燕岳から大天井岳を経て吹雪で一ノ沢へ下山


- GPS
- 19:12
- 距離
- 22.0km
- 登り
- 2,109m
- 下り
- 2,244m
コースタイム
- 山行
- 5:56
- 休憩
- 1:34
- 合計
- 7:30
- 山行
- 6:50
- 休憩
- 0:22
- 合計
- 7:12
天候 | 4月29日:晴れのち曇り 稜線に出ると風は強い テント場は夜中強風 4月30日:晴れのち雪 稜線上は強風 テント場は夜中吹雪 積雪あり 5月01日:雪から雨 稜線は体を持っていかれそうな吹雪、一ノ沢に入ると風はない降りていくと雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
5月 1日:一ノ沢からタクシーでしゃくなげの湯へ(4500円)、入浴後タクシーで穂高駅へ(1900円)。松本からあずさ16号で帰る |
コース状況/ 危険箇所等 |
中房温泉ー第三ベンチ ほとんど雪なし 第三ベンチー合戦小屋 少しづつ積雪が増えてくる 合戦尾根ー燕山荘 積雪あり 燕山荘ー燕岳 稜線上は雪がないところもある 燕山荘ー大天井岳 積雪あり 大天井岳ー東天井岳 稜線上はほぼ積雪あり 東天井岳ー常念小屋 稜線上はほとんど雪はない ※帰りのタクシー運転手さんから劔や穂高で遭難が起きていることを教えてもらった。今年は雪が少ないが天候により状況はすぐ冬山になる。ここでも30日午後からは吹雪いていた。 |
その他周辺情報 | 穂高駅までの途中にしゃくなげ荘と穂高健康温泉がある。料金は410円。今回はしゃくなげ荘に入った。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
バラクラバ
着替え
靴
ザック
ザックカバー
アイゼン
ピッケル
スコップ
行動食
非常食
調理用食材
飲料
水筒(保温性)
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ナイフ
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
|
---|
感想
初めて中房温泉から燕岳に登ったのは35,6年前だった。そのときは小屋どまりで常念岳、蝶が岳に登り長塀尾根を徳澤に降りた。今回同じコースをテント泊で歩いて見よう思った。
4月28日は、雨の予報通りの東京出発になった。夜行バスで眠り、中房温泉に着いたときは雨はやんでいた。登山の準備をして歩き始めると空は白い雲と青空が広がっている。今回は去年より雪が少ない。第一ベンチ、第二ベンチ、第三ベンチと登り、第三ベンチを過ぎたあたりから積雪があった。しだいに雪山らしくなってきた。大天井岳が樹間越しに見えている。富士見ベンチを過ぎしだいに見晴らしがよくなる。やがて合戦小屋が見えた。ここでアイゼンをつける。
急な雪の斜面を登っていくと合戦尾根にのる。風が少し強くなってきた。今日のテント場はもっと風が強いだろうと思った。尾根上は、晴れていて見晴らしがいい。槍が岳もこれから登る燕岳も見える。行く先を見るとピークを三つ越えた先に小屋がある。一歩一歩進んでいく。しだいに小屋が近づいてくる。小屋のあるピークに登りついた。北鎌尾根から槍ケ岳が望める。小屋を回り込んで正面入口に着く。テント場では数名が雪を掘り風よけを作っている。早速適当なところでスコップを取り出し雪面を掘り掘った雪のブロックを西側に積み上げる。テントを張るのに約一時間かかった。この間もずっと風が吹き続けている。夜はもっと強くなるかもしれない。しっかりとテントを固定する。
カメラだけ持って燕岳に向かう。雪が少ないので這松がでている。雪のないところも多い。この山はいろいろな形の岩が地面から飛び出したようにそこにある。有名なイルカ岩、メガネ岩をすぎ急になった斜面を登り頂上の岩の上にたった。上空には雲が広がってきていた。風の中に雪が舞い始めている。まわりの山々も雲が覆いはじめた。早々に頂上を後にする。
テントに戻りお湯を沸かす。持ってきたウィスキーをお湯割りで飲みながら外を眺める。燕岳は見えるが上空は雲が早く流れていく。五時過ぎに早いがアルファー米とレトルトカレーで夕食にする。夜行バスだったので眠くなりシュラフにもぐりでラジオを聴く。天気予報で長野地方は明日は減れといっている。そのうち寝てしまった。夜中にテントをたたく風で何度か目が覚める。3時ぐらいにトイレに起きると月がでて明るかった。
