【2011年】朝日連峰縦走


- GPS
- 80:00
- 距離
- 35.0km
- 登り
- 2,769m
- 下り
- 2,840m
コースタイム
- 山行
- 10:45
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 10:45
- 山行
- 5:50
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 5:50
過去天気図(気象庁) | 2011年09月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
■復路/五味沢(途中で乗用車にピックアップして頂く)⇒小国(バス)⇒新潟 |
写真
感想
***仕事の関係で新潟に在住していた時の山行記録です***
どこまでも続くのびやかな稜線、山肌を覆う緑のグラデーション、清らかな水をたたえる深い渓谷、山麓に広がる豊かな樹林帯・・・憧れの山域、朝日連峰を縦走しました。東北地方で、いわゆる「山旅」を満喫できるフィールドとしては南に連なる飯豊連峰とは双璧といった感じで、全国的に見ても縦走登山の要所としておさえたいポイントのひとつだと思います。
ネックは登山道までのアプローチに苦戦する、というところ。まぁ、夏のハイシーズンは別として一部の人気エリアを除けば公共交通機関の充実などまったく望めない訳であり、ならば多少の労力を覚悟で行くべし!
しかし、9月も半ばだというのに、なんだろう?この暑さ・・・。ほとんど夏山じゃん?涼しげな渓流に架かるつり橋を渡る度に、ドボン!と川に飛び込みたくなっちゃいましたわ!!
****
Day1:タキタロウ公園〜大鳥登山口〜大鳥小屋(テント泊)
タキタロウ公園のキャンプ場に前泊し翌朝6時20分に発つ。ここから車道歩きを経て、泡滝ダムの登山口へ。更に登山道を進んで、今日は大鳥池の池畔でキャンプの予定だ。天気は上々であるが、奥深い山村に朝日が差したのは日の出の時刻から既に2時間ほど経過した頃だったと思う。
長い車道歩きの末大鳥登山口に到着。いよいよここから本格的な登山が始まる。とはいっても東大鳥川沿いの登山道はユルユルな傾斜であり、歩行も自ずとユルユルと。渓流沿いのトレイルをズンズン進んでいくと七ツ滝沢橋を渡ったあたりから渓流を離れて七曲と呼ばれる登坂に差し掛かる。つづら折の急坂を登りきると、山のピークがポコンと姿を現す。林間からは伝説の巨大魚タキタロウの生息地として有名な大鳥池もチラチラ見え始めた。
湖畔に建つのは大鳥小屋。別名であるタキタロウ山荘の方がピンとくる名称だ。この山小屋はミニ水力発電とソーラーシステムを備えており、自家発電が可能。夕べ泊まったというご夫婦は「ホテル並み」とその快適さを称していた。管理人のおじさんはいわゆる山小屋の親父風とは異なりとても気さくな方で、朝日連峰に関わる色んな話を伺わせて頂いた。
山荘から少し下った所にあるのがキャンプスペースにテントを張る。芝生のフラットな地面。ベンチやテーブル、キャンパー専用のトイレ、旨い水が得られる水場を完備。文句なしの利用料500円である。昨日と同様に他に宿泊客はおらず、プライベートキャンプスペースと化した。さて、明日はいよいよ朝日の主稜線を歩くぞ!
Day2:大鳥小屋〜以東岳〜大朝日小屋
この時期、このあたりの日出時刻は午前5時20分前後。本日の起床は4時。パッキングを完了し身支度を整え出発は5時15分。空に星は瞬いていないが東の稜線は薄明かりに黒く浮き上がっている。晴れてはいないが、まずまずの天気ということだ。ヘッドランプを灯しての撤収作業などは滅多にすることは無い。が、一日の行程の長さと日の短さと天秤にかけながら行動を急ぐのは、まさに季節が秋へと移ろっている証拠。夏のそれとは心持ちが明らかに異なるのだ。
ほの暗い登山道を以東岳山頂を目指して歩き始める。山頂までは登山道が二つあるが、いかにも辛そうな直登コースは避け比較的緩やかに主稜線に取り付くコースを選択する。オツボ峰と呼ばれる小ピークに到達すれば、大朝日までの大展望が開けるはずだ。徐々に周囲が明るくなるにつれ空模様がはっきりしてきた。悪くない高曇り。だが予報的には楽観できない。
高度を上げ、振り返ると眼下に大鳥池。時折水面に大きな波紋が広がるように見えるのは気のせいか?ひょっとしてタキタロウの豪快なライズの波紋なのでは?なんて思ってしまうが・・・。
オツボ峰を越えて。いよいよここいらあたりから核心部へと突入する。稜線上に出るとグ〜ッと視界が開ける。まずは北に面した月山の秀麗な山容が!そして南にはこれから歩く朝日連峰の主稜線。遥か向こうに一番高い位置でツンと尖っているのが本日の目的地である大朝日岳。ああ〜あそこまで歩くのか・・・嬉しいような、悲しいような・・・。永遠と此処に留まって眺めていたい景色。
以東岳の山頂で休憩をしていると風が強くなってきた。さすがに稜線を吹く風は冷たい。バックパックから雨具を取り出し羽織る。以東岳と大朝日岳を結ぶ稜線は最高ピーク地点から300m程低い高度1500m台の登山道を小ピークをいくつも配しながら繋がっている。ハードなコースではないが、距離は直線で結んで11キロ程で、それにアップダウンと道の曲がりくねりが加わる訳であり、歩き応えとしては十分。
