宝剣山荘〜宝剣岳〜木曽駒ヶ岳〜北御所登山口 ライチョウ親子砂浴び



- GPS
- 10:32
- 距離
- 15.0km
- 登り
- 570m
- 下り
- 1,807m
コースタイム
- 山行
- 1:10
- 休憩
- 0:02
- 合計
- 1:12
- 山行
- 6:41
- 休憩
- 2:38
- 合計
- 9:19
初日 歩行距離1.4km、歩行時間1時間10分、歩行数4,600歩
2日目 歩行距離13.5km、歩行時間6時間40分、歩行数29,200歩、
消費カロリー2日間合計 1,870Kcal
天候 | 初日曇り 二日目晴れ後曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2025年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
臨時駐車場に向かう車の後をついていきましたが、駒ヶ根橋を渡って見失い、とりあえず右折して未舗装のスペースに停めました。車が数台停まっていましたが、係の方はおられず駐車場の表示もありませんでした。 事前にネット予約(バスとロープウェイ各片道合計一人2,470円)をしていると、菅の台バスセンターでそのままバス停に並べます。時間指定はできません。 13時50分頃に臨時バスに乗車しました。乗客は数人でしたが、この時間は下りる人が多いのでお迎えのためすぐに出発。 30分程でロープウェイのしらび平駅に到着。バス下車時とロープウェイ駅のゲート通過時にスマホのチケット画面を確認されます。ロープウェイも臨時便で、こちらは満員でした。帰りのロープウェイは現在1時間待ちで整理券が必要とのことでした。終着駅である千畳敷(せんじょうじき)駅には14時35分頃到着。整理券番号ごとに呼び出し放送がずっと聞こえていました。 下山後は「北御所登山口」バス停<写真123>でバスに乗車。15時前に臨時バス?がやってきました。ほぼ満席で、補助席に座れました。15時20分過ぎに黒川平のバス停で下車、運賃は一人590円でした。 なお、「北御所登山口」バス停から菅の台バスセンターまで歩くとなると約8km2時間、逆方向のしらび平バス停に戻れば確実に座れますが約1時間かかります。バス1台ギリギリの道があるので、「北御所登山口」バス停で待つほうが安全です。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
宝剣岳(ほうけんだけ)<写真32〜35>は急峻な岩峰であり、しばしば滑落事故が発生するため、ヘルメットの着用が推奨されています。以前は宝剣山荘でもヘルメット貸し出し(有料)が行われていたようですが、現在はないかもしれません。落石の心配はほぼなく、万が一滑落すればヘルメットがあってもお陀仏でしょうが、持参をお勧めします。ちなみに、長野県HPの「山岳ヘルメット着用奨励山域について」で指定されている山名が確認できます。 この山域全体にいえることですが、植生保護のため緑色のロープが張られている箇所があります。中岳<写真50〜56>の岩場で人をかわして緑色のロープをまたいでしまい、そのまま歩いたら登山道から逸れて南西に進んでしまいました。途中で気づきましたが、植物を踏むわけにはいかないので、二人とも地肌が見えている所を選んで歩き、GPSを持った連れは上松町(あげまつまち)と宮田村の境界上をキープして道に合流、私は最後で南西に下りました。こうならないよう、緑色のロープには要注意です。 伊那前岳<写真87〜90>から「北御所登山口」バス停<写真123>までは、緩やかで歩きやすいですが、一部、沢沿いがあります。雨天や大雨後は避けたほうがいいでしょう。 千畳敷(せんじょうじき)駅から宝剣山荘までは、道は石埋まりの階段状が多く、クロトウヒレン<写真13>撮影地点を過ぎると距離は短いのですが、ギリギリよけられる水たまりがありました。 