間ノ岳・農鳥岳縦走〜農鳥小屋のオヤジさんに活を入れてもらうはずが・・・〜


- GPS
- 32:00
- 距離
- 22.8km
- 登り
- 2,294m
- 下り
- 2,975m
コースタイム
- 山行
- 6:05
- 休憩
- 1:26
- 合計
- 7:31
天候 | 1日目:快晴,2日目:霧時々晴れ(強風) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
私の感じた危険箇所は2箇所。 ・大樺沢の雪渓 雪渓は傾斜があり、滑って転んでいる人が多数。雪渓を辿るならダブルストックと軽アイゼン位は必要と感じました。雪渓を避けるなら左岸の踏み跡を辿りますが、浮き石が多く、バットレスから流れてくる急斜面の沢の徒渉もあるので、十分注意する必要があります。山なれていない方は、二俣から右俣コース経由で北岳に向かう方が無難ではないかと感じました。 ・大門沢の下り 激下り後、後半はいくつも沢を渡ります。桟道(斜めになって歩きにくい)から足を踏み外さないように。1箇所は桟道もなく(流されてしまったと思われる)、水量の多い沢を徒渉することになります。疲労が蓄積しているころですが、気合いを入れて後半に望んで下さい。 |
その他周辺情報 | 西山温泉、湯島の湯(550円) |
写真
感想
20年振りの南アルプス。白根三山はどうかとインターネットで調べてみたら、出るわ出るわ農鳥小屋のオヤジさんの情報。数々の情報を精査すると、登山者が遭難しないように歯に衣を着せぬ言い方で登山者に指導している様だ。そういえば、かつての山小屋の主人はこういう気質の方(例えば鎌仙人)が多かった。昔気質のこのオヤジさんの心意気に魅力を感じ、是非とも自分にも活を入れてもらいたいと縦走を決意。昔ながらの山小屋の雰囲気を残す農鳥小屋にも泊まってみたい。ただし、到着が15時を過ぎると「常識外れだ」と叱られるので、北岳山荘に12時前に到着したら、電話連絡して農鳥小屋に向かおう。
自家用車で自宅を出発。奈良田の登山者用駐車場で仮眠を取ってから、広河原行きの始発のバスに乗り換える。乗客は60〜70名ほどで、2台のバスで向かう。
6時23分、広河原を出発。多くの登山者は、大樺沢経由で北岳を目指す。大樺沢上部には多くの雪が残っていた。私はアイゼンを持ってきていなかったので左岸の踏み跡を頼りに登っていった。雪渓をトラバースをするところでは、多くの登山者が転倒したりして、その通過に難渋していた。雪渓から小尾根に取り付く地点ではバットレスが良く見え、お腹もすいてきたので、ちょっと早いが昼食にする。酎ハイも開ける。
木の梯子ばかりの登りにバテて、八本歯のコルに着いたのは11時50分。間ノ岳が大きくて立派だ。農鳥小屋まで行くには、11時には到着していなければならない。ここで、今日の泊まりは北岳山荘と決め、のんびりと歩いて行くことにする。北岳直下の登りも這々の体。北岳の頂は2回踏んでいるので、今回はパスすることにする。お花畑を楽しみながら、コルから山荘までは1時間半かけて歩いた。
明日は早朝に出発するので、夕食付き朝食なしの宿泊で申し込む。「訳ありビール」を購入して、午後の山並みを見てのんびり過ごす。至福のひととき。隣に座ったテント泊まりの登山者と色々と情報交換をして談笑。北岳山荘は、まるでホテルのような設備の行き届いた山小屋であった。
翌朝は、おにぎりを1個食べてから、ヘッデンをお伴に3時45分に出発。一面霧、風も強い。中白根に近づくと横なぐりの雨が降ってきた。予報では天気は良いはずなのに、さてどうしたものか。中白根の頂きでは、風雨を避けるため岩陰に隠れ、30分以上座り込み、天気の回復を待った。しばらくすると東方向の霧が赤くなる不思議な光景を目にした。根拠はないが、これは天気が回復する前兆だと確信し、間ノ岳方面に足を踏み出した。