朝日の主稜線には4つの山小屋があるがほぼ等間隔に位置し縦走登山者にとってはありがたい存在だ。
午後になって渓からガスが湧き上がってきた。狐穴小屋を越えたあたりから雨も落ちてきた。完全装備で歩くべきか否か迷うほどの小雨であるが、この先まだ長い道程を考えレインウェア上下とパックカバーを装着した。
ちょうどコースの中間地点、寒江山付近から。西朝日と大朝日のツートップが次第に迫力を増してきた。ピーカンの山も良いけど、適度にガスった山もまた魅力的。この先、雨が本降りとなり風も出てきた。視界の利かない山道は距離感を狂わせ、疲労感を誘発する。今年は天気の良い山ばかり登っているので、久々この感覚も悪くないと自分に言い聞かせモクモク歩く。
西朝日ピークからは再び高度を下げて大朝日までの最後の尾根道へと続く。その中点にある中岳がガスの中から姿を現した時には登り返すのがツライな、とやや気持ちが萎えてしまったが、実際はまき道を歩くようにコースが続いており難なく通過。
中岳と大朝日岳の鞍部にある金玉水(読みはきんギョクすい、ですよ!)をボトルに詰める。冷たくて旨い水だが、朝日連峰の水はどれもハズレがなく名水と謳われる金玉水だけが特別、というワケでもないな、と思ってしまった。
歩行時間11時間にしてやっと本日の宿に到着。朝5時ちょい過ぎに歩き出し、現在時刻16時を少し回ったところ。小屋は連休初日とあってたくさん登山者であふれていた。おきまりの会話「何処からですか?」の問いに、ほとんどの人が「朝日鉱泉」との答えだが、自分だけ「大鳥池からです」と答えるのがちょっとだけハナタカだった。
Day3:大朝日小屋〜大朝日岳〜針生平〜五味沢
大朝日小屋で一夜を明かして翌朝は6時出発。気持ちのいい朝、といいたいとコトだが少々眠い。山小屋ではよく聞く話だが・・・いわゆるイビキ問題。僕の横で就寝していたおじさんのソレが凄まじく、昨夜は満足に睡眠をとることができなかった。まぁ、自分が加害者になることもありうる訳であり、山小屋泊まりでは自己防衛策としての耳栓は必携だな、と実感。
外は相変わらずのガス模様。雨さえ降らなきゃ御の字、と思いつつ小屋を後にする。小屋から山頂までは登りで15分程度。起きてから朝飯前に山頂に立ちご来光を拝む、なんてシチュエーションにも対応可能な場所にある山小屋なので人気なのもよくわかる。下から突き上げるような風にバランスを失わないよう気をつけながら山頂を目指す。程なくして大朝日のピークに到着したが、視界ゼロの山頂にはほとんどなにも魅力はなく、パシャパシャと数枚写真を撮ってからすぐさま下山開始。あっけない。
山頂直下のガレた急斜面をしばらく下るとガスが晴れた。その晴れ方が実に劇的で、「もうすぐガスが晴れて青空が見られるぞ」と心の中で唱えたその刹那、強い風がガスをもろとも吹っ飛ばしてしまったのだ。モノトーンの世界から一転、秋の濃い青空と緑の山肌が鮮やかに飛び込んでくる。そして自分の左手に朝日を感じながら歩いていると右手の渓から再び湧いてきたガスに光の輪を伴った自分の姿が投影されていることに気づいた。これがブロッケン現象だと理解できた頃には白いスクリーンはフワリと青空に紛れて無くなってしまった。
その後高度を下げるといつの間にか空は安定した空に。気温もどんどん上昇している。風もおさまりアノラック姿では暑すぎる。Tシャツ一枚になって歩く。明瞭な尾根道を下る。北大玉山から大玉山そして祝瓶山へと続くコースは朝日連峰の中でも最もシャープな稜線を有する場所ではないかと思う。
僕は尾根コースは進まず、大玉山の分岐から荒川沿いのトレイルを目指すことにした。分岐から大玉沢出合いまでは尾根から渓へと落っこちる(そういう表現がぴったりなのだ)ようにトレイルが続いている。地面には昨日の雨でたっぷりと水分を含んだ落葉が敷き詰められており滑りやすいことこの上ない。正直これは少々膝に堪えた。地図とリストウォッチの高度計を交互に見ながら「これで等高線何本分下ったぞ」と言い聞かせて下るのがやっとだった。鍛え方が足らないね。
やっとこさ辿り着いた大玉川の出合いには、なんとも心細い一本丸太の吊橋がかかっている。この先、大石沢の登山口までいくつか同じような吊橋を渡ることになるが、コースそのものは平坦で楽勝!な気分。
さて、後は登山口までタラタラ歩いて、白い森交流センターリフレにある小国駅行きのバス停まで灼熱の(いや、本当に暑かった。9月の中旬とは思えない程)舗装路歩き3時間でおしまい。と思っていたが、車道アプローチの途中で止まってくれた車にピックアップされ小国駅まで一気にショートカット。見るからに臭ってきそうなこんな風体のおじさんハイカーを快く送ってくれた親子に感謝!いや、世の中まだまだ捨てたモンじゃない。
小国では接続の列車がなく、3時間ほどアイドリングタイムを過ごしたが、穴場の温泉に入り、スーパーの駐車場でプシュ!とビールを飲み干して丁度良く時間が過ぎて行った。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する