宝剣山荘から宝剣岳(ほうけんだけ)<写真32〜35>までは、鎖場がありヘルメットの着用が推奨されています。 最初は石埋まりの間のザレ道、そのうち緑色のロープの間の岩場登りになります。標高2,890m辺りから逸れてしまったようですが、上りは大丈夫でした。 しばらくすると鎖場になります。足場はしっかりしており、鎖は念のためつかんでおくくらいで普通に歩けます。何度か鎖場を経験済みで側の登山者に焦って転倒しない人なら大丈夫です。 宝剣岳てっぺんの岩<写真35>は、下りるときには足元が見えないので、シミュレーションしながら登りました。ここはちゃんと下りられる人専用です。 早朝から団体さんが登ってこられることがあります。すれ違いに時間がかかるので、早く登っておいてよかったです。普通は登る人優先ですが、ここはさすがに下り優先で、「ゆっくり下りてください。待ってますから。」と声をかけていただきました。下りが苦手な連れは遅れてしまいましたが、鎖場の急な1か所で横向きになった以外は前を向いたまま下りられたそうです。 宝剣山荘から木曽駒ヶ岳<写真61〜67>周回コースは、一部、岩の上を上り下りします。往路は大丈夫でしたが、復路で中岳<写真50〜56>から南下時に道から逸れてしまいました。 宝剣山荘からしばらくは石埋まりの間のザレ道です。中岳<写真50〜56>を過ぎると岩が埋まった上を下ります。途中からは小石がゴロゴロしてきましたが、気になりませんでした。最後に岩の上を登ると木曽駒ヶ岳頂上です。 木曽駒ヶ岳頂上から時計まわりで下山することにし、しばらく北東尾根を進みました。頂上山荘への分岐はスルーしやすいかもしれません。 中岳<写真50〜56>の岩場で人をかわして緑色のロープをまたいでしまい、そのまま歩いたら登山道から逸れて南西に進んでしまいました。途中で気づきましたが、植物を踏むわけにはいかないので、二人とも地肌が見えている所を選んで歩き、GPSを持った連れは上松町(あげまつまち)と宮田村の境界上をキープして道に合流、私は最後で南西に下りました。こうならないよう、緑色のロープには要注意です。 宝剣山荘から「北御所登山口」バス停<写真123>までは、一部、沢沿いがあります。雨天や大雨後は避けたほうがいいでしょう。 宝剣山荘から東に進むと、たまに小石がゴロゴロしていますが歩きやすい道が続きます。 標高2,911mの和合山(わごうやま)<写真83,84>は、すぐ南側に登山道がついており、頂上を歩くことはありません。 伊那前岳<写真87〜90>を過ぎると、基本、ザレ場と石埋まり道、たまに小石ゴロゴロですが、緩やかで歩きやすいです。 要注意箇所は標高2,580m辺り、北御所谷支流に出合うと苔むした石の上に水がちょろちょろと流れています。ここを下るのは数mですみますが、雨天や大雨後は避けたほうがいいでしょう。 五合目うどんや峠<写真112>は登山道とすぐ上(奥)に道標があります。未確認ですが、北への道は通行止めかもしれません。 標高2,050m辺りで再び北御所谷支流に出合いました。ここは幅1m程だったでしょうか、しっかり流れており、右(西)側を巻きましたが、登山道は沢沿いだったようです。ほぼ平坦なので大雨後は避けようがなく要注意です。 標高2,020m辺りの清水平は、下りてくるとすぐ右側の倒木をくぐり抜けた所にパイプが2本あり、どちらからも豊富に水が出ています。ここを過ぎると石埋まりも小石ゴロゴロも減り、傾斜は多少ありますがやはり歩きやすいです。 蛇腹沢登山口(<写真116>撮影地点)にある道標には「登山道入口」とだけ書かれており、ここから砂利道になりました。北御所谷<写真117>のすぐ東から工事中で重機がありました。登山者は通れるようです。最後にチェーンをまたいで「北御所登山口」バス停<写真123>に到着しました。 |
