【写真更新】読売新道を登り赤牛、水晶岳そして雲ノ平

- GPS
- 97:27
- 距離
- 58.8km
- 登り
- 4,519m
- 下り
- 4,600m
コースタイム
2日目:奥黒部ヒュッテ5:00-14:15赤牛岳-15:45 BP
3日目:BP 6:00-9:20水晶岳-10:00水晶小屋10:45-11:00ワリモ分岐-11:30ワリモ岳-12:00鷲羽岳-13:00ワリモ分岐-14:00祖父岳-15:00雲ノ平テン場
4日目:雲ノ平テン場7:00-11:45薬師沢小屋12:15-16:00薬師沢テン場
5日目:薬師沢テン場6:00-9:00折立
| 天候 | 1日目、2日目は大雨、3日目、4日目は曇り時々雨、時に大雨、5日目は晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
扇沢〜黒部ダム:トロリーバス 折立〜富山駅:登山バス |
| コース状況/ 危険箇所等 |
平ノ渡〜奥黒部ヒュッテ:1箇所登山道が修復中です 奥黒部ヒュッテ〜赤牛岳:前半部分は木の根っこが滑りやすくて気を使います(雨天時) 雲ノ平〜薬師沢小屋:急な下りで、雨天時はとても滑りやすい |
写真
感想
一昨年は折立から雲ノ平、三俣蓮華、双六を経て新穂高へ抜けた。昨年は室堂から薬師岳、黒部五郎、双六を縦走し新穂高へ。そろそろ行けるのかな、と計画したのが読売新道。北アルプスを歩き始めてからずっと気になっていたが、諸々情報を得るに難易度が高そう。でも行ってみたい。膝に不安がある我々はきつい坂は上りより下りがつらい。であるなら、登りで通過し、一昨年は雨と濃霧で足元の木道しか見られなかった雲ノ平をリベンジするべ、と決めてしまった。
とは言え、あの読売新道を登りで一気に抜けられるのだろうか。まして今回は全てテント泊を考えている。そうなると、奥黒部ヒュッテから水晶小屋を越えて、雲ノ平テン場まで行かないとならない。これは難しいぞ。色々と思い悩み色々と情報を集めて・・・臨みました。
■1日目
とっくに梅雨明けしているはずなのに、北陸地方は未だそれが宣言されていない中、山行予定日がやってきた。気圧配置は極めて不穏です。そのせいか夜行バスは空いていて過ごしやすかった。扇沢で仲間と落ち合いトロリーバスを待っていると雨が降り始めた。黒部ダムで降車し歩き始めると、どんどん雨足が強くなる。やがて、シャワールームでコックを最大開にしたような状況になった。
登山道では必要箇所には丸太の足場が整備されており大変助かる。しかし大雨になると丸太がよく滑るので緊張が抜けない。強い雨の中、うつむいて、雨具の中に盛大に汗をかきながら平ノ小屋に着いた時には、登山靴とスパッツの防水効果もかなわず靴下はじゃぶじゃぶの状態。この山行中、すっかり乾いた衣類と靴下には、これ以降お目にかかれないことになった。
小屋のご主人達とももちゃん(犬)と楽しく過ごさせていただき2時の船に乗り対岸へ渡る。こういうアクセントも楽しくていいな。再び歩き始めると、ルートの険しさが増すと同時に丸太の足場が増え、スリップの頻度が増した。気を付けていても、まるで氷に乗ったように足が流れる。それでも、奥黒部ヒュッテに着き、お風呂をいただきビールで乾杯すると、雨中テントも楽しい。明日は晴れますようにと願いながら眠りについた。
■2日目
3:30起床。ザーザー雨が降っている。気を削がれた。ぐずぐず支度してグチョグチョの靴に足を突っ込んで出発したのが5:00。息を喘がせ急坂に挑むが、網の目のような木の根っこがチュルチュルと滑り悩まされる。20kgを超える装具が水を吸って更に重くなり肩に食い込む。ゴアと言えども限界があり蒸し風呂状態に眼が回る。それでも強かった雨が落ち着き始め、時に止み、一瞬のガスの切れ目から素晴らしい景観が望め元気付けられる。赤牛岳山頂に着いた時には、予定コースタイムを大きく超過していた。さらに氷のように冷たい雨が横殴りに降り、雷が鳴り始めた時点でビバークを決定。首をすくめるようにしながら、風を避けられる場所を探して早足で歩いた。
■3日目
一晩中ごうごうと風が響いていた。昨日は行程の遅れに急かされ食事を後回しにしたせいでシャリバテの傾向もあった。しっかり朝食を摂り6:00出発。曇り、時折にわか雨が降る程度で展望もそこそこ良く、楽しくなってきた。「黒い山」水晶岳を越え水晶小屋に到着。小屋の方に、奥黒部ヒュッテから昨日定時連絡を受けていたが到着しないので心配しました、と声をかけられた。恐縮しきりで顛末をお話しした。ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。ここで、かねてから欲しかった「黒部の山賊」を購入。この小屋のきちんとした雰囲気には好感が持てました。「黒部の山賊」にも満足。