4月30日は朝5時に起床し、きつねうどんを作る。風の中テントをたたむ。雪ブロックの風よけのなかでザックの荷造りを終え出発する。以前この時期に大天井に向かったときはトレースがなかったが、今回は何人も歩いているようだ。晴れていて見晴らしがいい。風はあいかわらず強い。右前方には槍ケ岳、真横に黒部の山々、後ろのほうに劔、立山、針ノ木が見える。蛙岩は冬道に進む。雪があるときは岩穴を潜り抜けたと思う。試しに岩を登ってみると行けそうなので岩穴をぬけて向こう側に出た。北鎌尾根の末端、天井沢から槍の穂先まで青空をバックに見えている。この後、天気が崩れるとは思えないような天候だった。晴天の下、気持ちのよい稜線歩きを続けていくと正面に大きく大天井岳が迫ってくる。切通し岩から降ったところの鞍部の岩に小林喜作のレリーフがある。ここでザックをおろし休憩しアイゼンを締めなおす。
上を見上げると青空に白い雲が見える。急斜面をトレースにしたがいジグザグに登っていく。夏道は大天荘に向かいトラバースするようだが雪の時はただひたすら山頂に向かう。上に見える岩場を目指して登る。尾根の分岐点に一本の木が建っている。一度右側を巻いて上に突き上げたところが大天井岳の山頂だった。山頂には祠がある。ここも風が強い。穂高岳方向には雲が多いがまだ360度の展望がある。写真を撮り常念乗越の天場に向け出発する。
ここまで行程の半分来た。まず大天荘まで降る。このころから上空の雲の量がしだいに増えてきた。雲の動きは早い。西の空からどんどん流れてくる。遠くに常念岳が見えている。中天井岳の右側を巻いたあと左側に乗り越すと積雪がしだいに少なくなる。雲の流れは早い。雲に覆われたあと再び青空が広がることを繰り返し次第に雲の量が多くなる。東天井岳を巻いて雪の壁を降る。この先積雪がほとんどなくなりアイゼンを外す。横通岳は以前山頂を踏んで行ったが雪がないので巻道を行く。眼前に大きく常念岳がせまる。やがて直下に常念小屋が見える。テント場にもテントが見える。ジグザグに降り最後に腐った雪の斜面を降りると小屋の前に出た。
常念乗越は風が強い。燕山荘の天場より風は強い。小屋でテントの手続きをしてテント場に行く。ここは雪がない。地面の上にテントを張るが風であおられる。テントの中に荷物と大きな石を放り込み張り綱をしっかり大きな石を数個づつ使い固定する。強風が心配なので重い石を積み重ねておく。テントの入り口を開けようとしたらちょっとおかしい。片側のファスナーが壊れている。まいった。水を確保するため近くで雪の塊をスコップで掘ってくる。テントに入りまず水作りをする。水を水筒に2L作ってからお湯を沸かし昨日と同様にウィスキーのお湯割りを飲む。外は雪が降り始めた。風はどんどん強くなるようだ。今日の夕食はハンバーグ。19時にシュラフに入るが風がテントを揺さぶる音がうるさくてなかなか眠れない。外は雪の量が多くなっているようだ。上空で空を切り裂くような音がした後テントを思い切りたたくような風が吹きぬける。この繰り返しが朝まで続く。風が収まったと思うとまた大きくテントが揺さぶられる。でも少しづつ寝たみたいだ。
5月1日4時前に起床する。お湯をわかし天ぷらそばを食べる。強風の中なんとかテントをたたむ。ザックの荷造りをして常念岳に向かい出発するが、霰まじりの風が強すぎて、体がよろけそうになる。このまま蝶にいくのも大変そうだ。先に登っていた人が降りてきた。一ノ沢に降りてタクシーで帰るという。すぐに決めた。一緒に降りて今日帰ることにしてお願いすると快諾してもらえた。Sさんという。一ノ沢への登山道を少し降りると風の影響がなくなった。予約しようと南安タクシーに電話するが電波が弱いのか2回途中で切れてしまう。3回目に話ができ一ノ沢にお願いする。この登山道は昨日何人も歩いているはずなのに昨日からの積雪と風でトレースがなくなっている。急な雪の斜面を降り二俣で少し休む。Sさんは昨日この沢を登り今日常念岳に登るつもりだったというが風があまりに強いので危険を感じて降りることにしたといっていた。まさにその通りでちょっと怖くなるような吹雪だった。下山してタクシー運転手から昨日、北アルプスで山の遭難が相次いだということを聞いた。
一ノ沢登山口に9時前に着くと予約したタクシーはもう待っていた。しゃくなげ荘に車を取りに行くという人も一緒に乗車することになった。この人のグループは常念から燕岳に行くつもりだったがこの吹雪で断念したということだった。しゃくなげ温泉は中房温泉の引き湯ということだ。しゃくなげ荘と穂高健康館の2軒ある。今回はしゃくなげ荘に入った。なかなかいい温泉だ。缶ビール1本飲む。
穂高駅の電車が11時21分発なので10時30分にタクシーを予約した。穂高駅で松本からのあずさの指定券を券売機で取り、駅前の穂高そばで缶ビールとかき揚げそばを食べながらSさんと話をする。ヤマレコに乗せるというと見てもらえるという。Sさんとは松本駅でわかれた。蝶が岳までの予定を断念したが、いい方と会えていい山旅の思い出になった。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する