その他周辺情報 | 宝剣山荘(要予約)は7月でもすんなり予約がとれました。2食付きで一人13,000円です。受付横のホワイトボードには翌日の天気予報やクマの目撃情報、日の出時刻などが書かれているので要チェックです。 2階の4人部屋には仕切りやベッドはなく、布団の前に荷物を広げるスペースは十分ありました。今年は特に暑く、1階ではストーブがついていたため、薄手の長袖1枚でも寒くはありませんでした。消灯時間帯は21〜翌4時で、これ以外はヘッデンなしでポットントイレにも行けます。飲料専用の蛇口からは煮沸不要の水が出るのがありがたかったです。 夕食<写真18>は17時からでした。17時45分から次のグループの食事が始まるので、17時半には食べ終えて食器をテーブルごとにまとめて返却するようにとのことでした。ご飯とみそ汁はおかわり自由です。座席はあらかじめ指定されています。 5時の朝食時には荷物は持って食堂へ。部屋は空っぽにしてくださいとのことでした。デポは可能で、指示通り、メインザックを食堂奥のストーブ前に置かせていただきました。朝食<写真24>は次のグループが5時半からなので、15分には片づけるようにとのことでした。 菅の台バスセンターの敷地内にあるこまくさの湯は混雑します。下山後は宿泊予定の駒ヶ根高原西山荘に直行しました。浴場には温泉の早太郎の湯と茶色い薬湯があり、のんびり入浴しました。西山荘は朝食付き一人12,100円(現金払いなのでカード決済よりも少し割安)にしましたが、夕食付きでもよかったです。 「御食事処 すが野」は菅の台バスセンター駐車場の東にある飲食店です。18時台は満席にはなりませんでした。駒ヶ根市名物のソースかつ丼<写真124>とみぞれあんかけかつ丼<写真125>を注文しましたが、野菜が少ないのが残念です。 18時40分頃に土産を購入しようと駒ヶ根ファームスに立ち寄りましたが、もう閉まっていました。周辺の店も閉店時間は早そうです。買い物も食事も早めにすませましょう。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下(厚手)
手袋(防水加工)
軍手
雨具
スパッツ
日よけ帽子(フード付き)
雨用帽子
登山靴(防水加工)
靴ひも予備
アタックザック
ザックカバー(防水用)
地形図
コンパス
マップケース
筆記用具
タオルハンカチ
カメラ
飲料水(スポドリ&茶)
水筒(保温)
非常食(栄養補助食品)
スマホ(地図アプリ使用)
eTrex22x(GPSナビゲーター)
着替え
ヘッデン
洗面用具
薬
ヘルメット
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感想
【絶景、ヒメウスユキソウ、ライチョウを求めて中央アルプス北部山域へ】
この盆休みは、中央アルプスの宝剣岳、中岳、木曽駒ヶ岳、伊那前岳を縦走するコースを設定しました。今回の山行の三大テーマは、ライチョウ(中央アルプスで復活劇を遂げた絶滅危惧種との貴重な出会い)、ヒメウスユキソウ(中央アルプス固有の花)、絶景(富士山などの素晴らしい景色)です。8月14,15日の一泊二日(宝剣山荘宿泊)で天候にも恵まれ、これらすべて堪能できました。三大テーマについては、最大のサプライズも含め、それぞれ詳細を後述します。
初日は、朝からあまり体調がよくなかったので、千畳敷駅からかなりゆっくり歩きました。ガスって涼しかったので助かりました。花を見ようと東の遠回りコースを進みましたが、今年は暑くなるのが早かったためか、予想以上に花が少なかったです。
一応、遊歩道とのことですが、軽装で下りてこられる方のなんと多いこと。半袖短パンで寒がる人、サンダル履きのサンダラー。皆さん、帰りのロープウェイに間に合うのでしょうか。
宿泊予定の宝剣山荘(要予約)には16時前に到着。部屋ですぐに横になり、1時間もするとなぜか完全復活😊夕食<写真18>は17時からでした。座席はあらかじめ指定されていますが、同席の方々とすぐに親しくなって盛り上がりました。
【岩だらけの宝剣岳でうれしい国際交流】