間ノ岳に向かうと霧がどんどん晴れてきた。南アルプスの雲を纏った雄峰たちが次々と姿を現した。キャッホー、素晴らしい。しかし、風は相変わらず強い。時々、飛ばされそうになる。間ノ岳到着5時55分。2回目の登頂。展望は良いが、風が強いので休息もそこそこに山頂を後にする。
さて、これからが今回のハイライト(難関)である農鳥小屋通過だ。小屋から観察されているかもしれないと緊張し、なおかつ隙を見せないように間ノ岳の大下りを下って行った。いよいよ、農鳥小屋通過。黄色ペンキで描かれた、有名な「ウケケケ」の文字も確認できる。小屋の間を抜けたら「道標の字も読めないのか!」と怒られたとの情報もあるので、左側の正規の登山道方向の広場に進み、ザックを下ろし10分の小休止。農鳥小屋は、北に間ノ岳、南に農鳥岳を仰ぎ、正面には富士がドカッと座る良いロケーションにあった。果たしてオヤジさんは出てこなかった。わざと大声で一人言を語るも反応なし。ただ、風の音だけが響いていた。念のため、売店にも行ってみるが、シャッターが降りていた。結局、オヤジさんと会うことができなかった。ホッとするやら淋しいやら、複雑な思いで小屋を後にする。7時18分。オヤジさんに言わせるなら、「のろま」な人が、奈良田に降りることができるギリギリの時刻だ。
西農鳥岳は8時12分に到着。頂きは風が強くて居られないので、ちょっと下った岩の影に隠れ、パンにオレンジやミニトマトの朝食を取った。農鳥の稜線は特に風が強く難儀した。弱まる瞬間がまったくない。時々、吹き飛ばされそうになるので、防風体制を取る。途中、雲を纏った北岳の鋭くてカッコイイ姿を目にするが、風で撮影どころではない。農鳥岳の頂きには9時07分到着。はじめての頂上。頂上から一段下がったところは風も当たらず、ゆっくりと休息ができた。ここまで大事に持ってきた特保のノンアルビールとビーフジャーキーでくつろぐ。さっきの北岳の姿が忘れられず、雲がとれるのを30分近く粘ったが、結局その姿を現すことがなかった。心を残し、9時35分に農鳥を後にした。
大門沢下降点での慰霊の鐘を鳴らし、いよいよ大門沢への激下り。途中、標高も書かれた道標があり、励みになった。標高差1,000メートルもの下りを頑張ると、大門沢小屋。ここで、ざるうどんを頼み昼食とした。冷たい沢の水でさらしたざるうどんは、この上ないごちそうであった。
この先は、南アルプスらしい登山道が続く。いくつもの沢を桟道で対岸に渡る。激下りで足がふらついているが、この桟道を踏み外す訳にはいかない。気を引き締めて通過する。桟道が流されてしまったと思われる水量が多い沢を徒渉するポイントもあった。やがて沢から離れて小尾根に取り付いて、また沢に急降下する。根気のいる登山道だが、これも南アルプスらしくて良い。やがて、南アルプスの風物詩である吊り橋を2箇所渡ると、砂防の工事場に出て、ちょっと辛い迂回路を通過すると、林道に出た。後は、足任せに舗装道を4 kmほど我慢すれば、昨日の朝の駐車場に到着。16時35分。稜線から6時間20分もの時間がかかった。駐車場には10台の車しか残っていなかった。
立ち寄り湯は近くの奈良田温泉にしようと思ったが、テレビの取材で17時に閉店とのこと。さらに下って、西山温泉の湯島の湯で山の汗を流した。小さな公衆浴場だが、素朴で良かった。帰りの途中、西山温泉下流の野呂川に架かる吊り橋を渡って楽しんだ。
なんて幻想的な景色
1日目は最高の青空
ノンアル&アル酒の登場がAtsu兄らしい
小屋のご主人に会えなかったのが残念でしたね
mierin様
コメントありがとうございます。
ほんとうに、オヤジさんに会えなくて残念。
また、リベンジします。
白根三山は、南アでも屈指のゴールデンコースです。
3000メートル以上の峰を5つ越えます。
北ア志向のmierin & kazumiコンビも是非一度は歩いてみて下さい。
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