ワリモ岳分岐にザックをデポしてワリモ経由鷲羽岳をピストン。ザックを置くと体が羽のように軽い。走るように往復した。黒部ダムから立ち上がる長大な尾根筋、赤牛、水晶の姿。雄大な裏銀座尾根。眼前に広がる雲ノ平。向こうには雪渓を幾筋も身にまとった薬師岳。やや左に目を転ずるとダイナミックな輪郭の黒部五郎。どんなにしんどくても山歩きはやめられない。
祖父岳経由で雲ノ平テン場に到着。眺めは最高で、美味い水がある素敵なキャンプサイト。ここに停滞してあちこち歩くなんて最高だな。高天原で温泉に浸かったりして。リタイアしたら絶対やりたい。
■4日目
午前中は雲ノ平の各庭園をじっくりと見て歩く。前回は雨とガスで足元の木道しか記憶に無かった。今回は、午前中青空にはならなかったけど充分な展望だった。雲上の楽園とはよく言ったものだ。池塘と這松が一面を覆い、溶岩流で出来たのか複雑な姿の岩が随所に盛り上がり、職人さんが作った庭園のようだ。様々な花が咲き乱れて池塘の水面に色鮮やかに反射する。まだ沢山残っている雪渓も良いアクセントだ。少し歩いてはため息をつき、また少し歩いてはカメラを取り出す。ちっとも前進できなかった。ずっとそこにいたかったけど、太郎平方面へ向かいます。
薬師沢への下りはゴロゴロ岩の急坂で苔もたっぷり。雨上がりのこの日も、すごく滑って恐ろしかった。でも苦労して下り、薬師沢小屋に着いてから、白く泡立つ瀬やコバルトブルーの淵を眺めながら食べるラーメンはめちゃ美味しい。沢登りもやりたいなぁ。
太郎平への登りをうしろ髪引かれながらゆっくり歩く。やがてカッペケヶハラ。黒部の山賊で数々の怪異が報告されており興味深い。ニッコウキスゲやコバイケイソウが咲き誇っている。やがて雷が鳴り始め、こわいこわいと歩く。今回の山行では午後になると必ず雷が来た。太郎平小屋に着きビールを購入し薬師峠テン場へいそいそと歩いた。たまたま一緒になった青年と乾杯。幸せな瞬間です。ちなみに、ビールはテン場の受付にも売っていました。でも、5時で閉まっちゃいますから気を付けて。
■5日目
折立10:30のバスに乗りたくて、テン場を6:00出発。最終日はドピーカン。なんでやねん。好天のせいか登山者がひっきり無しに登ってくる。早々と9:00に着いてしまい、靴やスパッツを洗いのんびりした。バスは既にそこに止まっている。予約をしていないので乗れるのか、並ばなくてよいのか気になるが、係員さんは「そこらで待っていてくれたらいいですよ」とふんわかしている。大きなバスなので大丈夫なんでしょうね。実際余裕で乗れました。我々は後ろに座っていて見られませんでしたが、出発してすぐ熊が2頭見えたそうです。
約2時間で富山駅到着。駅そばにある銭湯観音湯でさっぱりして、富山のおいしい魚で反省会しました。
読売新道は侮れませんでした。もっと歩荷訓練してから臨まないとだめだったと反省。奥黒部ヒュッテから赤牛岳の山頂までにすれ違った人は、僅か1名。行かれる方は慎重にどうぞ。とは言え、雄大な稜線を常に見続けながら歩き通せるこのルート。日本じゃないみたいです。wildnessという言葉がぴったりでした。
大雨には参りました。私の防水機能ゼロの旧式デジカメは初日に逝ってしまいました。この記事の写真はかろうじて携帯で撮ったものです。
連日の靴への浸水で足の皮膚がふやけて、よじれて、今までに見たことのない紐状のマメが出来て、すげー痛いです。替えの靴下を充分に持って行きましょう。
<後日、写真更新>
私のカメラが大雨のため初日で壊れてしまい写真が寂しかった。同行した仲間の写真をいただきましたので、掲載させていただきました。このエリアに行かれる方々の参考になれば幸いです。
コメント
この記録に関連する登山ルート

















かねてから行きたいと思っていました。
雨の中ご苦労様でした。
今週末から行きます。
3日新穂高温泉〜双六小屋 テント
4日〜水晶小屋
5日〜奥黒部ヒュッテ テント
6日下山
の予定です。お天気は良くなるみたいです。
それで、今年の記録を求めていました。問い合わせもして、登山道は工事中だが通れると聞きました。
実際に歩かれてどうだったですか?
お天気が良くて、下りならそれほどの危険箇所はないでしょうか。
mayutsuboさん
奥黒部ヒュッテからダムに向かい、平ノ渡の少し手前ですが、登山道が崩落して、丸太がその下に渡してある場所がありました。そこはその丸太を頼りにヘツルことになります。慎重に超えれば大丈夫ですし、その頃には直っているかも。
赤牛から下る場合、後半の樹林帯での「木の根」でしょうか。乾いていれば大丈夫でしょうが、濡れていたら相当滑ります。急坂ですから、ただ転んだりしただけでも怪我の恐れありです。
素晴らしいルートですから、慎重に、楽しんできてください。
今のところお天気は良さそうですが、午後は雷雨になることもありますね。
あせらないためにも、水晶小屋を暗いうちに出て、水晶岳でご来光を見るようにしたいと思っています。
下りは苦手なので慎重に下ります。
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