翌朝は4時に部屋の照明がついたので、すぐに起床。日の出は朝食直前の4時57分だったので、山荘前でご来光を拝むことにしました。東に和合山(わごうやま)<写真83,84>がデン、とそびえているので、そもそも撮影は無理でした😄夕食で同席した方々とお話しながらしばらく夜明け前の風景<写真20〜23>を楽しみ、5時前に食堂に戻りました。
朝食<写真24>は夕食時と同じメンバーでまたしても盛り上がり、次のグループは5時半からなので、15分には片づけるようにとのことでしたが、5時半ギリギリに撤収。すみません🙇
5時半過ぎにはアタックザックとヘルメットを持って出発しました。ちなみに、宝剣岳(ほうけんだけ)<写真32〜35>は、急峻な岩峰であり、しばしば滑落事故が発生するため、ヘルメットの着用が推奨されています。
宝剣岳へは、最初は石埋まりの間のザレ道、そのうち緑色のロープの間の岩場登りになります。標高2,890m辺りから逸れてしまったようですが、上りは大丈夫でした。しばらくすると鎖場になります。足場はしっかりしており、鎖は念のためつかんでおくくらいで普通に歩けます。鎖場あるあるで、他人が歩いているのを見ると怖いのですが、自分が歩く分には何ともありません。何も考えずにどんどん登ってしまい、復路でもトロルの舌には気づきませんでした😅
宝剣岳てっぺんの岩<写真35>は、下りるときには足元が見えないので、シミュレーションしながら登りました。ここはちゃんと下りられる人専用です。天気が良く、頂上周辺からは南アルプスの山々や富士山がよく見えました(詳細は後述)。下山開始直後に来られた欧米系の方に「ベリー、デンジャラス!」とてっぺんの岩を指差すと、目を丸くして「ワーオ!」国際交流バッチリ😄
ほどなく団体さんが登ってこられました。すれ違いに時間がかかるので、早く登っておいてよかったです。普通は登る人優先ですが、ここはさすがに下り優先で、「ゆっくり下りてください。待ってますから。」と声をかけていただきました。下りが苦手な連れは遅れてしまいましたが、鎖場の急な1か所で横向きになった以外は前を向いたまま下りられたそうです。
ただし、見ているほうからすると「めちゃくちゃ怖い絵」だったらしく、あと一歩で下りられるというところになって、目の前の男性が両手を差し伸べ、上下に振りながら韓国語で何かおっしゃったそうです。「受け止めますからどうぞ。」と言われたのでしょう。そのほうが危険なので、なんとかその方をかわして下りて「大丈夫です。ありがとうございました。」と言うと、団体さんが口々に韓国語。「大丈夫ですか。」「無事でよかった。」など、優しい言葉が飛び交ったのでしょう。
私に追いついた連れは、相当うれしかったらしく、興奮気味に話してくれました。国際交流って、いいもんですね😊
【木曽駒ヶ岳は周回コースがお勧め】
メインザックを取りに宝剣山荘に戻ったのは6時半過ぎでした。食事時に同席した方々にお会いして宝剣岳(ほうけんだけ)<写真32〜35>の情報をお伝えするなどしていたら、再出発は7時になりました。余裕を持って予定を組んでおいてよかったです。山では妙に饒舌になる連れは「一年分しゃべった。」😄
木曽駒ヶ岳<写真61〜67>へは、中岳<写真50〜56>を経由します。すでに大勢の方々がおられましたが、北東岩場<写真52〜56>はなぜか貸し切りで、ゆっくりと展望を楽しめました。
木曽駒ヶ岳頂上にも大勢おられました。やはり展望は楽しめましたが、8時前には富士山は雲の陰😅宝剣岳(ほうけんだけ)<写真32〜35>で見られてよかったです。
時計まわりで下山することにし、しばらく北東尾根を進みました。頂上山荘経由で下りるはずが、うっかり行き過ぎましたが、すぐに気づきました。この道を選んだのには理由があります。ヒメウスユキソウ<写真75>が見られるのです。撮影場所は伏せましたが、市販の地図には載っているので、なんとなくわかると思います。また、ライチョウも見られ、撮影会となりました。詳細は後述しますが、ここを歩いてよかったです。
