林相を愉しむことが出来たのかもしれない。
徳本峠への下降の樹間からは常念岳が垣間えるが、この日もそのピークには早くも雲がかかり始めている。徳本峠と黒沢への分岐にデポしておいたリュックを回収すると、明神に向かって下降する。降るにつれ、急速に暑さが堪えるようになる。携行していた水がほぼ枯渇するところだったので、早く水場に辿り着きたいところではあったが、意外と水場が遠い。徳本峠小屋のHPでは小屋から降って10分とのことではあったが、水場からは小屋までは少なくとも15分は要するだろう。改めて昨日の水を分けて下さった男性のご厚意に感謝するのだった。
梓川沿いの林道に合流すると上流から降ってきた登山者達が多く歩いている。明神館に辿り着くと林道を歩いて明神池に向かう人々の多さに吃驚する。上高地からのバスの予約の時間は13時20分であり、時間は十分にあるので梓川右岸の自然散策路を歩いて河童橋に向かう。
数年前に上高地を訪れた時と異なるのは外国人、特に中国人の姿が目立つように思う。また観光客でも熊鈴をじゃらんじゃらんと鳴らして歩いている人が目立つのは昨今の熊の襲撃事件による影響だろう。
右岸の散策路は美林の中を歩いたり、時には木道で湿地の中を歩いたり、立ち枯れの樹々が立ち並ぶ水辺を歩いたりと変化に富んでいる。すれ違う観光客が(左岸に比べて)こちらの遊歩道の雰囲気がいいと話しているのが聞こえてくる。前を歩いている若い女性達の歓声が聞こえてくるので、何かと思えば木道の上に猿の群れがいるのだった。猿達は完全に人に慣れており、全く警戒する気配がない。群の中の小さな子猿がなんとも可愛らしい。
河童橋のあたりはさらに多くの人で賑わっており、橋の周辺の食事処はいずれも行列が出来ている。河童橋を過ぎると急に人が少なくなる。目当ての西糸屋山荘でお焼きとビールを購入すると山荘の前のテラスで一息つく。ビールはすぐに飲み干してしまうが、涼風に吹かれながら赤ワインを傾け、バスの時間までの最後の快適なひとときを味うのだった。
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