【ほぼ貸し切りのんびり伊那前岳コース】
9時半頃、再び宝剣山荘前をスルー、今度は東に進みました。千畳敷駅分岐(乗越浄土)からは南西方面に宝剣岳(ほうけんだけ)<写真32〜35>が見えました。右側の岩だらけの尾根<写真81>を登ったのかと思うと感慨深かったです。
伊那前岳<写真87〜90>では宝剣山荘で食事時に同席したご夫婦にお会いしました。もう十分お話したと思っていましたが、興味深い話は次々に出てくるもので、気づけば30分経過😅お互い、のんびり予定で幸いでした。
サプライズはご夫婦とお別れした後でした。まさかのライチョウ親子の砂浴びは後述します。
小屋場<写真110>周辺は開けており、ゆっくり休憩しているとお一人下りてこられました。急遽予定変更でここを下ることになさったそうで、バス停のことなどをきかれました。
標高2,020m辺りの清水平は、下りてくるとすぐ右側の倒木をくぐり抜けた所にパイプが2本あり、どちらからも豊富に水が出ています。足元の水たまりに気をつけながらしゃがんで水場へ、水筒に給水しました。レモン味のスポーツドリンクの粉末を溶かしてみると、宝剣山荘の水のよりも酸味が強めでキュッとさわやかな感じがしました。普通、湧き水はマイルドで味がしないのが多いのですが、ここのはそのまま飲んでもやはりさわやかさがあります。ミネラルが多少多いのかもしれません。周辺は開けているので、ここで昼食をとりました。出発直前にトレランの方がお一人走り去っていかれました。
「北御所登山口」バス停<写真123>にはチェーンをまたいで到着。ベンチでザックを下ろし、時刻表を確認していると、15時前に臨時バス?がやってきました。ほぼ満席で、補助席に座れました。
15時20分過ぎに黒川平のバス停で下車、心配していた雨はなく、無事に車まで戻りました。
【ライチョウの生息数増加😂可愛すぎるライチョウ親子の砂浴び😍】
中央アルプス一帯に生息するライチョウは、キジ目キジ科の鳥で国の特別天然記念物に指定されています。
環境省では2020年以降、中央アルプスでは絶滅していたライチョウを復活させる事業に取り組んできました。きっかけは、北アルプスから飛来したとみられるメス1羽の目撃情報が寄せられたことでした。彼女は飛来雌と呼ばれ、何度も繁殖に成功しています。
2020年8月に乗鞍岳から移送された3家族19羽もその後、自然繁殖に成功しました。さらに、那須どうぶつ王国と茶臼山動物園で生まれた個体を木曽駒ヶ岳に移すなどしてきました。しかし、テンなどに食べられ消息不明になる個体がいたため、2023年からは罠で捕食者を捕獲する対策を講じています。
その結果、中央アルプスで確認されたライチョウのなわばりの数は、2021年は8に対し、2025年は83と10倍以上増加、5年連続の繁殖増となり、その生息数は現在、約190羽とされています。
今回訪問した中央アルプス北部エリアだけでも中央アルプス全体の半数近い41ものなわばりの数が確認されています。目撃情報も多いのですが、この日は天気がよかったので、猛禽類などの天敵から身を隠すため見られないと思っていました。
ライチョウとの最初の出会いは、木曽駒ヶ岳南東斜面をトラバースしている時でした。何か撮影中の方の視線を辿ると、ライチョウの母鳥<写真77>がハイマツの茂みから頭を出し、周囲の様子をうかがっていました。時折、採食行動をしながら幼鳥たちに注意喚起しているようです。我々が数mの至近距離にいても、警戒はするものの離れようとしませんでした。そのうちに通りかかった方々が次々に足を止め、撮影会開始。
しばらくすると、突然、幼鳥が1羽現れ、キョロキョロしながらこちらに近づいてきました<写真78>。クマやヘビからも逃げられ続けている我々に躊躇することなく寄ってくる姿にほっこりました😊
ライチョウとの次なる出会いは伊那前岳南東尾根でした。微妙なカーブを曲がったとたん、慌ててフリーズ。なんと、2m先の登山道脇で母鳥と少し離れて幼鳥2羽が砂浴び中😮このシーンこそが前述した最大のサプライズでした。
この詳細を伝えるには、動画しかないと思い、しばらく撮影し続けました。すぐに遅れて1羽下りてきて母鳥にくっついて砂浴びを始めました。それを見た兄弟、「あっ、お前ズルいわ。オレも。」こうして、親子4羽がムギューッ<写真91>😍
寒い時期にニホンザルがおしくらまんじゅうのような状態でお互いに身体を温めあう様子をサルダンゴといいますが、この時のライチョウはまさにトリダンゴ。足で砂を蹴ったり、翼で砂をまき散らしたり、はたまた片一方の翼を開いて体を砂地にこすりつけてみたり、クチバシで自分の羽毛や土をつついたり、ムギュムギュしながらそれぞれが勝手気ままにこんなことをするので、ほとんどカオス😅
砂かけ母ァ(ははぁ)<写真92>に負けまいと幼鳥たちも土を跳ね飛ばします。しまいに幼鳥1羽が勢い余ってゴロゴロと30cm程転がって<写真93>フレームアウト😅この子はゴローやな。母鳥はちらっとそちらを見ましたが、すぐまた砂浴び再開。もぅちっと心配したってやぁ😅ゴローはすぐに戻ってきましたが<写真94>、懲りたらしく、今度は前に回り込みました。それでもちょっと滑りかけました😅
砂浴びが終わるまで観察を続けようと考えていましたが、一向に終わる気配がありません。午後から雨の可能性があったので、観察はこのくらいにして進むことにしました。まだムギュムギュ中の親子の脇の登山道を通り抜けようとすると、なぜか母鳥が「待って、アタシ、先に行くわ。」幼鳥たちもついていくのだろうと思いきや、連れから30cm程離れたハイマツ帯の斜面に登って餌探し<写真95>。なんでやねん😅連れ、思わず、「お母さん、子供来ないんだけど。」
振り向いた母鳥、「もう、ええ加減にしぃや。」仕方なく幼鳥を迎えに戻ってきます。動画を撮っているとどんどんこちらに近づき、1m手前でやっと止まりました。ライチョウが来鳥<写真96>😁岡山のクマでも5mは離れてくれるのですが、ライチョウのソーシャルディスタンスは1m😅右足に黄色い足環2つ、左足に水色2つ。砂かけ母ァ(ははぁ)はかなり人馴れしていました。
幼鳥2羽<写真95>は気づいて母鳥の後を追い始めましたが、例の遅れる1羽が行方不明。動画を撮りながら探していると、慌てて駆け出す姿が。やれやれ、またかい。ライチョウに限らず、1羽(匹)だけいつもビリになるのが必ずいます。名付けてビリーの法則。追いついたビリーはなぜか翼を広げてジャンプ。すぐ前の兄弟もつられてピョン<写真97>。興奮していたようです。そない楽しかったんかい😅
幼鳥たちがハイマツ帯に隠れると、母鳥は岩の上に上がってひと休み<写真98>。さらに人間が来ていないか確認すると、岩から下りていきました。
動画はこれでおしまい。山行の終盤(下山時)にまさかのビッグサプライズでした😍
これら一連のライチョウとの幸運な出会いは、今月の4日に我々の目の前に現れた、ライチョウと同じく国の特別天然記念物であるコウノトリがもたらしてくれたのでしょう😊
<コウノトリ日記 https://www.yamareco.com/modules/diary/112852-detail-367990>
【木曽駒ヶ岳のエーデルワイス“ヒメウスユキソウ”群生】
木曽駒ヶ岳の南東斜面の道を歩いていると、少し毛並みのいい?白い可愛い花<写真75>が群生しているのに気がつきました😮この花はヒメウスユキソウと呼ばれ、中央アルプスの花崗岩の岩場に生える多年草です。別名のコマウスユキソウは、生育地の木曽駒ヶ岳に因みます。エーデルワイス(セイヨウウスユキソウ)の仲間で日本には何種類かありますが、草丈はより低く花が小さいです。7月から8月に茎頂に直径2cm程の頭花を1から3個つけます。白い花弁のように見えるのは苞で中心の黄色の部分が花です。
木曽駒ヶ岳は花の百名山のひとつで、8月中旬でもそれなりに花が咲いています。しかし、ヒメウスユキソウは少し遠く、ズームしてやっと詳細がわかる所にあったので、ほとんどの方がその存在に気づかずスルーしていかれました。たまたまお花(高山植物)好きの方が我々が何を観賞しているのか興味を示され、聞いてこられました。花に詳しいと勘違いされた連れは、その方に別の場所で撮影したコマクサの写真を見せられ、二人で花色についておしゃべり。ヒメウスユキソウはご存じなかったそうで、喜んでいただけました。
撮影場所は伏せましたが、市販の地図には載っているので、だいたい見当はつくと思います。この花を見られただけでも、木曽駒ヶ岳に来た甲斐がありました。他にも密かに開花している場所があるかもしれません。それは、中央アルプス再訪時の楽しみにとっておこうと思います😊
【♫頭を雲の上に出し 四方の山を見下ろして…富士は日本一の山!絶景かな😍】
実は、山行1週間前に確認した天気予報によると、山行中はずっと雨か曇りとなっていました。ところが、直前日の予報では、晴れか曇りに変わりました。天候が不安定な場合は人が減るので人目を気にせず花の観賞ができますし、ライチョウなどの生き物が人目につきやすい所に出てくるだろうと、むしろポジティブに考えていましたが、結局は好天で景色も楽しむことができました。
宝剣山荘に宿泊した翌日4時半頃に山荘の外に出て、まだ夜明け前の周辺の景色を見渡したところ、絵に描いたような美しい光景が広がっていました。日の出は朝食直前の4時57分だったので、山荘前でご来光を拝むことにしました。後で気づきましたが、東に標高2,911mの和合山(わごうやま)<写真83,84>がデン、とそびえているので、そもそも撮影は無理でした😄それでも、和合山(わごうやま)の夜明け直前シーン<写真23>と同山頂に日が昇るシーン<写真25>は、まるでアートのようで見応えがありました。
また、宝剣岳(ほうけんだけ)から雲海越しに見える南アルプスの山々などは、まるで大海原に浮かぶ島のように幻想的に見えました<写真40〜44>。さらに、山に詳しくない方でもその特有の形からすぐにわかってしまう富士山が南アルプス越しに見えました<写真36,38>😍まさに、唱歌『富士の山』の歌詞のとおり、“頭を雲の上に出し 四方の山を見下ろして…”状態でした。思わず、石川五右衛門の名台詞「絶景かな 絶景かな」を心の中で唸ってしまいました😊
宝剣岳をピストンした後、中岳<写真50〜56>を経由して木曽駒ヶ岳<写真61〜67>に登頂し、それぞれの頂上から中央アルプス南部や宝剣岳からとは異なるアングルでの北アルプス、南アルプス、八ヶ岳、御嶽山などの展望を楽しみました。南アルプスは登ったことのない山が多く、山名だけは知っている山が見えるとテンションが上がりました。特に中岳北東岩場<写真52〜56>はなぜか貸し切りでのんびりできてよかったです。
この後に訪れた伊那前岳<写真87〜90>もそうですが、いずれも標高が2,900m前後もあり、森林限界というロケーションの中、どこからでも展望が効きます。したがって、同じ山でも異なるアングルで望むと、一粒で二度、三度おいしい景色を味わえます。また、宝剣岳(ほうけんだけ)<写真32〜35>や木曽駒ヶ岳から見える山の名前を事前に調べておくことで、「あれが木曽前岳、中岳、伊那前岳、空木岳、乗鞍岳、浅間山、槍ヶ岳、穂高連峰、北岳、甲斐駒ヶ岳・・・」というふうに、現地で山名の答え合わせをするのも楽しいかもしれません。
今回訪問した山域は、花崗岩の山域としては日本で最も高い位置にあり、かつ広く、花崗岩の白い肌とハイマツの緑、高山植物などのコントラストが見事です。木曽駒ヶ岳や宝剣岳の山頂直下には、氷河の侵食によって山の斜面に形成された半円形の窪地であるカールがあり、こちらも見応えがあります。
この次に訪問する際には、空木(うつぎ)岳山域で今回とは異なる魅力を味わってみたいと思います。
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